IF~転生先で、私は鬼子を拾いました。   作:ゆう☆彡

7 / 55
あなたの名前はもっと輝くものだから

 

―――グーーーっ

 

ん?……あっ、そっか。1週間ぶりに起きたんだもんね。しかも、ここに来る前に食べてた物なんて、たかが知れてる……、そりゃあ、お腹もすくよなー。

 

「……ごめんなさい。」

 

私が抱きしめたままで顔を埋めていたから、顔は見えなかったけど、、、耳、真っ赤ですね。

 

 

「ふふっ……謝ることじゃないよ。ご飯、作ってくるからちょっと待ってて?」

「……。」

 

ありゃ?無反応……。

 

 

もしかして、独りになるのが怖い?

 

「……んー、やっぱり一緒に行こっか。」

「……!!」

 

おっ、反応あり!

世でいう“上目遣い”で、見上げてくる銀さん。

 

うぉっ!――葵は100のダメージを受けた

 

 

「よしっ、じゃあ行こっか。」

 

そう言って銀さんを抱っこする。……ほんとに軽いんだよな。

抱っこされた銀さんはビックリしてた。

 

確かに原作で、松陽先生は銀さんをそんなに甘やかしていなかった……気がする。

でもいつも言ってるとおり、私は松陽先生とは天地の差なので…、銀さんを思いっきり甘やかすことにした。

きっとこの先、父上の塾に通って、そこで厳しくされる。私が甘やかしても大丈夫だろう…。

 

私だって、厳しくする時は厳しくするけどね!

 

 

 

 

 

 

 

 

「さてと……何作ろっかな。」

 

銀さんを台所の近くに座らせておいて……銀さんにガン見されながら、料理いたします。

 

 

「まぁ、やっぱりお粥とかでいいかな。」

 

初めてお粥を作ったのは、蒼汰が熱で寝込んだ時だったっけ。

もちろん、この時代にお粥なんてもの無いけど、お米はあるわけだし、作れんじゃね?みたいな感じで作ったら、大好評だったからね。

 

それから、お粥は私の得意料理に認定。生前の世界じゃ、全然胸張るないんですけど……ね、、、。

 

 

 

というわけで、さささーーーっ、と作る。我ながら美味しそうだな。

ついでに一緒に頂いちゃおー、ということで机の上には2人分のお粥。

 

「どうぞ。熱いから気をつけてね。」

「……。」

 

ん?そんなにまずそうかな……?結構、自負してたから恥ずかしい、、、。

 

「どうしたの?」

「…………どうやって…食べるの……?」

 

………………。

あっ、なるほど!!おにぎりみたいに、手で食べれないから戸惑ってたのか。

 

 

「それは、こうやって食べるんだよ。」

 

銀さんにスプーンの使い方を教えて、フーフーして食べさせてみる……世でいうアーン、というやつだな

―この時代に、スプーンってあるんだ…

 

 

「……!!!」

 

銀さんの目がキラキラしてるよっ!嬉しいし、可愛いよっっ!!

 

「美味しい?」

「……うんっ。」

 

 

スプーンを渡すとすごい勢いで食べ始めた。うん、作った方も嬉しい限りです。

 

 

 

 

 

「お姉ちゃん……、」

 

ご飯を食べ終わり、台所で片付けていると銀さんがやってきた。

……今、お姉ちゃんって!!

 

「どうしたの?」

 

片付けの手を止めて、銀さんの目線までしゃがむ。

 

 

「僕、本当にここにいていいの?」

「どうしてダメだと思うの?」

「……僕のせいで、お姉ちゃんが不幸になっちゃうのは嫌だ…。お姉ちゃんのこと、大好きだから………、、、。」

 

主人公に告白されちまったぜ!……まぁ、好きってのは姉として、ってことだろうけど、、、。

 

でも、こんなに小さいのにそんな事考えてるんだな……

 

一体この小さな身体の中で、どれほどのものを抱えているんだろうか。

原作知識を持っている私でもわかんないのに、松陽先生はきっとわかってたんだろうな。

 

「ありがとう。

 

でもね、私は君がいなくなちゃった方が、不幸だよ。

君が辛いことを、独りで抱え込んでしまうのを見る方が悲しいよ。」

「…………。」

 

 

銀さん、私はあなたや松陽先生みたいに、強くない。

今ここに立っていられるのは、あなたや松陽先生、蒼汰に会えたから。

 

だから、3人は私のすべて。

どれか1つでも欠けてほしくないもの。

 

「自分がいなくなった方がいいなんて、言わないで。

 

君がいることを、ここにいる人たちは誰も拒まないよ。

君が君である限り。」

「…………。」

 

銀さんが黙って聞いてくれた。まだ小さいし、理解出来ないところもあるだろうけど…、大きくなったら分かってくれたらいいなぁ。

 

 

「君は、ここにいていいんだよ。もう、家族だから。」

「かぞく……?」

「そう。だから、もう1人で悩まないで、泣くことを我慢しないで。いつでも、家族を頼って。みんな君の味方だから。」

 

ねっ?、と言い終わると、銀さんが泣きながら抱きついてきた。

 

原作で、泣くところなんてあったかなー?

少しは役に立てたかなぁ?

 

 

 

「大丈夫、大丈夫。」

 

銀さんが落ち着いたところで、

 

「君、名前は何?」

 

ずっと気になってたことを聞いてみました。

 

「なまえ……、、、鬼。」

 

名前と間違えるほど、呼ばれたのか…。

一体、誰が名付けたのか知らないけど、ここまで来たら私が名付けてもいいよね?

 

「じゃあ、『銀時』にしよっか。」

「ぎん……とき……?」

「そう!ごめんね、私が勝手に名付けちゃって。」

「銀時っ!僕、銀時!」

 

おぉ、そんなに嬉しかったのか……、よかった、よかった。

僕、ドラ〇もん!みたいな感じで言わないで欲しい……、面白いし、かわいい、、、。

 

 

「お姉ちゃんは?」

「ん?」

「なまえ……お姉ちゃんの名前は……?」

「あぁ!私は葵、吉田葵。」

「あおい……、葵姉ちゃん……。」

「よろしくね、吉田銀時。」

「……!!うんっ!!」

 

 

 

 

 

銀魂主人公、銀時と原作知識ありありの私、吉田葵。

 

私たちの未来が……素敵なものでありますように。

いや、あなたの未来が、原作と同じくらい、素敵なものでありますように、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……例えそこに私がいなくても。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。