問題児たちと策士の姉弟が異世界からやってくるそうですよ?ネタ切れ中   作:零雫

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第十四話 水樹解放!

「さて、自己紹介も終わりましたし!それでは水樹を植えましょう!黒ウサギが台座に根を張らせるので、十六夜さんのギフトカードから出してくれますか?」

 

「あいよ」

 

長年水が通っていない水路だが骨格だけは立派に残っている。

しかし所々がひび割れして砂も要所に溜まっていた。

流石に全ての砂利を取り除くのは難しかったのだろう。

耀は石垣に立ちながら物珍しそうに辺りを見回す。

 

「大きい貯水地だね。ちょっとした湖ぐらいあるよ」

 

『そやな。門を通ってからあっちこっちに水路があったけど、もしあれに全部水が通ったら壮大やろなあ。けど使ってたのは随分前の事なんちゃうか?どうなんやウサ耳の姉ちゃん』

 

黒ウサギは苗を抱えたままクルリと振り返る。

 

「はいな、最後に使ったのは三年前ですよ三毛猫さん。元々は龍の瞳を水珠に加工したギフトが貯水地の台座に設置してあったのですが、それも魔王に取り上げられてしまいました」

 

十六夜と無花はキラリと瞳を輝かせた。

 

「「龍の瞳?何それカッコいい超欲しい。何処に行けば手に入れられる?」

 

「さて、何処でしょう。知っていても二人には教えません。ていうか、出せるんですか!?」

 

「冗談!!」

 

「黙らっしゃい!」

 

この二人に教えれば最後、確実に挑みに行くだろう。

流石に龍を相手に一人で挑まれては助けようもない。

黒ウサギは適当にはぐらかし、ジンが話を戻す。

 

「水路も時々は整備していたのですけど、あくまで最低限です。それにこの水樹じゃまだ貯水池と水路を全て埋めるのは不可能でしょう。ですから居住区の水路は遮断して本拠の屋敷と別館に直通している水路だけを開きます。こちらはみんなで川の水を汲んできたときに時々使っていたので問題ありません」

 

「あら、数㎞も向こうの川から水を運ぶ方法があるの?」

 

苗を植えるのに忙しい黒ウサギに代わって、飛鳥の問いに答えたのはジンと子供達だ。

 

「はい。みんなと一緒にバケツを両手に持って運びました」

 

「半分くらいはコケてなくなっちゃうんだけどねー」

 

「黒ウサのお姉ちゃんが箱庭の外で水を汲んでいいなら、貯水池をいっぱいにしてくれるのになあ」

 

「……そう。大変なのね」

 

飛鳥がちょっとガッカリしたような顔をした。

もっと画期的で幻想的な方法を想像していたからだろう。

しかしそんな方法があれば黒ウサギ達も水不足で頭を抱えることもなく、水樹の苗一つであれほど大歓喜することもなかったはずだ。

黒ウサギは貯水池の中心にある柱の台座まで大きく跳躍すると、様子を見ていた十六夜に顔を向ける。

 

「それでは苗の紐を解いて根を張ります!十六夜さんは屋敷への水門を開けてください!」

 

「あいよ」

 

十六夜は貯水池に下りて水門を開ける。黒ウサギが苗の紐を解くと、根を包んでいた布から大波のような水が溢れ返り、激流となって貯水池を埋めていく。水門の鍵を開けていた十六夜は驚いて叫ぶ。

 

「ちょ、少しはマテやゴラァ!!流石に今日はこれ以上濡れたくねえぞオイ!」

 

十六夜は世界「うわお!この子は想像以上に元気です♪」

 

「凄い!これなら生活以外にも水が使えるかも………!」

 

「なんだ、農作業でもするのか?」

 

「近いです。例えば水仙卵華などの水面に自生する花のギフトを繁殖させれば、ギフトゲームに参加せずともコミュニティの収入になります。これならみんなにも出来るし………」

 

「ふぅん?で、水仙卵華ってなんだ御チビ

・・・

 

え?とジンは『御チビ』と言われ驚いたが水仙卵華の説明をし、その際十六夜が放った一言でジンは言い返そうとするが、その前に十六夜が話す。

 

「悪いが、俺は俺が認めない限りは"リーダー"なんて呼びねえぜ?この水樹だって気が向いたから貰ってきただけだ。コミュニティの為、なんてつもりはさらさらない」

 

「それに黒ウサギにも言ったが、召喚された分の義理は返してやる。箱庭の世界は退屈せずに済みそうだからな。だがもし、義理を果たした時にこのコミュニティがつまらねえ事になっていたら………俺は躊躇いなくコミュニティを抜ける。いいな?」

 

十六夜の指す"つまらないこと"が何かはわからないが、だからこそジンも覚悟するように強く頷いて返す。

 

「僕らは"打倒魔王"を掲げたコミュニティです。何時までも黒ウサギに頼るつもりはありません。次のギフトゲームで………それを証明します」

 

「そうかい。期待してるぜ御チビ様

・・・・」

 

一転してケラケラと軽薄な笑いを滲ませる十六夜。ジンとしてはイラっとする呼び方だが、黒ウサギに依存してきたジンと違い、新たな同士である十六夜の方がコミュニティに貢献できているので仕方がない事だと言葉を呑みこむ。

 

(初めてのギフトゲーム………僕が頑張らないと)

 

水面に浮かぶ十六夜の月を見下ろし、ジンは一人で呟いた。

 

 

 

 

 

 

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