ソード・アート・オンライン〜銀髪の二刀使い〜   作:月夜(白夜)

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妖精へ

 病室でただ、ひたすらに極夜の帰りを待っていた。その隣では、直葉が兄である和人の帰りを必死に待っているなか。

「お兄ちゃん!

 突然大きな声を上げた直葉を見る。

「どうしたの? まさか……」

「お兄ちゃんが目を開けました!」

 私も極夜の顔を見るが、赤い瞳が開く事が無い。

「極夜……起きてよ……ねぇ……」

 両手で強く握ってもビクリともしない。そして、2ヶ月経っても極夜の目は未だに開いていない。

 

 

 

 これでこのベッドで涙を流すのは何度目だろうか?

 あの世界で師匠として心身ともに鍛え、親友の為なら死にも恐れず身を投げ捨てた勇敢てお互いに強く握っても愛し合った少女、極夜が眠っているベッドの上で。

 SAOから目覚めて三日後にSAO対策チームのリーダーである男が俺のところに転がり込んできた。

 内容は、あの世界の話を全て聞かせて欲しいとの事だった。その代わりに俺は、極夜のいる病院を教えてもらった。

 隣の市の病院のために費用も掛からず毎日通っていた。最初は、ラグかと思っていたが、流石に遅すぎる。何か変な事に巻き込まれたってことは分かる。

 極夜の手を掴み額へと持っていく。

「極夜……戻ってきてくれ……お願いだ。お前のいない世界で俺はどうすればいいんだ?」

 自然と流れる涙はこらえる事が出来ずベッドが濡れる。だが、その時静かに自動ドアが開き、急いで目元を拭いた。

「和人、明日奈今日も来てくれたのか」

「よお、悠。まっ、ゲツ……極夜とは親友だしな」

「まだその癖治んないの? そうね極夜とは沢山の思い出あるからね。にしても、本当に綺麗な銀髪ね……。あの世界から綺麗だったけどこっちの方がツヤツヤしてて美しいわ」

 明日奈は、極夜の髪に指を通す。見ても分かる。この髪の触りごごちは俺も大好きだ。後は、今は閉じられてはいるがあの深紅の瞳も……な。

「そういえば極夜の隣って和人くんが寝てたんだっけ?」

「あぁ、姉がいてなその人も極夜に負けない程綺麗な人だったよ。俺達があの世界にいた時に、直葉と仲良くしてくれて直葉も凄く気に入ってて、本当のお姉ちゃんみたいって言ってたよ」

「私も見てみたいな、極夜のお姉さん」

「あぁ、そうだな。さて俺はそろそろ時間だ。またな、極夜……。和人も明日奈もありがとう」

 二人の返事を聞く前に病室へと出る。また、今日も目覚めなかった。一体どうすればいいんだよ、極夜。

 

 

 

 電車に揺られこと30分、俺が住んでいる市に到着したとたん携帯の通知オンが鳴る。

「和人? 一体なんだ?」

 受信BOXを開き、添付された画像を見て俺は驚愕した。

 背中から翼が映えており、耳は妖精のような長い耳をしているが、間違いないその人は極夜だった。急いで電話帳を開いて和人に電話をした。

「おい! なんなんだこの画像は!? どこから見ても極夜じゃねぇかよ!」

「ま、まぁ落ち着けって……無理も無いか、今すぐエギルの店にこれるか?」

「分かった。すぐ行く」

 

 

 

「んでこの画像は一体なんだ?」

 和人ではなく、ここ画像を拾ったエギルを問い詰める。一応本名は知ってるが何故かエギルと呼んでしまう。

「これは、通称ALOと呼ばれるゲームなんだが、このゲームで世界樹と呼ばれる場所でプレイヤーが外から撮影したらゲツヤが写ってた訳だ」

「んで、このALOってのはどんなゲームなんだ?」

「プレイヤーは妖精となって自由に空を飛べるらしい」

「へー、ゆっくり系のRPGなのかしら」

「いーや、どプレイヤースキル制のPK推奨、レベルは無しで、戦闘もプレイヤーの運動能力依存。ソードスキル無し、魔法ありのSAOといったところだ」

「エギル……そのソフトあるか?」

「あるぜ、ゲツヤは俺達SAO帰還者にとって英雄だ」

「任せとけ、ありがとう」

 店を出て、和人と明日奈に感謝の言葉を伝える。

「早速家に戻ってやるよ。二人は……どうするんだ?」

「やるに決まってるだろ。俺はあいつにデカイ恩があるからそれを返しに行く」

「私も行くわ。向こうで会いましょ」

 それぞれ三人はお互いに違う方角に向かって足を進めた。

 

 

 

 いつも押し入れに置いてあったナーヴギアを取り出して、ALOをセットした。

「こいつを被るのも久々だな」

 恐怖心など微塵も無い。それよりも早く助けに行かなければならない。

「リンク・スタート」

 懐かしい視界が広がり、初期設定を行う。名前はもちろんfenにして種族設定へと移った。

「サラマンダー……炎を操るのか、こいつにするかな」

 決定をして、データダウンロードが終わった途端、足場が暗くなり落下していった。不快感が襲い咄嗟に目を閉じた。

「な、なんだこりゃー!!?」

 そして目を開ければ広がっていたのは森だった。目まぐるしく変わり環境に全くついてこれてない。

 取り敢えず、メニューを開いてログアウトボタンがあることを確認して、アイテムを見るが、文字化けが酷すぎて何がなんだか分からない。

「待てよ……頼むからあってくれよ……!」

 そして見つけたのはルリの心。それを使うと光に包まれて現れたのは俺と極夜の娘であるルリが目を開けた。

「ルリ、俺だ。覚えてるか?」

 髪色も見た目も違うために気づかれないと思ったが、満面の笑みを浮かべて飛び付いた。

「お父さん! 長かったよ!」

「ごめんな、ルリ」

「ううん、いいのそれよりお母さんは?」

「その事なんだが、お母さんはこの世界に囚われてるんだ。原因は分からないが……。とりあえず世界樹って所に行けばいいんだ」

「そうなんだ……。あっ、それとお父さんSAOの時のアイテムは全て捨てないとシステムに引っかかるから」

 ルリに言われ、名残惜しいが全てを廃棄した。

「それとこの世界での私はナビゲーション・ピクシーになっててこんな姿になれるよ」

 ルリは小さな妖精の姿となり、俺の過多にチョコンと乗った。

「へぇー、可愛いな。とりあえず適当に歩いてみようかな」

「それなら私に任せて、近くにプレイヤー反応が二つ……このIDはキリトさんとアスナさんのだ。そしてユイもいる」

「そうか、なら案内よろしく!」

 

 

 

 

 ルリの案内の通りに走ると近くにそれらしきプレイヤーがいた。

「おっ、フェーン!! こっちだ!」

 ツンツンした黒髪のキリトが俺に手を振るが違和感があってちょっと嫌だな。その隣では、青髪のアスナもいた。

「よっ、それは確かサラマンダーだったな」

「おう、アスナがウンディーネでキリトかスプリガンか」

「うん、でもこの髪型のキリト君に違和感しか沸かなくて」

「それは言えてるな、んでここからどうしようか?」

 3人で悩むなか、ユイとルリが新たなプレイヤー反応を示した。

「かなり近くです。どうします?」

「行くしかないな」

 俺達はユイとルリの案内のもと、プレイヤーがいる方面へと走った。

 

 

 

「逃げろリーファ! 俺が時間を稼ぐ!」

「無理だよ! 相手は、シルフ狩りのプロよ! いくらレイヤくんでも無理よ!」

「ならどうするんだ!? そろそろ羽も限界だ! どっちかが時間を稼がないと全滅するぞ!」

「そんなの分かってる。でも、見捨てるなんて出来ないよ」

「ならどうすれば……」

 考えてるのもつかの間、羽に限界か訪れてゆっくりと地面へと降下していった。近くにあった木に息を潜める。

「そろそろ出てこいよ、羽も限界だろ? 逃げても無駄だせぇ」

 何か、使える物が無いか回りを見渡すと3人の初心者プレイヤーが来た。しかし、種族がバラバラだ。

「何してるの!? ここから離れて!」

「おいおい、4人で2人を追いかけ回すなんて少々乱暴じゃないか?」

 先頭にいたサラマンダーの子が、剣を抜いて前に出る。

「それもそうね、1人は可愛らしい女の子だし」

 今度は、ウンディーネその次はスプリガンの子が剣を抜く。

「なんだてめぇら? 狩りの邪魔すんじゃねぇよ。まとめて殺してやるよ」

 相手もそれなりの手慣れだ。こんな3人が戦っても負けるのが見えているが、どこからかあの3人からはパラメーターとは違う何かの力を感じる。

「なぁ、そこの女の子。こいつら全員……殺していいのか?」

 最後の言葉でつよい力を感じてただ、頷く事しか考えて出来なかった。

「では……遠慮なく……」

 その瞬間3人が消えれば、敵が一気に死んでいた。

 速すぎる……! あんな高速に動く人達初めて見た。

「あんたはどうする?」

「あとちょっとでスキルマスターなんだ。デスペナは避けたい。」

「そっか、それは死にたくないなぁ……でも……殺すって言われたからこっちも本気で殺らないとなぁ……」

 再びの高速の剣が相手を一振りで倒した。なんて人達なの……。私は、隣にいるレイヤくんと驚愕していた。

「ねぇ、大丈夫?」

「えぇ、ありがとう。それよりなんでこんな所にいるの? 3人の領土はお門違いなんだけど……」

 その時、3人は声を合わせてこう言った。

「「「道に迷った」」」

 その瞬間に私とレイヤくんは腹を抱えて笑った。

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