高2の僕がなぜか異世界の王に成り上がる物語 作:永遠の二番煎じ
その頃老師は身軽さを意識して質素な布の服を着て南の村に向けて山岳の森を歩いていた。
この地に足を踏みいれるのは10年ぶりじゃ。
突然茂みから鹿が走って老師に突進してきた。
素早く避けた。
「ああ、食料が・・・まあ仕方ないのう。」
強心流武道継承を一也に譲ったため、全ての力が下がっていたのだ。
師匠であったころなら、鹿も突進してきてもたやすく素手で仕留めただろう。
鹿が何かから逃げているようだった。
後から狼の群れが追ってきて老師を6匹の狼が囲んだ。
「うぬ、力を失ってから戦うのは不安じゃが、どこからでもかかってくるがよい!」
すると後ろから不意をついて狼が老師のうなじめがけて噛みつこうとした。
「強心流拳法!急所手刀!!」
後ろから襲いかかった狼は老師の振り返りざまの手刀を眉間に食らい、気絶した。
それを見た狼たちは四方に逃げて行った。
狼は気絶から目が覚めたが、体が動かなかった。
すっかり夜になり老師はたき火をしていた。
たき火がてらに鳥の丸焼きを作っていた。
狼はガルルルル!!!と声を出し威嚇していた。
「うぬ、150年生きてきて強いものに対して屈さない狼はお前が初めてじゃ。それともお腹が減っているのか?」
狼の口に鳥のもも肉を近づけると狼は敵の情けなどいらないと主張するように顔を肉とは反対に向けた。
翌朝老師は南に行く途中昨日の狼がついていることが手に取るように分かった。
うーむ、私をどうしても倒したいらしいのう。じゃが、あと最低でも10年はかかるじゃろう。
夕暮れ時に山岳の森を抜け、湖で休憩した。
いけるかのう・・・
強心流継承者の力を失った今、薪を手刀で真っ二つに出来るか心配であった。
精神統一・・・
「はあ!!!」
右手を振りおろしなんとか薪は割れたが以前みたいにきれいに割れはしなかった。
昨日即興で造った自家製火打石を使い、火を起こした。
すると昨日の狼が姿を現した。
老師は素手で構えたが、狼はゆっくりと歩いて湖の水をぺろぺろと飲んだ。
その後茂みから狼は仕留めたイノシシを咥えて老師に寄って来た。
「私に獲物を分けてくれるのか?」
狼は生で私は焼いて猪肉を食べた。
狼は老師になつき、常に横で寝ていた。
「お前を名づけないとな・・・私には息子が出来なかったから、息子が出来た時につけたかった名前があるんじゃ、それにしよう!お前はこれからジャクソン・スコットじゃ。」
こうして何日ものジャクソンとの山岳の旅が始まった。
茂みからジャクソンと鹿を見ていた。
「ジャクソン、お前は私が鹿の前に出た時仕留めるのじゃ。」
そう言って休んでいる一頭の鹿を挟み撃ちで仕留める作戦に出た。
私が茂みから脅かすように出た時鹿は立ち上がりにげようとしたが、
その時にはジャクソンが鹿のうなじに噛みつき仕留めた。
「やったぞ!ジャクソン!!今日は御馳走じゃ!!」
最初の村に着くころにはジャクソンに手製の首輪をはめて、首輪と手製の台車に木のつるを繋いでひっぱって貰っていた。
「もう村じゃ・・・」
私は野生で暮らしてきた北の狼ジャクソンとの別れを惜しんだ。
首輪を外して自由にしてあげた。
「じゃあの、お前のような狼なら一匹でも大丈夫じゃ。」
台車を自ら押し始めると、まだジャクソンはついてくる。
村の入り口が見えた時、
「お前は私と旅がしたいのか?」
「ワオ、ワオ!!」
とどうやら私とは離れる気がないらしい。
「だったら覚悟するのじゃ!この先南には危険が待ち受けているし気候も暑くなるじゃろ。」
また一応木彫りでジャクソンと書いた首輪を共に北の山岳で旅してきた狼に再び付けた。
ジャクソンは老いた私を気遣い再び台車を引いてくれた。