高2の僕がなぜか異世界の王に成り上がる物語   作:永遠の二番煎じ

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修行編
異世界への漂流


日本からサイパンへの便に乗っていた。

「フィッシュ、オア、チキン?」

外国のキャビンアテンダントが聞いてくる。

「チキン、プリーズ。」

と僕は答える。

何気なく丸い窓の外を見たら大きな積乱雲が見える。

キャビンアテンダントがシートベルトの着用を促す。

「着席してシートベルトをお締めください。」

キャビンアテンダントは向かいに座って着席してシートベルトをした。

不安を隠せない自分の顔を見て、

キャビンアテンダントは大丈夫ですよっと言わんばかりの笑顔で見てくるが、

脇汗がにじんでいる。

 

「一也、落ちるかもよ!」

「・・・冗談やめろ!!」

僕は飛行機に乗るのは初めてだから怖かった。

横でシートベルトしながらもはしゃいでいる同級生が脅かす。

 

それはいきなりであった、旅客機は海面へ鳥が魚を仕留めにかかるかのように垂直落下し始めた。

観客の悲鳴、緊急時に出てくる映画でよく見るガスマスクみたいなのが出て来たり、

世界一安全な乗り物は絶叫マシンへと変わった。

 

・・・

 

気を失い、次に目を開けた時。

向かいにキャビンアテンダントは座っていなかった。

いや、向かいは一面に海が広がっていた。

そして体は座ったまま胸のところまで浸かっていて、後ろで悲鳴が聞こえる。

必死にシートベルトをはずそうとするもなぜか外れない。

「おい、クソ!誰か?誰か手伝ってください!!」

 

今度は自分の座っている後ろで爆音がした。

爆発が起きたのだろう、爆発でまたシートごと自分が海に投げ出された。

 

・・・

 

目を開けると木の板の天井が見えた。

感触はふかふかのベッドであるが、布団のようだ。

だが毛布はなく、学ランで靴も履いたままであった。

起きると六畳一間の部屋であった。

そこには金髪を束ねた、茶白のカーディガン、同じく茶白のスカートを履いた同じ年くらいの少女がいた。

まさに西洋の童話のようなおとぎ話のキャラの恰好をしていた。

だがそんなことはどうでもいい。

いやむしろ命があるだけ感謝しなくてはならない。

 

「センキュー。」

女性が白人だったから英語でとりあえずお礼を言ってみた。

ここは太平洋だ。だから救助を呼べばすぐ帰国できる。

「アイ・アム・ジャパニーズ。」

英語は出来ないからこれくらいしか伝えられない。

 

すると少女は包丁で野菜を切りながら、

「あなたは異世界の人間?」

映画の吹き替えの様な感じで日本語を話してきた。

「お、おう!日本語が通じるのか?」

俺は日本語の話せる白人の少女に出会えて運が本当に良かった。

「ニホンゴって何?」

日本語を話せるのに日本語という言葉を知らないのか?

という疑問よりも。

 

「それより日本に帰りたい。とりあえず・・・」

そういえばこういう時ってどうすんだ?

考え込んだ。

すると少女は暖炉で火打石で火を起こした。

その光景を見てどこかおかしかったが気に止めはしなかった。

「そういえばもう夜になるけど、君の父さんと母さんはいないの?」

すると切った野菜を鉄なべに入れて運んでいる。

 

「そもそも君は誰なんだ?」

いやここは自分から名乗ろう。

「僕は藤崎一也。」

少女は鉄なべを暖炉に入れた後、

「私はルーシー・グレゴリアス。父と母は物心ついた時からいなかったわ。」

「・・・そうですか。ルーシーさん。」

ルーシーの気に障るようなことを聞いてしまったのかもしれない。

思わず敬語に。

 

しばらくしてルーシーは鉄なべを暖炉から取り出し、鉄なべから皿に野菜を盛り付けた。

「カズナリ、そこの席に座って。」

言われるがままに四角の食卓机に座った。

ルーシーは野菜炒めみたいな料理を三つの皿を御盆に乗せて持ってきた。

一つは僕のところへ、一つは僕の向かいに、最後の一皿は僕の座っている右横であった。

ルーシーは木バケツから三つの木のコップに水をついでいた。

 

そしてまたお盆に三つの木のコップを置いて食卓に並べた。

ルーシーは料理を終えた疲れから、ため息をもらしていた。

ここには二人しかいないのに、なんで三人分の料理が?と疑問が湧く。

「老師が遅いわね。まあ、いいや。先に召し上がりましょう。」

と言ってルーシーは呪文を唱えるかのような動作をし、聞き取れない速さの早口言葉を独唱していた。

その後ルーシーはスプーンに手をつけて断食をした後の人のように野菜を食べた。

 

その光景を見てやばい奴に助けられたと思い、自分はいただきますも言わずに食べ始めた。

丁度その時ドアからガチャっと音がした。

すると自分と同じ東アジア系の年が70歳ぐらいの漢服っぽいものを着た髪の薄いおじいさんが入って来た。

突然ルーシーは立ち上がった。

「老師。先に召し上がっておりました。」

言い終わるとまたルーシーは野菜を頬張った。

この状況が理解できない自分は空いた口が塞がらなかった。

「おお。異世界の少年よ。目は覚めたか。」

異世界?この老いぼれは認知症なのか?

いや、変なコスプレパーティーに巻き込まれたのだと自分は思った。

おじいさんはその一言だけを自分に向けて発した後、席に座って野菜炒めみたいな料理を食べ始めた。

姿は老いているにも関わらず、食べる速さは自分と変わらなかった。

 

「あの?すいません・・・」

「そうあせるでない、明日の朝この家を出れば君の疑問は少し解決するかもしれん・・・だが異世界人である以上さらに多くの謎が君を襲うであろう。」

そういえばずっと外は暗く明るいのはこの部屋だけだ。いやワンルームの家か?

郷に入れば郷に従えだな・・・

仕方なくまた、枕も毛布もない布団で寝た。が寝心地は最高である。

 

「カズナリ、カズナリ!カズナリ!!」

とルーシーが無理やり起こす。

窓からは光が差し込み、すがすがしい朝であった。

そうだ・・・ジジイが言ってたな。

外に出ると目の前には砂浜と綺麗な海が広がり、後ろには真緑の山岳が広がっていた。

そしてジジイは砂浜で見たことのない体操をしていた。

何やってんだ?あのジジイ。

 

一度自分の感情を正常にコントロールしてからジジイに近づき、疑問や謎を聞いてみた。

「お爺さん、僕は早く日本に帰りたい。残念だけどお爺さんの新興宗教には入らないよ。」

と言ったがこのジジイは無視して体操をしてずっと体をほぐしている。

「あの~・・・」

堪忍袋の緒が切れた。

「ジジイ!こっちはお前の介護しに南の島に来たんじゃねーんだよ!」

だがこのクソジジイは気持ちよさそうに体操をしている。

我慢出来ずに強めにジジイの左肩を持つと軽く投げ飛ばされた。

投げ飛ばされた先は海であった。

また昨日みたいに学ランがびしょびしょに濡れた。

体操が終わったジジイは波打ち際まで近づいてきて、

「異世界人はみなこう言う・・・雲のない晴天でありながらなぜ太陽がないのだと。」

確かに四方八方見渡すと明るさは朝であるが、太陽がない。

すると後ろからよくアニメや映画で聞く竜の鳴き声がした。

振り返るとよく日本の寺や神社の口から水を出している竜が顔を出し、こちらを見ていた。

竜のような生物は鯨の様に上に向かって口から大量の水を吐き出した後、海に潜った。

 

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