今回は原作合流!!
少しでも楽しんでいただけたら光栄です。
「……よし、これで大丈夫かな。」
目を覚ました高杉の手当を一通り終わらせた。
「大丈夫ですか?前代未聞の道場破りさん。」
「……なっ///」
笑いながら言うと、恥ずかしかったのか、顔を真っ赤にした。
……可愛いなぁ。
「多分、熱中症です。こんなに無理してはダメですよ?」
「俺は、強い奴と……、あんたと試合がやりたかった。まさかあんな奴に……。」
あー、やっぱり、原作で見たことあるなぁ。
松陽先生、再びお言葉をお借りします。
「君は充分に強いですよ。銀時とあれだけやり合えたんですから。」
「でも、まだ勝ってねぇ。」
「君はまだまだ強くなれる。
勝者が得れるものなんて、自己満足と慢心くらいなものですよ。敗者は、そんなものより意義のあるものを得れるんですよ。」
「!!」
この言葉は、生前の私の心に残る言葉だった。
―――“負け”という結果よりも大切なもの。
今の状況が“負け”でも何か他に得ているものがあると信じることが出来た。
実際、あの時があったから、こっちの世界に来て家事やらをする事が出来てる。
全てつながっている。
「そうそう、銀時は少し特殊なんです。負けて恥じる事はありませんよ。
あの子は、生きるために……生き残るために強くならざるを得なかった子です。人が生死に関わる時に得たものは、通常よりも強く、濃く得てしまうものですよ。」
それが良いのか、悪いのかは置いといて……ね。
「……。
あれはあんたが拾ったのか?」
「そうですねぇ、多分私が拾いましたよ。
まぁ、今では拾われたのがどちらかよくわかりません。」
「……。
あの先生、とやらはなんであんなガキども教えている。あんな連中が侍になれるとでも思っているのか。」
「さぁ、どうでしょうねぇ。父上…松陽先生も楽しみにしてることでしょうね。
というより、そもそも侍って何なんでしょうか。わかりますか?」
「こっちが聞いてんだよ。ってか、あんたらは侍じゃねぇのかよ。」
「……きっと違いますよ、父上も私も。君が思うような侍ではない。
侍になるに必要なもの、それは守るお家や尽くす主の存在ではありません。」
「……?」
さぁ、ここからは私の勝手な考え。
松陽先生……いや、父上。あなたの想い、私は正確にくみ取れているでしょうか?
「侍になるに必要なもの、それは“武士道”ですよ。
誰になんと言われようと、なんと思われようと、絶対に曲げることのない……ね。
勉学に励み、少しでも真っ当な人間に近づくために努力し続けている彼等も、銀時に勝とうと挑み続けた君も、
私からすれば、立派な侍ですよ。
これから先、まだまだ悩んで迷って、君が思う、君の侍になればいいんじゃないですか?」
……さぁ、どうでしょうか。
松陽先生のように達者な口ではない私でも、君に届きましたでしょうかね?
「その……、ありがとう…。」
「いえいえ。」
偉そうな口を聞いてる私も、まだ悩んで迷っている途中。
転生した意味……、銀時たちの未来を守る。それがきっと、私の武士道。
「あー、それから。
君のお友達、君のことを心配してましたよ。『救って欲しい』って。
詳しくは聞きませんが、何かあったらいつでも来てください。」
「……はい。」
それからも高杉は、毎日道場破りに現れた。
ついでに、桂も来ていた。桂は、基本的に家に来て、私の手伝いをしてくれていたり、高杉に持っていくのであろう、おにぎりを作ったりしていた。
私は理由を聞かず、ただおにぎりと一緒に治療用の道具も渡しておいた。
―――そして、“その日”は突然やってきた。
「……今日は来ないのかなぁ。」
時間になっても、銀時と蒼汰が弁当を取りに来なかったのだ。
「……よしっ!」
これは私悪くないよね?うん、大丈夫だ。
弁当を置きに行くという口実で、初めて銀時と高杉の試合を見に行くことにした。
―――一本っ!!
「……。」
あぁ、私は本当に幸せ者なんだ。
運命が動く時に、いつも出会うことが出来る。
ほら、目の前で……今、大きく動く音を聞くことが出来た。
「スゲェェェェ!!」
「銀兄に勝っちゃった!!」
中心では勝った
「なっ、何馴れ馴れしくしてんだよっ!俺とお前らは同門か!?」
「アラ、そうだったんですか。
てっきりもうウチに入ったのかと。誰よりも熱心に稽古に……いえ、道場破りに来ていましたから。」
周りから笑いが起こる。
「お前らァァァァ、誰の応援してんだ!そいつ道場破り!!道場、破られてんの!!俺の
「まぁまぁ、もう敵も味方もないさ。
さっ、みんなでおにぎりを握ろう。」
「敵味方以前に、お前誰よ!!
なんで得体の知らねぇ奴が握ったおにぎり食わなきゃならねェんだ!」
「誰が食っていいと言った、握るだけだ!!」
「何の儀式だ!!!」
「あら、そうなんですか、もう食べちゃいました。」
「「早っ!!!」」
あぁ、これだ。
見たかったのは、この顔だ。
みんなが笑う。銀時と桂と高杉と松陽先生と、イレギュラーだけど蒼汰と……みんなが笑顔で喋っている。この光景が見たかった。
これを守りたかったんだ、私は。
「さて、葵も一緒に食べましょっか。」
「へっ!?」
ガラッ、と勢いよく父上に戸を開けられた。
「お姉ちゃんっ!!」
「葵姉……、いつから……。」
「えっ!?……あっ、えーっと、、、。」
「ずっと試合見てたのか!って事は、俺が取ったのも……」
「あ、えーっと、、、、」
「最悪だっ!!高杉ぃ!!もー一回だ!!葵姉に見られた初めての試合が負けとか、最悪じゃねぇかっ!!」
「そんなことよりも、まずはおにぎりを食え!!せっかく持ってきてくださっているのだ!!」
再び騒がしくなる道場。
あーらら、そんなに騒がしくしたら松陽先生のげんこつが飛びますよー。
未来を……。
こんなふうに笑えてる彼らの未来を……。
大好きな人たちの、大切な人たちの……
未来が輝くように、私は今日も願う。
「きっと、もうそろそろだなぁ。」
本気モードの松陽先生。
そう、わかったんだ。
あのシーンを、松陽先生にやらせちゃいけない、と。
次回も合流編になるかな?