ソード・アート・オンライン〜銀髪の二刀使い〜   作:月夜(白夜)

12 / 25
2人の気持ち

 気持ちのいい日光に照らされ這い上がるように瞼が開く。

 ここまで快適な睡眠は久々だ。悪夢を見ていたのに一瞬にして無くなり気づいたら太陽が昇っていた。きっと、いやこの睡眠のお陰は目の前で眠っているフェンが抱きしめてくれてるからに違いない。太陽の光に照らされている顔はとてもかっこいい。

 その時胸にチクリと違和感を感じた。とても懐かしい感覚でもあり抱いちゃいけないものだった。これは…….恋だ。

 確かこの家に住んでからだ。毎日のようにフェンと過ごしご飯も作っていた。あどけない表情や嬉しさににやける顔、全部私は好きだ。この事をフェンに言ったら彼はかなり喜ぶでも、現実世界に戻ったら澪には何て言うの? それに本名も住所も知らないフェンと会える事は出来るの? 色々な不安要素が私の心に歯止めをかける。

1人で悩む……いや私には信頼出来る親友がいるじゃないか。早速アスナにメッセージを送った。すると閃光の如く返信が来る。

 頼ってくれたのが嬉しいのか、文章でもアスナが楽しそうなのが読み取れた。手短に返信をして、隣で寝るフェンを見た後に完全ステルスを使用して、アスナのホームへと向かった。

 

 

 

 アスナの家はとりあえず大きい。周りも見た目はオシャレで高そうな家が並ぶがアスナはそれ以上に輝きを放っている。流石は副団長様だ。

扉の前に立ちインターホンを鳴らすとすぐアスナが出てくる。この時にはステルスは外してあった。

「ゲツヤいらっしゃい。とりあえずはいっ……て?」

  私は、まず家に入る前にアスナに抱き付いた。うん、やっぱり似ている。

「お姉ちゃん」

「お、お姉ちゃん?」

「うん、よくこうやってお姉ちゃんに抱き付いてたの。でもアスナなんだか似てるの」

「う、嬉しい……のかな? それより相談って? まぁこの話は中に入ってしようか」

「うん」

 中は絨毯やシャンデリアで煌びやだ。フェンと住んでるウッドデッキの家に慣れちゃったからこういう光は眩し過ぎる。

「適当にお茶淹れるから、はい」

「ありがとう」

 お互い落ち着くように一服して、肺に溜まった空気を循環させる。

「相談って?」

「アスナ……さ、キリトの事好きじゃん」

「ふぇっ!? えっ、まぁうん」

「不安とかないの? 向こうの世界でちゃんと会えたりとか、家族にどう説明するかとか」

 アスナは、再びお茶を飲み、うーんと唸りながら指先でこめかみとトントン叩く。

「不安は無いよ。私はキリト君が好きっていう気持ちに正直でありたい。それにこれが狂ったゲームとか関係無い。人を好きになるってのに環境には左右されない。それに会えない確率は100パーセントじゃないしね」

 やっぱりアスナは強くて凄いよ。こんな子に愛されてキリトも幸せ者ね、まぁ彼もアスナの事は好きっていうのは知ってるからかなり楽しみな状態。

 でも私は……。

「私、今の出来事で確信したんだけどフェンの事を好きになんだって、でも向こうには彼氏がいるんだけど正直フェンの方が好きなの……。この世界でフェンと結婚して攻略も頑張りたいけどそれだと彼氏合わせる顔が無くて、こういう時自分に正直に生きればいいのか分からないの」

「そうね……」

 流石のアスナも難しい表情を見せる。

「フェン君の方が好きならその意思を貫いて行こうよ。向こうの世界に帰ったらしっかりと話をしてみよう」

 アスナの真っ直ぐな言葉に迷いがなくなった。私はフェンが好きでこのSAOを攻略して、向こうの世界でも同じように好きになる。

「話……うん。分かったありがとうアスナ、なんだかモヤモヤしてたのが晴れたよ。今日はもうちょっとアスナと遊んでたいなー」

「ちょうど私も思ってた! 何する!?」

 体を前のめりにしてグイッと近づく。2年間一緒にいたけどここまで楽しそうなアスナは久々に見たよ。いっつも攻略攻略だかりね、まぁ人の事言えないけど。

「んー、ショッピングなんかどう?」

「あっ、賛成! ならここにいい商店街があるからそこに行こうよ」

 「なら今日はこいついらない日ね」

 腰に携えていたツインセイバーをしまう。

「そうね、じゃーレッツゴー」

「おー!」

 玄関を出てアスナの隣を歩く。この死と隣り合わせのSAOの世界が楽しく感じる。

 まずは、NPCが営んでいるスイーツ店でパフェを食べいると勝手に弾むガールズトーク、今日は攻略の話は禁止と決めておりとても心が弾む。主な話はファッションだけどいつの間にか路線は恋の話になる。

「まぁ確かにキリトそういう鈍感なところあるからねぇ、女心に関すると」

「でしょー、それにコミュ障ちょっと入ってるしさらそのところフェン君は分かってるね」

「うん、ていうかいつから呼び捨てで呼ばれてるよ、前までさん付けに敬語だったし」

「私、あんまり敬語使われたく無いのよ。どうしても距離感があるじゃん、キリト君も同じでまぁあの2人なんだかんだで気が合いそうだし」

 「う、うん。フェンも向こうの世界じゃFPSっていうカテゴリーのゲームだと超有名プレイヤーらしいからね。ゲーマーの血が流れてる同士共通しそうだしね」

 そのFPSについて熱く語ったフェンは目の色が変わり完全にゲーマーだった。私もやってみようかな?

「なんか勝手に話が変わったね」

「そうだね、そろそろ次行く?」

「りょーかい」

 代金をNPCに払い、次に向かったのはプレイヤーが営んでいる服屋だ。

 なんでもここはアスナの行きつけらしく高級なアイテムしか使わないのがモットーらしい。確かにお値段もかなりぶっ飛んでる。

 1から服を見ていると周りからのプレイヤーが気になる。聞き耳スキルで盗み聞きをする。

「お、おいあれ細氷と閃光だろ。めっちゃ可愛いな」

「あぁ、生で見れてよかった」

 なんだか、聞いた少し後悔したような……。

「んー、ゲツヤ今度はあそこ行ってもいいかなー?」

 指を刺したのは男子禁制の下着エリア。

「いいよ」

 一度周りを確認した後に一瞬とスピードで入る。中は、まぁご覧の通り下着がづらりと並んでいる。あんまり行きたくは無かった。理由は簡潔だ。

「アスナはいいよね、胸がそんなにあって……」

 同年代と比べて明らかに小さな胸1つのコンプレックスでもある。このため初対面では歳下と思われることもしばしば。

「なっ! そんなこと無いよ。あってもリアルじゃ肩こりとか重いとか言うじゃん」

「胸が大きい人ほどそういうこと言うんだよ。何度聞かされたことか……」

 そのアスナの大きくて綺麗な胸が羨ましぃぃ〜。ちょっとだけ……ちょっとだけ。

「胸をご拝借します」

「ちょっ!?  ゲツヤ!」

 完全ステルスを使用して後ろから鷲掴みにする。あっ、凄い私と全然違う。弾力もある中にしっかりとした柔らかさがある。男子が巨乳を好きになる理由が分かったかも。

「ふぅ、ありがとーアスナ」

「ありがとうじゃないわよバカー!」

 振り向きざまに頭の上からげんこつが飛んでくる。避けれたけど仕方ないから受けてやろう。

「ったくこれでステルスにならないでよ!」

「ごめん、ごめん。でも今日一番楽しいかも。素のアスナが見れて、いっつも剣と剣が私達を導いてたけど今日は違う。本当に楽しい」

「そうね、私も本当のゲツヤが見れてよかった。細氷がこんなに乙女って知れてね。もっと回ろうか」

「うん!」

 手を繋ぎ商店街をブラブラする。まだ時間はたっぷりある、今日のSAOは世界で一番楽しい。

 

 

 

 一方フェンもキリトと買い物をしていた。

 

 

 

「うー、これもいいけどこれも似合うな」

 今俺は人生で最大の買い物をしている。ボス戦と同じくらい目を光らせて細かく見ている。その後ろでは、ホットドックを食べているキリトと酒を煽るクラインがいる。

「早く選べよフェン。もう待ち疲れた」

「だぁ! ダメだこの2つで悩む……」

「俺には同じようにしか見えねぇけどその2つの指輪」

 そう俺は今ゲツヤに似合うな指輪を探している。そこで昔から仲の良いキリトとクラインを呼んだのだがなんの戦力にもならない。

「キリトだってアスナに渡すときはこんくらい悩むっつーの」

「さぁ、どうだろうなぁ」

「今ここで買っちゃえば?」

「分かった」

 キリトも指輪を見るが、ものの数分で決めてしまう。なんにも迷わなかったぞ。

「俺は、昔からこいつに目を付けておいとんだ。まぁフェンからの贈り物だ。ゲツヤもどんな物でも喜ぶと俺は思うぜ」

「そうか、よしこれにしよう」

 同じ物を2つ買いストレージの中に入れる。そしてこの指輪を買ったということは、俺は今日ゲツヤにしっかりと告白をする。

「あーあ俺にはなんで可愛い女の子が寄り付かないのかなぁ?」

 クラインは、ビールをグイッと飲み干す。多分その行動が原因だとキリトと察する。

「あとは顔だな」

「うっせー! 見てろお前ら俺だってこの世界で見つけてやるからなぁ!」

 1人謎の闘争心を燃やすクライン。俺とキリトは聞こえないように

「無理だな……」

「そうだな……。それよりキリトはいつアスナにいうんだ?」

 痛いところを突かれたのか、俺から距離を取ろうとするがそうはさせない。肩を組んだ離さないようにする。

「ずっと迷ってたところだけどフェンが言うなら俺も乗ろうかな、お前はどこでプロポーズするだ?」

「47層に夜遊びした時にたまたま見つけたところだけど満月が一望できる丘を見つけてさ。そこでしようと思ってる。どうせ場所にも迷ってるならここならどうだ?」

 定時したのは44層のフラワーガーデンと呼ばれるカップルで埋め尽くしされるが、日付が変わる丁度に花びらが風に舞うというイベントが発生する。これも夜遊びで見つけた。

「へー、良いところだな。ありがとうフェン。なんだか今日でだいぶ知れてよかったよ。FPSやってるなんて想像も付かないよ」

「楽しいもんだぜFPSって。それよりまずは最大のイベントもクリアしないとな」

「あぁ、もう夜になる。今日はひとまず解散して作戦を練ろうか」

「おう、今日はありがとうなキリト。ところでクラインはどうする?」

 一度チラッと見るとNPCをナンパしている。完全にヤバイ人間だ。

「あんなの放置しとけ、またな」

 キリトは転移結晶を使いその場から消える。俺も色々と準備しますか、一度22層の家に戻るとまだゲツヤはいない。俺が見た中で月がよく観れる時間は10時、今は6時に差し掛かるところ全ての準備を済ませ後はプロポーズの言葉を考えるのに時間を費やした。

「まぁベタな言葉でも良いよな。ってもう9時50分か、そろそろ行くかな」

 緊張で重い腰を上げて転移する。圏内から一度出て、洞窟を抜けると月光の丘に着く。ここがプロポーズする場所だ。あと1分……。深呼吸をしていると足音が聞こえる。手に持っていた指輪を隠して振り返ると

「こんなところに呼んでどうしたの? フェン」

 案の定ゲツヤの訳だが、服装がアスナと遊んだ時のままか私服だ。かなり着こなしてて可愛さが倍増する。

「ちょっと見せたい物があってさあと10秒待っててみ」

 首を傾げながら俺の隣へと来るゲツヤを引き寄せる。胸に手が当たる感覚して、鼻先には綺麗な銀髪に漂う甘い香り。

「あと3秒……2……1」

 雲に隠れていた満月が現れて月光に照らされる。隣では歓喜の声を上げるゲツヤ。

「わぁ、綺麗な月よく見つけたね」

 俺から3歩ほど前に出て月に手を伸ばす。それより。

「なぁ、ゲツヤ月が綺麗って意味わかって言った?」

「え? ただ綺麗じゃないの?」

「月が綺麗だなっていうのは貴方を愛してるって意味なんだけど」

「わ、私……」

 級に顔を赤くして俯くゲツヤ。今ここで俺は腹をくくった。

 片膝を地面に付けてゲツヤの左をそっと手に取り。

「ゲツヤ好きだ。どんな事が起きても俺はずっと側い続けて君を守る。俺と結婚して下さい」

 

 

 

 突然のフェンからのプロポーズ。こんなにも思ってくれるなんて嬉しい……。私もここでアスナと同じように強くなる。

「私もずっと好きでした。不届き者ですがフェンの妻にして下さい」

「ゲツヤ……! それとこれを」

 左手の薬指にはルビーに似た宝石がキラリと光る。とても綺麗だこの月以上よりも、スッと立ち上がったフェンは私を抱きしめる。自然と近づく唇は優しく触れ合う。そこから時間が止まってるくらいキスに夢中になる。

 これでお互いの気持ちがやっと繋がった。そのことが理解できて離れる唇。

「ゲツヤ、愛してる」

「フェン、その言葉向こうの世界でもちゃんと言ってね。愛してる」

 クスッと笑い会うとまた唇が触れ合う。しかし、このキスはより愛を熱く感じるようにお互いに舌まで絡めあった。口の中全てをフェンに染められていく、あぁ……気持ち……いい。

 そこからまた長いキスが続く。お互いに唇を離すと入り混じった唾液が糸を引く、それすらフェンは舐めとっていく。

「さぁ、帰ろう俺たちの家」

「ええ、あなた」

 フェンの胸に飛び込み22層へ転移する。そして昨日のように寄り添うように眠りへ入った。

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。