箱庭に導かれた優しき風を求めた哀れな魔王の話   作:( ∴)〈名前を入れてください

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すまんガルド君…きりが良いからここで終わらしちゃった。
次はちゃんと出るから……(震え声)


第7話

 

「んじゃおさらいだジン坊ちゃん。俺はこの戦いでお前達が負けたらこのコミュニティを去る…良いな?」

 

「任せてください、僕はこんな所で止まりませんから」

 

「……えっ…あのージン坊ちゃん。今の話は一体どういう意味ですカ?」

 

「……ごめん、だけど信じていて欲しい」

 

ギフトゲームに付いて書かれている紙を見つけ、彼等の気持ちがいざ戦いと成っている中、十六夜がジンとそんな事を話す。その言葉に黒ウサギがギギギと油の刺されていないブリキ人形みたいに体を向けながらさっきの発言の真偽を問う。

もしもさっきの話が本気ならば十六夜はこの戦いの後このコミュニティを去るかもしれないという事であり、それは黒ウサギ…いやこのコミュニティにとって大きな損害とも言える話である。

 

「辞めるとはおおきく出たな小僧」

 

「んな事言ってアンタも同じ気持ちなんだろ爺さん?」

 

「ここで勝てぬならこ奴等は諸共屍を晒すだけよ。その後は儂の知った事ではない」

 

今回のギフトゲーム「ハンティング」はガルドの命を掛けて作られたゲーム。小心者が己の命を掛けたゲームであるそれが他者の命を保証する訳が無い。

それが意味する所は簡単な事で「ハンティング」…つまりは狩るか狩られるか、ジン達がガルドを狩るか、それともガルドがジン達の命を狩るかの勝負。

 

簡単な話、これは互いの命を掛けたゲームなのである。勝てば総取り負ければ命を勝者に奪われる殺し合い、相手の全てを狡い手で奪ってきたガルドが己の全てを掛けたゲームなのだ。

圧倒的な実力の差…十六夜やガノンドロフ程の力量があれば全ての障害をを踏み潰しあらゆる罠も踏み砕けるのだろうが彼女達にはそんな事を出来ない。

故にこの戦いは一筋縄ではいかないのだ

 

「さて…餓鬼、言い残した事があるなら今の内に言っておけ」

 

「…必要ありません。必ず勝って戻ってきますから」

 

「ならば勝ってくるが良い。お前の道はこれから始まる…せいぜいあがけ」

 

「はい……ッ!」

 

ガノンドロフの言葉を一蹴し己を強く持とうとするジンと少し話、満足したのかそのまま話を終わらしゲームの舞台である館をジッと見詰める。

辺りの木々は魔力を帯び煌々と内部で赤く光る。先日までこんなジャングルでは無かったらしいガルドのゲーム舞台。辺り一帯が森に生い茂った世界を見てその顔を嬉しそうな笑みを浮かべている。

 

「ねぇ…お爺さん、話が有るんだけど……良い?」

 

「どうした小娘、何か言い残したい事が有るのか?」

 

そんなガノンドロフに春日部が恥ずかしそうに話かける。ニヤリと笑う背の高い老人に顔を真っ赤にしながら話し掛ける少女……ご覧下さい。これが事案発生です

 

「この戦いが終わったら…私と友達になってくれますか?」

 

「ニャー!?」(えっ!?駄目だお嬢このジジイは危ない!きっとあんな事やこんな事をされちまうぞ!?)

 

「畜生よ…儂がお前の言葉が理解出来ておると理解出来ておるのか?」

 

「ニャー……」(スンマセン魔王様)

 

「もう……折角勇気を出したのに…」

 

飼い主の言葉に反応して言った言葉に呆れた顔をして猫をジロリと睨む。

そうして話の腰を折られて顔を膨らますそんな春日部にガノンドロフが面白そうに笑いながら話し掛ける。

 

「フッ……フハハハハ!この魔王と友になりたいだと?気にいった!貴様の願い、この戦いで誉れを見せれば叶えてやるわ!」

 

「うん…頑張る」

 

そう言いながら先程よりもやる気に目覚めた春日部を見つめながら尚面白そうに笑うガノンドロフ。そんな彼等の姿を見ながら話をする問題児にジンと黒ウサギ…何やら先程の事を話しているようだがガノンドロフは気にかけず辺りを見渡しながらあの時放った物の事を思い出し、これからジン達に起きる事を思い浮かべる。鬼化しているとジンが呟いていたこの森は儂の計画には無かった物。これからの戦いは一筋縄ではいかないだろう

 

「喜べ餓鬼共、この戦い…楽に終われると思うなよ」

 

彼女達が屋敷へと入っていく姿を見つめながらそう呟くガノンドロフの声は、ジャングルのようになった辺りの森の中へと消えていった。

 

ギフトゲーム 「ハンティング」

 

・プレイヤー

久遠 飛鳥

春日部 耀

ジン=ラッセル

 

・勝利条件

ホストの本拠地内に潜むガルド=ガスパーの討伐

 

・クリア方法

ホスト側の指定した武具でのみ討伐可能

指定武具以外は“契約”によりガルド=ガスパーを傷つけることは不可能

 

・敗北条件

降参かプレイヤーが上記の勝利条件を満たせなくなった場合

 

「暇だ……何て言うか暇だ。なぁ黒ウサギ入って見てきても良いか?」

 

「いえ、今回は…最初にそこの辺りの取り決めをしていなかったので不可能です…お役に立てず申し訳御座いません」

 

「あー…いや大丈夫だから、気にしないでくれ」

 

「すいません…役に立たないモーファで申し訳御座いません」

 

「あー…大丈夫だからな?」

 

十六夜の急な無茶ぶりに言葉を重ねながら落ち込んでいく黒ウサギを見て思わず心の中で溜息を吐く十六夜。幾ら問題児と言えど美少女が落ちこんでいる様を見て喜べる畜生ではない。どちらかと言うと青少年である十六夜的にはそんな姿を見たくは無いので何か話題は無いかと別の話題を提供する。

 

「あー…じゃあ黒ウサギはジャッジマスターだったよな?どうやって確認を取っているんだ?」

 

「…黒ウサギの素敵耳は辺りの状況なら一発で解るスグレモノです。余程の事態でなければ大体分かりまス」

 

「へー…そりゃスゲエな」

 

「……そうですか?」

 

「おぉスゲエと思うぜ。俺でもそこまで出来る耳は持ってねえよ」

 

十六夜のお世辞に耳をピクッとさせチラリと見る。その姿を見て畳み掛けるように言葉をかけると黒ウサギが先程の悲しそうな顔から一転して笑顔で話し始める

 

「そうですよね!やっぱり黒ウサギの耳は出来る子です!つまりは黒ウサギはモーファ何かじゃあないですよね!」

 

「おっ…おう」

 

嬉しそうに十六夜の手を持って振り回す黒ウサギを直視する事が出来ず顔を真っ赤にしている十六夜、そんな十六夜の状態に気付かず喜ぶ黒ウサギ。お前らは一体何しに来たんだと言いたくなる。特に黒ウサギに、リア充は爆弾で爆発するのが運命…取り敢えず十六夜の爆発に期待しておこう。

 

「なっ…なあ爺さん。黒ウサギを止めてくれな……い?」

 

「…?どうしたんですか十六夜さ……ん?」

 

「…どうしのだ?惚けた顔をして」

 

ガノンドロフに助けを求めようした十六夜が驚いたように動かなくなり、黒ウサギが倣ったように同じく動かなくなる。

何故ならばガノンドロフが己の影を鏡のような形に変えてジン達の様子を何も言わずに見ていたのだから。

また黒ウサギの優れた所を叩き潰す所業である。この爺さんは一体何をしたいのか、この空気を気にせずにそのまま見る作業に戻れる所は流石の肝の大きさであろう。

 

「……もう嫌ァァァァァッ!!」

 

「騒がしいぞモーファよ」

 

黒ウサギの悲しみの絶叫にガノンドロフが呆れた様に言いまた鏡に写るジン達を眺める作業に戻る。

 

「はぁ…まぁいいか」

 

自分の手を握りながら泣き崩れる黒ウサギを見つめ自分を納得させる顔真っ赤の青少年がそこにはいたとさ

 

「どういう事だ……?罠が一つとして存在していない…?」

 

「まぁ無いなら無くて良いんじゃない?」

 

豪華に装飾された屋敷は自然に侵食され中は自然の中に存在する遥か昔の古家のような有り様だった。その中を慎重に進んでいた三人だがジンが突如可笑しいと言い始める。それに飛鳥が別に気にする事は無いと言うもジンはそれでも可笑しいという。 ガルドならば罠を仕掛けない筈が無いと

 

「飛鳥さんはあのガルドを見てどう思いましたか?」

 

「えーっと…強い者に巻かれて威張り散らす小心者かしら?」

 

彼女の中で思い浮かぶのは自分は魔王の傘下だとお爺さんに言って逆にお爺さんの戦意に火を付けた哀れな男。正直可哀想としか言いようが無いと言える男だった

 

「そうです…ガルド魔王を傘にしては威張り散らすだけの小心者……ようは恐がりなんです。可笑しいと思いませんか?」

 

「…一体何が言いたいのかしら?」

 

支配の力、それに令嬢という立場故に相手の心を重んじた事が余り無い、彼女はそのような感情の機微に疎い。だからこそ気付かなかった…この矛盾点に

 

「そんな臆病者が自分の全てが掛かった…それも命をベットにして行うゲームに罠が見当たらないという事です。」

 

その瞬間思わず飛鳥の身体に鳥肌が立つ

簡単なものだと進んでいた自分達はもしかしたら今恐ろしい状態になっているのではないか?…もしかしたらもう詰みに等しい状況ではないのか

 

もしかしたら私達はトンデモナイものと戦っているのではないか?

 

そう思った瞬間獣の怒号が屋敷全体に響き渡る。普通の獣の声ではない、それよりももっと恐ろしくもっと力強い叫び声

 

「■■■■!■■■■■■ーッ!!」

 

「……ねぇ春日部さん?あれが何を言ってるのか分かるかしら?」

 

春日部さんに獣と思われるものが何を言っているのかを確認すると顔を青くしながらその内容を教えてくれる。殺意に塗れたその言葉を

 

「えーっと…侵入者を殺せ、生かして返すな。我の楽園は奪わせない…皆殺しにしろ」

 

「殺せ、我を脅かすその全てを…だって」

 

その言葉に絶句する。間違いなくあの獣の声はガルド…そしてあいつは私達を殺すつもり。そんな事をしている間もガルドの叫び声は続く、その言葉の翻訳は頼まずとも春日部さんの顔を見れば分かる

私達は今…とても不味い状態にいるみたいね……

 

「皆さん!前を見てください!」

 

ジン君の言葉に反応し前を見ると化け物が列をなしながらこちらに向かってくる。その化け物は大きな目を体の中心に持っており足が2本に大きな尻尾が一本ある異形の姿をしていたが

 

「早速お客さんよ…春日部さんは妖怪はお好きかしら?」

 

「いや…あれって妖怪なの?」

 

「冗談を言っている場合ですか!…ええいッこうなりゃヤケだ!」

 

そう言うとジン君は壁にかけられていた小さな剣を持つと化け物達を牽制するように私達の前に立つ。…足が震えていなければソコソコ様になっていたと思うのだけどね

 

「飛鳥さんに春日部さんは早く武器を!それまでは僕が時間を稼ぎます!」

 

そう言うと剣を真っ直ぐに突き刺し化け物の目玉を抉る、目玉から緑色の血が溢れ出し目の前の1匹が倒れていく。それを見てジンは確信する、コイツらは見た目よりずっと弱い…これなら僕1人でも戦える

 

「二人は急いで武器を!恐らくは壁にでも立て掛けられていますから!」

 

僕が更にもう1匹に攻撃をしようとして剣を振ろうとしたら剣を降ったことの無い僕の剣では2度目は通用しないのか化け物の尻尾によって剣をはね飛ばされる

 

「クッ…しまった。剣を飛ばされた!」

 

そしてそのまま僕の体に尻尾が突き刺さる瞬間飛鳥さんの声が辺り一体に響き渡る。大きい声ではない筈なのだがその声は周りの雑音に負けずに聞こえてきた。

 

「化け物共、そこを動くな」

 

その瞬間僕を突き刺そうとした尻尾は動きを止め目の前でピタッと止まる。そのまま後ろに下がると化け物共は動きを止めてジッとしていた、まるで王様の命令を受けた兵隊のように。

 

「大丈夫かしらジンくん?」

 

「あっ…助けてくれてありがとうございます」

 

「別に良いわよ…取り敢えずお前達仲間を自分の尻尾で突き刺せ」

 

飛鳥さんのその声に従うように化け物達は隣にいる仲間を突き刺しあい自滅していった。僕はその姿を見ながらガルドが急に飛鳥さんの言う事を聞き出したのを思い出した。

 

「飛鳥さん…その力は一体……」

 

「あら、言ってなかったかしら?私の力は威光…言葉で全てを支配する力……まぁお爺さんには全く効かなかったけどね」

 

ふわりと髪の毛を翻しながら僕の方を向いて小さく笑い出す。

 

「女の子が2人もいるのよ?もっと頑張りなさい男の子でしょ?」

 

「はっ…はい。善処します……」

 

そんな事を話ながら彼等は現れる化け物を倒しながら先へ先へと進んでく。決戦は直ぐ其処

 

 

 

 




はいっ……せーの十六夜爆発しろ!
■■■■ッ!■■■■■■■!!
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