ソード・アート・オンライン〜銀髪の二刀使い〜   作:月夜(白夜)

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ボス攻略戦

 

ボス攻略当日。44人のプレイヤー1人も失う事なくボスフロアの目の前まで着いた。まずは、一安心といったところだけどここからが本番。

「各隊はそれぞれの作戦を務めてほしい」

私、キリト、アスナの3人はE隊はボスの周りを護衛するように囲む親衛隊の排除と前線でボスに攻撃を行う隊のサポート係。裏方の仕事だが、前線を生かすも殺すも私達の動き次第で決まってしまう。

「ちゃんと雑魚狩り頼むで、ボスに集中出来なくなったらあんたらのせいやからな」

そう、私達がサポートするのは、作戦会議の時味方の士気を下げるような発言をしたキバオウだった。

「なによ、アイツ嫌な……」

隣でアスナの毒づきを肩に手を置いて私は制して代弁した。

「あまり舐めないで貰えますか? 逆にその軟弱な装備でボスに挑んで無駄死にしないようにして下さいよ」

キバオウに寄り肩をトンと叩いて前に出ると後ろからキリトとアスナが追いかける。

「お、おいゲツヤ」

「いいのよ、彼らに根気と女にあんだけ言われたら嫌でもやる気になるでしょ」

首だけキバオウに向けると鋭い視線を送られた。まぁ、やる気は出たでしょう。もう一度ボスフロアに目を向けるとディアベルが扉に手を掛けていた。彼の表情は不安な面持ちだったが、一度息を吐いて

「よし! 全部隊突撃!」

ディアベルが扉を開けた途端に雄叫びをあげながらフロアに入っていった。私は、その後にゆっくりと追いかけると横からキバオウが肩をぶつけてきた。そんな事は気にもせず目の前に第1層のボス「イルファング・ザ・コボルド・ロード」とその周りに3体の「ルイン・コボルド・センチネル」がポップした。

ここまでは、βと変わらない。だが、1つ大きな変化があった。それをキリトに言うと彼も一目で分かったようだ。βの時は斧とバックラーだったが今は刀を装備していた。

「各隊! 作戦通りに動いてくれ!」

「「おう!!」」

「ゲツヤ、アスナ俺たちは隣にいる雑魚を倒すぞ。隙があったらボスの攻撃に参加するぞ!」

「「了解!」」

ボスを攻撃する隊の邪魔にならないようにルイン・コボルド・センチネルを一体づつ的確に倒していくついでに、フェンサー使いのアスナの剣技も見ていた。

あのリニアーの速度と威力はあのレベルにしては高すぎる。彼女にはそれ相当の真意が見える。そこから私達3人は、ルイン・コボルド・センチネルを攻撃しつつイルファング・ザ・コボルド・ロードにも攻撃を加えていた。この時点で死者はゼロ。最高の出だしだった。ここは、パーティ全員で包囲するのがセオリーしかし、この攻略の隊長であるディアベルが突如前に出た。LAボーナスを独り占めする気? その一瞬の思考の間にボスのHPは半分を過ぎた。ここで奴の武器はタルワールに変わるはずだった。しかしその代わりに装備したのは野太刀!

βと全然違う! そして敵が使う厄介なソード・スキルの技が浮かび上がった。1人突っ走るディアベルに後押しされて突撃するパーティを見つつボスのカタナを見た。あの武器の構え方……ま、マズイ!!

「キリト! あの技はダメだ!」

その事は彼も察していた。

「ダメだ!全員後ろに引けぇぇぇ!!」

「ボスから今すぐ離れてぇぇぇ!!」

私とキリトの呼びかけに反応したディアベルを除くプレイヤーは距離を置いたが、ボスのソード・スキルを正面から食らったディアベルは吹っ飛び私とキリトの間で着地した。

「君達……元テスターなら……わかるだろ? キリト君、ゲツヤ君ボスをたお……」

まだ最後と言葉を発することが出来ずディアベルはポリゴン状となりこの世からも現実世界からもログアウトした。

一瞬にして辺りに悲鳴が鳴り響いた。隊長が死ぬのが最悪だった。精神的なダメージが著しく見えて中には棒立ちする人もいた。ボスは非情にも野太刀を横に振り払った。

「ダメ! もうこれ以上犠牲者はッ!」

無我夢中になり野太刀と彼の間に入り込み間一髪助かったが、私も長くは持たない。

「はやく……逃げて……もう、もたな」

それと同時にボスはより一層力を入れた。そのせいで私はボールのように転がり壁に激突して止まる。ライフを見るとイエローゾーンとレッドゾーン間だった。回復しなくてはマズイ。しかし、ボスの狙いは私だった。もう一度野太刀を降り始めた。なんとか体を宙に舞わせて避けきりポーションで回復する。ボスの後ろからキリトとアスナのソード・スキルが貫いた。

「全員ボケっとするな! あの3人みたいに俺たちも奮闘するぞ!」

巨漢の男が他のメンバーを奮い立たせた。そこからパーティ全員のサポートもありつつキリトとアスナのスイッチを駆使して最後はキリトのバーティカル・アークでボスはポリゴン状となり勝利の音楽が鳴り響くとパーティ全員の歓声が沸き上がった。

「やったね、キリト、アスナ」

「全く無茶するなよ」

「そうよ、変な心配させないで」

ともあれ見事第1層攻略したし帰って寝ようと思ったが、1人のプレイヤーが勝利ムードの雰囲気を壊した。

「なんでや! なんでディアベルはんを皆殺しにしたんや!」

男プレイヤーが地面を殴り泣きながらも視線はキリトを向いていた。

「皆殺し……?」

「そうやろ! あんたは、ボスが使う技を知っとった! ディアベルにその情報を教えれば死なずに済んだやんけ!」

確かに……と場内で話があがりつつキリトに向うなか1人のプレイヤーが指を突きつけて

「俺知ってる……こいつは、元βテスターだ!」

「あなたね……」

「おい、お前っ……」

後ろでアスナとエギルという巨漢の男が我慢出来たに口を開いたがキリトはそれを制した

「元テスターだって?俺をそんな素人連中に一緒にしないで欲しいな。SAOのクローズドベータテストはとんでもない倍率だ。そのなかでもほとんどは初心者だったよ、今のあんたらの方がまだマシさ」

「でも俺は、あんな奴等とは違う。他の連中によりも俺は誰も行った事のない層まで行った。だから刀を使うモンスターと散々戦ってたからだ。情報屋より比べられない位な」

「な、なんだよそれ……ベータテスターところかチートだろ……チータだろ……」

そこから辺りでチータとベータが入り混じり

「ビーターか……悪くないな。そう、俺はビーターだ。これから元テスターと一緒にするな」

そうしてキリトは第1層のLAボーナスであるコード・オブ・ミッドナイトを装備して、反転してその場から立ち去ろうとしていった。その間もキリトへのビーターの目線は終わらない。このままでは、キリトばかり敵意が向いちゃう……そんなダメよ。私は決意して歩くキリトをみながら

「彼だけじゃないわ!!」

高らかに声を張ると今度は私に目が向く

「私もビーターよ。彼と同じように沢山の情報を持っているわ。私は、キバオウさんの言ってた通りに経験値効率のいいクエストばっかり周回していたわ」

「ゲ、ゲツヤ……おまっ」

後ろでキリトが何か言いたそうに口を開くが敢えて無視をした。

「あの時の嬢ちゃん……あんたビーターやったとわな!詫びいや!ディアベルはんと死んでいった人に!」

キバオウは私に詰め寄る。それでもなるべく声を冷たくして

「強くなりたかったらそっちからビーターに求めるのが普通よ。まぁ懇願してきても、貴方達に教えてもレベルが違い過ぎて無理だけど」

キバオウだけでなく後ろのプレイヤー達が過剰に私に反応する

「このクソアマがぁぁぁ!!!」

1人のプレイヤー剣を私に振り上げながら襲いかかる。私はそれを冷静に見極めて死なないようにある程度のダメージを与えた。

「無駄よ。死にたく無かったら武器をしまえ」

プレイヤーは、怒りながらも鞘に収めたのを確認した後にキリトとアスナの手を握り

「もう、私とは関わらない方が身のためかも。……ごめんなさい、もう会う事は無いわ」

手を離し、転移結晶でホームに戻ろうとしたが、アスナは手を離さなかった。

「嫌よ、こうして共に命を懸けて戦った友達を見捨てる訳無いでしょ。だからゲツヤは、私達の目の前から居なくなっちゃだめだから」

「そうだぜ、ゲツヤ。お前が居なかったらこの先は攻略はどうするだ? これからも期待してるからよろしく頼むぜ」

そう言ってキリトも私の手を強く握った。久しぶりに感じた温かいこの気持ちに2人に感謝の言葉をしつつ私は、転移結晶を使いはじまりの街へと戻り息を吐いて重い足を動かしたとき

「あ、あの!ゲツヤさん!」

突如背後から名前を呼ばれた。振り向くと、ボス戦の時間一髪のところで助けたプレイヤーがいた。

「なに? まだ何か私に罵倒を送りたいの?」

雰囲気、口調を先程の冷たくして威圧する。私は、彼がこの場から立ち去って欲しいのを強く願ったが、その思いを破った

「あの時、助けてくれてありがとうございます!ゲツヤさんは命の恩人だ。周りが何と言っても俺はそれに流されたりしない。だから、俺をゲツヤさんの弟子にさせてください!」

頭を勢いよく下げて懇願する。これを断るのは心が苦しいが、今の私は多くのプレイヤーから敵意の目で見られている。その隣に彼がいたら巻き添えを食らう。それは、私も嫌だった。

「やめといた方がいいわよ。今の私はあのボス以上に敵意の目があるわ。その隣に居たら何されるか分からないから悪い事は言わないから、私から避けた方がいいよ」

「それでも……ッ!」

プレイヤーは、私に近づいて両手をつつみ込むように掴む。

「俺は強くなりたい!今度は守る側になりたいんです! 周りの視線なんてどうでもいいです。俺はゲツヤさんを守りたんです!」

「ッ……正気なの……?」

「はいッ! だからお願いします!」

私を見る真意の籠った鋭い視線と、力のこもった強い力。

「……分かった。でも、条件がある。それを守る事を誓うんだったら私の知ってる限りを貴方に教えるわ」

OKサインを出すと顔を上げると再び頭をバッと下げた。

「まず1つ、私ははあくまでソロで行くことを決めたから邪魔はしない事。2つ目は、どんな状況でも私の指示には絶対に従う事。そして3つ目は死ぬことよ。この3つを守れるならいいよ。それと貴方の名前は?」

「はい!全て守ります! 俺は、フェンと言います!ゲツヤさんよろしくお願いします」

「フェンね……それじゃ、わたしは宿に戻るわ。何か言いたかったらメッセージを飛ばして」

フェンに背を向けて宿に向かうと言ったが、路地裏に隠れキリトからのメッセージで

(2層まで結晶で移動出来るようにした。これからも期待してるぜ)

ありがとう、と短くメッセージを飛ばし、急遽第2層の攻略へと足を進めた。

 

 

 

書きたかった第1層が終わりとりあえず、一安心といった所です。ゲツヤとフェンの師弟のやり取りは想像に任せます。

次からは、一気に1年後へと時間を飛ばします。ここからほぼ、オリジナルの展開になります。

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