転生デューマンの賢者ろーぷれ!   作:4E/あかいひと

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原作で無人島(そうではなかったけど)に遭難したさい、ユーゴくんは蒸気機関を作ろうとしていました。

…………つまり、知識と材料があれば、作れるんだな?(ニヤリ)


セーブデータその11『嫌われる勇気!』

謝らんぞ、謝ってたまるか。

 

 

────────宮本翔

 

 

[( ̄^ ̄)]

 

 

翌朝のことである。

レヴィアさんが家出した。書き置きに『一週間で帰ってくる』と書き残したそうな。

 

まあそれだけなら、なにも問題は無かった。いや、問題はあるが、それは俺の問題じゃないし、村の皆で片付けていく課題だろう。

 

問題は、昨日レヴィアさんが泣きわめいていた声を、夜中に目を覚ましたイシュラちゃんに聞かれてしまったということだ!

 

流石にただの家出教唆扱いされるのは勘弁なので、かくかくしかじかと説明。いや、家出教唆したのは確かだし、もうちょいやりようはあったと思うから、そこに関しては悪く思う。

 

「ですが、レヴィアさんに家出教唆したことは絶ッ対謝りませんから」

 

「なんでですかショウさん! これ絶対ショウさんが悪いですよね!?」

 

そして、この神経を逆撫でするような発言に反発したのはイシュラちゃんだけという。オランドゥさんは妙な顔をしてるし、騒ぎを聞き付けた村の人たちも表情は優れないが、俺にかける言葉はない、といった感じだ。

 

「まあ確かにね、余計なことした自覚はあるよ。考え無しと罵ってもいいさ。それは俺の落ち度だし、仕方ない。でもね、じゃあ聞くがイシュラちゃん、君はレヴィアさんが家出どころか、この村を捨てて出ていこうと思う程に追い詰められていたの、知ってたか? 昨日、君が聴いていたんだろう? レヴィアさんが泣くほどに取り乱したこと」

 

「うっ…………そ、それは」

 

「まあそれは、君に嫌な思いをさせまいとする、あの娘の愛だとは思うけどサ。それでも、思い詰めた様な顔をしてる場面はいくらでもあったろうよ。少なくとも、風来坊の俺が気が付くレベルだ、家族の君が気が付かないわけがない」

 

「……………………」

 

「勿論、だからと言って何も言えなかったあの娘に問題はある。ついでに言うと恵まれた環境なのに我が儘だなとも思う。だけどね、それを押さえ込もうと思う程度にはあの娘は優しいし、その優しさで押さえ込めなくなるまで追い詰められてたのを気が付けなかった、もしくは分かっていたけれど放置してしまった君や、村の皆にも責任がある様に、俺は思うがね」

 

白い目で見渡す。ちょっと自覚があるのか、この場の皆が面白いように目をそらした。

 

「…………でも、ショウ。そのことがお前の行為を正当化する理由にはならないぞ」

 

「分かってる、分かってるともユーゴ。正当化した覚えはない、寧ろ拗らせた分彼らより罪は重いのかもしれん。だか悪いとは思ってるが謝らないだけだ」

 

「余計最低だな!?」

 

誰も口が開けなくなったので、ユーゴが助け船を出すが、開き直ってる俺には悪手の一言だ。

 

「それに拗らせたとはいえ、村に別れを告げて蒸発されるよりは、余程穏便にことを済ませた自負はあるんだけど? や、その事で恩着せがましくするつもりはないし、どう考えても俺やらかしてるけど」

 

「じゃあ……じゃあ、どうして…………」

 

少し声を震わせて、イシュラちゃんが俺に問う。どうして、悪いことだと分かっていてそうしたのか、かな?

 

「悪手だと分かっていても、そうすることでしか俺はあの娘の心を救ってやれなかったからだ。これ以上あの娘の心を軋ませるのを見逃すわけにはいかないと思ったからだ。例え不幸な事故に遭おうとも、心が死ぬよりはマシだと、俺は思ってるからだ」

 

「姉様の、心を…………」

 

「…………まあ、なんだ。それでも危険地帯に送り出したのはその通りだから、もしこれで何かあったとしたら、俺を恨んでくれていい。俺のせいだ。謝らんけど」

 

何かあった場合、村の誰かのせいにするわけにはいかないからね…………これでヘイトを集めておけば、村の皆は自分を責めなくて済むだろう。唆したの俺だし、俺のせいにするって方向で精神の安寧を計れる。んんー、我ながら策士じゃないか!?

…………あ、ユーゴにバレてる? ごめんて、いつも通りで嫌われようとしてるワケじゃないんだって。だからその震えてる握りこぶしを下ろしてくれないカナー?

 

「それに、万が一の対策もしてあるし、余程のことはねーでしょう。…………っと、誰かこの辺りの地図もってないですか?」

 

そういうと、昨日も蟻の巣駆除についてきてくれた雑貨屋のエドさんが、一枚の紙の地図を持ってきてくれた。

 

「ありがとうございます。では失礼して…………『サーチ』」

 

そう言うと、地図の上で赤い点が『ここにいるよ!』と主張せんとばかりに現れ、光った。

 

「ショウ、これは?」

 

「特殊魔法『マーキング&サーチ』。本来は世界各地を飛び回る、戦闘からも逃げるようなモンスターにマーキングして、それを地図で位置を確認するためのものなんだ。人間にはマーキングを付けられないんだけど、持ち物には使えるっていうことが判明したからね、先立つものが必要だろうと渡した4000Gを詰めた麻袋にマーキングしておいたんだよ…………これ使えば、誰かがそれとなーく監視して、何かあれば対応できるだろう? 正直ストーカーみたいで好かんがね」

 

そして地図を見る限りだと、レヴィアさんはこの村の隣にあるメルダの街を目指して歩いてるらしい。隣、と言っても結構距離が離れているみたいだから…………走ったり乗り物使えば十分に追い付けるな。

 

「そしてこの魔法の性質上、俺がこの地図を持っていなければいけない。だからもし、皆がレヴィアさんの様子を見に行くというのなら、喜んで同行しよう」

 

そう言うと、皆が何処かホッとしたような顔をした。

 

「だが、仮にレヴィアさんを連れ戻そうとするのにこの地図を使うというのなら、俺はそれを邪魔しよう。なんなら、マーキングをすぐにでも消す。俺が唆した結果だが、これは貴方達への叫びだ、辛かったんだというあの娘からのメッセージだ。それを台無しにさせるわけには、いかんな。…………若造が、何を偉そうに、余所者の癖に、と思われても仕方のないことだとは思うし、自覚もある。だけど、その余所者が動くしかないと思う程度には危険だったんだということは、覚えておいてほしい。以上、俺は俺の方で出発する準備を整えておくから、どうするか相談しておいてくれ」

 

凍りついた空気に大満足すると同時に、こりゃ決定的に嫌われたかなという確信。ふぅ、全く。嫌われものも楽じゃないね。

 

 

[┐(´~`;)┌]

 

 

さて、そんなこんなであの場に、あの村に居辛かったので、逃げてきた先は例の俺が組み立てた木造ハウス。特殊な加工を忘れていたのでジミーに土台が腐食しているような…………まあ所詮小学生の図画工作レベルだし、是非もないよネ!

 

さて準備をすると言った手前、本当に準備はしなくてはならない。

 

「と、いうわけで、レッツ『異世界舐めんなファンタジー』たーいむ!」

 

…………はっちゃけた俺の声が、すこしやまびこのように響いた。うん、テンションあげようと思ったんだが、思った以上に辛いなこれ!

 

そして、異世界舐めんなファンタジータイムとは言ったが、参照する知識は地球だけじゃなくて、俺の前世知識も含めてである。正直前世は地球からしてみるとスペースファンタジーだから、正直異世界舐めんなファンタジーとは言い難い。

 

まあそれはともかくだよ。

 

乗り物と聞いて、普通の人は何を思い浮かべるだろうか? まあ、普通に考えたら車とか、飛行機だよね。

 

というわけで、車を作ってみようと思う。速度的には飛行機の方が速いが、ドラゴンとか、翼を持ったモンスターでもないのに空を飛んでたら目立つ、めっちゃ目立つ。それは宜しくない。車なら、作り方次第で最悪馬車に偽装できるしね。

 

まず、エンジンを作るための金属が必要である。あ、燃料? そんなもの、爆発させりゃいいんだから魔力でどーとでもなる。というかこの辺りはグラールのフォトンリアクター技術を代用しよう。

 

で、金属。残念なことに、この辺りで鉱山はないし、俺の職業は錬金術師というわけでもないので、多少の錬金はできるものの、金属を生成するとなるとちょっと厳しい。

 

でもひとつだけ、簡単に金属を、それでいて頑丈な物を生産できる魔法があるのだ!

 

『メタルストライク』

 

無属性魔法。大体10メートルの金ダライを集団の頭上に落とし、無属性魔法ダメージと確率でスタンを与える、ネタ色の強い魔法だ。しかしその割にMPの消費が控えめということもあり、『ギャスパルクの復活』では重宝した魔法である。

 

で、ここで大事なのが…………この金ダライ、当たったあとはどうなるのか。

 

「ふぅ…………『メタルストライク』!」

 

ドシン! と音をたててタライが家の前に落下。漫画よろしく、家と俺が衝撃で上にびょん! と跳んだ。

 

そして…………タライは消えない! 金属として、ここに在る!

 

「っし! 材料には困らんな!」

 

この魔法が、リアルエターナルでどういう仕様なのか不安だったが、消えない仕様で良かったぜ。

ん? 車作るのは仕様的に問題ないのか? 問題ないに決まってるだろう、銃作れたし。それになんでもかんでも魔法で作ってるってわけでもないみたいだし、こうやって技術を駆使して物作りができないわけがない。ゲームの様なリアル最高。

 

「ふっふっふっ…………大体の魔法を修得できるウォーザードを舐めるなよ…………!」

 

心底楽しくなってきた俺は右手で炎魔法を待機させながら、どんな車にしてやろうかとニコニコするのだった。

 

 

[(* ̄ー ̄)]

 

 

「おーい、ショーウ。こっちは準備できた…………ぜ…………え?」

 

「おーユーゴかー。見て見てー、車ー!」

 

一時間経っただろうか。もうその頃にはエンジンを完成させ、その辺の木で適当に外装を組み上げつつ試運転。するとかなり揺れることが判明したので車輪にサスペンションをつけ、樹からとった樹脂を魔法を使って加工し、なんちゃってゴムをつくり、木製の車輪にわからないよーにコーティングし、大分マシになった。外枠は最初の予定通り馬車に見せかけたもの。中でハンドルやブレーキ等と言ったものがゴテゴテと設置してあるが…………そうそう中を見られることもないし、最悪幻影魔法で騙すからいいよね? ね?

 

ちなみに塗装も完璧である。ゲームではイベント以外であまり使いどころの無かった特殊魔法『ペイント』を使えばそれっぽく仕上げてくれた。なんとなーく、ゲームで使えていたものはゲームの仕様に沿った形だけど、ほとんど使えなかったものは、リアルに沿った形に合わせてあるんだな。…………ん? どっちなんだろう? なんとなーくゲームよりこっちのリアルエターナルの方が先な様な気もするが…………今気にすることじゃないな、うん!

 

ちなみにこの試作機、アイテム扱いらしい。名前を『馬車型試作魔導自動車』。まんまかよ、と突っ込んではならない。

 

「…………ショウ、それ、なんだ?」

 

「え、車だけど?」

 

 

この直後、俺は二次創作にありがちな知識チートの問題点を交えて10分ほど説教されることとなった…………解せぬ。

 

 

 




…………毎度のことながら、本当にすみませんした!

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