さぁ、やっとオリジナル展開が中心になっていきますっ!!
嬉しい……!!!
「天上に座すのは、日輪か……それとも月かっ。
ケリつけようじゃねぇの、……天井のパシリ殿?」
銀時の木刀が貫く、その不気味なお面から、大量の刃が飛び出した。
「ちっ!!」
木刀を離し、そのまま交わすが、迫るのは木刀ではなく本物の刃。
──ダンッ!
迫り来る刃を交わして受け止め、面に突き刺さったままの木刀を引き抜くために、剣を握り烏を蹴る。
「こちらもゆくぞっ!!!」
階下では、月詠と信女が大量の奈落を相手にしていた。
──シュパッ!
「!」
足下に投げられたクナイをかわした拍子に、銀時はそのまま階段を転げ落ちた。そのすきを逃さず、奈落が三人、そのまま襲いかかってきたが、
──ドカッ!!
床に剣を突き立て、その反動で起き上がりながら一人を蹴り上げ、迫る二人を木刀で気絶させた。
「おらっ!!」
気絶させた奈落を、烏に向かい投げた。それを全く躊躇うことなく、切り捨てるが、その先に夜叉の姿は無い。
「!」
烏の切り捨てた奈落の背後に、赤い眼光を貫かせる夜叉が、烏に向かってそのまま振り下ろした。
「銀時っ!殺った……訳ではないな。」
「こんなんで倒れてくれりゃあ、苦労はしねぇよ。」
三人が中心に集まることが出来たのも、束の間だった。
銀時の横から飛んでくる小さな刃と、烏が落ちた煙よりも上から振り下ろされる刃に気づいたのは。
──ドガーーーンッッッ!
比にならないほどの煙が舞い上がり、その重さで引きずられるように退行する。そのお陰で、横からきていた小さな刃には当たらなかった。
「あなたの手を汚すまでもありません。」
「「!!」」
その声に反応したのは二人。
一人は、普段からは考えられないほど青ざめ、僅かだが剣先が震える程だった。
「おい、大丈夫かっ!」
「まさか……っ、あの人まで……。」
もう一人は、見たくないものを……、
目の前の世界を信じたくない顔。
「嘘……だろ……っ?」
「十年……
あなたは何も変わってない。」
見下ろされる目は、面影などない。
「みどり……??」
何も知らぬ月詠は、煙の中から僅かに見える姿で判断した相手は、先程まで一緒だった潮屋みどりだった。
「違う。……あれは潮屋みどりじゃない。」
「なに?」
その高まる緊張に、信女は無意識に剣を構え直した。
「先程、私のことを奈落最強と呼んだな。それは誤りだ。」
「やっぱり……、……朧。」
不気味な面を外した男が、煙の中から近づいてきた。
「奈落最強は、私ではない。この者だ。
白夜叉、貴様なら誰かすぐに分かるだろ。
貴様が命をかけてまで守りたいと、救いたいと願った相手だ。」
それを言われ、……いや、言われる前から、銀時の頭には既に一人の名前しか浮かんでいなかった。
「葵……姉……??」
「「!?」」
銀時の発した言葉に、少なからず動揺する二人。
「あの人は有名人。天照院奈落に所属して、あの人の存在を知らない者なんていない。
まさか……、あなたの姉だったなんてね。」
冷酷な目で銀時を見下ろす。その姿は、十年前、味わったものと何ら変わってはいなかった。
「やっぱり……テメェかよ……っ。」
銀時の見る先は葵ではなく、その後ろ。……朧であった。
「朧、知り合いであったのか。それにその女子は……」
「殿……寛政の大獄を覚えておりますか。
攘夷戦争。天人の受け入れを否定する、野蛮な集団が、祭り騒ぎに幕府を攻め、開国を拒んだその戦い。
その中で、天に仇なす、もしくはその恐れのある者を処罰した改革。
この者は、改革の中で捕えられましたが、腕を見込まれ引き抜かれ、
そして現在、天照院奈落最強として、存在している者です。」
「!!!」
「ほぉ、それは心強い。……で、そちらの者は?」
「……。
この者を、何度も取り返そうとした無謀者です。」
少し後退したのは、目の前の葵の圧だけではない。
本能的に、これ以上聞いてはいけないと、身体が拒んだのだ。
「攘夷戦争における四天王のうち、最後まで残っていた三人。
桂小太郎、高杉晋助、そして……白夜叉・坂田銀時。
ただ一人を取り戻すために、最後まで幕府に仇なした者共です。」
銀時が力なく座り込んだ。そこに近寄る葵に対して、誰も動くことが出来なかった。
それは彼女の発する圧が、常人には耐えることの出来るものでは無かったからだ。
「忠告……しませんでしたか。」
「!!」
そして、その声は。
かつての面影など、微塵も感じさせない冷たい声。
「君たちでは、私に勝てないと……十年前に言ったはずだったのですが。」
その瞳は、先程まで赤く光っていたものと同じとは考えられない。暗く、闇を落とした瞳。
それほどまでに、銀時の中で葵の存在は大きかった。
「あの時と同じだな。自分の力をはかり間違える。
そこで見ていろ。
あの時と同じように、大切なものが、お前の守りたいものが、その目の前で消えていく様を。」
銀時が思い出したのは、幼少の記憶。
まだ幼い自分は何も出来ず、ただ連れ去られていく姉を見ていただけの自分。
「あとの処理は任せる。」
「分かりました。」
定々を連れ、朧は奥に歩いていった。
──シュンッ
「「!!」」
剣を振り、こちらを向いた葵に、月詠と信女は構えた。
そして、それを合図にするように、周りを囲んでいた奈落たちが一斉に襲いかかった。
──キーンッッ!
──ドカッ!!
「銀時っ!!立てっ!!」
月詠の声も届かず、銀時の目に映るのは、全く動かずこちらを見ている葵の姿だけ。
───葵は、大切な弟たちを理由もなく突き放したりしません。
大切な師の言葉を思い出す。
───てめぇの目は節穴か!目の前にいるのが誰かなんていわせねぇぞ!!
憎まれ口ばかり叩く、好敵手の声が響く。
───私があなたを守ってあげるから。……君を一人にしないから。
初めて会った大切な人に言われた言葉が、抱きしめられた温もりが、蘇る。
「(動け……。動いてくれ……。頼むっ……。)」
光の中にいるのは、ついてこいと言わんばかりの後ろ姿しか見せない師と……
「(守る……、今度は、俺が……っ、必ず……っ!!)」
振り向いて手を差し伸べる、笑顔の大切な姉。
──銀時……
「!!」
呼ばれたのは、その人がくれた大切な名前。
「葵姉ぇぇぇぇ!!!!!」
──ドカーーーーンッッッッッッッ!!!!
今日一の爆発。そして、後に続くは……
「信女さんから連絡を頂きました。
エリートの名にかけて、皆さん逮捕しますよ。」
白と、
「こんな時間に騒ぎすぎだー。一体何時だと思ってる。」
「全員、神妙にお縄につけ。」
「ついでに、いい獲物も引っかかったみたいですぜィ。」
黒と、
「こりゃあ、大層なお出迎えじゃねぇか。」
「まぁ、俺たち相手では、多少物足りない気もするがな。」
「一人、使えねぇ奴もいるからな。」
「まぁ、リーダーの頼みだ。聞かぬわけにもいかん。」
「高杉……、ヅラ……。」
亜麻色の元で育った、弟。
「久しぶりじゃねぇの、葵。」
「葵殿、今日は俺たちの相手もお願いする。」
十年の因果が動き出した。
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