高2の僕がなぜか異世界の王に成り上がる物語 作:永遠の二番煎じ
夕暮れに宿に戻るとまだラーニアは寝ていた。
よっぽど慣れない旅で疲れているようだな。
起こさず、隣のベッドで静かに寝た。
翌朝、
「カズナリ殿、カズナリ殿!カズナリ殿!!」
ラーニアは顔を真っ青にして起こした。
「何だ?朝から。」
「窓の外を見てください。」
窓の外にはボブソン・ボブ騎兵長が100人余りの騎兵隊を率いて宿の前に往生していた。
僕とラーニア、ジャクソンは出る必要がなかったが宿を出てボブソンと向かい合った。
「カズナリ士、なぜ私の妹をさらったのだ?」
ボブソンの兵士たちは弓を僕に構えていた。
すると俺の前に俺を守るように、ラーニアは立った。
ラーニアが立つと、ボブソンは弓をさげるよう部下たちに指示した。
ラーニアは重い口を開く、
「私はカズナリ殿と旅がしたいのです!兄の私を気遣う気持ちも分かりますが、どうか私にカズナリ殿とお供をさせてください、勝手にレンガ町を抜け出したことは謝ります。」
「そうだったのか・・・」
ボブソンは寂しそうであった。
ボブソンは馬から降りて、決闘を僕に申し込んだ。
「カズナリ士、妹をお供させる以上貴方の力を知りたい。」
やはり展開はこうなるか。
「いいだろう、ボブソン騎兵長。」
僕とボブソンは向かい合った。
「第4代目ボブ式強心流武道継承者ボブソン・ボブ!!!」
「第100代目強心流武道継承者カズナリ・フジサキ!!!」
ボブソンの兵士たちは100代目の継承者という言葉にざわついた。
後ろでラーニアが小声で、
「カズナリ殿、頑張ってください!私の旅がかかっていますから。」
いや、俺の命もかかってるし。
「誰か、決闘の開始合図を!!!」
ボブソンが指令する。
すると騎兵隊100人が一斉に始め!!!と号令のように叫んだ。
「身体強化!初段!二段!三段!!四段!!!最終段!!!」
俺と同じくらいの体であったボブソンは一気にアブラヒドのような体つきに変化した。
これがボブ式の生み出した独特の強化術か。
ボブソンは僕に殴りかかった、早すぎて鉄拳をかわせず、食らった。
そのまま吹っ飛び、宿の外壁をつきやぶり自分の部屋に飛ばされた。
「その程度か?カズナリ士・・・」
ボブソンは本家の弱さに少し肩を落とした。
「まだだ!!!」
俺は口から血を出しながらも、穴の開いた壁から外に出た。
「カズナリ殿、大丈夫ですか!」
ラーニアも心配する。
「さすが、本家継承者。ならばボブ式強心流拳法!!!秘技ラッシュ!!!」
「強心流究極拳!!!竜の稲妻!!!」
ボブソンは1秒に何百発ものパンチを繰り出してくる。
俺は力を込めた一発の拳でボブソンを仕留めに掛かる。
大きな拳が何百発も俺を襲うがそれを避けきり、上手く拳をボブソンの強化体に当てる。
ボブソンは向かいの石造りの建物に吹き飛び、気絶した。
体が元に戻った気絶したボブソンを二人の騎兵隊員が介抱する。
ボブソンの部下が、
「第99代目強心流継承者は西の大きな監獄に幽閉されているという情報があります。」
「ほ、本当か!!!」
老師が生きている!!!
それはいい知らせであった。
ボブソンの騎兵隊は東のレンガ町に撤退して行った。
「カズナリ殿、いえ師匠、こんな未熟な私のためにありがとうございます。」
ラーニアは頭を深く下げた。
「いいけど・・・きっと兄貴寂しがるぜ?町に妹を軟禁するくらいだからな。」
ボブソンは相当のシスターコンプレックスだな。
するとまた西の方向から100余りの完全武装の歩兵隊たちがやってくる。
率いているリーダーが僕を見て、
「貴様!!!老師生のカズナリ・フジサキ!!!」
歩兵隊を率いたキャンベルであった。
ラーニアは警戒していた。
「カズナリ、ここで何があったのだ?」
「ボブソンと決闘していたんだ。」
キャンベルは穴の開いた建物を見て、
「そ、そうか、ならば上官に報告しなければな。」
あ、こいつ俺にびびってんな。
「上官はあのマック・アーロン兵士長か?」
「そうだ、兵士長ならお前ごとき軽くひねりつぶしてくれるだろう。」
そう言って再び歩兵隊を率いて西に逃げるように去った。
もしボブソン騎兵隊とアーロン歩兵隊が遭遇していたら、死者0ではすまなかったな。
それに休戦協定は破棄され、再び三派閥の戦いが始まるところだっただろう。
しかし、ボブソンの鉄拳が俺の腹をまだ悩ませる。
「師匠、大丈夫ですか?」
俺は脇腹を抑えながら、
「いや、手を貸してくれ。」
その日は同じ宿で別の部屋で休んだ。
その際ラーニアが看病してくれた。
「ありがとう、お前結構女っぽいところもあるんだな。」
ラーニアは冷たいタオルを僕のお腹に置いて冷やしてくれた。
「一応女ですから、しかし!武道で男には負けたくありません。」
「この調子じゃあ、ルーシーを取り戻すのに一か月はかかるな。」
「ルーシー?」
「ああ、そういえば話してなかったな、ルーシー・グレゴリアスを取り戻すためにユアン・カイルの土地に乗り込みに行くのさ。」
「グレゴリアス!かつてこの大陸を牛耳っていた貴族の末裔ですか。」
「そういえば、ボブ一族とグレゴリアス家は犬猿だったな。」
「いえ、それは親の世代の争いであって今はボブ・アーロン・カイル派閥の天下取りですね。」
「じゃあ、一緒にルーシーを助けてくれるのだな?」
「もちろんですよ、師匠!」
握手した後、僕はそのまま眠った。