悪魔の一件が終わり、久々に平和が訪れたと思われた時だった。
「ん? 今度は何の用ですか?」
本来なら睡眠なんて取らなくてもいい存在である私は気分でハンモックに寝転がって本を顔に被せて寝ていた。
そんな時に私の元に来客が来たのだ。
「えぇ。お久しぶりですね。ジブリール殿」
紅き翼のメンバー、アルビレオ・イマが来たのだ。
余程のことがない限り私の前に現れない彼がこうして私の前に現れたのだ、何かがあると。
「世界樹伝説はご存知でしょうか?」
「世界樹伝説……」
世界樹伝説。それはこの麻帆良学園の中央に聳え立つ巨大な樹にあるとある伝説のことだった。
何でも世界樹の前で告白すると必ず成功すると言う伝説があるのだ。
「確かアレは来年では?」
その伝説は22年に一度だけ叶う。
前回から21年目の今回にその話を持ち出してきたことから。
「はい。本来なら来年でしたが、異常気象の影響か1年早まってしまったそうです」
「ふ~ん。今年は荒れそうね……」
世界樹伝説はこの麻帆良学園では誰もが知っている為、毎年学園祭に告白祭りがあちらこちらで起こっている。
言い忘れたが世界樹は万能ではなく、即物的な願いは叶わないのだ。
代わりに告白に関しては120%で叶う。
「えぇ。まぁ、あなたには関係のないことでしょうけど……」
「世界樹の魔力を狙った犯行でしょ?」
「えぇ」
世界樹が願いを叶える原因はその中にある魔力が原因であった。
その魔力が一定になると外に漏れ出す。それが22年な訳だが。
膨大な魔力は魔法使いにとっては喉から手が出る程欲しい物である。
それを狙って組織レベルで麻帆良学園に侵入してくるのだ。それを相手するのが私の役目でもあった。
「警戒はしておきますよ」
「はい。そうしてもらえると有難いです」
ことを終えて、アルビレオ・イマは帰ろうとした時だった。
「そうそう。今年の麻帆良祭にナギの息子さんが武道大会に出場するそうですよ」
「…………」
そう言い残して、彼は行ってしまう。
私はアルビレオ・イマが最後に言った言葉が頭の中から離れなかった。
◇
そして、当日。麻帆良祭が開催された。
「ふむ。今年は一段と腕を上げたな」
私は麻帆良祭を満喫していた。仮装OKなこの日は私にとってはとてもありがたく、普段の姿で歩き回れる。
翼の生えた人がいたら明らかに可笑しいため、普段は図書館島の地下で引き籠っているが、毎年麻帆良祭にのみ外に出ては楽しんでいた。
もちろん、警備の仕事はしている。
「……侵入者はなし?」
麻帆良祭が開催されてからもう既に数十時間が経過した。
私はここで大きな疑問を感じる。
いつもなら侵入者が団体レベルで捕まるはずが、未だに誰一人として捕まらないのだ。
それどころか、結界を抜けた形跡がないのが一番に疑問を感じていた。
「その方が私的には有難いのですが……不自然ですね」
色々と疑問が残るが、私はそれを置いといて麻帆良武道会の会場に向かった。
目的はネギの大会を観戦するためだ。
「会場変更?」
会場に到着するが、そこに張られたお知らせに会場の変更が書かれていた。
「何があったのでしょうか……」
私は路地に入り、転移魔法で指定された場所の近くの路地へと飛ぶ。
誰にも気付かれることなく、飛んだ私は指定された瀧宮神社に着くと。
「これは……」
何故、会場変更された理由がはっきりした。
麻帆良祭では賞金が出る大会が数多く存在する。その中でこの金額はあり得ない。
絶対に裏がある。
「賞金一千万って……」
麻帆良史上最高額の賞金に私は笑ってしまった。
「見学者と大会希望者は入り口よりお入りください」
私はアナウンスに従い進む。
「ようこそ!! 麻帆良生徒及び、学生及び、部外者の皆様!! 復活した『まほら武道会』へ!! 突然の告知に関わらずこれ程の人数が集まってくれたことを感謝します!!」
司会のお姉さん……ネギ所の朝倉が司会を進め、この大会の主催者の挨拶に変わると、それが誰なのかすぐに分かった。
「なるほどね……あんたが黒幕なのね。超鈴音……」
主催者が少女だったのが、驚きなのか。各ところから騒がしくなる。
「私が……この大会を買収して復活させた理由はただひとつネ。表の世界、裏の世界を問わず、この学園の最強を見たい、それだけネ」
その意味に私は少し笑ってしまった。
これは、一種の挑発だった。魔法使いは裏の世界の住人。
それを人の目の前で披露しろと彼女は言っているのだ。
「面白いじゃない……」
私はこの大会に出場することにした。
あそこまで言われて、出ない理由がなかった。
「飛び道具及び、刃物の使用禁止!! ……そして、呪文詠唱の禁止!! この二点を守ればいかなる技を使用してもOKネ!!」
大会のルールが説明され、私は前に出てくじを引く。
予選として、20名一組のバトルロイヤルが行なわれることになった。
原作コピーって、どこまで入るのだろうか……