ソード・アート・オンライン〜銀髪の二刀使い〜 作:月夜(白夜)
「んむむ、、あれ私」
気がつくと私はふかふかのベッドで寝ていた。あやふやな記憶を辿ると確か私は、授業中の寝る体勢で落ちたはず……。じゃ、ゲツヤさんはどこで寝ているんだろう?部屋中を見渡すと、硬い肩タンスに寄りかかって寝ていた。起こさないようにゆっくり近づいて間近で顔を見つめた。
「まるで別人みたい」
戦ってる時のゲツヤさんは、絶景だった。飛び散るポリゴンになびく銀髪。ダイヤモンドダストを見ているようだ。
しかし、寝てる時は、可愛いの一言だ。
「ゲツヤさーん、朝ですよぉー」
「ゲツヤさーん、朝ですよぉー」
聞こえたシリカの声で、ゆっくりと意識が戻る。あー、この日の明るさ的に今はざっと7時と言ったところかな。早すぎる。こんな時間に起きるのなんて何ヶ月……いや、もしかしたら一年とかいくよな。あと4時間は寝ないと寝不足で倒れるな、でもシリカのためだから起きてピナを蘇らせないと。
「んん〜、おはよぅシリカ」
「おはようございます。早起き苦手ですか?」
「まぁね、向こうの世界では、休日だいたい12時以降に起きてたからね」
「それってもうお昼ですよ」
現実世界で何度も聞かされた苦手なワードだ。
仕方ない。朝は嫌いだから
「それは分かってる。さぁて、ピナを復活させようか」
首と肩を動かして、立ち上がり体を思いっきり伸ばして、プネウマの花を採りに向かった。
そこから苦戦する場面は無くあっさりとプネウマの花を採ることが出来た。
その帰り道、早くピナを蘇りさせたいシリカの早い足に並べて歩くと、茂みから複数のオレンジプレイヤーが見える。一度シリカを静止させ
「そこに隠れてる人達、姿を出しなさい。隠れたって無駄よ、私には見えてるわ」
茂みに剣を向けると、ロザリアを筆頭にぞろぞろと姿を現した。
「私達の隠密を破くなんてお嬢ちゃん、大したもんだわ。んでその様子だとプネウマの花手に入れれたようねシリカちゃん。ってことでそれちょうだい」
不敵に頬を売り上げてシリカに手を差し出す。私の後ろに隠れろと表すように手でジェスチャーをする。
「そんなことさせると思う?オレンジギルド、タイタンズハイドのリーダー」
正体を見破られたのか、眉間にしわを寄せる。
「お前、最近38層で小さなギルドを襲ったよなメンバー4人を殺されてリーダーだけが脱出出来た」
「だから何?殺したことになにかあるの?あんな貧乏連中」
殺したうえに更にその行為を悪態だと思ってない。私はそのことがさらに苛立った。
「リーダーの男は、毎日泣きながら仇をとってくれる人を探していた。私は、彼の依頼を受け取った。でも、殺してほしいなんて言わなかった。黒鉄宮の牢獄に入れてくれと頼んだ。その気持ち分かる?」
「はっ、そんなの知らないわよ、何マジになってんの?第一この世界で殺しても現実世界の体が死ぬなんて証拠は無いし、現実に戻っで罪に問われる事は無い。法律なんて存在しないこの世界に正義心とか変な理屈を持ってくる奴が私は嫌いなのよ。でも、あんた1人でこの人数をどうにか出来る?」
私を囲むように10人のプレイヤーが現れた。
「逃げようゲツヤさん、こんな大人数相手に勝てっこないです!」
「大丈夫よシリカ。私こう見えて、強いから」
その言葉を表すように先頭にいる男が後ずさりした。
「ゲツヤ……? 腰に携えた片手剣……その銀髪に赤目……その白い装備……まさか、細氷? ヤバイよこの女ベータの成り上がりで攻略組だ」
こっちも正体がバレた。でも、その代わりにここにいる全てのプレイヤーが驚き、自然と足が後ろに下がっていた。
「な、何言ってんだ。攻略組がこんな所にいるわけ無い、コスプレしか無いわよ」
「そ、そうだ。攻略組だったらスゲェー宝や金を持ってるに違いねぇ!」
そして男達は武器を構えて、私に突撃した。
「いやぁぁぁ! ゲツヤさんが死んしゃう……」
襲いかかるハンマーや両手剣全ての動きを観察した。そして、全ての見切った後に鞘から一気に抜刀して横に薙ぎはらう。そこから宙に舞う両腕。
「これは警告よ。次は殺す。と言いたいけど依頼をしっかりとこなさないといけないから、全員コリドーに投げ入れる。コリドーオープン」
すると観念したのか、私を襲ったプレイヤーは全員、静かに入って行った。
「畜生……転移」
俊敏力を生かして、転移する前にロザリアの首に片手剣を添えた。
「どうする、このまま死ぬ? でも殺したら以来違反だしなぁ……ちゃんと受け身取ってよ」
「は? 何言っての?」
戯言を言うロザリアを筋力パラメーターを最大に使って放り投げた。
私の三歩後ろの場所でシリカは呆然としていた。だが、更にその後ろに予想も出来ない集団がいた。
「シリカ! 今すぐこの層から転移して!」
「え、どういうことですか?」
「いいから! 死にたくなければ逃げて!」
「は、はい!」
シリカが転移した瞬間背後から投げナイフが飛んできた。それを奇跡的に避ける。
「おいおい、それを避けるかよ」
拍子ぬけした声で出てきたのはラフィンコフィンの集団だった。
「なんでこんな低層にいる」
集団の先頭にいるPoHに問いかけた。
「お前とさっきいたビーストテイマーを殺したくてね。でもまさか気づくとは思わなかったぜ細氷さんよ」
「ヘッドそんな事よりさっさと殺そうぜ。目撃者なんていないしよ」
幹部の1人である赤目のザザが私にエストックを向ける。
「お前は前に5人殺したろ。今の現状は1対3どう考えても相手に勝ち目なんてない。ならそれを利用して、全員で叩き潰せばいいだろ」
「いいっすねそれ、流石はヘッドだ」
目の前で悍ましい話をする2人に無意識に足を引いていた。それに転移結晶を出す余裕も無かった。レッドプレイヤーと戦うには準備が足りない。ツインセイバーを出しても勝算は相手の言う通り確かに無い。なら1人でもいいから殺して、少しでもラフコフの戦力を削れればそれでいい。後は誰でもいいから頼んだ……。
「なら私も殺す気で行かして貰うわ」
メニューウィンドウから装備を選択し、レイピアを腰に装着した。
「細氷さんの準備も出来た事だし。it,show time」
決め言葉の同時にザザともう1人の幹部である毒ナイフ使いのジョニーブラックが先行する。
だが、この速さが並の者では無かった。反応に遅れ胸部にエストックが深く刺さる。
「あれ? ヘッドこいつ対人戦弱そうっすよ」
「舐めるなっ……!」
両手が塞がってるため拳を使った格闘スキルは使えないが、足でザザの腹部を思いっきり蹴り飛ばす。
「何やってんだ……俺が殺す」
ジョニーブラックの毒ナイフが踊るように私に刃を向ける。
奴の毒は確か麻痺毒だった気がする。少しでも切り裂かれたら体の自由が奪われる。強い……
攻める事が出来ず、ただ後ろに下がっていくの背中に硬い物が当たる。チラッと見ると巨木が立ち塞がっていた。
「もらった……」
「しまっ……!」
体を捻り避けようとしたが、腹部にナイフが深々と刺しねじ込まれる。
瞬時左手が自由が奪われる片手剣が手を抜けて地面に落ちていった。
「よくやった。俺も参加させろよ」
大型ダガーを私の首目掛けて突きつける。今だ麻痺に陥って無い右手に持つレイピアで防ぎ懐を抜けて、PoHを巨木側にし反撃の如くリニアーで顔を貫こうとした。
「無視は困るなぁ……死ねよ!」
ザザが背後に立っていた。オレンジ色の光に包まれたエストックがそのまま私を貫いた。HPバーがドット減り警告のレッドゾーンまで止まる事なく減った。
そして追撃の如く、エストックを抜くとジョニーブラックの麻痺毒が今力を発揮し、首から下が動かなくなる。
「残念だったな細氷さんゲームオーバーだ。あの世で眺めてな」
降りかかるダガーをただ見つめていた。
(フェンごめんね。キリト、アスナさよなら)
遺言も心で済ませ後は死ぬだけ……。悔いが残る人生……だったな。
しかし、そんな私に光が見えた。ダガーと腹部の境ギリギリに入り込んだのは、レイピアだった。視線だけ上に見ると栗色の髪をなびかせていた。
「アス……ナ?」
名前を呟く。私とラフコフに少しと距離が開くと今度は温かい物に包まれる。……この感じは、まさか。
「大丈夫か!? ゲツヤ! ヒール!」
長い黒髪に黒目。フェンが私を抱き寄せ、回復結晶を使っていた
「フェ……フェンどうして?」
「今は後だ。すぐ終わらせる」
その後ろから現れたのはキリトだった。
「チッ……閃光に黒の剣士に守護剣士かよ。おい、お前ら消えるぞ。貴様らも必ず殺してやるからな」
「後少しだったのに……クソ」
ラフコフが逃げていくのを確認した後に、3人が私に寄った。
「ゲツヤ! よかった……間に合ったよ」
アスナが泣きじゃくり私を強く抱きしめる。その背中にそっと手を寄せる。
「ありがとう……みん……な」
感謝をした途端いきなりめまいが襲う。そして遠のく意識。気が付いたら私は、アスナの腕で意識を失っていた。