ソード・アート・オンライン〜銀髪の二刀使い〜   作:月夜(白夜)

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 リビングから聞こえる包丁で食材をザクザクと切る音が俺の目覚まし時計だ。

 心地の良い音と共に目を覚ます。目の前には俺とゲツヤの娘であるルリが天使の寝顔を向けながら未だ眠っている。心の底から可愛いと思う。無音カメラ結晶で撮影をして、写真を見てついついニヤけてしまう。

 ルリの頬を優しく撫でた後起こさないようにゆっくりと布団から出る。リビングに繋がる扉を開けるとエプロン姿で朝食を作っていた妻であるゲツヤが俺に声を掛けた。

「おはようフェンそろそろご飯出来るよ」

「おはようゲツヤ、ならルリ起こしてくる」

 踵を返しルリの肩を揺らして耳元で優しく声をかけると呻き声を出した後に、俺と似ている黒い目と目が合う。

「お父さんおはよう。まだ眠いよ」

 俺の首元に抱きつき頬ずりをする。たまらなく可愛いくてずっとこのままでいたいが、ゲツヤが妬いちゃうから我慢だ。

「でも、もうご飯出来るぜ。よいしょっ!」

 そのまんまルリを抱っこして再びリビングへと戻ると既にテーブルの上には朝食が並んでいた。匂いに釣られたのか、顔をご飯に向けると目を輝かせる。

「おはよう、ルリ。今フェンと同じ顔してるよ」

「お母さんおはよう。早く食べたい」

「あぁ、俺も早く食いてぇ」

 こういう所は俺とルリは本当に似ている。飯に目が無いし、まずは飯を食べたがる。ルリを腕から降ろすとそそくさと席に座る。俺も席に座ろうとしたが、今度はゲツヤが俺に抱き付く。ルリ同様に頬ずりをする、甘え方が一緒だ。

「んー、よし充電完了。これで今日も動ける」

「お父さん、お母さんはーやーく」

「ごめんね今行くよ」

 ルリは待ちきれない様子のためにゲツヤとのハグを終えてそれぞれの席に座る。俺の隣にはゲツヤで目の前にはルリがいる。

「「「いただきます」」」

 今日の朝飯は和食だ。白米に鮭に似た塩焼き、冷奴、豚汁といった懐かしき味が揃う。さらに醤油やマヨネーズ以外にも味噌の味も再現したらしい。原料を訪ねたが、聞かないほうが身のための冷やかされて渋々引いた。

「さて、今日はどこに行こっか?」

「またお前はたまには家でのんびりしたらどうだ? ルリはなにしたい?」

「寝たい……」

 ルリお嬢様や流石に早すぎますよ。しかし、目は虚ろ虚ろで瞬きの時は目を閉じてる時間が長い。って……なんだか俺も眠くなってきたな。それはゲツヤにも広がっているようで今日はもう黙って二度寝をしよう。

「ならもう一回寝ようか」

「ふはぁ〜、流石に早起きの連日はきつい……。今日は寝るぞ」

 ゲツヤは大きな欠伸をして誰よりも早く寝室へと入る。思い出す限り師弟時代の時は、ゲツヤの朝の弱さには散々苦労した記憶がある。

「お父さん抱っこ」

「よし、おいで」

 ダッシュして俺の手前でジャンプをして胸に飛び込む。寝室に先に入ったゲツヤは布団に包まっていた。

「お母さん、隣入れて」

 ルリはゲツヤの正面に移動して、布団に侵入すると体を密着させた。

「可愛いなぁ、ルリ。フェン可愛がるのはいいけど私の事蚊帳の外にしたら怒るよ」

 これは完全に妬いちゃってる。うん、可愛いです。この2人に甘えられたら俺は我慢出来ないでしょう。

 布団に入り後ろからゲツヤのお腹に腕を回して首筋に優しくキスを送りぺロンと舐める。その度に体が少し反応する。

「んんっ……くすぐったいよフェン」

「いいだろ。こうして可愛がって欲しいだろ?」

「そうだけど、今はルリいるから駄目よ」

 「なら、今度な」

「……バカ」

 それだけをいい既に寝に入りそうなルリを抱き寄せる。さて、俺もこのまんま寝よう。一度肺に溜まった息を出して目を閉じたが、インターホンが鳴った。

「俺行ってくるよ。お二人はどうする?」

「一応私も行くよ、ルリは?」

「一緒に行く」

「分かった」

 出たくなかった布団から出て、玄関のドアを開けるとキリト達がいた。

「どうしたこんな朝に」

「ちょっとだけユイちゃんを見ていて欲しいの。私はこの後ギルドの会議でキリト君は、ダンジョン行くって言うから1人でユイちゃんを置くわけにもいかないから面倒見ていて欲しいの」

「そうか、いいよなゲツヤ、ルリ」

「大丈夫だよ。ルリもご覧の通りだし」

 ゲツヤの腕から降りて、ユイと両手を摑み合い上下に振っていた。

「ありがとう、ユイちゃん良い子にしててね」

「はいです!」

「ユイの事は任せといて、2人とも気をつけてね」

「サンキューな、三人とも」

 2人を見送り、俺たちは家へと戻る。この後予定していた二度寝は中止だ。その代わり2人の少女が仲良く遊んでいる光景はかなり癒される。それからもずっとルリとユイを眺めていると気がつくともう30分経っていた,体感的には5分位なのに恐ろしい力だ。

 だが、時間が経つにつれてユイの表情が暗くなって行く。それにいち早く気付いたのがゲツヤだ。

「ユイどうかした? 何か起きたの?」

 しかし、俯いたまま口をきつく締めていた。震える肩に鼻の啜る音は今にも泣きそうだ。

「ユイ正直に言って、怒ったりしたいから私もフェンもルリも心配だから……ね」

 黒髪を優しく撫でてると我慢していた涙が一気に溢れて、ゲツヤの胸に飛び込んだ。ルリそこでものすごい反応を見せるが、何も言葉を開きはしなかった。代わりに泣きながら伝えたユイの言葉が部屋に響く。

「ゲツヤさん、フェンさん、ルリ嘘ついてごめんなさい。実はママとパパが言ってたのは全部嘘なんです」

「どういう事? 2人は何してるの?」

 ゆっくりと開くユイの真実に俺は怒りと焦りの感情が入り混じった。

「今ママとパパは61層のボス攻略をしています。私は、2人を行かせないために嘘までついてゲツヤさん達と一緒にいるように仕向けたのです。本当にごめんなさい」

 61層は今の最前線だが、ゲツヤが行方不明の時に攻略した時に撤退したじゃないか。あのボスの強さはあまりにも可笑しい。

「あの野郎……あそこのボスがどれだけ強いか身をもって知ったろ! ユイ、どうしてその大切な事を今言ったんだ?」

「2人のためです」

 一体どいう事なんだよ! 怒れる気持ちが爆発しそうになるが、ゲツヤがそれを鎮める。そしてユイからの言葉をただ受け続けた。

 

 

 

 11時間前、昨日午後9時。

 突然団長からの招集命令を受け、キリト君とユイちゃんから離れて、血盟騎士団のホームへと急いで向かった。

 副団長の私へと挨拶を送る部下達に最低限の経緯を送り、急いで向かった。一つだけ重圧な扉が出てくる。まさに団長であるヒースクリフがいる部屋だ。

 一度唾を飲み込み、ノックする。

「入ってきたまえ」

「失礼します。何用でしょうか、団長」

「夜遅くにすまないな、急遽翌日の朝に61層ボス攻略戦をする事となった」

 突然言われた事に納得なんて出来るわけが無い。ボリュームは控えつつも無謀な攻略に対する憤りを表した。

「団長、あのボス強さを忘れた訳ではありませんよね」

「勿論忘れてはいない。だが、彼女さえいれば攻略は可能だろう。あの細氷さえいれば」

 団長の口からゲツヤが出てしまい、つい声が勝手に上がってしまった。

「ちょっ! 待って下さい! ゲツヤはあの討伐戦以降まともに剣を持っていません。そんな状態で行かせたら取り返しの付かない事になります」

「では君とキリト君がゲツヤ君と守護剣士フェン君分のダメージを与える事が出来るか?」

「そ、それは……」

「それに、私は全攻略組に質問を取った。ゲツヤ君を参加させた方が良いかどうかを、結果は全て参加に賛同だ。アスナ君、友達を思う気持ちはよく分かるが、それだけではこの先死人を増やすだけだ。情に流されて判断をしてはいけない、明日の朝にはゲツヤ君とフェン君を招集したまえ以上」

 いくら団長と言えでも流石にこの命令は無理よ納得出来ないわ。

「……はい」

 しかし、団長の強い眼差しにただ。はい、としか言い返せなかった。一礼して部屋を後にした後きつく口を締めて壁を殴る。

「ア、アスナ様?」

 こんな姿を見られたのは初めてでメンバーから心配するように声をかけられる。その場をから急いで離れて22層へと戻った。

「はぁ……ただいま……」

 あの一瞬の時間なのに一気に疲れが押し寄せてきた。緊張の糸が切れて、その場に座り込みそうになる。

「ママ! おかえりなさいです!」

 リビングに入るとユイが両手を広げてお迎えに来る。それを答えるために抱っこしてあげると嬉しそうな声を上げる。

 私も娘が喜んでくれてとても気分がいいが、やはり団長の話には乗れない。

「何かあったのかヒースクリフと」

 やっぱり彼には隠し事は無理みたいね。ユイを抱っこしたままキリト君が座るソファーに向き合うように座り。

「61層のボス攻略が明日の朝開始するの。そして、私は団長の命令でゲツヤとフェン君を呼ぶように言われたけど、私はとても出来ないわ。特にゲツヤにはもう剣は握って欲しく無い、酷い事を言ってるのは分かるけどもうあんなかお見たく無いから」

 キリト君もそれには賛同するように首を縦に動かす。しかし、ゲツヤ達にはどのような嘘を付けばいいのか。

 再び重い沈黙が場を沈めるなか、キリトが思い付いたように顔を上げるが、その表情は暗い。

「……ユイ、協力してくれるか?」

「パパ……私も力になります。ルリのママやパパを助けれるならやります」

 こうしてユイちゃんの協力を得て、61層のボス攻略へと向かった。

 

 

 

「なによ私のためって、バカ言わないでよキリト……アスナ」

 ユイから聞かされた全貌に言葉が見つからない。私に剣を握って欲しく無いって、それはこの世界で死ねって言ってるような物よ。流石に怒れる。

「ユイ、本当はどうしたかったんだ? 嘘をつくのがこんなに嫌だったら」

 ユイの涙は強くなるとともに思いを強く乗せた言葉を私達にぶつけた。

「パパとママを助けてください! 61層のボスは70層に値する強さです! ゲツヤさんとフェンさんが居ないと絶対に勝てません! だからお願いします!」

 ユイをここまで泣かせて心配かけさせる2人は許せないし、まず私とフェンを除け者にしたのも怒れる。

「行くよフェン。ルリ、ユイ良い子にしているんだよ」

「さて、リベンジマッチと行くか」

「お父さん、お母さん頑張って」

「パパとママをお願いします」

 2人に見送られ、フェンの手を握りステルス状態を使い、敏捷パラメーターをフルに使い一刻も早く61層のボスフロアまで駆け抜けた。

 

 

 

 やはり、今回の攻略も惨敗な気がしてならない。ボスのライフは2本削ったが、まだ3本も残っている。それにこっちの既に5人死亡している。

「やっぱり…….私は」

 つい、弱気な発言をしていまい戦闘から頭が離れてしまう。そのせいで反応が遅れた。

「アスナ! 退けぇぇぇぇ!!」

 キリト君の声で自分の状況が分かった。ボスの鎌に似た爪が頭上から振り下ろされていた。

「しまっ……」

 避けれる距離では無いと悟る。こんなところで……死ぬなんて。

 しかし、いくら待っても爪で掻き切られる事は無かった。後ろから湧き上がる歓声一体何が起きたのか分からないが。

「ヒーローは遅れて登場するってねアスナ」

 声の持ち主はゲツヤだった。そして、当然隣にはフェン君もいた

「なんで2人が……」

「それは後よ! フェン行くよ!」

「おお!!」

 そこから2人の見事な連携攻撃で大人数で苦戦したボスのライフもそのの数分で1本減らした。

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