問題児たちと策士の姉弟が異世界からやってくるそうですよ?ネタ切れ中   作:零雫

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第十二話 コミュニティに突撃っ!

白夜叉とのゲームを終え、噴水広場を越えて四人は半刻ほど歩いた後、〝ノーネーム〟の居住区間の門前に着いた。

門を見上げると、幡多が掲げてあった名残のようなものが見える。

(なお、美月は帰ってくる途中で起きて、顔を真っ赤にしながら十六夜の背中から飛び降りた。

それを見た四人がニヤニヤしていたのはまた別の話)

 

「この中が我々のコミュニティでございます。しかし本拠の館は入口から更に歩かなければならないのでご容赦ください。この近辺はまだ戦いの名残がありますので・・・・・・」

 

「戦いの名残?噂の魔王って素敵ネーミングな奴との戦いか?」

 

「は、はい」

 

「ちょうどいいわ。箱庭最悪の天災が残した傷跡、見せてもらおうかしら?」

 

黒ウサギは躊躇いつつ門を開ける。

すると門の向こうから乾ききった風が吹き抜けた。

砂塵から顔を庇うようにする五人。

視界には一面の廃墟が広がっていた。

 

「っ、これは・・・・・!?」

「・・・・・・・・・・・・!」

 

街並みに刻まれた傷跡を見た飛鳥と耀は息を呑み、十六夜はスッと目を細め、零と無花は目を見開いた。

十六夜は木造の廃墟に歩み寄って囲いの残骸を手にとる。

少し握ると、木材は乾いた音を立てて崩れていった。

 

「・・・・・・・・おい、黒ウサギ。魔王のギフトゲームがあったのは────今から何・百・年・前・の・話・だ・?」

 

「僅か三年前でございます」

 

「ハッ、そりゃ面白いな。いやマジで面白いぞ。この風・化・し・き・っ・た・街・並・み・が・三・年・前・だ・と・?」

 

彼ら〝ノーネーム〟のコミュニティは───────まるで何百年という時間経過で滅んだように崩れ去っていたのだ。

美しく整備されていたはずの白地の街路は砂に埋もれ、木造の建築物は軒並み腐って倒れ落ちている。

要所で使われていた鉄筋や針金は錆に蝕まれて折れ曲がり、街路樹は石碑のように薄白く枯れて放置されていた。

とてもではないが三年前まで人が住み賑わっていたとは思えない有様に、五人は息を呑んで散策する。

 

「・・・・・・・・断言するぜ。どんな力がぶつかっても、こんな壊れ方はあり得ない。この木造の崩れ方なんて、膨大な時間をかけて自然崩壊したようにしか思えない」

 

十六夜はあり得ないと結論付けながらも、目の前の廃墟に心地良い冷や汗を流している。

他の三人も廃屋を見て複雑そうな感想を述べた。

 

「ベランダのテーブルにティーセットがそのまま出ているわ。これじゃまるで、生活していた人間がふっと消えたみたいじゃない」

 

「・・・・・・・・・・生き物の気配が全くしない。整備されなくなった人家なのに獣が寄ってこないなんて」

 

「土の中に水分がほとんどない。これは、想像以上だな」

 

「零ー?な お せ る ?」

 

「できない、、、」

 

四人の感想は十六夜の声よりも遥かに重い。

黒ウサギは廃墟から目を逸らし、朽ちた街路を進む。

 

「・・・・・・・・魔王とのゲームはそれほどの未知の戦いだったのでございます。彼らがこの土地を取り上げなかったのは魔王としての力の誇示と、一種の見せしめでしょう。彼らは力を持つ人間が現れると遊び心でゲームを挑み、二度と逆らえないよう屈服させます。僅かに残った仲間達もみんな心を折られ・・・・・・・・・・コミュニティから、箱庭から去って行きました」

 

大掛かりなギフトゲームの時に、白夜叉みたくゲーム盤を用意するのはコレが理由だ。

力のあるコミュニティと魔王が戦えば、その傷跡は醜く残る。

魔王はあえてそれを楽しんだのだ。

黒ウサギは感情を殺した瞳で風化した街を進む。

飛鳥も、耀も、複雑な表情で続く。

無花と零は無表情で、しかしその瞳には怒りを含み黒ウサギに付いていく。

しかし十六夜だけは瞳を爛々と輝かせ、不敵に笑って呟いていた─────

 

「魔王─────か。ハッ、いいぜいいぜいいなオイ。想像以上に面白そうじゃねえか・・・・・・・・・!」

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