澪海桜と申します。
東方&白猫民です。ちなみにこの名前で白猫はしてないのでごめんなさい。
〈アオイの島〉
まだ、この島が闇に覆われていた頃の話。闇の三刃衆(幹部)のヴァルアスとミカドはアオイの島の中心にある城を拠点に交渉をしていた。ヴァルアスはメガネの先を軽く触ってニヤリとする。
「仕方があるまい。少しだけ時間を与えよう。私が帰ってくるまでに考えておくんだな!」
「ヒィェ!?」
ヴァルアスはそう言うと、笑いながら、城の外へと歩いていく。
ミカドはそのヴァルアスの長い銀髪の背中を見ていることしかできなかった。
そんな中、闇の幹部であるヴァルアスは高速で城下町の屋根を跳んでいた。次の目的である、町のはずれの洞窟へ向かっていた。
(ここに来たときから感じるこの力。たしかこの辺りから感じるな。ふん、暇潰しに寄ってみても良かろう。)
ヴァルアスは森の中に入っていき、自然の洞窟の入り口に降り立つと、顎に指先を当て、少し考えてから中へと躊躇なく入っていく。
(この先だな)
彼は確信した。だが、しばらく歩くと洞窟の先に見えてきたのは彼の予想とは大きく外れたものだった。
「行き止まりだと……」
(だがこの力はいったい。手に入れたい。その力を闇に葬りたい!)
ヴァルアスは眼前の岩の壁を見ながらニヤリと笑う。
(仕方ないな。やるか……)
すると、ヴァルアスの手から大きな魔弾が現れそれを次々に打ち出した。洞窟の中はみるみる煙へと覆われてく。だが彼は何も言わずただひたすら壁に魔弾を打ち込んでいく。
そして、洞窟の内部はごろごろと音を立て崩壊し、その煙がきえるころ、目の前には強い日差しが照り込んでいたのだった。
〈幻想郷 : 無縁塚〉
ここは、人間と妖怪さらに神や妖精までが混沌と混ざりあっている理想郷。それをここの人は幻想郷と呼ぶ。
そんな幻想郷に無縁塚と呼ばれる地がある。外と内、冥界の3つが交わっていると言われているこの無縁塚には人はほとんど来ない。
そんな場所で突然大爆発が起こった。といっても、無縁塚から少し離れた山の岩壁がである。
無縁塚は地響きで揺れ、周りにいた妖怪が一斉に逃げ出していた。
そして、穴のあいた岩壁から、一人の闇のエルフが姿を現した。
「ふはははは……。なんという偶然だ!まさかこんな所にこのような世界があるとは!」
ヴァルアスは高笑いしながら、新たな地へと足を踏み入れていた。
彼の体からは恐るべし魔力が漏れだし、無縁塚にある草はたちまち枯れはじめていた。
(ほぅ……この先に大きな魔力を感じるな)
ヴァルアスは、無縁塚の先にある魔法の森の方を向き、メガネのブリッジをいじりながら少しばかり風景を楽しんでいた。
ただ、もうここはいつもの無縁塚ではなくすべての草が枯れはてた茶色の地。風景と呼べるような光景ではなかった。
(ふふっ……さぁ、この魔力をいただきにいこうか!)
ヴァルアスは高くジャンプしようと、体を少し低くした。そして、今にも跳び出そうとした時、
地面の中から手が飛び出し、彼の足首を思いっ切り掴み、ヴァルアスは思い切りバランスを崩した。
(なにっ!?)
そうして、彼は顔から枯れた葉の上に落ちていった。
彼は地面に顔からぶつけ、メガネが曲がり、枯れ葉と土まみれになっていた。
「くそっ!いったい何が起こった!」
ヴァルアスは徐々に怒りを露にしながら目を開けながら顔を上げる。
「香霖堂と私くらいしかこんな所に来ないというのに、君はここにいる。それもこの魔力といい君は一体何者だ?」
「お前になど答える義務は無い」
「まぁ……そんな泥んこの顔で言われても説得力ないし。」
ヴァルアスの眼前には小さい少女が一匹立って、ニヤニヤ笑っている。
「くっ……だが貴様もそのネズミのような体で言っても何も怖くないな。むしろ雑魚同然だ!ハハハハ」
「なにおぅ!私はネズミだが、ただのネズミではない!私はナズーリン。ネズミのトップでありながら、毘沙門天の代理の部下だ。ネズミを甘く見ると死ぬぞ!」
ナズーリンは毘沙門天の代理 寅丸星の部下であり、よく無縁塚の地下で宝探しをしているのだ。
「ふん、毘沙門天だかなんだか知らんが貴様には邪魔だ。ここで消えてもらう。ゆけ!魔物ども。」
すると、ヴァルアスの体から紫のオーラが漏れだし、それがドラゴンやアクーア、さらに武者へと姿を変える。
「私の名はヴァルアス!この地に災悪と闇を陥れる者!惨めなネズミ娘よ……ここで死ぬがいい。」
そういうと、たくさんのドラゴンはブレスを吐き、武者は体から丸い弾を打ち出した。
(くっ!?こんなにたくさん。それも奴らは妖怪の私に攻撃を。ありえない。もしかして奴らは妖怪じゃないのか……?)
ナズーリンは冷静に戦闘モードに入りブレスと弾を前に叫ぶ。
「視符 『ナズーリンペンデュラム』」
すると、彼女の周りに青いダイヤ型のペンデュラム(ダウジング用の振り子の宝石)が現れ、魔物たちの攻撃を受け止める。
だが、魔物の力は凄まじくペンデュラムにヒビが入る。
(こいつら力が強すぎてスペルカードじゃ太刀打ちできない。そもそもスペルカードをあいつが知ってるはずがない。)
ナズーリンは力ずくで必死に耐えながら、隙を見て空へと一瞬で急上昇して回避する。
「ほぅ……ネズミのくせに空を飛ぶとは。生意気ですね。」
「そんなことないさ……はぁ…はぁ…。くらえ!捜符『ゴールドディテクター』」
ナズーリンは符名を読み上げる。だが、あくまで彼女は名乗ったのみで、実際に放たれたのはスペルカードという常識を超えた弾幕だった。
彼女から出された大きな弾幕が野球ボール大の弾幕に拡散され頭上から雨のようにメテオとして降っていく。
それに当たると、魔物たちは潰され血を吹き出し、倒れていく。その死骸はすでに動かない。
(こいつら妖怪と違って回復しないみたいだ)
ナズーリンは敵の弱点を知ると、ヴァルアスを下に見つめ、勝ち誇った笑みで見下していた。
だがその裏、ナズーリンの妖力はかなり減少し、少し息が荒くなっていた。
「ほぅ……魔力とは違う知らない力だな。私の魔物を全滅させるとはなかなかやるではないか。だが……」
すると、ヴァルアスはいきなり不屈の笑みで頭上を見上げ、手を天高く振り上げ空へと魔力を注ぐ。
「なっなにを!?」
「ふふふはははは!」
ヴァルアスの叫びは空気を振動させ、ナズーリンの耳に届く。もう邪悪としか言いようがない声を耳にして、彼女は一瞬怖じけづいた。
そして、紫黒い魔力のオーラはヴァルアスの手から空に放たれ、幻獣のガルーダとキメラが現れる。
「殺せ!」
ヴァルアスの暗い声に反応し、ガルーダとキメラは獲物を補食するように鋭い爪を前に出す。そして前触れもなくいきなり高速でナズーリンに突進を仕掛ける。
(なんだ……この生き物……)
それを、ナズーリンはギリギリでかわしていく。そんな攻防が何十回も続く。
だが彼女の息は段々と重くなり、動きが段々と鈍くなる。
彼女の妖力はすでに限界となり宙に浮いてるのだけで精一杯だった。
(次に突進されたら……)
彼女は疲れはてた体を見て思った。自分には足止めさえもできなかったと後悔を募り、宙で静止する。
「さぁ獲物の足が止まったぞ!やれ!」
その声を聞くと、キメラは大きな爪で彼女の体をターゲットに定めると猛スピードで加速する。
それを、目の前にしながらナズーリンは一言呟いた。そして、キメラの爪が目前に迫ったとき目を瞑った。
「ご主人様……すみません……」
キメラはもうスピードでナズーリンへと突撃していった。
そこでナズーリンの意識は途絶えた。
いつもなら……霊夢たちと戦ったあの日の異変も……
あの頃はぴちゅることなく逃げれたのに
「……ぅ……」
体の疲れのせいで体が動かせない。だが、目をそっと開けることができた。
「……知ってる天井……私の部屋……」
夢かと思った。だが、丁度その時ガラッと襖の音がした。ナズーリンの視界には主人である
「あら、ナズーリン。お目覚めですか?」
「ご主人様……すいません。負けてしまいました。」
「いいえ。貴方は負けてはいませんよ。あなたを監視していた賢者様が助けてくれたのです。」
「そうでしたか……」
ナズーリンはゆっくりと体を布団から起こす。すると、天井にいきなりスキマが現れ、中から一人の女性が現れた。
女性はスキマに座ると、真剣な顔つきでナズーリンを見た。
「あら結構早かったわね。いきなりで悪いんだけど異変になりそうなの。私も貴方の所に着いた時には、すでに鳥みたいなのと戦ってたのよ。」
「それで紫様。あいつは……」
「貴方を助けた後、藍に監視させてるわ。それより、あの人間は何か言ってなかったかしら。今は情報が必要なの。」
「たしか、闇の幹部ヴァルアスって言ってました。そしてあの生き物を魔物と呼んでました。」
妖怪の賢者である
「あの鳥とかの生き物の他に彼が使っていた攻撃はなかったかしら?」
「鳥の他にドラゴンとか武者なんかもいました。ですが私の攻撃で倒しました。」
「倒した」という言葉に、紫はニコりとした。どうやら、妖怪が手足無用だったわけではないとわかったから。
さらにナズーリンは自分の考察を紫に話す。
魔物と呼ばれた生き物は妖怪のように自己回復はしないこと。スペルカードで攻撃を防いでも全く歯がたたないこと。だから自分の全力の攻撃を食らわせたら魔物は倒せたこと。そして魔物は何体でも核がいる限り作り出せること。
それを聞いて、紫はナズーリンの頭を優しく撫でる。
「そこまで分かるなんて。貴方藍より素質があるわね。まるでジェリーみたい。」
「ジェリー?誰ですか?」
「著作権の影響で言えないけど、要は頭のいいネズミなのよ!」
「へぇ……」
とネタの会話はその辺にしといて、紫はフフッと笑うと「ありがとね」と一言話してスキマに消えていったのだった。
紫が消えた後、寅丸星はナズーリンに聞いてみた。
「ナズーリン。貴方は私の優秀な弟子です。いつ何か危ないことに巻き込まれないか、いつも貴方を心配しているんです。貴方には居なくなってほしくない。ぴちゅるくらいならいい。だけど居なくなってしまうと私は困ります。どうかその事だけは心に刻んでおいてくださいね。」
「ご主人様……ごめんなさい。次からは気を付けます。」
こうして命蓮寺の中では絆はさらに深まったそうだ。
そして、命蓮寺を後にした紫はスキマの中でしばらく俯いて考え事をしていたのだった。
ところで紫がなぜ無縁塚に駆けつけれたのかというと、それはある一報が入ったからだった。
〈回想〉
ヴァルアスが来る10分前のこと
「紫!来てくれてありがとう。お茶を用意するわ!」
そう言って、椅子に座っている少女は運命を操る少女 レミリア・スカーレット。すると一瞬で紅茶とケーキが用意される。
テーブルの椅子に紫が座ると、紫は静かに口を開いた。
「それで、私を呼んで何の用?」
「…………」
「…………」
「……私の運命が近未来に捉えたの……。この幻想郷に恐るべき者が侵入すると。」
「それは……どんな奴かしら。それによって対処の仕方が変わるわよ。」
紫は、ケーキにフォークを刺すと上品に一口食べる。
対するレミリアも紫の動きに動じてケーキを口にする。
この緊張した空気でもレミリアはカリスマ性を保っているかに見える。
「敵は一人だけだわ。魔力を使うことくらいしか分からない。そして、この地を侵略しようとしている。」
「一人なら平気じゃないかしら。この幻想郷の妖怪に勝てない敵は無いわよ。ましてや敵は魔法使いなのよね。」
「まぁ……そうなるわね。」
レミリアは紅茶の入ったティーカップを持ちながら窓の外を眺めている。
静かな時間が過ぎ、二人は一時的に無言になった。これが大妖怪同士の会議とは言いがたいような雰囲気が伝わっている。
すると、紫はフッと笑うと、紅茶を軽く一口飲んだ。
「一応警戒はしておくわ。ご馳走さま。」
そう言うと、椅子から立ち上がった。テーブルの上にはまだ半分食べさしのケーキ、半分残った紅茶があった。
レミリアもフッと笑うと紫を向いて目を軽く瞑った。
紫は窓の先までコツコツと歩くとそっとスキマを出そうとした。
丁度その時だった。
遠くの方で爆発音がした。
そのタイミングで紫は手を止める。
「ほら、お客さんがおいでになったみたいね。賢者さん。」
レミリアは紫にそっと語りかける。その次のタイミングで強力な魔力の余波が飛んでくる。それが、風圧として彼女らの後ろへと駆け抜けていった。
「えぇ……そのようね。異変が始まるわ。」
紫は魔力の大きさから事の重大さを改めて理解し、そっとスキマに入っていく。
開いた窓は静かにギコギコ揺れていた。
これが異変の始まりだった。
〈アオイの島〉
ちょうどその頃……
幻想郷とを繋ぐ洞窟の前に一人の足音が聞こえていた。
(ここね……確かに物凄い力を感じるわ。これは間違いなく……混沌……ね。)
周りには人は誰一人とおらず、ただ一人ルーンチェーンソーを持つ退魔士の姿がそこにはあった。
「それが混沌である限り私は全てを断ち切る!」
一人少女は洞窟へと入っていく。
またそこから少し離れた所では……
(ふん……この先に魂の臭いを感じるな。)
大きな鎌を持った死神が存在していた。
「この感じ……チッ!……ヤツも来ていたか!」
死神は顔を少し濁すと少しばかし黙りこんでいた。
だがしばらくして、死神は立ち上がり不気味な笑みで先をゆく者の後を追ったのだった。
そして……
「やっぱりこの島はまがごとがいるわね……」
一人の弓士もアオイの島に降り立とうとしていた。
白猫ってストーリーがあって楽しいですよね。
みなさんに分かりやすいように昔のキャラはあまり出さないかもしれません。
ヴァルアスって本編ストーリーやってれば分かると思います。出して欲しいキャラがいたら言ってくださると嬉しい限りです。
※追記
話を少し追加しました。主に最後の部分ですね。
UA100越えたので2話と3話を順次作ります。2話は東方の主人公、3話は白猫の主人公登場予定。3話までで評価やUAを見て続けるか判断します。