高2の僕がなぜか異世界の王に成り上がる物語 作:永遠の二番煎じ
翌日ようやく僕とラーニアとジャクソンの旅が始まった。
南には偽りの王の城下町と城、西はカイル領で途中に重罪者の監獄があるらしい。
アーロン一族は滅びたグレゴリアス家に変わり、王直属の部下となっている。
つまり黒幕はアーロン一族であり、表向きではアーロン一族がこの大陸を支配しているのである。
アーロンの町を西へ抜け、カイルの町を目指した。
ラーニアの知識によって、途中野宿の晩飯の際に食べれるキノコや花を摘んでくれた。
ラーニアのおかげで西への旅はだいぶ助かった。
数日西に歩いてある日の夜、たき火が真っ赤に燃えている前で、
「ラーニア、旅は楽しいか?」
「はい、師匠!しかし・・・」
笑顔から急に暗い顔に、
「しかし?」
「まだ、師匠からは強心流武道を教えていただいておりません。」
「そうだったな、この先の名もなき村で教えてやろう。」
「本当ですか?」
ラーニアはうれしそうにした。
「ああ、強心流を教えるには武道場が不可欠だからな。」
こうして誰が仕切っているかも分からない村へ。
「ここは確か剛拳流が統治している村であります。」
「剛拳?アブラヒドか。」
森に囲まれた静かな村で村の中心に大きな道場がある。
門には『剛拳本部』と書いてある。
道場の中に入ると、力士のような巨体たちが稽古をしていた。
「お前たちこんなものか?我が門徒なら直径3mもの岩を砕けよう!」
「アブラヒド師、元気か?」
アブラヒドは稽古中であったが僕に気づいた。
「おお!!!カズナリ士。当然あの闘技大会は優勝したのであろう?」
僕は事情を説明した。
「そうであったか・・・ユアン・カイル伯爵から仲間の旅人を奪還するために棄権したのか。」
「ああ、話は変わるがこの者に強心流武道を教えたい、だからここを貸してもらえないか?」
ラーニアの肩を持ち、お願いした。
「強心流の使い手だったのか!!!」
アブラヒドは驚きを隠せなかった。
「いいが、ボブ・アーロン・カイルのどこの流派だ?」
「僕は本家だ。第100代目強心流継承者カズナリ・フジサキだ。」
その本家強心流継承者を前に道場がざわついた。
「ほ、本家!!!なるほど・・・闘技場で一戦交えた時、かつてないほどの覇気を感じたが・・・」
そうだ、その覇気は誰でもない僕だ。
「しかし、カズナリ士。ここはもうカイル領だ。カイル領は別名、名門流派の巣窟とも言われている。我も含めな・・・」
だからカイルは傭兵が多いのか。
「レンガ町で我と一戦交え、カズナリ士は勝った。いいだろう、使え。ただし夜だけだぞ。」
「ありがとう、アブラヒド師。」
宿を取り、村の近くの森へ。
「ここか?熊が出没する場所は?」
「はい。ビッグベアーはこの川辺で魚を捕っているとか、本で知りましたが・・・」
すると3mの熊がやってきた。
「来たぞ、見てろよ!弟子。」
「はい、師匠!」
熊は川辺で魚を捕り始めた。
僕は近づくと、熊がこちらを向いた。
熊は俺の覇気を感じ森の奥に逃げた。
あれ、もう動物は俺を相手にしてくれないのか?
「さすが、師匠。戦わずしてビッグベアーを怯えさすとは。」
ラーニアは感心した。
気を取り直して森で稽古を続けた。
切り株で手刀で薪を綺麗に半分に割ったり、弓矢で的の中心を百発百中当てるなどの稽古。
夜になり、ラーニアを道着に着替えさせ、組手をした。
老師との修行の日々が蘇る。
日々稽古をしているとラーニアの心に煩悩が咲き始めた。
夜、正座をさせた。
「ラーニア、お前は好きな人がいるだろ?」
「いえ、私は男みたいですが女を好きになりません、ましてや男など。」
ラーニアの心を読んだ。
「なるほど・・・俺が好きなのか・・・」
僕は複雑だった・・・
「いえ!尊敬はしておりますが、そんな下心ありません。」
さらに心を読んだ。
「いや、迷いが見えるぞ。」
するとラーニアが怒った。
「私だって14の乙女であります、恋をしてはいけないのですか!!!」
「違う、ラーニアよ・・・私にはルーシーを守れと老師、99代目から言われた。そしてルーシーには私しかいないんだ。」
「それを知っていても、私は師匠についてきました・・・師匠と言ってもわずか二つ上の異性であります・・・」
ラーニアは目から涙を流しながら、道場を出て行った。
俺は心配であったため、ジャクソンについていくように指示した。
それから数日ラーニアを見ていない。
ある昼、道場の中で、力士のような巨体たちがいつものように稽古をしていた。
「アブラヒド師、弟子を訓練するのは大変だな。」
「カズナリ師もその壁に当たったようだな。」
ラーニアは行方知れず、俺は途方に暮れていた。
するとジャクソンが戻ってきた。
その頃ラーニアは村の近くで熊と遭遇した。
「ビッグベアーなど、私の敵でない!!!」
ラーニアは自分にそう言い聞かせる。
2mの熊はラーニアにゆっくり寄ってくる。
ラーニアは剣を抜き、構えた。
「強心流剣術!!!」
と技を放とうとしたとき、ビッグベアーが大きな毛むくじゃらの手で平手打ちしてきた。
ラーニアは力で負け、剣は飛び近くの木に刺さった。
必死に剣を抜こうとするも、抜けなかった。
ラーニアは思っていた以上に素早い熊に5本の爪で斬られそうになった時、
父と母がアーロン一族に暗殺されたことや、兄とよく遊んだことを思い出した。
「ラーニア!!!」
俺はジャクソンに乗り、ラーニアを間一髪で助けた。
そのままジャクソンに二人乗りしてアブラヒドの村に戻った。
村の中に入り、ジャクソンから降りて歩こうとした時、俺は倒れた。
俺の部屋・・・俺と母か?
「一也、早く支度出来た?」
「母ちゃん、俺サイパン行きたくねーよ。」
「何言ってるの!旅費がかかってるんだから行きなさいよ。」
「だって、友達いないしさぁ。」
墜落いやここに来る前日か。
「佐藤君がいるじゃない。」
「あんなアニメオタクと一緒にしないでくれ!」
目を開けるとラーニアの心配そうな顔が、
「私の勝手な行動で、師匠に怪我を・・・」
「何言ってるんだ、弟子よ。弟子を守るのも師匠の務めだ。」
ラーニアの頭を撫でてあげた。
背中に5本の爪の傷の跡が残ったが、これも悪くない。
ラーニアは責任を感じて、ボブソンの町に戻ることを決意した。
念のため、ジャクソンをお供させた。
「師匠、ルーシーさんを必ず取り戻してください。お世話になりました。」
「うん、お前も兄貴を困らすなよ。」
ラーニアは一礼した後、東に帰って行く。