久しぶりの投稿で申し訳ありません。
これからは、多少早くなるよう努力いたしますので、よろしくお願いします。
さて、新作ですが……物語が大きく動きます。
やっと転生者・葵さんが、転生者らしくなっていきます。
では、よろしくお願いします。
私が気づいたこと、出来ること。
―――本気モードの松陽先生を、役人に見せてはいけない。
既に気づいてる可能性もある。
それでもきっと、あのシーンで確信したんだろう。
これ以上、虚をここに置いてはいけない、と。
このままでは本当に、松陽先生の中にいる本物までもが侵食されてしまう、と。
だったら私のすることは簡単だった。
例えそれが、みんなを悲しませることになっても。
例え、銀時を裏切ることになっても……。
未来を考えれば、きっとそれが正しい選択なのだ、と。
そう信じて……、刀を抜く。
―――――――――――――――――――――――
「「ふぁ~……。」」
銀さんと蒼汰が同時にあくびをする。
「おはよう、蒼汰、銀時。」
「「おはよー!」」
……本当に兄弟みたいになってきたなぁ、なんて思う今日このごろ。
高杉が銀さんに勝って、桂とともに松下村塾に通うようになってきた。
あらから、既に3年の月日が立ち、私は13歳になり、銀時が10歳、蒼汰が5歳になった。
転生してから既に7年……改めて思う、素晴らしい世界だと。
漫画で見た憧れた世界。
それが私の周りで実際に起きて……、その中で一緒に笑えていて……。
本当に幸せだった。
そして、この3年間で…やっと見つけていた。
―――私の転生した意味を。
―――その為にしなくてはならないことを。
それからしたことは単純で、原作通りの時が流れるのを注意深く見ていた。
もちろん詳しい時は知らないから…、その瞬間を、運命の歯車が動く瞬間を、決して見逃さないように。
そして聞いてしまったんだ。
『今晩にでもこの寺子屋はつぶれる。』
『役人が動く。』
聞いた時、この時点でこの子どもたちの父親を叩けばいいのではないか、とも考えた。
でもそれは違う。
私が守りたいのは、これからを含めた彼らであって…、今だけ守れても意味が無いのだ。
ここからの道は、きっとただ一つ。
進めば戻れぬ茨の道でも、
私は決して後悔しないで歩いて行ける。
だって……
こんなにも愛した、大切な人たちだから。
―――さぁ、運命の歯車を回しに行こう……逆回転に。
《松陽side》
『父上、少しよろしいですか?』
葵がそう言って、私の部屋に来たのは、夕ご飯を食べ終えた夕方の頃でした。
そうして、葵が話し始めたのは……宿題のことでした。
「父上、今日は宿題の答えをお教えしに来ました。」
「!!そうですか。さすが、答えが早いですね。
で、何でしたか?
「…………はい。
私は
“その人のために斬った時に、後悔しない”
そう思える瞬間にだけ、この刀を抜くことにします。」
そう言いきった葵は、どこか決意のようなものを固めた目をしていました。
「そうですか。
まぁ、残念なことに本当の正解は私にもわかりませんが……。
きっと葵なら、その答えが正しいのかどうかさえも自分で見つけていくんでしょうね。」
そう、この答えは私にもわからない。
もしかしたら、どこかで
真面目な彼女のこと、きっとその答えを守らぬようなことはしない。
それはつまり、これから先あの刀を抜く瞬間があって欲しくない、という思いも同時に沸き上がりました。
だってそうでしょう。
葵が命よりも守りたい
「父上。」
「はい。」
「……いつかきっと、堂々と褒めてもらえるような刀の使い方をします。」
「ふふ……、そうですね。楽しみに待っていますよ。」
その時に私がいなくても、必ずあなたを褒めてあげますよ。
私と私の唯一愛した人との、大切な娘なのですから。
運命のせいで褒めれないなんてことがないように……。
―――――――――――――――――――――――
「あっ、父上。今日は外に出ないでくださいね。後、蒼汰のことも見ていてもらってもいいですか?」
私の予想が正しければ、きっと今日の夜にでもあちらさんは動くだろう。
銀さんたちは防げないとしても、松陽先生と蒼汰を巻き込むわけにはいかない。
「……?えぇ、構いませんよ。」
多少怪しまれたかもしれないけど、それは仕方ない
この先の運命の大きさに比べたら、そんな怪しさなんてちっぽけなものだから。
腰に二本、刀をさす。
護身用にともらった普通の刀と、“大切なものを守るため”と誓った、父上からもらった刀。
その場でなくていい……、いつかで構わないから。
いつか、いつの日かこの刀に込めたこの言葉の意味に気づいてくれたら、と思う。
さぁ、行こう。
転生したからには、その意味を成したい。
蒼汰と銀さんと松陽先生と……桂と高杉を。……大切な人たちを守りたい。
やっと見つけた目的。
―――まずは…1歩目。