ソード・アート・オンライン〜銀髪の二刀使い〜   作:月夜(白夜)

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再び攻略へ

 微かに聞こえる機械音がする。鼻を指すのは嫌ではない消毒の臭い、重い瞼を震わせて目を開ける。人工のオレンジ色のライトが優しく光る。

「……ゆ……ゆ……う」

 声を出そうとすると喉に鋭い痛みが走る。私を拘束していたナーヴギアを必死に外し座ろうと思い、沼にはまっているような感覚にある重い体を懸命に動かし手すりを掴み必死に起き上がる。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 2年以上の寝たきりの体を座らせるだけでこんなにも疲れるなんて思わなかった。肩を使い必死に呼吸を整えようとする。その時突然部屋の中に一線の光が入り込む反射的に窓を見ると雪雲の隙間から月光を出す満月があった。

「わぁ……きれい……」

 届かない満月にてを伸ばす。悠が私にプロポーズしたときも満月だったなんだか月と相性がいいなと思い眺めていると自動扉の開く音が静かに鳴った。

「極夜……」

 その声は間違いなく悠の物だった。首だけ向けるとそこには最愛の人が立っていた。

「ゆう……」

「極夜!」

 悠は走り出して優しく私を抱き締めた。SAOとは違う本物の悠の体温と聞こえる心臓の鼓動が嬉しく思い、自然と涙が溢れていった。

「終わった。全部終わったよ極夜」

「うん……ゆう……ありがとう。大好き」

 目が会うとゆっくりと顔を近づけ悠の唇を奪った。

「こっちでは自己紹介がまだだったな。青葉 悠です。おかえり、極夜」

「姫美夜 極夜です。ただいま悠」

 月光に照らされた私達は再び唇を交わしあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから3ヶ月が経った。帰ってきた次の日は、全員でお見舞いに来てくれた。特にお姉ちゃんとの再開が嬉しく、長い時間涙を流し合ったな。リハビリを続けた私は普段通りに動く事が出来るようになり、SAO帰還者を集めた学校に入学した。そして、学校が終わりいつも通りにフェンのいるクラスへと直行した。

「ゆーう! かーえろ!」

「ん? あぁ、わりぃ俺日直で遅れる」

「えー、じゃー待ってるよ。キリ……和人達にそう言おうか?」

「あー、頼むって……うおっ!?」

 悠の回りには三人のクラスメイトが肩を組んでいた。

「いいって、俺達がやっといてやるからお前は極夜ちゃんのとこにいけよ」

「え? あぁ、でも」

「いいから行けって、ほら」

「じゃ、じゃー任せたよ」

 悠は鞄を担いで向かってくる。私は、日直を代わりにやってくれるという優しい友達に笑顔でお礼を言った。

「もう、日直あるなら言ってよね。今日は打ち上げだよ?」

「分かってる。っていうか言おうとしたらお前、俺の膝の上で寝たから言えなかったんだろ」

「あ、そうだったね。まぁ、気にしない気にしない」

 悠の腕にしがみついて正門に向かうと明日菜が手を振っていた。

「よし、集まったことだし行こうか」

 今日はエギルの店で行われるSAO攻略パーティーのため知り合いのほぼぜんいんが集まる。キリトを先導にして店に行く途中にリーファとも合流をして向かう。

 店につくとキリトが扉を上げた途端に無数のクラッカーがお出迎えしていた。

「……俺遅刻してないぞ」

 既に集まっていたメンバーを見てそういう。

「ん? 主役は後から登場ってリズに言われたからね。さぁ、行った英雄キリト」

「ゲ……ゲツヤに言われたくないな」

 キリトの背中を押して中央へ誘導する。それを見てマイクを持ったリズが音頭を取った。

「全員集まったね。それじゃ!」

「「「キリトSAO攻略おめでとう!!」」」

 全員のクラッカーが再びキリトへと発射される。各テーブルのはエギルの手料理がこんもりと用意されており、まずはそれを食べるところから始まるが、私はキリトを誘いカウンターへと座った。

「マスター、バーボン・ロックで」

「白ワインをお願い」

 お互い適当な物を頼むと本当にワイングラスの中に白ワインの色がした液体が注がれていた。キリトと一度目を会わせて恐る恐る舌を付けると中身はただのジンジャーエールだった。

「マスター、俺には本物出してくれ」

「えー、クラインこのあと仕事なのにいいの?」

「残業なんて酒飲まんとやれねぇよ。それより今日はウヅキちゃんとレイヤは来ないのか?」

「あー、あの二人は学校の委員で行けないことにすっごい萎えてたよ」

「なんだよー、ウヅキちゃんを久々に拝みたかったのによ」

「まぁ二次会には参加するしALOで遭えるからいいよ」

 クラインと会話をしているとその間にいたキリトが奥にいた人間を遮るように顔を向けてきた。

「それよりゲツヤ。あの事は言ったのか?」

 あの事とは、私とフェンの関係の事だ。退院したあとに勇気を出して私はとフェンは包み隠さず全てを話した。

「澪とお姉ちゃんは私がSAOにいた頃に付き合ったんだとよ。人肌恋しくなって双方求めちゃってね。でも私にはフェンがいるし、澪とは友達として今もちょくちょくALOやってるから問題は無いよ」

「そうか、ならよかったな」

 キリトは突然私の頭をポンポンと撫でる。いきなりと事にキョトンとすると慌てたようにキリトが弁解をした。

「あ、いやこれはついアスナとかによくやる癖であって、何も怪しい物はございません」

「へぇ、よくアスナにやるんだ。まぁ、あんまり悪い気はしないけど回りの目線には気を付けないと」

 キリトの方をみると真っ黒な笑顔をするアスナと目が合う。恐怖心が心の底から沸いてきたため逃げるようにソファーにくつろぐフェンの方へ行く。

「フェン楽しんでる?」

 彼の横に座り肩に頭を乗せたとき突然覆い被さってきた。流石にこんなところじゃ無理がある!

「ちょっ、ここじゃダメだよ。みんないるから」

「ゲツヤ、ゲツヤぁ……」

 耳に入っている様子は全く無く、顔を胸元に擦り当てる。

「ん、ちょっ……フェン」

 両手を使い顔を離させると若干お酒の臭いが鼻に入った。

「ちょっ! フェンにお酒飲ませたの誰!?」

 この状況で助けを呼んだが、リズやシリカを含む女性グループは顔を赤らめて何もなかったかのように話を再開し始めていたがキリトが駆けつけてくれたお陰で何とか助かった。

「酒を飲んでるのはあいつしかいないぜ」

「あいつか……二次会のALOで必ずボコす」

 ちょっとしたハプニングもあったが、そこからはメンバーと他愛も無い話をし気づけばの6時となっていた。

 帰り道はキリトと同じ道になるために彼の横を歩く、にしてもまさか同じ地区に住んでいるとは全く思わなかった。二人で何のクエストを攻略するかどの武器を獲得するかで盛り上がると自宅に着いていた。

「じゃーALOでな」

「うん、またね」

 玄関を開けてリビングに向かえば紅茶を飲んでいたお姉ちゃんが顔だけを向けてきた。

「おかえり、どうだった?」

「途中、フェンが暴走したけどその引き金を起こした主犯が判明したから後で切り刻むけどやる? いい感じにスッキリするけど」

「私はいいよ。それよりいつからやるの?」

「風呂入ったらいくよ、先にログインしててもいいよ」

「はーい、なら澪にもそう伝えとくよ」

「りょーかい、向こうでね」

 お姉ちゃんに手を振り急いで着替えを持ってきて風呂に入いり、ALOへもログインした。

 

 

 

 

 

 目を開けばALOでとりあえずキョテントして購入したログハウスだった。理由は簡単で内装が全く似ていたからだ。

「あ、お母さん! おかえり!」

 リビングに繋がる扉からルリが飛び出してきた。そのまんまの勢いを保ったまま手前でジャンプして胸に飛び込んでくる。それを両腕でしっかりと受け止める。

「ただいま、ルリ。他のみんなは?」

「お父さんとウヅキさんとレイヤさんなら居るよ」

「ありがと」

 娘の頬にキスを送るとルリの方からも唇を付ける。全く可愛い子なんだから。

寝室からリビングに向かいフェンの横に座ると珍しく何か考えるように呻いていた。

「うー、思い出せない……なぁゲツヤ。俺打ち上げの時何してた?」

 あぁ、そうかクラインの野郎がわざとかなんか知らんけどあげたっぽいから酔ってて覚えてないのか。

「なーんもただ皆の前で私に恥ずかしい事をしたかな?」

「げっ、それはなんとも耳が痛いな」

「大丈夫、フェンならね。そしてちょっとルリの事お願い」

「なら、また今度してもらおうかな。まだ時間あるから行ってきな」

「うん」

 フェンの横を離れて向かった先は一つのカップル。後ろから近づいても構わずイチャつくために咳払いをする。

「二人ともちょっと見て貰いたい物があるから着いてきて」

 二人は頷くとソファーを降りる。フェンに一言伝えて家を出てまずは羽を広げた。

「ゲツヤ見て貰いたい物って?」

「ちょっと待ってね。あそこ眺めてて」

 指を指した場所を見るように促すと、雲と雲の隙間からあの城が姿を見せ始めた。

 二人は開いた口が閉まらず突如として表れたアインクラッドを見続けていた。

「あれが私達が住んでいたもう一つの世界……。お姉ちゃんや澪からすればあの城は見たくない物かもしれないでも、見て欲しいの。私やフェン、キリト、アスナ達がどうやって生きてたのかを……そしてまだ見ぬ75層より上を私は見たい。その為には二人が必要なの、駄目……かな?」

 正直断れる気しかなかった。いくら死んでも死なない世界とはいえあの城は二人にとってトラウマのようなもの。そんな物を見せた私は悪い。

「……ごめんね……やっぱり二人には……」 「極夜、謝らないで。私も澪もずっと気になってたのよ、どんな世界かね。むしろ教えて欲しいよ」

「それは俺も思ってる極夜にとってあそこは辛い場所でもあっただろうけどそれだけじゃないだろ? キリト達との出会いの話を現地で聞かせてくれないか?」

 二人の返事は私は涙を溢してしまった。

「ほらほら泣かないの。ていか極夜のお願い事を断るわけないでしょ? こっちおいで」

「お姉ちゃぁぁぁん!!」

 大声を上げて両腕広げて待つお姉ちゃんの胸に向かって飛び込むと頭を撫でつつ、背中に腕を回して強く抱き締める。「お姉ちゃん……澪……ありがとう」

「ううん、いいのよ。あっみんな来たっぽいよ」

 下を見るといつものメンバーだけでなく多くのプレイヤーが新生アインクラッドに向けて飛翔していった。

「ほら行くぜゲツヤ。とりあえずあの22層の家買いに行くんだろ?」

 フェンが差し出した手を掴み上へと上がると二人も後ろから着いてくる。

「よし……! リベンジ攻略開始!!」

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