高2の僕がなぜか異世界の王に成り上がる物語 作:永遠の二番煎じ
数十秒後数十秒雨が自分とジジイを濡らす。
ジジイは長袖で顏を吹きながら、
「これは竜の吐いた水じゃ。」
「そんな・・・」
言葉が出なかった。
「君を助けたのも竜じゃ。まあ、大概の異世界人は竜に助けられるがのう。」
竜?そんなものは人間が創り出した空想の神だと認識していたが、実話だったのか?
じゃあ、この世界であの生物を見た人間がいるのなら、元の世界に帰れる!!!
「だったら、僕を!元の世界に帰してください!!」
爺さんは振り返り、家に戻るようにして歩き出した。
引かずに、爺さんと並列して歩きながら訴えた。
爺さんは足を止め、
「チキュウに戻りたいのか?」
「は、はい!そうです!!地球です!!!」
「・・・私も帰してやりたいが、それは不可能じゃ。昔は出来たが・・・」
どうやらこの世界も事情は複雑そうだ、だったらなおさら早く元の世界に帰りたい。
爺さんは再び歩き始めた。
「この世界で起きていることをすべて話そうではないか。名はなんと申す?」
「僕は藤崎一也です。」
「私は老師。老師と呼んでくれ。」
老師?老師って称号であって名前じゃ・・・
小さな家に戻り、入れ違いざまにルーシーが斧と縄を持って出て行った。
「老師、薪割りをして参ります。」
「ふむ。狼に気をつけるのじゃぞ。」
ルーシーは老師にお辞儀をした後、山岳の方の森に入って行った。
老師を心から尊敬しているらしい。
老師は木のバケツから二つの木のコップに水を入れた後、二つのコップを片手で持ち、席に座った。
向かいに座った老師は水の入ったコップを自分に渡した。
一応ありがとうという意味で座りながらに頭を下げてお辞儀した。
そして老師は語りだした。
「私は本名を名乗れないが、年は150歳。ルーシー・グレゴリアスは赤子のとき母のエリーに託された。ルーシーの両親は義勇軍として戦地に赴いたが、誰一人帰って来なかった。もっと昔にさかのぼると・・・かつて私は有力貴族グレゴリアス家に仕えた兵士じゃった。そして指導者を育成していた。四人の最強の指導者を・・・アーロン、カイル、ボブ、エイブラハム。中でもエイブラハムは別格じゃった。武術はもちろん誠実・謙虚・知的、あげればきりがない。そのうち私はエイブラハムだけを可愛がるようになった。それが世界を混沌に陥らせるとは思いもよらなかった。アーロン、カイル、ボブは水面下で無法者の集まった軍隊を編成した。そしてグレゴリアス家に反旗を翻した。私はただ一人残った弟子のエイブラハムとグレゴリアス一族と北へ敗走した。三人の指導者は世界に秩序をもたらした大王をもどこかに幽閉した。そしてアーロン・カイル・ボブの三つの派閥の争いが始まった。そして100年後、私は再び世界に秩序を戻すため義勇軍を組織したのじゃ。老いたエイブラハム、グレゴリアス家の子孫の新兵のアイク・グレゴリアス、配偶者のエリー・グレゴリアスは指揮を取り、100年の戦争に終止符を打つはずだった・・・私とルーシーは偽りの王に指名手配され、最北端の竜の棲む海の近くに小屋を建て、今に至る。」
語った後、コップの水を飲みほした。
老師の言った通りさらに多くの謎が襲った。
150歳?100年戦争?
本当に古代ヨーロッパの民族紛争みたいなことがこの世界で起きているという事か。
だが自分には関係ないし、元の世界に帰ればこの世界の事情とはおさらばだ。
「なるほど・・・事情は分かりましたが、老師はどうやって異世界人を元の世界に?」
肝心なのはそこだ。
「今幽閉されている大王がその方法を知っておる。」
それを聞いて少し水を飲む。
「じゃあ・・・僕以外にも異世界の人が?」
「・・・いや、世界戦争になってからは私が見た異世界人は君が初めてだ。」
てことは他の場所にも同じ考えを持った異世界人がいるってことか・・・
水を飲みほした。
「方法は一つじゃ、アーロン・カイル・ボブの兵士を降伏させ、一族を滅ぼすしか手はない。」
何年、いや何十年かかるんだ・・・
コップを握りしめ、水を飲もうとしたが水がなかった。
「畜生!!!」
コップを台所の流し台に投げ入れた。
顔をうつぶせた。
こんな訳のわからない世界に来て、途方に暮れるしかないのか。
ルーシーが家に帰って来た。
早速ルーシーは薪を暖炉に入れて昨日と同じように火打石で火を点けた。
「ルーシー、今日はなんじゃ?」
「今日も野菜焼きです。」
翌朝家を出ると老師はこの世界の体操をしていた。
横に行き見よう見真似でやってみた。
「おお、カズナリ。もうこの世界で生きる覚悟は出来たのか?」
「・・・まあ、はい。」
曖昧な返事だ、日本に帰りたい気持ちもあったが、楽観的に考えないとおかしくなる。
「この後、釣りでも行くか?」
「釣りですか・・・」
体操が終わると家の裏から釣り具を持ってきた。
老師に言われるまま謎の団子を釣り針に刺した。
その光景を森の川へ水汲みに行くルーシーが見ていた。
その日は一日暗くなるまで老師と砂浜で釣りをした。
老師と釣りした後は釣れた20cmの魚を4匹持って帰った。
すると暖炉ですでにルーシーが何かの肉を焼いていた。
「老師、大漁ですね。私はイノシシを狩りました。」
4匹の魚に驚いていた。よっぽど老師は釣りが下手なのだろう。全部僕が釣ったのだから。
「そうじゃ、ルーシー。今日は豪華だな。」