IF~転生先で、私は鬼子を拾いました。   作:ゆう☆彡

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いつも閲覧して下さる方、お気に入りして下さる方、本当にありがとうございます。
さて、ものすごいスピードで物語は進みます。
早すぎない?って方もいるかもしれませんが、ご了承ください。


今日は運命の日

 

《銀時side》

 

 

「はい、おしまい。」

「ハァ、ハァ、ハァ……っくそ。」

「葵姉、ハァ……強すぎんだろ。」

 

俺らがここに引っ越して来て、葵姉が道場に来て、既に1年ぐらい経った。

365日、葵姉は休まずに道場に来たし、俺と高杉は休まず勝負を挑み続けた。

 

結果は惨敗。俺も高杉も、二人でかかっても全部剣で防がれた。しかも、葵姉は全く汗かいてない。

……で、もちろん松陽にも叶わねぇ。

 

 

「では、父上。お先に失礼しますね。」

「はい。今日もありがとうございます。」

「いえいえ。みんな頑張ってね。」

「「「「「「「「はいっ!」」」」」」」」

 

くっそ、なに真っ赤にして元気に返事してんだよ。……なんで俺、悔しがってんだ??

 

 

……んな事どうでもいいっ!!

葵姉は晩ご飯を作るために、いつも少し早く帰る。まぁ、松陽と蒼汰、俺と高杉、桂の分作るんだから、大変だよな……。

 

 

「(あ……やっぱり、)」

 

そして、俺が最近気づいたこと。

それは、葵姉がどんな時でも二本帯刀してること。

普通は1本でも間に合うし、逆に二本もあったら邪魔だと思う。

最初は、葵姉の戦うスタイルが二本使うものなのかと思ってたけど、残念なことに一本は抜いてるところを見たことがない。

 

 

「(……気になるっ!!)」

 

特に今日であることに理由はないし、気になったのも何も今日が特別ではない。ただ、聞くタイミングが分からなかっただけで。

そしてなんとなく、今だ!と思った。だから、葵姉を追いかけた。

 

 

「葵姉ーー!!!」

「!?銀時……?どうしたの??」

 

 

 

でも今日、

 

“今日”という日が忘れられない、

 

忘れてはならない日になるとは

 

思わなかった。

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「……どうしたの?何か用事あった??」

「う……ん?多分、用事……かな。」

「??どうしたの?」

 

銀さんは何か言いずらそうにしていた、けど残念ながら、私に察することは全く出来ず、本人の言葉を待つことしか出来ません。

 

「答えたくなかったら……答えなくてもいいんだけど……」

「うん。」

「葵姉は、なんで二本も帯刀してんだ?」

 

 

 

……なるほど。それで、言いづらそうにしていた訳ですか。

特に隠していた訳では無いけど、別段、自分から言うつもりもなかった、二本帯刀の意味。

それは、言ってしまえば、勘のいい未来の銀さんなら、なにかに気づいてしまうかもしれないと思ったから。遠ざけていたはずなのに、逆に危険な目に合わせてしまうんではないかと、心配したから。

でも、あなたは主人公で、私は異端者【転生者】。あなたが知りたいと望むのならば、教えてあげなくてはならない。

 

……そんな言い訳をして、あなたなら気づいてくれるのではないか、と期待を抱いてしまったんです。

もしかしたら、あなたと離れなくても済むのではないか、もっと平和な解決方法があるのではないか、と。

 

罪悪感と、わずかな助けを求めて話してしまう私を許して下さい。

 

 

 

 

 

 

そして、どうか気づかないで。

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

「この刀はね、父上からもらったんだ。」

「松陽から?」

「そう。」

 

そう……本来は君が貰うはずだった素敵な刀。

 

「その時にね、父上に誓ったの。

この刀は、この世で最も大切なものを守りたい時に使う、例え自分の命を犠牲にしたとしても、その人のために斬った時に、後悔しない、って思える瞬間にだけ、この刀を使う、ってね。

 

だからむやみやたらには抜かないかな。」

 

今斬ってるのは、どれも私の為だから。

いつか本当に、君たちのために使う日が、

 

来て欲しいような、来て欲しくないような。

 

 

「へぇ……。」

「納得できたかな??」

「……うん。ありがと。」

 

……?

なんだ今の間は??

 

道場に戻る銀さんの背中を見て、感じた疑問は、

 

 

 

 

 

「葵姉っ!!」

 

彼自身によって、解決された。

 

「!?」

「葵姉がその刀を抜かなくてもいいように、俺が強くなる!」

「……、」

「だから心配すんな!」

 

そう言いきると、走って戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あーあ。」

 

全くため息が出る。

 

どうして自分はこんなにも無力なのか。

 

どうしてこんなにも弱いのか。

 

 

覚悟は決めたのに。

 

命をかける覚悟も、

 

君たちを裏切る覚悟も、

 

 

恨まれる覚悟も。

 

 

 

たとえ悲しい事があっても、

 

周りに仲間がいる事が、

 

本当に君たちの幸せですよね?

 

私のやってることは、間違いではないと、

 

思っても大丈夫ですよね?

 

 

 

ため息と共に出た不安は、誰にも拾われることなく、空に消えた。

 

 

 

 

 

もう後戻りは出来ない。

 

もう後悔することは出来ない。

 

物語はそこまできている。

 

 

私の知識と銀さんたちの成長が合致していた。

 

だから、きっともうすぐだと思う。

 

たった1年で成長した、

 

男の子の怖いぐらいの成長期のように、

 

私のやるべきこともすごい勢いで

 

 

……近づいてきた。

 

 

 

 

 

「さて、ご飯作ろっかな。」

 

私は頬をつたう汗を拭って、家に戻った。

 

 

 

――――――――――――――――――――――

 

 

「あの家だよな。」

「あぁ、起きてる人の気配はしないな。」

 

どんな小さな音でも響いてしまいそうなほどの、静寂に包まれた周囲。しかし、それも当たり前。一般人は既に床につく時間。

こんな時間帯に見合わぬ数と、人ではない集団。

 

「生け捕りか、寝ているのならば簡単だな。」

「虚にばれるのだけ気をつければ大したことではない。狙いの女子も随分やるようだが、初戦子どもだ。」

「貴様らでも出来るだろ。」

「てめぇら、舐めた口聞いてくれんじゃねぇか。」

「俺らに助け求めたくせに、何威張ってんだ!あぁ!?」

 

くだらない会話と、ひっそりと来ているならば出してはいけない大声。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全く、一体今、何時だと思っているのですか。」

 

そんな集団の後方。背後から聞こえた声に、全員が一斉に構えた。

 

「ばれないように見ているのであれば、もう少し声を小さく、そして気配を消す努力をすることをおすすめしますよ。」

「貴様っ、いつからっ!!」

「最初からですよ。気配も消さず、殺気だけ見せながら近づいてくる連中を、家の中から見守っているわけないでしょう。」

 

 

そう言うと、その者は腰の刀に手をかける。

 

「ここを虚の存在する屋敷と認識しているのであれば、もう少し手練の者を連れてくるべきですよ。天人ごときにここは落ちません。」

「まさか、貴様っ!」

「……殺れぇぇぇ!!!」

 

その言葉が癪に触ったのか。

気づいた者の言葉など耳に入らず、人外の集団、大量の天人が1人に突っ込んだ。

 

 

「だから、あなた達ごときでは、ここを落とすことは出来ないと言っているんです。」

 

 

 

一瞬。

 

瞬きする間もない。

 

次に目を開けた時に見えるものは、天人たちが流す血を一身に浴びて、その刀を振り回す姿。自身が傷つくことは全くなく、的確に敵の急所をついて絶命させていく。

 

 

その者が天人を全滅させるのに、それほど時間はかからなかった。

 

「貴様、やはり……虚、、、いや吉田松陽か。」

 

特徴的な長い茶色の髪。

大量の天人を1人で片付ける、剣の実力。

 

「そうだと言ったら?」

「っ!……まさか貴様に会うとは思わなかったな。だが絶好の機会!、娘をとらえるよりは本人をとらえた方が良いに決まっている。」

「なるほど、娘を連れ去るつもりだったのですか。貴重な情報をありがとうございます。」

 

言い終えると、髪の毛で隠れていた眼光が、天人の監視と指導でやってきたのであろう、奈落たちを貫いた。

 

「では、聞きたいことも聞けたので、全員消えてもらいます。」

「なっ!?」

 

その眼光に怯み、目では追えないような速さで、こちらに向かってくる相手に、奈落たちはでも足も出なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ほぉ、偽ってまでずいぶんと暴れてくれたようだな。」

「……。」

 

後わずかの奈落を残したところで、吉田松陽と思われていた人物の動きは止まった。止められた。

さんざん剣を振り回していたその者を、背後から取り押さえた。

喉元には刀を突きつけ、動きを封じたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「貴様は吉田松陽では無いな。」

「なぜでしょうか。」

「吉田松陽のことはなんでも知っている。貴様は吉田松陽ではない。」

「あら、それは残念ですね。

 

 

ちなみに私は、あなたのことを知っていますよ。」

「!?」

 

捕えられたと思われていた吉田松陽と名乗る者は、一瞬のすきをついて拘束から逃れた。

 

「そうか、貴様だったか。」

 

 

 

距離をとり、剣を振り上げその者は構えた。

 

そして、吉田松陽と似た顔をあげた。

 

 

 

 

 

 

「我らの狙い、吉田松陽の娘、吉田葵。」

「どうも、こんばんは。」

 

 

―――運命が動く時……





……転生編、まさかの次回でラストかもしれません。
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