Road to death —死への道— 作:みんみん
ロンに『スリザリンは嫌な奴だ』と力説された。
いや別にロンの意見に反対ってわけじゃないが、偏見染みているので信用ならない。
ホグワーツに着いたらいつか『グリフィンドールVSスリザリンの寮対抗ディベート大会☆』を開いてみようか迷う。ちなみに☆を付けたのは、ただ単に雰囲気を明るくしようと思っただけだ。
とりあえず面倒くさかったりよくわからなかったり話したく無かったりする時はスルーだ。殺人未遂の容疑者達にやったら逆ギレされたけど。人間は身勝手なものだから仕方ない。
「……って聞いてるのかい!」
「聞いてない」
「だろうね。聞く気は?」
「無い」
「だろうね」
「その偏見捨てて出直して来たら聞くけど」
「無理だな」
「そりゃ残念」
ってことでロンには諦めてもらおう。
暇なので、懲りずに話し続けているロンの話に耳を傾けながらお菓子をつまむ。
しばらく時間が経ち、急にコンパートメントの扉が開いた。
「こんにちは。私はハーマイオニー・グレンジャーよ。ネビル・ロングボトムのヒキガエルのトレバーを探してるんだけど、何処か知らない?」
栗毛で癖っ毛で前歯が大きい女の子が入ってきた。後ろにいるぽっちゃりした子がネビルだろう。
「知らないよ」
「知ってる」
「そうよね、知らないわよね……って、知ってるの!?」
「今知ってるんじゃなくて、これから知るんだけどね」
差し支えの無い程度に訂正をする。
わたし達は魔法使い。魔法を使わなくてどうするんだ!
「というわけで『アクシオ、ネビルのヒキガエルよ来い』」
「何がというわけなのよ」
ハーマイオニーが不思議そうに呟くので、この機会だし良いことを教えてあげよう。
「この世には『開心術』っていうものがあるんだけどね?それを使うと相手の心が読めるんだよ。まあ、対抗して『閉心術』を使われたら難しいけど。わたしの心は24時間365日秘密ごとが無い限りオープンだからいつでも思考を読んでくれて構わないよ。しゃべる手間が省けるし。例えば今ハーマイオニーが思ってることは、『開心術?本当にそんな便利なものがあるのかしら。少なくとも教科書には——」
「あああぁぁぁぁぁあ!わかったわよ大丈夫よ『レジリメンス、開心』!」
「まだ弱いね。もっと強く!」
「『レ ジ リ メ ン ス』ぅぅぅぅううう!」
ちょっと煽ってみたら半端ない魔力を送ってきた。うん、こいつ凄い。
けどそんなんじゃ負けない。わたしの閉心術グレードアップ訓練に付き合ってもらおうかな。
わたしの心の奥底には、今まで聞いた悲鳴が全て集まったような悲しく発狂しそうな不協和音が奏でられている。わたしの閉心術で使っているイメージは、その不協和音に隠したい事柄を上手く調和させ、見えなくすること。誰も聞くだけで狂ってしまいそうな不協和音には近付こうとしないから好都合なのだ。
考えながら逆にハーマイオニーの頭の中を覗いてみる。ハーマイオニーは魔力を練って注ぎ込むのに一生懸命なようで、まったく気付かれていない。
こいつは使えるな。
その思考を、悲鳴の不協和音に調和させて隠しながら、わたしはハーマイオニーの記憶を思い返した。
さて。
今、まだまだ諦める気の無いハーマイオニーの攻撃を受けながら考え事をしようと思う。
もしハーマイオニーがわたしの閉心術を破ったとしても、わたしが不協和音の中で考え事をしてたらバレることは無い。よって何も問題は無い。
今回考えるのは、『不協和音が正気か否か』ということだ。ハーマイオニーの頭を覗いてみても、心の奥底には不協和音は無かったし、魂レベルで調べても無かった。で、それに比べてわたしについて考えてみると、わたしの悲鳴の不協和音は魂レベルで刻み込まれてるんじゃないかと思うのだ。というか、これでは年がら年中悲鳴を耳元で出されているより酷い。なのにわたしは正気で居られるのかと思うと、我ながら不思議に思うのだ。
つまりわたしは正気ではないということか。あははははー。
……それはもともとわかっていたけど。
話を戻そう。
わたしは正気ではないなら、狂気を使って面白可笑しいホグワーツライフを楽しむとしよう。ついでに色んな人の弱みリストとコネも作ればもうどうにでもなる。
そのためにまずはわたしをちょっと可笑しい神出鬼没な奴くらいの認識を定着させればいいだろう。で、成績はまあまあ。意外と役に立てるなとでも思わせればそこに付け込んでバッチリだ。
大まかな計画は立てられた。
まずやるべきことは……