高2の僕がなぜか異世界の王に成り上がる物語 作:永遠の二番煎じ
その日から司令部を出る時は剛拳と魔天流の護衛兵が2人ずつ付いた。
移動も馬車や馬と便利になった。
だが一日も強心流の稽古を怠ることはなかった。
さらに月は経ち、新国王軍と偽りの国王軍との本格的な戦争が始まった。
レンガ町から貧困の町への移動途中、
「なんで僕は戦場に行けないんだ、指導者として兵士たちの指揮をあげたい。」
毎日稽古はしていたが、実戦はしたことがない。
「新国王に死なれてこそ、我が軍の負けの様なものでございます!」
「新国王にはこの大陸の政策を考えてもらわなくては。」
必死に護衛が僕を説得する。
「分かってるんだ!そんなことは!」
いや、俺はただ刺激のない毎日に退屈しているだけなのかもしれない。
「北は優勢、南は分裂しかけています。国王!もう少しの我慢です。」
馬車からのぞくと森であった場所は切り開かれ、多くの兵士の墓場となっている。
「停めてくれ!」
馬車は止まった。
僕は馬車から降りて十字架の名もない墓を何千も見渡す。
十字架に道着が着せられたり、前に剣や弓が置いてあったりなどしてある。
これが戦争なのか。まるで実感がない。
ボブソン、アブラヒド、ザック・・・あいつらはこの下に眠っている戦友たちと共に戦った勇者だ。
僕は花を摘み、時間の許す限り、一本一本を十字架の前に置いた。
僕にはこれくらいしか出来ないんだ・・・僕が戦場にいればもっと墓は少ないだろう、いや少なかったに違いない。
「国王!もうすぐ夜です、時間がありません。行きますよ!」
夜が更け、城の王の間でマック・アーロンは偽りの王を暗殺した。
「さあ、俺の時代がもうすぐそこまできているぞ。」
真っ暗な中王座に座り、
「強心流武道!!!最終奥義!!!神降臨!!!」
するとマックの頭に語りかけてくる。
(我死神メナスを呼んだのは貴様か?)
(はい、死神様私に力をください。)
(いいだろう、何を望む?ただし死ねば魂は囚われるぞ。)
(永遠の命、そして強心流神道をこの手に!!!)
それ以後頭に語りかけてくることはなかった。
「うわ!!!」
「どうしたのですか?国王!!!」
寝ている部屋に護衛が剣を抜いて入ってくる。
「いや、悪い夢を見ただけだ。」
「そうでしたか、それは失礼!」
と護衛がまた部屋から慌ただしく出て行く。
再び寝た。
僕は感じたのだ、マック・アーロンが死神と取引して凶心流武道の力を手に入れたことを。
翌日偵察兵の報告によって王はマック・アーロンとなり変わった。
「やはりそうか・・・」
と旧カイル領に行く馬車の中で考えていた。
すると馬車が急に横転した。
襲撃か?
横転した馬車の中から顔を覗かせる。
剛拳の使い手の護衛二人が戦っている。
相手は10人くらいか?
「国王、逃げましょう。」
小声で魔天流の護衛二人が反対から誘導する。
すると反対からも10人くらい現れた。
「畜生!国王には手出しさせない!!」
「国王、早く逃げてください。」
なぜだ?俺なら勝てるぞ。5対20でも戦えるぞ?
剛拳の護衛はやられたようだ。
「もうやられたのか?俺達二人だけだ・・・」
「しっかり、しろ魔天流で何としてでも国王を救うぞ!!!」
二人の護衛が馬車から飛び出した。
「お、おい、待て!!!」
・・・
4人の屈強な武道者たちは殉死した。
その後20人の暗殺者(クーデター)たちは俺が気絶させた。
そして日が暮れ森に身を隠した。
なあ、俺に護衛なんて必要ないんじゃないか?
何日も迷いの森を彷徨った。
気が付くと最初この世界に来た場所、最北端の海辺に来ていた。
竜が顔を出してこちらを見ている。
焼け落ちた家の隣にかつて暮らした同じような煙突のある小屋が出来ていた。
ドアを開け中に入るとこの世界に初めて入った建物と変わらなかった。
「懐かしいな・・・原点回帰か。」
ドアを開ける音がした。
なんと!薪を持ったルーシーが入って来た。
「ルーシー!」
「カズナリ!」
驚きルーシーは薪を落とした。
僕は思わず、ルーシーに泣きついた。
気が付くと寝ていた。
(己に勝つことが大事だ。)
声が聞こえた。
起きると海辺で老師がたき火をしていた。
「老師。」
「おお、起きたか。久しぶりじゃな。」
老師は流木の上に座ってなぜか真夜中に起きてたき火をしている。
僕は向かいの海辺の砂浜に三角座りした。
「私にはつらすぎる。私の国では40年戦争がありません。」
「私の国?今はここがカズナリの故郷じゃろ?」
「は、はい。でも戦争を知らない僕には刺激が強かった。」
「そうかのう、逃げているだけじゃないのか?」
確かにそうかもしれない、だがなぜ僕が異世界の王になったのだろう。
いや、まだ王にはなっていない、むしろ王でもないのに命を狙われ続けている。
「かつて、仕えた100年前の王も悩んでおられた。なぜ争いが無くならないのかと。」
「はい・・・」
「当時はこたえられなかったのじゃが、今は答えられる。」
「え?」
「争いは無くせないと、争いと戦うことが強心流武道者の務めと。じゃが、私は戦争で人を殺した。だから強心流止まりなんじゃ。」
「強心流止まり?」
「カズナリがもし人を殺していなければ強心流神動も極めれるじゃろう。」
「私は殺していません、一人も!神動の域にはどうすれば?」
「そこが私と違うところじゃ、だからこそカズナリは王にふさわしいのじゃよ。」
老師は立ち上がり小屋に就寝しに行った。
僕は次の日からより厳しい稽古で自分を日々いじめぬいた。
そんな頃、総司令部では、
ボブソン、アブラヒド、ザックが密会していた。
「国王死亡説で新国王軍は士気が低下している。敗戦続きで南軍が勢いづいてきている。」
「だが、カズナリ士が死んだなら、向こうも降伏を迫ってくるはずだ。」
「おそらく、襲撃されたが生き延びたのだろう・・・そう信じて戦うしかない。」
その後半年続いた内乱は決着を迎えようとしていた。
新国王軍はレンガ町、旧カイル領を制圧され、貧困の町で四面楚歌となっていた。
ボブソン、アブラヒド、ザックはここで今日死ぬと思い戦っていた。
「ラーニア、北の山岳に逃げろ!」
「兄さんを置いてはいけません!」
「ジャクソンがきっとお前を守ってくれる!」
・・・
「アブラヒド・ゴウケン・・・最後の奥義を使うか。」
・・・
「魔天流武道は決して悪に屈さない!!!強心士ぐらい気高い武道者の集まりだ!!!」
魔天生たちの士気が高まる。
そんな時貧困の町に雨が降った。
「雨?」
それぞれの最前線の兵士たちは不思議に思った。
空を見上げると一匹の竜が飛んでいた。
竜の頭の上には道着を着た男がいた、
「最強心流究極術!!!竜の舞!!!」
すると後から竜の群れが青空を覆った。
竜は南軍に向け大雨を降らし、南軍は撤退した。
残存兵は北の山岳から来た数千のノースウルフに食われた。
俺は最強心流武道まで極めれたのだ。
竜に町の中心に降ろしてもらった。
すると北軍いや義勇軍が町の中心に集まった。
「カズナリ士、半年以上もどこに?」
「ボブソン・・・久しぶりだな。お前の本の通り修行したらこうなったぜ。」
ボブソンと僕は腕を組み交わした。
この出来事はボブ領や旧カイル領でも起こり、『国王と万物の絆の日』と呼ばれ、士気は急上昇した。
こうして南軍兵士も降伏し、町や村を次々と開け渡した。
そして半年後マック凶王の城を完全包囲した。