IF~転生先で、私は鬼子を拾いました。   作:ゆう☆彡

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八咫烏と忠臣……そして、友。

 

「一体、何事だ。」

「真選組と見廻組、江戸の二大武装警察が手を組んだようです。」

「まさか。彼らは犬猿の仲だと聞いていたがね。」

 

城の高いところから見下ろすのは、葵によって逃がされた定々と朧。見下ろす先は、黒と白が入り乱れる城下。

 

「おそらく何者かが仲立ちしたと思われますが……。気にすることは無いでしょう、もうすぐ船が来ます。用心のためご避難を……。」

 

 

朧が誘導しようとしたが、定々は見下ろした城下に対して高笑いをした。

 

「あの者ども、本気で国盗りをするつもりか。ならば……私も応えてやらなければならないな。」

 

定々は朧に命じた。

 

「江戸の全ての警察組織を城に集めてもらえるかね。

 

 

 

 

全ての力を持って、あの国賊どもを叩き潰すっ。」

 

───────────────────────

 

 

定々と朧が移動している頃、城内では戦闘が続いていた。

 

 

「まさか、バテてんじゃねぇだろうなぁ?」

「あ゛ぁ゛!????てめぇこそ、ヒョロっヒョロのくせにうるせぇよ、低杉っ!!」

「テメェに言ってねぇよ!!!銀時っ!!!」

 

 

口を動かしながらも、その動きが鈍くなることは決してない。むしろ、早くなる一方だった。

そして、その早くなる動きに対して、寸分の狂いもなく全てを受け返されているのも、また事実だった。

 

ただそれは、相も変わらず決して気づかれないように。

 

 

「そろそろケリつけようじゃねぇか、葵っ!!!」

 

高杉のその言葉を合図に、三人か一斉に攻撃を仕掛けた。

 

 

──ドガーーーーンッッッ!!!

 

三人の剣が振り下ろされたところは、煙が立ち込めた。

 

 

見えた、いや……見せた(・・・)のだろうか。はっきりと桂の目には写ったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

真剣である桂と高杉の剣だけを避けつつも、銀時の剣をその身に受ける葵が。

そして、気づいていることにさえ気づいた葵が、確かに真っ直ぐこちらを見て、

 

 

 

桂の方に僅かに微笑んだのを。

 

「!?」

 

 

 

 

 

剣が当たった葵は、壁まで吹っ飛ばされ、ピクリとも動かない。

ただ、三人は葵が死んだとは考えなかった。考えられなかった。

 

 

「行くぞ。」

「?……どこに行くつもりだ、銀時。」

「お前らもわかっただろ。葵姉を連れ戻すには、縛り付けてる本丸を叩かなきゃならねぇ。

葵姉を取り戻すのは、全部ぶっ壊してからだ。」

 

 

 

 

 

──ドガーーーーンッッッ!!!

 

 

城の中にいても聞こえるような、大きな爆発音。

 

全員が一瞬、外を見たがすぐに戦闘は再開する。その様子を後ろに、階段を登り下を見る。そこでは三人を追おうとする奈落の集団を、足止めする死神太夫と見廻組。

 

銀時は少しだけその光景を見て、走り出した。

 

 

 

───────────────────────

 

 

「な、何事だー!!!」

 

突然の爆発に、城の外で真選組と戦っていた兵士達は戸惑う。

 

「た、大変ですっ!!北門、南門から、軍勢が!!」

「馬鹿な!?一体、何者だ!!」

 

 

「いいかぁ!三秒以内に道開けろぉ?じゃなきゃ、天守閣ぶち落とすぞ。」

 

現れたのは黒い服に身を包み、サングラスをかけ、タバコをくわえる大砲を引き連れた男。

 

 

 

 

「いーち!」──ドガーーーーンッッッ!!!

 

 

 

「2と3はぁぁぁあああ!?!?」

 

その男に、天守閣は撃ち落とされた。

 

「いいか、男は一だけ覚えときゃぁ、生きてけるんだよ。」

 

 

その男、松平片栗虎。警察庁長官。江戸の警察組織のトップに立つ者。

 

「馬鹿な!警察組織そのものが、反乱を起こしただと!?」

「そんな馬鹿げたことあるはずがない!反乱どころか、あの人員……大殿の許諾なしに動かせるはずは……っ!!」

 

「一人だけいるんだよ。」

 

兵士の前で近藤が言い切る。

 

「警察でもなんでも、勝手に動かせる人が。

 

 

まだ分かりませぬか!定々公っ!!」

 

 

集まっていた真選組が二つに分かれ、中央の道に向かって整列する。

そこを馬にまたがり、悠々と歩くは……この国のトップ。

 

「う、上様っ!?」

「茂々……、お前の仕業か。」

 

──徳川茂々公。

 

 

「武器を収めよ。くだらぬ争いは好まぬ。

主らも、いずれはこの国を守る大切な兵ぞ。その命、みだりに散らす事は許さん。」

「し、しかし……」

「聞こえなかったか。

 

 

武器を捨てよと申しておる。」

 

 

そこに君臨するは、──将軍。

圧倒的なオーラが、その場にいる者をひれ伏せさせた。

 

 

 

「どいてくれるか。」

 

真選組が避けた先にいたのは、万事屋。新八と神楽、そして爺や。

後ろで、近づいてはならぬと叫ぶ声も気にせず、茂々は近づき、そして、頭を下げた。

 

「余が不甲斐ないばかりに、迷惑をかけた。礼言わせてくれ。

汚名を着てまで、よくぞ余の忠臣を守り抜いてくれた。

そなた達がいなければ私は、私たち兄妹は、大切な育ての親を見殺しにするところであった。

 

爺や、済まなかった。こんなに近くにいたというのに、……お前の苦しみに気づいてやれなくて。その人生をかけ、将軍家のために尽くしてくれたというのに。余はお前を苦しめることしか出来なかった。

 

 

爺や、……まだ間に合う。満月の夜の約束……、余が、必ず間に合わせてみせる。」

 

 

爺やを真選組に任せ、立ち上がる。

 

「将軍様、どちらに……?」

「叔父上に……話がある。

 

 

それから、頼みがあるのだが、聞いてもらえぬか。」

「「??」」

 

茂々は神楽と新八に、そこにいる者たちに聞こえるように言った。

 

「一人、訪ねて呼んできてほしい者がいるのだ。」

「呼んできてほしい人……?」

 

「幼き頃から余を守り、そして余を信じ、全てを話してくれ、片栗虎の元に行くことになった……、余の友。……余がここにおるのは、その者のおかげだ。

 

その者と話すべく人がおる。主ら二人ならば、分かってくれるであろう。」

 

 

天守閣を見上げ、茂々は思い出していた。

 

 

 

 

『本日から、茂々様の護衛を担当します。よろしくお願いしますね。』

 

次期将軍という身分により、どの者も壁を作り接してくる中で、数少ない、自分を年相応の子ども……弟のように接してくれた者。

 

 

『この方に手をあげるであれば、私を殺してからに致していただきたい。』

 

狙われる命を、何度も防いでくれた。

 

 

『これから申し上げること、信じてもらえないと思います。

ですが、どうかお聞きください。そして、どうか、この国を、お守りください。

信じて頂けるのであれば、私は、あなたの味方であることをお誓いいたします。』

 

自ら危険を冒して、導いてくれた。

信じると言った時の、笑顔と…………涙。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「殿。天導衆の船がもうまもなく、この城につきます。上に参りましょう。」

「半生をかけて積み上げたものを、捨てろと言うのかっ!!」

 

 

 

「捨てろとは申しておりません。一時、手放すだけです。またすぐに、戻って来れますよ。」

「戻ったか……、」

 

 

定々と朧の元にやって来たのは、死にはせずとも動けるような状態ではなかった傷を負った人物。既にその傷は癒え、

 

 

 

 

「葵……。」

 

長い髪をなびかせ、そこに立っていた。

 

「貴様ら、死肉を食らう八咫烏を信じろと申すか。ならば、その忠誠、示してみよ。」

「……いかほどに。」

「吉原に参れ!そして、鈴蘭を…………殺せ。」

 

 

動くのは、私腹を肥やした狸と……天を衝く烏。

 




「二人とも!!ちょっと、待って!!」
「早くしないと……っ、銀ちゃんも、みんな可哀想アル……。」
「新八くん、頑張って下さいっ!!」

全力で走っていた。会うべき人が、会わせなければいけない人がいた。
茂々の話を聞いて思い浮かんだのは、ただ一人だった。


「車、持ってくればよかったですね……。」
「何で走ってきたアルカ。運転出来るの、蒼汰しかいないアルヨ?」

走っているのは江戸の郊外。すでに夜は更けており、人の姿は無かった。


「……どうなるんでしょうか。」
「蒼汰さん?」
「正直、なんて話せばいいのか分かりません。どうすれば……」


「大丈夫アル!」
「神楽ちゃん?」
「銀ちゃんが大切に思ってる二人ネ。絶対に大丈夫ヨ!!」

一瞬、暗くなった空気が少し明るくなった。





──きっと、父さんが何とかしてくれる。

──やっと会えた。





……葵姉ちゃん。
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