ソード・アート・オンライン〜銀髪の二刀使い〜 作:月夜(白夜)
「ゲツヤさん……」
ボソッと呟いた名前、目の前で眠る綺麗な少女。俺の師匠であるゲツヤさん。起きている時と眠る時では、表情が変わるため身を前に倒してゲツヤさんを見ていた。
起きている時は、凛とした表情で見る者すべてを釘付けにする美貌。もちろん攻略プレイヤーの中では、最強クラスでかなり強い。でも、こうして目を閉じている時は、全然雰囲気が変わる。一言で例えるなら眠り姫と言ったところか、美しいではなく可愛らしいと言った方が適切だろう。そんなゲツヤさんに俺はいつからか恋を抱いていた。敵を倒す時に舞う銀髪に時々見せる可愛いらしい一面に心を奪われていた。
しかし、そんな恋も先ほど雲行きが怪しくなった。
それは、ゲツヤさんが呟いた「れい」という名前だった。このSAOで「れい」なんで、名前は聞いたことなかった。
「もしかして現実世界に彼氏が……?」
そうだったらこの恋は儚く終わる。でもそうなったとしても俺は、後悔はしない。こうしてゲツヤさんと側にして師弟関係が続けば、そう願うと、どんよりとして心が多少明るくなれた。
それと同時に小さな声と共に赤い瞳が俺を捉えた。その瞬間ゲツヤさんの目尻から一粒の涙がこぼれていた。
目が覚めるとフェンの顔が近くにあった。
「ゲツヤさん、気分はどうですか?」
「あ、まぁいいわよ。でもあれ私一体どうしてここに?たしかキリトとデュエルしてたはずじゃなかった」
「キリトさんと引き分けになって気を失ったんですよ。慌てましたよ、ゲツヤさん突然倒れるんですからでも、キリトさんがギリギリで抱きかかえてくれましたけど」
……そうか、じゃあの時澪と勘違いしたのかキリト……確かに容姿は多少似ているけど、間違えるなんて。澪に申し訳ないでも……会いたい。熱く抱擁して、キスをしたい。ここの世界で凍りついた心を澪に温めて癒されないとダメだ。ここの世界の極夜と現実世界で眠る極夜では、あまりにも人が違う。
「ゲツヤさん……?どうかしたんですか、顔色が良くないですよ。もしかして、レイって人が関係しているんですか?」
「……ッ!!?」
フェンが知らないはずなのに澪と名前を発したので、私は過剰に反応してしまった。格闘スキルディープ・ストレートがフェンの顔面を直撃した。
「ぐっふぁぁ!?」
フェンは吹っ飛び破壊不能オブジェクトであるタンスに激突して頭を抱え込んでいた
「フェン!ご、ごめんなさい……きゃっ!?」
急いで起き上がり彼の容態を確認するため、急いで起き上がり駆け寄ろうとしたが、布団が足に絡まり体勢を崩してフェンの方に倒れる
「ッ!ゲツヤさん!」
フェンが私の方へ腕を伸ばして私を抱きしめた。その衝撃でまたフェンは後頭部をタンスにぶつけた。本当に申し訳ない。
「フェ……フェン本当にごめんなさい。頭大丈夫?」
「いつつ……だ、大丈夫ですよ」
フェンは笑いながら私に告げるが、どうしても心配になりフェンとより密着して彼の後頭部を撫でた。そういえば、昔からお姉ちゃんがやってくれてたな、昔のことを思い出しながらフェンを優しく撫でていたら突然、フェンは、両腕で私をギュッと抱きしめた。
「ちょっ!フェン何して……あぁっ」
首筋にかかった生暖かい息に反応して、息を吐くように小さな声が出た。
「や、やめっ……フェン本当に……ひゃぁ」
「こんなの、セコイですよゲツヤさん。好きな人にこんな事されたら、黙っていられません」
フェンは耳元で言葉を発したせいで、変に体が反応してしまう。でも、彼は好きな人と言った。
「フェン……邪な気持ちで私の弟子になったつもりはないでしょうね」
「そんなわけ無いですよ。あくまで俺は、ゲツヤさんを守って行きたいと思ったのですから、しかし……いつの間にか、俺は心を奪われていた。でも、これで俺は諦めが付きます。切るなり殴るなり好きにして下さい」
私を離して深く俯向くフェンに、何もしなかった。ただ、人の温もりを久々に感じた私は、もう一度フェンに抱きついた。心の中で澪に謝罪の言葉を何度も述べながら
「ゲツヤ……さん?」
「現実世界に私は、確かに大切な人はいる。でも、この温もりをもう一度頂戴フェン」
「……えぇ、分かりました」
フェンは、先ほどより強い力で私を抱き締めた。氷のような心に優しい温かさが溢れ出てくる
「フェン、もう私とあたなは、師弟関係はやめましょう」
「えっ!?だって俺はまだゲツヤさんをーー」
驚くフェンに目を合わせて、素直な気持ちで彼に伝えた。これからの関係を
「私にとってフェンは、師弟関係ではなく、お互いに信頼関係を築いているわ。だから私達は相棒よ。だからそんな他人行儀な事はやめて、普通にゲツヤってこれから呼ぶのよ」
「えええええっ!!!?」
フェンは、目を丸くさせて驚きの声を上げた。そんな彼に優しく微笑むと
「わ、分かった……これからよろしく……ゲ……ゲツヤ」
ぎこちなく小さな声だったが、私はそれでも嬉しかった。
「ええ、よろしくフェン。今回のボス戦一緒に切り抜けるのよ」
「もちろんだ、ゲツヤ頑張ろう」
強い意志を込められた言葉に私は頷いて、再び彼の胸に顔を沈めた。
56層のボスは、苦戦はしたが死者を出す事なくクリアする事が出来た。そのおかげは、血盟騎士団団長のヒースクリフ、黒の剣士キリト、閃光のアスナの3名が、怒涛の攻撃力で押し切る事が出来た。私も活躍はしたのだが、どうしてもこの3名が強く出てしまう。正直かなり悔しかった。キリトとデュエルでは、引き分けでボス戦も攻守共に命を張ったのに私にスポットライトは当たらなかった。悔しい……この世界でここんな思いをするなんて思わなかった。私は、そこで57層の迷宮区をボス戦の翌日にマッピングを始めていた。
「なんで……!私だけ!この……消えろ!」
集団で囲むリザードマンに怒りをぶつけてオーバーキルを重ねた。まだ半分もマッピング出来ていないのに体が重く、剣の鋭さが鈍り始めた。
「なんで……なのよ!」
再びポップしたリザードマンを数秒で蹴散らして最深部へと走り始めた時。突然、後方から索敵スキルが引っかかった。緑色のカーソルが4つ付いていた。
「バレたらマズイわね、ここは早く逃げ……」
振り向きざまに足を進めようとしたが、疲れが精神的ストレスかおぼつかず倒れそうになる。その間に4人のプレイヤーは、私に近づく
「くっ……こうなったら……っ!」
私は、剣を装備してプレイヤーに突っ込んだ。
迷宮区をマッピングしてる人外プレイヤーが私だとバレたくないために直ぐに終わらせようとしたが、突然突風が吹いた。そのせいで顔を覆うように隠していたフードが外れて顔と髪があらわになってしまった。
「はっ!?しまった!」
その瞬間目に閃光のような光が私をくらませた。それは、撮影用の結晶だった。
「よし、撮れた撮れた。迷宮区をマッピングしてる人物が見つかったぞ。これはいい金をかき集める事が出来るぞ」
野蛮な話が聞き耳スキルを乗じて聞こえる。
「やめて!それを捨てて!」
しかし、4人のプレイヤーは、転移結晶を使用してどこかへ消えてしまった。翌日、全層の掲示板に私の顔写真とその隣に迷宮区マッピングした人物と堂々の載せられていた。そして、フェンの家にに泊まっていたが、翌日数え切れない程のプレイヤーが押し寄せてきた。
「ゲツヤ、ばれたのか。これからどうするんだ?ノコノコ街も歩けなだろ」
「ごめんなさい、フェン。こんなつもりのはずじゃなかったのに、私がヘマしたせいで」
「まぁ、なんとかなるだろ。とりあえず、転移結晶を使ってこの層を離れよう。この家も多分戻ってもすぐにこうかるからここは売るよ」
「……え?フェンだってここは、あんなに危険を犯してまで手に入れたのよ」
ここ56層にあるフェンのホームは、ある素材を使用するために、わざとトラップに掛かり、HPバーギリギリで手に入れた。それにここを買ってもまだ1ヶ月も経ってないのに……
「家だっていつでも買えばいいだろ。それにこんな状態のゲツヤを捨てれないだろ」
「フェ……フェン。そんなに私の事は思わなくてもいいのよ、確かに、相棒関係だけどそこまで強く思わなくてもいいのよ」
フェンは、椅子から立ち上がると、私と同じ目線になると軽くデコピンしてきた。
「何言ってんだ。バディならお互いの事を心配し会って、信頼し合うもんだろ」
「ま、まさかフェンからそんな言葉を貰うなんてね。まぁ、いつでも師匠の下でいちゃだめだからね、いつかは私を超えなさい」
「そんなの言われなくても分かってる。さぁ、一緒に家を探してくれないか?ゲツヤと同じだったら俺は、どんな事も乗り越えれる自信がある。だからついて来てくれないか?」
フェンは私に手を伸ばして頭を下げていた。半分くらいほぼ、プロポーズっぽく聞こえたが、私は、椅子から立ち上がりその手を受け取り
「いいわよ、このSAOの世界だけでは貴方の側にいてあげる。でも、向こう世界では、このような生活は出来ないのは承知しといてね」
「分かっているよ。それでもありがとうゲツヤ、俺は、必ず君を向こうの世界に連れて帰って大事な人と再開させてみせる」
フェンと拳をぶつけ合い、22層へと転移した。
「へ〜、結構いいところね。のどかな雰囲気がいいわ。22層は、簡単過ぎて記憶になかったからね」
購入したログハウスから除く池がとても綺麗で、本当にこれがデスゲームなのか疑った。
「まぁ、あの時のゲツヤは、アスナさんに続いて攻略の悪魔なんて言われてたからな。まぁ今は、わからないけど」
「そんな異名なんて、いらないのよ。ちょっとなんとなく、スキルの確認するから待って」
おう、と返事を聞きメニューからスキルへ行く。マスターしてある、片手剣、細剣、隠密、索敵、格闘、料理の下には、まだ熟練度が低いカテゴリーがあるなか、1つ見たことないスキルがあった。それは……
「な、なにこの……ツインセイバーって……」
スキルの詳細を見ると、
[右手には片手剣、左手には細剣を持ち、一瞬の思考能力と隠密と移動速度で戦闘を左右させる最強のスキル。同じカテゴリー二刀流とは、スタイルが違うが、最強の矛となる」
試しに装備をしてみると両腰に鉄の重みを感じた。
「ゲツヤ……!?な、なんだそのスキルは?」
「わ、分からないわ。突然こんなのがあって解除条件も全く分からないし。いわゆるユニークスキルって言われる系統か、フェンこのツインセイバーは、秘密にしていて、これは深夜や本当にピンチになった時ように使用するわ」
「そ、そうだな。とりあえず今日はこの新しい家でゆっくりしないか?色々と疲れてると思うから」
フェンは、寝室にシングルベットを取り出して布団などを準備してけれた。
「あ、ありがとう。ぞれじゃお言葉に甘えて少し寝るわ。何かあったら声かけて」
「分かった。おやすみゲツヤ」
フェンは、静かに部屋から出て行った。その後私は目を閉じると自然と睡魔に襲われた眠って行った。