箱庭に導かれた優しき風を求めた哀れな魔王の話 作:( ∴)〈名前を入れてください
チート十六夜と魔王お爺ちゃんさえいれば直ぐに終わらせれると言うのに……ッ!
ガルドは生まれつきの備わった強靭な肉体、ワータイガー…獣人としての力持った謂わば勝者の部類に入る存在であった。
ギフトゲーム…謂わば強き者が全てが得る超実力主義の世界…箱庭。
だが獣人として強い力を持っていようと彼は所詮獣人、この箱庭の世界で生き残る事は難しい…幾ら実力が無い者が多い外に近い場所でも自分より強い存在がいつ現れるのか分からない
嘗て栄華を謳った□□□…ノーネームですら全てを失ったのだ。魔王のちょっとしたちょっかいで。ならば己の弱小コミュニティが魔王に何かされて生き残る事は出来るのだろうか?
出来る筈が無い…勝てる訳がない。魔王とはこの箱庭超常的な存在にして災悪と言われる存在……ガルドが例え背伸びした所で叶う相手では無いのだ。
だからこそ彼は魔王に下に降り生き残ることを選択した。獣の本能が彼に魔王に恭順する事を許したのだ。
そして魔王の後ろ楯を手に入れた彼は恐怖から解き放たれた。己を攻撃するものなどここにはいない、ならば更にそれを強固の物にしなければならない。
この辺り一帯を俺の支配下において俺から逆らえなくなるようにしてやる。
そうして彼は栄華を手に入れた。ノーネームが嘗て持っていた栄華には遥かに及びはしないが彼に不十分な地位が名誉が金が手に入った。
それでも彼はそれでも安心しなかった。何故ならばノーネームにはあの黒ウサギがいる。つまりやろうと思えばその知名度を用いて俺を倒せる戦力を集められるかも知れない。
ジンラッセル、あの名を失った伝説のコミュニティを継ぐ存在。それだけで俺はお前が妬ましく、羨ましく感じる。
あの黒ウサギが何時お前を守ってくれて何かあれば白夜叉に頼れる。あの善神と謳われた御方に助けを求める事が出来る
何と腹立たしいのか。何と羨ましいのか俺がお前の立場であればそのような体たらくを見せなかったと言うのに…それだけでは無い。お前は新たな戦力を異世界から呼んで戦力を増やそうとした。
巫山戯るな、俺が魔王にヘコヘコと頭を下げて命懸けでこの地位を手にしていると言うのに貴様は又黒ウサギの力を借りるザマを俺に見せ付けてきやがった
俺の地位を脅かそうとしやがった。
俺の命を狙ってきやがった。
許さねぇ…甘ったれたボウズのくせに、魔王の恐ろしさを味わった事も無い癖に黒ウサギの抱っこにおんぶで生きてきた癖に
それどころか魔王すらも仲間に手に入れた。俺の魔王を遥かに凌駕する存在を…あいつが俺は心底妬ましい!何故奴が手に入れて何故俺には手に入らなかった!
「■■■!■■■■■ッ!」
殺せ!ジンラッセルを殺せ!俺に歯向かう奴を全て殺せ!生かして帰すものか…ここが貴様の墓場だ…この執務室は俺の全てが詰まった結晶……ここで俺を倒せるものか。
白き獣と化したガルドは、己の栄光がつまったこの執務室で唸りを上げる。貴様を殺すと生かして帰さぬと。
理性が鬼化して吹き飛ぼうと彼の心は決して揺るぎはしない。何故ならば何時も恐ろしい存在に尻尾を降っていた彼にとって心が壊れる等の軟弱な事があれば魔王に殺されても可笑しくは無い。
彼は恐がりである。だからこそ慎重で狡猾な行動を取る事により今の栄華を手に入れた。ならばそれが今壊されそうになった今彼が取る行動とは何か?理性が消し飛んだ彼が取る事とは?
「こんにちわジェントルメン。私と少し躍って下さるかしら?」
それは…今俺の聖域に入って来たこの愚か者共を殺し尽くすことだ!
彼等がガルドと相対し飛鳥が言葉をかけた瞬間、ガルドが彼等に向かって牙を向く。獣の俊敏性にその巨大な巨体をいかした特攻を仕掛てくる。
その一撃は当たってしまえば非力な者は一溜りも無くミンチのように潰されるだろう。それも子どもが三人、女の子が二人に男の子が一人……普通の者なら避ける事は出来ないだろう…。普通の者ならば
「……させないっ!」
「■■■!■■■■■ッ!」
動物の力を己の肉体に宿す少女…春日部耀がその突撃をその身体を持って止めに入る。ぶつかった瞬間両者に凄まじい衝撃が身体を襲う。細く華奢な腕から生み出される余りに強靭な力がガルドの突撃を止めてその頭を押さえつける。
「今の内に…早く指定武器を取って……」
「■■■…■■■■■!」
互いに譲らない一進後退の中春日部の苦しそうな声が後ろにいた二人の鼓膜を穿つ、その声を聞いた二人は頷きあいながら行動に移し始める。
「ジン君!私を連れて誰よりも早く指定武器を取りに行きなさい!」
「はいっ任せてくださいッ!」
ジンが飛鳥を抱えながら本来ならば有り得ないような早さで走り始める。春日部を通り過ぎそのままガルドの顔を通り過ぎようとした瞬間ガルドの目がジンを見据える。その目から感じるのは圧倒的な憎悪に殺意、それらを一身に受けながらガルドの身体に縛り付けられている指定武器を手にする。
「春日部さん!早くガルドを地面に叩きつけながら拘束しなさい!」
「うん!」
「■■■■!■■■!」
その飛鳥の声に反応するかのように先程拮抗していた力を超えて春日部はガルドの身体を地面に叩きつけながらその力で拘束していく。
その拘束を必死に藻掻くが春日部の力に負けているのか動く事が出来ていない。
「■■■!■■■■■■!」
「…死にたくない?」
ガルドの叫び声を春日部が聞いて眉を寄せる。生きたい…死にたくない。とガルドの叫び声に動物と話す力を持つ春日部だけが反応出来た。いや…出来てしまったと言えば分かりやすいか
「ジン君早く武器をガルドに刺すのよ!」
「はっ……はいっ!」
ジンがガルドの頭目掛けて剣を刺そうとした瞬間ガルドが急に身体を動かし壁にに巨体を叩きつけ外へと脱出していく。
「春日部さん!どうしたって言うのよ!」
「だって…だってあの子死にたくないって言ってた」
「言ってる場合ですか!今外に出られると形勢は更になります、急ぎますよ!」
飛鳥が春日部を怒鳴るように指摘するも春日部は泣きそうに成りながらにそう答える。そんな彼女達の姿を見てジンが大きな声を上げ急ぐように促すも既にガルドの姿は森の中へと消えていく。
森の中からガルドの叫び声が響き渡る。春日部にだけ分かる悲痛に満ちた叫び声を。森の王者たる虎は叫ぶ、自らの全てがあった場所を盗られた悲しみを声に乗せて。
これよりハンティングは後半へと入っていく。これからは獣の有利な時間…狩る者と狩られる者が変化していく。森へと入っていく彼等に今勝ち目はあるのだろうか?
「中々に面白い事になっているではないか」
「あぁっ…ガルドが森の中へと逃げてしまいました。これではジン坊ちゃんが圧倒的不利な状態に……」
「おいおい…そこで力緩めちゃあ駄目だろオイ」
この戦いをガノンドロフの影を鏡のようにしてその戦況を見ている三人は三者三様の反応を見せる。
「ふん…あのような獣の懇願を聞こうとする等まだまだ甘いとしか言いようがないな」
「あん?ガルドが何か言ってたのか?」
「申し訳有りませんでしたが黒ウサギには…感情の爆発しか感じられませんでしたが何か言っておられたのですか?」
その言葉にガノンドロフがニヤリと笑いながらガルドの言っていた事を二人に伝える。
「…あの瞬間に若造が死にたくないとみっともなく懇願しておったわ。恐らく小娘はその声を聞いて思わずと言った所か」
「…なーるほどな。そりゃ今まで動物と一緒にいたなら心は純粋無垢、助けて欲しいと言われて仕舞えば思わず力を緩めても可笑しくはないな」
「そう言う事だ……これで戦況は一気に反転した。餓鬼共が有利な環境から若造が有利な環境」
その言葉に十六夜が納得したように声を上げる。春日部にとって人の生き死には味わった事の無い事であり、彼女が思わず手を緩めてしまったのはなんら可笑しくは無い。寧ろそれが普通の感性なのだ
「…今ガルドはジャングルとなった外へと逃げ込みました……このままでは捕まえる事はかなり難しいのではないのでしょうか?」
「まぁそこら辺は問題ないだろ」
「…何故ですか?ガルドがジャングルという絶好の場所を得た今ジン坊っちゃま達は圧倒的に不利な状況下に置かれています。とても問題が無いようには……」
「まぁそこら辺はおいおい分かるぜ?なぁ爺さんもそう思うだろ?」
「ふっ…さてな」
そう言うとまた彼等は目の前のジン達の様子を見る為に会話を止めて目の前の鏡を見る。怒り狂う獣がいる森こそが次の戦場。
ハンティング 後半戦開幕
【悲報】ガルド戦、最低後2話から4話必要
早く日常パートを書きたいよう!