転生デューマンの賢者ろーぷれ!   作:しにかけ/あかいひと

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一晩明けて思った。

『ああ、いつもの赤域か』

頭飛んでるね!


セーブデータその2『テンプレ怖い』

友達は、何ものにも代え難い財産だ。

窮地に陥った時、それを嫌というほど思い知った。

 

───────厳島 勇吾

 

 

[(=´∀`)人(´∀`=)]

 

 

俺、厳島勇吾は自他共に認めるゲーマー…………だということは置いておいて。

俺たちは、大まかな方針を固めて、とりあえず最初の村の一つであるアルダ村を目指して歩いていた。

 

「ほれ、そろそろ喉も渇いただろ? 水だ」

 

そう言ってコップに入った水を寄越すのは、俺の親友にして相棒である宮本翔。

 

「っておい。そのコップどこから出した!?」

 

身につけていた服装と道具以外、何もなかった筈だ。だから、ガラスのコップが存在するのはおかしい。

 

「大丈夫だ。何もどこぞの猫型ロボの様に4次元なポケットを持っているわけではない。単に、氷を生み出す魔法で拳大の氷を作って、それを十得ナイフで削っただけだ」

「あ、言われてみれば解け始めてるな」

 

ショウがいつも身につけている十得ナイフは、このエターナルでは攻撃力6の武器。ぶっちゃけ、武器としてはあってもなくても変わらないものであるが、極限を生き抜く状況下における道具として見るなら、これ程便利なものはない。そんなサバイバルにおける秘密道具を、予備を含めて持っていたコイツには、頭が上がらない。

 

「別に、ウォーター玉を直でぶつけてもいいんだぞ?」

「冗談でも止めてくれ」

 

悪戯めいた笑顔を浮かべながらシシシ! と笑うショウに呆れつつも、そのいつも通りの調子でいてくれることに、内心感謝した。

 

 

[(^_^;)]

 

 

俺が初めて宮本翔と話したのは、中学1年の、6月のことだった。

同じクラスだったのに、6月になるまで一言も会話を交わしたことが無かったのは、偏にあいつが『白い悪魔』だなんてどこかのロボとパイロット見たいな悪名を轟かせてる不良だったから。

 

曰く、肌のことをからかって来た奴を片っ端からぶっ飛ばした。

曰く、不良グループを単身で潰す化物。

曰く、骨が折れても戦い続ける戦闘狂。

 

物騒な噂話を信じ込み(実際は、半分ぐらい本当のことだったらしいが)、誰もあいつを怖がって話しかけず、俺もその空気にあてられて、話しかけることができなかった。

 

でも、そんな不良と話す機会が。俺の親父が経営しているゲームショップに、ショウが来たのだ。丁度、俺が顔を出していたタイミングで。

 

その時のショウの顔は、今でも忘れなれない。鳩が豆鉄砲を食ったようというのは、ああいうのを指すのだと初めて知った。

 

「い、厳島…………だっけか?」

「あ、ああ」

 

おっかなびっくり、という表現が似合う声音で、名前を尋ねるあいつを見て、名前を知られてることに恐怖を抱くよりも先に、あの噂の不良がこんな風に縮こまっている姿が、失礼な話だが、少し面白く感じた。

 

「き、奇遇だな。まさかクラスメイトとこんなところで鉢合わせるなんてよ」

「そりゃあ、ここ俺の親父が経営してる店だからな」

「マジで!?」

「おわっ!? なんだいきなり!!」

 

弾かれた様に俺に急接近し肩を掴むショウに、焦りつつも引き剥がそうとすると。

 

「じゃあお前、ゲームとかに詳しいよな多分!!」

「あ、ああそうだよ! 自他共に認めるゲーマーだ!」

 

次に発せられた言葉を、俺は生涯忘れることはないだろう。

 

 

 

 

 

「じゃあ、友達を作るのに話の種になりそうなゲームを見繕ってくれ!! 一生のお願いだ!!」

 

 

 

 

 

端正で、肌が白く、不気味な美しさを放つ、とでも言うべきその顔を、悲痛な程に歪ませて、あいつはそう叫んだんだ。

 

びっくりした、というのと同時に、少し自分が不甲斐なく感じた。

この様子を見る限り、彼は噂されてる様な悪人ではないのだろう。なのに、誰も彼もが…………俺も、その噂を鵜呑みにして遠ざけていたのだから。

 

「…………分かったから落ち着け。『友達』にアドバイスぐらい、一生のお願いをされなくてもしてやるよ」

 

少しクサいかな、と思いつつも、そう言ったことを、今となっては後悔していない。そりゃ、色々なことに巻き込まれたし、いろんなことに巻き込んでしまったけど、今ではあいつと俺は、立派な親友なんだから…………。

 

 

[d( ̄  ̄)]

 

 

と、昔のことを思い返していると、前方から悲鳴があがった。俺とショウは、少し緩んでいた目を尖らせて、声のした方向を目指して走り出す。

 

「赤毛の女の子が巨大アリに襲われてる! アレ多分ジャイアントアントの上位種のガードアントだ!」

「うっひゃあ、マジでテンプレじゃねえかクソッタレ! ユーゴ、先行して女の子の盾になりつつ近い方の1体を殺れ! 俺はその後ろの方を殺る!」

「分かった!」

 

悪態を吐きつつも出される指示に従い、全速力で駆け抜けて、赤毛の女の子…………バーの上を見れば、『イシュラ』と名前のある彼女の前に立ち塞がる。

 

「キィィィィイイイイイイッ!」

「ッ!!」

 

巨大化したアリ、と言うだけでかなりおぞましくて怖い。コレが、ファンタジーだということか。

 

だが、

 

「フレイムランス!」

 

背後から飛んでくる、火の槍。その槍は後ろの方のアリの頭部を貫き、焼き殺した。

 

「露払いはやったぞ、後は決めろ!」

 

そうだ、俺の後ろには相棒がいる。なら、もう大丈夫。何も怖くない、とはいかないが、安心して戦える。

 

「ウ、ラァァアアアッッッ!!!」

 

手に持つ十得ナイフを、渾身の力を込めて突き出した。

 

ブチュリ、という嫌な音と感触。粘液が右腕に纏わりつく。

動かなくなった巨大アリから腕を抜き、バーを確認する。…………ちゃんと、というのは少しおかしいのかもしれないが、赤色で表示されているHPバーが全て真っ白になり、アリは死んだということを教えてくれた。

 

「ふぅ…………えっと、無事かな?」

 

振り向き、後ろにいた女の子に声をかける。

その女の子は、へたり込み、俺を呆然と見上げていた。命の危機にあったのだろうから、状況の整理が追いついてないに違いない。

 

「おーっすお疲れユーゴ。でも彼処は突きじゃなくて殴り飛ばす方が良かったな」

 

で、そんな女の子とは正反対に、泰然自若に見えるショウが、今の攻撃についての採点を勝手にしていた。

 

「うっせ。人の命状況でそんなこと考えられるわけがないだろ」

「人の命がかかっているからこそ、だ。アレがHPを削り切れる雑魚だったから良かったものの、もし削り切れなかったらお前、後ろの女の子守れてないからな? 体格差は伊達じゃねぇんだよ。せめてアリの攻撃線上から退かすか、逸らすぐらいはしろ」

「ウグッ」

 

こと、戦闘に関しては、ショウの言うことに間違いはない。それは、コイツ曰く『前世での仕事の賜物』とのことだが。軽く聞いただけでも、戦闘を生業にする人ってのは、その心構えからして一般人とは違うんだなぁ…………ということを思い知らされた。

 

「…………分かった。また後で、練習に付き合ってくれ」

「おうともさ」

 

あの地獄のような日々をもう一度繰り返すのかと思うと、今から遠い目で空を見上げたくなるな、ハハハ…………。

 

「それでおじょーさん、怪我の方は本当にございませんか? HPバーを見る限りほんの少しですが削れていますし、バッドステータスなどもありますからね。必要なら、回復魔法も使いますが」

 

そんな俺を尻目に、ショウはふざけた様な、その実真剣な声音で女の子の安否を確認していた。

 

「だ、大丈夫です。あの、危ないところを助けていただいてありがとうございました!」

 

ようやく整理が付いて落ち着いたのか、女の子は勢いよく立ち上がり、頭を下げてきた。

 

「ああいえ、俺は大したことはしてませんよ。実際に貴女の盾になったのはこちらのユーゴですから」

 

そしてさりげに、ショウが全ての手柄を俺に押し付けようとしてきた。普通なら謙遜という名の美徳なんだが、コイツがやれば話は別。ただ単に面と向かって感謝されるのが苦手なショウは、何かにつけて俺になすり付けようとしてくる。

 

「いや、お前後ろのアリを倒してくれただろ?」

「所詮駄アリだ。俺のSTRでも殺せる時点で労力なんざ払ってないに等しいんだよ。そうなると、女の子を守るっていう素晴らしい行為をしたユーゴが、感謝を受けるべきだ!」

「それはそうかもしれないけど…………というか、その指示したのお前だろ?」

「記憶にございませんね」

「政治家みたいな答弁すんな!」

 

そして、こうしていつもはぐらかされてしまうのだ。地味に悔しい。

 

「と、とりあえず自己紹介でもしましょう!」

 

とにかくここは、話の流れを強引に変えないと。ショウ程ではないが、実際に俺が努力して身につけたわけではない借り物の力を使っている身としては、どうにも感謝されると困ってしまう。

 

「まあ、名前は上を見れば分かるけど、俺はユーゴ。で、こっちが」

「魔法使い志望の不気味系人間のショウです。よろしくね」

「ユーゴさんに、ショウさんですね。あたしは、イシュラ・アローネといいます。アルダの村長にして神官、オランドゥの娘です」

 

っ! つまりは…………。

 

「(道案内ゲットぉ……へへっ)」

 

女の子に見せない様に嗤う親友は放置にしても、これで最初の村に着く算段をつけられたのは大きい。

 

「じゃあ、イシュラさん」

「はい! あ、イシュラで結構ですよ」

「じゃあイシュラ。実は俺たち、ちょっとトラブルに巻き込まれて、G(エターナルの通貨)も食料も武器も靴も取られちゃったんだ。だから、1番近い村で、最低限の態勢を整えたいんだけど」

「そういうことなら、アルダ村に来てください! 改めてお礼もしたいですし!」

「じゃあ、よろしくお願いするよ」

 

こうして俺たちは、ようやっとゲームで言うところのプロローグを終えたのだった。

 

 

 

 

 

「ところでイシュラちゃん、その剣の攻撃力は?」

「えっと、たったの5なんですよ…………」

「ブッ!! 十得ナイフに負ける剣ェwwww」

「草生やすな!!」

 

 

 

 

 




原作のユーゴハーレムはどうなるの?
→崩れると思う?

実際のところ、十得ナイフが出来損ないとはいえ剣に負けるとは思わないんだけど…………
→高価な短剣と粗悪な大剣。強そうなのは大剣だけど、ゲーム的な攻撃力は短剣の方が強い。そんな感じで。

結局、近接戦闘賢者ってなにやるの?
→予定ですが、回復魔法をかけながら攻撃することで相手の身体を変形させたり喉とか目とか潰して再起不能にしたり、魔法を腕に纏わせながらフィンガー的な何かとか、いろいろ考えてます。とりあえず、まともな賢者はそこにいない(断言)
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