「お邪魔しましたーーーっ」
別荘の使用時間が切れ、全員外へと出る。
「うひゃースゴイ雨や」
「傘一本しかないですね」
外は大雨だった。
「エヴァちゃん、テスト勉強の時間足りなくなったら、また“別荘”使わせてよ」
「別に構わんが……女には薦めんぞ。歳取るからな」
「ゔ!! そうか」
「気にしないアルよ」
「いいじゃない。2、3日くらい歳取っても」
「若いから言えるセリフだな、それ」
アスナ、古菲、朝倉が別荘のことを話している。
エヴァンジェリンはその三人の会話に不安を感じた。
「やれやれ、やっとうるさいのが行ったか」
「楽しそうでしたが? マスター」
結局、彼女らは雨の中走って帰っていく。
「…………」
何か異物のような物が入る感覚を私は感じ取る。
「どうかしましたか……?」
「いや……」
エヴァンジェリンは「気のせいか」と言い切る。
確かにその通りに、もうすでにその感覚は無くなっていた。
◇
「この感覚……」
エヴァンジェリンの自宅から転移してから魔導書を読み漁っている時だった。
今度は確かに感じ取り、私はその場所へと転移を開始する。
「ん?」
転移した場所は世界樹の近くにあるステージだった。
そこにいたのはネギと少年。そして、爵位級の上級悪魔。
「む。少しばかり早く気付かれたか」
「嫌な気配がすると思えば、あなた方でしたか」
「いやはや、懸念していたよ。貴殿は転移魔法が使えたことを」
「御託はいいわ……何の用でここに踏み入ったのかしら? 用次第では消すわよ」
「おうおう、怖いね。何ちょっとした少年たちの実力を知りに来ただけさ」
「そう。なら……アクター・エスト……」
私は魔法の開始キーを唱え始めるが。
「待ってください! 今この場魔法が使えないのです!!」
ネギの忠告を聞き、悪魔の後ろにアスナが居ることに気付く。
「ちっ! 魔法無効化を利用しているわけですか」
「いかにも。これで貴殿はただの……」
私は悪魔の前まで一瞬に移動し、上にへと殴り上げた。
「ぐおっ!?」
打ち上げられた悪魔に対して私はさらに上へと移動し、殴り落とす。
悪魔は無防備で地面へと沈む。
「魔法が使えないと言うだけで、私が弱くなるとでも思いましたか?」
ジブリールのスタイルは魔法使い型である。
しかし、元の戦闘力が桁外れであるのだ。
「私は神殺しの為に造れた存在。あなた方の持つ定義で当てはめるのはやめて頂きたいですね」
「ぐっ……これは失敬だったな。だが、魔法を使えないのは変わりない」
そう言って、私の背後から三つの何かが襲いかかる。
「む!」
私は普通に対応するが、その三つからは手応えが感じなかった。
「スライム……ですか」
「アハハ。お姉さんの相手は私たちだヨ」
魔法が使えれば、確かにどうにかできる類である。
だが、悪魔の奴がアスナが生まれつき持っている魔法無効化を利用して、放出系の魔法を封じられている。スライムには打撃系統の攻撃は効かない。
「仕方ないですね。ここはネギ少年たちに頑張ってもらいましょう」
私がスライムを相手する代わりにネギたちに悪魔を相手してもらうことにした。
◇
「!?」
「しまッタ」
アスナの後ろの方で閉じ込められていた他の人質たちが自力で脱出してしまったのだ。
そして、アスナの首にかけられていたネックレスを引きちぎる。
「覚悟は出来ているよね」
「やベ!?」
スライムたちは魔法が使えるようになった私を見て、逃げ出すが……そんなことさせるつもりは私にはなかった。
「チェーン・バインド」
「の?」
「あレ?」
「やバ!」
スライムに桃色の鎖で縛り、身動きを取れないようにする。
「ディバインバスター」
魔力の収縮砲を無慈悲に打ち込んだ。
スライムは蒸発し、完全に抹殺。
悪魔もネギたちが倒し、この一件は決着がつく。
「ふむ。どうやら、一件落着のようね」
私は消えていく悪魔を見守るネギたちの後ろを後にし、転移魔法を発動する。
途中、エヴァンジェリンがネギたちの戦いを見ていたことに気付く。
(彼の潜在能力を見に来たのね……)
そして、私は何もなかったかのように自宅へと飛んだ。