IF~転生先で、私は鬼子を拾いました。   作:ゆう☆彡

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こんにちは。最近、突然お気に入り数が増えて喜んでいる優菜です。
感想をくれた方、お気に入りしてくれる方、そして読んでくださる方本当にありがとうございます!

さて、次回が【現代編】最終話となり、2017年最後の投稿となります。最後の投稿は3月さ31日です。
後少し、よろしくお願いします!

さぁ、今回のお話は次の動きに向けての決意のお話。
作者的には3人が仲良く喋っているという状態が既に書いてて幸せでした。


吉田葵と周囲のその後【攘夷戦争の英雄たち】

 

 

「銀ちゃんも免許取らないアルカ?」

「お前、万事屋(うち)にそんな金あると思ってんのか。」

「ないですね。」

 

銀時の故郷に一時帰省し、そこで会った蒼汰に、歌舞伎町に戻るなら送って行くよ、と言われたのがつい先程。万事屋一行は、蒼汰の運転する車で家に戻っている所だった。

 

 

「蒼汰、お前、俺なんか車に乗せていいのかよ。」

「銀兄は攘夷浪士じゃないでしょ、今は。だから、副長もそこまでなら、怒らないと思う。」

 

それに、銀兄と副長の腐れ縁から考えれば大丈夫だよ。

蒼汰が付け足したその言葉に、銀時が反論したのは言うまでもない。

 

 

「そういえば、松陽さんはよかったんですか?」

「父上には、まだ行きたいところがあるので、大丈夫ですよ。」

「行きたいところ?」

「うん、父上が愛する人と出会った、僕が生まれた場所。銀兄たちと出会った、前の家があった村。」

「あぁ、あそこか。」

 

銀時も幼かったが忘れるわけがなかった。

そこは銀時にとっても忘れられない場所、葵と出会った場所なのだ。

 

「その村も天人に襲われて、もう人がいないみたいなんだけどね。」

 

少しだけ空気が悲しくなったのを、神楽も新八も気がついた。それもそうだろう。

銀時たちの場合、そこから退けられたとはいえ、そこも故郷に変わりはないのだから。

 

 

「やっぱり父上には特別な場所みたい。

母上と葵姉ちゃんと僕と銀兄たちと、たくさんの人と出会えた場所だからね。」

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

「じゃあ、ありがとな。」

「大丈夫。またなんかあったら、真選組に来てよ。」

「あぁ、無理すんなよ。」

「蒼汰!また遊びに行くネ!」

「ぜひ来てください。神楽ちゃんも新八君も待ってます。」

 

 

万事屋の前まで銀時たちを送った蒼汰は、屯所に戻って行った。

 

「すっかり遅くなっちまったな。」

「松陽センセーのご飯美味しかったネ!銀ちゃんも作れないアルカ?」

「あー、あれは葵姉の手作りの味だからな。葵姉が帰ってきたら作ってもらおうぜ。」

 

万事屋の、我らの社長が希望を捨ててないことを確認出来て、従業員が喜んでいたのもつかの間……、

 

 

―――ガラッ

 

「よぉ、銀時。」

「久しぶりだな、新八くん、リーダー。」

 

―――ピシャッ

 

 

ドアを開けてから閉めるまで、コンマゼロ1秒。

 

「銀さん今日疲れたのかなぁ。嫌な幻覚に加えて、幻聴まで……。」

「銀ちゃん、現実受け止めろヨ。」

「幻覚でも幻聴でもありませんから。」

 

 

大人よりも、子どもたちの方が冷静に現実を受け止めていた。

 

「2人とも、不法侵入で真選組呼びますよ。」

「お前らなんてブタ箱にでも入ってればいいネ。」

 

 

ドアを開けてから言い放つまで、またまたコンマゼロ1秒。

 

 

「お前らが松下村塾に行っていたのが悪い。」

「下のばあさんには許可とったぜ。」

「ばあさんじゃなくて、俺に許可とれや。」

 

―――まったくである。

 

 

「で、こんな夜遅くに訪ねて来るって事は、それなりの要件なんだろうな。」

「あぁ。とりあえず、中で話そう。」

「だからお前の家じゃないからね!?」

 

 

~~~~~~~~~~~

 

 

「単刀直入に言う。

葵殿の情報が入った。」

「「!!」」

「やっぱり、生きてただろ!!」

「「???」」

 

混乱している子どもたちに気がついたのは、意外にも高杉だった。

 

「俺らの姉貴のことは聞いてんだろ。」

「はい。」

「葵の情報は、今日の今日まで全く出てこなかった。だから、死んでいることも視野に入れてた。

 

銀時以外はな。」

「ほら見ろ、俺の言うとおりじゃねぇか!」

「わかったら座れ。

 

葵殿の情報は入った。だがいい情報と悪い情報だ。」

「生きてることだけわかれば充分だ。」

「まぁ聞け。

悪い情報は、今の葵殿の立場の話しだ。」

 

そう言うと、桂が懐から出したのは一枚の写真。

 

「覚えているだろ、こいつを。

 

 

16年前、葵殿を連れ去った張本人だ。」

「……こいつが、、、」

「忘れるわきゃねぇだろ。1日たりとも忘れたことなんぞねぇよ。」

「そして、その写真と一緒に写っているのが葵殿だ。」

 

葵は、自分のことを連れ去った人物と一緒に行動していたのだ。

 

「そいつの名はわからなかった、が、幕府の暗殺部隊である天照院奈落の首領を務めている男だ。

始めて葵殿を確認出来た時も、そいつと一緒だった。調べてみると、葵殿は首領の側近のような立場にいるようだった。

 

問題なのは、今まで全く姿が見えなかった葵殿が、突然出てきたということだ。」

「それも敵のボスと一緒たァな。」

「……何かしら起こるっつー事か。」

「俺たちはそう考えている。」

 

 

自分たちの姉が、敵の中心的役職についているというのは、想像以上に苦しいものだった。

 

「ではもう1つ、良い情報だ。」

「??……生きてたことじゃねぇのか。」

「……では2つ目。

葵殿の今までの戦歴と、戦闘に関してだ。」

「そっちは俺が中心的に調べた。

 

葵は16年前、連れ去られてから早ぇ段階で今の立場についてる。にも関わらず、葵の戦歴だけは浮かんでこなかった。」

「……はぁ?」

「葵の戦った記録がねぇんだ。

戦歴っつーのは、傷つけただけじゃ意味がねぇ。敵を絶命させて、初めて戦歴に刻まれるっつーもんだ。」

「じゃあ、葵姉は殺しをしてねぇってことか……?」

「まぁ、記録が抹殺されているってことも考えられなくもねぇが、ついこの間ヅラが撮った写真で、色々裏付けられてな。」

 

そう言うと、全員が一斉に桂の方を向いた。

 

「これがその写真だ。そして、ヅラではない、桂だ。」

 

桂のツッコミは誰の耳に止まらず、空気に消えた。

 

写真に写っていたのは、桂かその部下が撮ったのであろう、葵の姿が写っていた。

 

「!!……これって、」

「新八君も気づいたか。葵殿の目線、それは、このカメラに気づいている。

 

が、この写真を撮ったやつは何事もなく帰ってきてな。そこから考えると、やはり、葵殿は無駄な殺傷はしていないのではないかと思うのだ。」

 

確実にカメラを捉えている目線だったが、葵はそれに対して攻撃などは仕掛けてこなかった。

 

普通、自分の周りを探っているのであろう人物を見つければ、拘束するか、殺すのが当たり前のこの時代。加えて、葵の所属する組織は秘密事が特に多い組織でもあった。

 

 

「やっぱり葵姉は死んでなんかいねぇ。絶対、連れ戻してやる。」

 

 

 

 

 

 

―――それは命の方ではなく、心の問題

 

 

助けようとした時には、操り人形のようになっていた大切な人。

死んだと言われて、絶望した。

 

が、諦めきれなかった。

自分たちの信じた、あの強かった人がそう簡単に死んでしまったことが。

 

そして知った。

あれもきっと自分たちを守るためだったのだと。

言葉では伝えられなくとも、行動にはあの頃となんら変わらない、優しさがにじみ出ていた。

 

 

 

『葵は無駄な事はしません。

連れ去られるにしても、みなさんを裏切るにしても。

特に君たち4人を悲しませることなど、絶対にありえませんよ。』

 

師の言葉と、姉の行動を信じて。

 

 

 

「いずれ、向こうからなにか仕掛けてくるだろう。その時が、絶好の機会だ。」

「てめぇはてめぇの動きたいように動け。鬼兵隊もやりたいようにやらせてもらう。」

 

それは共に戦った時と同じ。

作戦などなくても、一つの目的があれば、自然と行動は同じになってくる。

自然と味方を活かしあえる。

 

「わかった。」

 

「僕たちも行きますからね。」

「ダメなんて言わせないアルヨ。勝手について行くから、気にしないことアル。」

「お前ら……」

「鬼兵隊と万事屋が揃えば、何も恐れることなど無いだろう。」

「あぁ。」

「後は、蒼汰のやつも動くかもしれねぇしな。」

「おまけで幕府の犬までついてくるな。」

 

 

―決戦の日などわからない。

 

――だからこそいつ来てもいいように、準備をしていた

 

 

―――自分たちの力が及ぶように

 

 

 

 

 

 

 

 

 

だが以外にも、決戦に向けての変化は、

 

 

予想もつかない場所で、

 

 

 

 

 

 

それでも意外と近くで進んでいた。

 

 





「なぁヅラ。」
「……ヅラではない、桂だ。」
「スルーしとけ。その写真、最近とったんだよな。」
「スルーなどできるわけないだろ。そうだな、持っている写真の中では最も新しいものだ。」
「ふーん。」
「……??どうかしたのか?」
「いや、葵姉ってさ刀二本持ってただろ。」
「!」
「写ってんの、1本しかねぇなと思ってよ。」
「確かに、そうだな……。」
「写真もはっきりしてる訳じゃねぇし、断言はできねぇけど、この刀って葵姉が全然抜いたことのない方だよな。」
「……確かに言われてみると、、、」




―――その行動に隠された意味とはなんなのか。

―――俺たちにはわからなかった。

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