ハイスクールD×D ~『神殺し』の新たな軌跡~ 作:ZERO(ゼロ)
相変わらずの辻褄合わせ、駆け足、ご都合展開です
望まない方は回れ右してお帰りを~
まあ、つまらないなら最初から読まなければいい話だと思いますけどねー
一々そう言った言葉を残す方は余程作品書く才能があるでしょうし
そう言うことを書く方って、自己満足かもしれませんが書いてる作者様方が気分悪くなるって理解出来ないんでしょうね
以上、口悪くて失礼しました
グレモリー家とフェニックス家の非公式のレ―ディング・ゲームから明けて翌日―――
決着が付いたら直ぐに式を挙げると言うライザー・フェニックスの宣言通り両家の結婚式の準備は急ピッチで進み、後は会式の時を待つばかりとなっていた。
―――いや、正確に言えば勝負になどなっていない。
リアスの『開戦を迎える前に棄権』と言う行動により結果的には不戦敗と言う形だが。
しかしそれに疑問を持つ者など一人も居まい……片や冥界上層部にも覚えの良い最強クラスの人物、片や兄が冥界の王と言うだけで実力も眷属の数も伴っていない小娘だ。
誰だってこの結果が“卑劣な脅迫によるモノ”だなどと思う筈も無いし、そもそもが疑問や異議を唱える筈も無い……『ある人物』を除いて。
「…………」
冥界の自らの自室で机に肘をつき、考え事をしている素振を見せる人物が一人。
彼を知らない者ならば『大事な妹が他家に嫁ぐのを寂しがっている姿』に見えるだろう、しかし彼を知る者からすればその姿は明らかに“怒り”と言う感情が浮かんでいる事は理解出来る。
自らの妹が戦わずに棄権する筈が無い―――結果を報告された際、彼の口から真っ先に出た言葉はそれだった。
彼は幼い頃から父親以上に妹の成長を見守り、時には甘やかす事もあったが冥界の未来を担うに相応しい教育を続けて来た筈だ。
途中で家を出る事になってしまった事から一時は妹は歪み、自分の事だけを愛する“自愛”に満ちた人物となってしまった。
だがそれが何らかを切っ掛けとし、此処最近では『誰にも恥じる事のない王』となる事を目的とし、大きく成長した筈だ―――そんな彼女が自分の未来を決める戦いから事もあろうか“逃げる”などと言う道を選択する訳がない。
「……やはり相手が相手だった、か。
ライザー君、いやライザーの黒い噂は今迄何度となく耳にしていたが……証拠がない。
元老院の老害達と繋がっているという噂もあったが―――クソッ、私では所詮『噂の域』を出ない情報しか調べる事が出来ない。
アジュカに連絡を取る事が出来れば―――いや駄目だ、それでは私達が『元老院の一掃』を企んでいる事を知られてしまう」
―――彼と仲間達は遥か昔、『魔王』という称号を継いだ時から冥界を変えようと奔走していた。
悪しき風習や古い考えを捨て、新しい考えや未来を生きる子供達が笑って生きていける国を作る為に。
しかし遥か昔から台頭していた古い血筋の悪魔達は冥界が変わる事を否定し、拒否し、今も尚変わる事無く『老害』と言う名の一種の“寄生虫”の如き生き方をする者達が殆どだ。
何の為に『魔王』の名を継いだのか?
何の為に遥か昔の大戦で多くの犠牲を払ったというのか?
結局、名だけの王なのか―――違う、それを変える為に己は王になった。
だが……今まで何を変えられた?
黒い疑惑がある人物を排除する事も出来ず、大切な妹の未来すら奪われそうになっているこの現実。
彼が抱く怒りはライザーに対してだけではない、名だけで無力な己自身にも怒りの矛先は向けられていた。
「―――私に出来る事はリアスの結婚式をぶち壊す事位、か」
勿論、そんな事をすれば冥界において風当たりは更に酷くなるだろう。
結果的にそれを理由に元老院から『魔王』の任を解かれるだろう、しかしそんな事は覚悟の上だ。
妻にも息子にも辛い思いをさせてしまうだろう、だがそれでも―――四大魔王の一柱、サーゼクス・ルシファーは苦悩する。
そんな思いが頭を巡り、冷静になろうと伏せていた顔を上げた時……サーゼクスは自分の部屋に見た事のない人物がいる事に気付いた。
「―――ッ!? 誰だ!?」
普段は沈着冷静で穏やかな笑顔を絶やさないサーゼクス。
しかしこの部屋、魔王である己の執務室も兼ねる部屋に“気配も感じさせず”入り込んで居た人物に対しては普段通りではいられなかったのだろう。
……そもそも、冥界でも最上位に近い『四大魔王』に気配を感じさせずに忍び込める存在が居るなどとは到底考えられまい。
『……貴公がサーゼクス・ルシファーで相違無いか?』
サーゼクスとは対照的に重々しく口を開く人影。
中世の騎士を思わせる白を基調とした鎧を羽織り、その手に一本の槍を携える人物。
見られているだけ、声を掛けられただけだと言うのに全身を襲う悪寒と圧倒的な重圧―――それは『覇気』と呼ばれるモノだと気付くまでにサーゼクスは時間を要した。
『ほう……私の気に中(あ)てられても正気を失わないか、結構。
“上級悪魔”や“王”などと己で勝手に冠し、実力の伴わぬ烏合の衆とは違うようだな。
なれば貴公に“我らが主”からの届け物と伝言を託させて頂こう』
白鎧の槍騎士が手にした槍をサーゼクスの政務用の机に向ける。
一瞬だけ輝く光―――眩しさに瞼を閉じたサーゼクスが目を開くと、其処には幾つもの書類とテープレコーダーが置かれていた。
訝しげな表情でありながら書類に手を伸ばし、生身を確認する―――
内容は彼の予想だにしない、ライザー・フェニックスと冥界上層部(元老院)の癒着や冥界でも問題となっているドラッグ・Infernoの出自、更にはライザーが元老院との癒着のやり取りが録音されていた。
更に、サーゼクスにとっては昔から親友の一人だったフェニックス家の長男・ルヴァルが父親や母親、次男と共に下劣な方法で“壊された”際の音声まで記録されていたのだ。
『―――それの利用法は貴公に託す、それが“我らが主”の御言葉だ。
それともう一つ我らが主から伝言がある―――『狩りの邪魔をするな』との事だ、確かに伝えたぞ?』
言うだけの事を言うと、まるで空間に溶け込む様に姿を消す白鎧の槍騎士。
唐突にして突然の事に頭が付いていかないサーゼクス、暫く呆然としていたがノックの音に正気に戻る。
中に入って来たのはグレモリー家のメイドにしてサーゼクスの妻・グレイフィアであった。
……無表情なのだが、心なしか困惑したような様子にも見える。
「サーゼクス様、お忙しい所失礼します。
このような時にお聞かせするには不向きな内容なのですが、急を要するので。
―――実は冥界上層部の挙動を監視する為の使い魔の報告により、何名かの死亡が確認されました」
語る内容にグレイフィア自体も困惑している。
詳しい話によれば冥界上層部の中でも発言権が強く、現魔王体制を嫌悪する元老院のメンバー何名かが原因不明の死を遂げたのだと言う。
状況は凄惨、普段は感情を表に出す事が少ないグレイフィアが使い魔の眼とリンクした映像を見た瞬間、吐き気を催した程に酷い状況だったそうだ。
「元老院のメンバーが殺されたというのか―――
一体誰が……グレイフィア、その原因不明の死を遂げたのは誰なんだい?」
使い魔からの報告を確認し、犠牲者の名前を口にするグレイフィア。
名を聞く度に表情が変わるサーゼクス、原因不明の死を遂げた元老院のメンバーは全てライザーと癒着していた者達ばかりだったのだから。
「……? どうなさいました、サーゼクス様?」
「いや……何でもない……」
グレイフィアが言葉を投げかけるが、サーゼクスは安心させるように何時もの表情に戻っていた。
先程の人物が何者かは解らない、しかし『この件』に関わっている事は明白だろう。
サーゼクスはふと姿を消した白鎧の槍騎士の残した言葉を思い出し、その意味を理解し、ある結論へと至る。
それは――――――
「―――そうか、本当に存在するのか。
アジュカの眼を欺き、存在の一端すら掴ませなかった存在―――“幻影の狩人”が」
独り呟いた後、何かを決意したかのような表情を見せるサーゼクス。
間近に迫る妹の結婚式の為、彼は衣装を着替えると力強い足取りで式場に向かうのであった。
大切な妹の未来を守る為に……そして確実に姿を見せるだろうと確信した、冥界で最も恐れられる『姿無き狩人』の動向を見極める為に。
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運命とは残酷なものだ―――目の前の鏡に映る己を見ながらリアスは小さく呟く。
鏡に映る己の姿、それはどう贔屓目に見ても“花嫁”などではない……必要最低限の部分を覆うだけの破廉恥極まりないウェディングドレスと首に填められた首輪、さながらそれは性の捌け口とされる奴隷の如く。
情けなくて涙が出て来る……頬には一筋の涙が伝う。
この淫猥な恰好から理解出来る、ライザーは己の事を“妻”ではなく“肉奴隷”程度にしか考えていない。
式の中で己を犯す事で上下関係を強調し、一生逃げる事の出来ない状況を生み出そうと考えているのだろう……さもなくばご丁寧に『奴隷としての契約』をさせる為の術式を首輪に刻み込みはしないだろう。
結局己は何も変わらなかった、何も変える事が出来なかった。
力が欲しい―――
周りの皆を護れる力が、困難を退けられる力が、不条理に打ち勝てる力が。
夢を叶える力が欲しい、未来を変える力が欲しい―――だが、現実はもう決して覆る事は無い。
「―――リアス様、お時間です」
ライザーの眷属の一人が己を呼びに来た―――最早逃げる事は出来はしない。
いや……元々逃げ道など無かったのだろう、ライザー・フェニックスに目を付けられてしまった時から。
ならば己に出来る事は、少しでも大切な眷属達に不安を与えない事だけだ。
例えどんな仕打ちに遭おうとも涙は見せずにいよう。
朱乃にも、小猫にも、裕斗にも―――愚かだった主の事など忘れて、生きていって欲しいから。
―――不意に一人の人物の顔が浮かぶ。
歪んでいた己を救い、大切な事に気付かせてくれた―――大切なヒト。
彼の時には不敵で、時には朗らかで、時には優しく、そして時には悲しげな笑顔を見ているだけで心が暖かくなった事を記憶している。
「……ああ、そうか……私は……」
其処でリアスは気付いたのだ、彼に向けていた想いが何なのかを。
本当に運命とは残酷なものだ―――こんな時になって改めて己の心の奥底にあった感情に気付くなどと。
例えばこの想いにもっと早く気付き、それを彼に口にしていたら今は変わっていただろうか?
だが、全てはもう遅い。
式が終わり、奴隷としての契約の儀式が済めば明日から待っているのは欲望の捌け口になるだけの生活だろう。
せめてもの救いが一つあるとすればそれは……例え肉奴隷としての生活が待っていたとしても、愛しきヒトへの想いを胸にいれば少しでも長く耐えられる事位か。
ある意味、狂って全てを忘れてしまった方が幸せなのかもしれないが―――
静かに目元を拭うとリアスは歩き出す。
己の想いは貫かれる事はあるまい、ならばせめて大切な人々に幸福を。
悲痛な思いを胸に控室を出た彼女は羞恥に耐え、己の主となる男の待つヴァージンロードを歩き出した。
悲しげな眼で見つめる朱乃、小猫、裕斗。
まさか娘が親類しかいないとは言え、公衆の面前に裸同然の格好で出て来た事に言葉を失う両親。
異議を唱えたくとも唱える事は許されない……彼らもまたライザーによって脅されていた故だ。
くすくすと笑う声。
蔑んだ目でリアスの痴態を見つめるライザーの眷属達。
共に近くに座るライザーの両親、兄達、親類達は興味もないような目で見つめている……生気のない人形の如く。
まあ当然だろう、彼らは既に壊れている―――此処に居るのは人の形をしているだけの形骸に過ぎない、勿論それを理解しているのはライザー本人だけだが。
ヴァージンロードを歩き終わり、ライザーの横に立つリアス。
下卑た哂いのままジロジロと己の身体を見るライザーに嫌悪を抱くが、それを口には出せない。
悔しい―――力が無い事が、不条理を覆せない事が、何よりこんな下種男の妻と言う名の奴隷にならなければならない事が。
「ククク、怖い顔をするなよリアスぅ~。
俺達は夫婦になるんだろ? だったら夫になる俺に笑顔位見せてくれよぉ~。
それとも何だ? この後に待ってる事に興味が沸いちまってるのか? まあ楽しみにしてろよ、お前の眷属や親族や……お兄様の前で確り犯してやるからよぉ、ククククク!!」
ライザーの言葉が終わると共に見届け人らしい人物の言葉が始まる。
虚ろな目をしている所を見るとこの人物もライザーの操り人形の様なものなのだろう。
『永遠の愛を誓うか』―――その言葉がリアスの耳に響いた時、遂に時は来てしまったのだと察する。
愛を誓い、誓いの口付けを交わす事で契約は成立する。
最後に待つのは皆の前で無残に純潔を散らされる行為―――それで全ては終わる。
抗う手も無く、運命に翻弄されるままに、リアスは頬に涙を流す……視界は歪み、滲み、それでも気丈に彼女は流れる涙を払うと呟いた。
「―――さようなら、愛しい人」
その言葉を向けたのは本気で心から愛した人へ―――
涙を堪え、誓いを口にしようとするリアス……しかし、その誓いの言葉が最後まで紡がれる事は無かった。
―――バリィィィィィィン!!
何故なら―――式場のステンドグラスを割り、何者かが飛び込んで来たからだ。
華麗にリアスとライザーとの間に着地し黒いマントを翻す白い仮面の男、蝶を模った面を付けた黒いドレスの淑女―――二人の手にはライザーに向けて其々の手に携えられた拳銃が向けられていた。
「な、何だ―――誰だ、テメェらはぁぁぁぁ!!!!!!!」
怒声が響くがそんな事などどうでも良いかの如く躊躇なく引き金を引く二人。
ライザーの頭が一瞬で破裂し吹き飛ぶ、だが不死鳥にそんな攻撃を撃ち込んだ所で倒す事は出来まい。
案の定、急速に炎が立ち上り再生される頭―――それを想定していたかのように黒マントの人物はリアスを覆うようにマントを翻すと被せた。
その中でリアスにだけ見える角度で、顔の上半分を覆う白い仮面を外しながら、不敵な笑みを浮かべて。
「―――I am the Phantom of the Opera, The Ugliest creature on earth?
(―――私はオペラ座の怪人、思いの外に醜いだろう?)
and as the fires of hell burn this ugly creature, I still dream of a place in heaven.」
(この禍々しき怪物は地獄の業火に焼かれながら、それでも天国に憧れる)
オペラで有名な一小節を呟きながら不敵に笑うその人物は―――リアスが想いに気付いた青年。
本来ならば冥界に関わらず、淡々と仕事を遂行し、故に正体は知られる事ないというのに最も恐れられる“狩人”。
頬に涙が伝う、悔しさから流れていたものとは別の感情の。
胸が熱くなる―――誰よりも手を握り、抱きしめられたかった青年の登場に。
「待たせたなグレモリー、いや“リアス”。
独りでよく頑張った―――あの日お前は自分の夢を貫くと誓い、恥辱に塗れながらも大切な人達を護った。
だから今度は俺の番だ……お前の夢を貫く為に立ち塞がる障害や壁の全て、俺が貫いてやるよ」
再び仮面で顔を覆い、リアスを護るように立つ仮面の狩人。
その横にそっと寄り添う蝶の仮面の淑女―――後に更に冥界を震撼させる事となる二人の狩人が今、誇り高く優しき“紅色の髪の姫”を守る為に降臨したのであった。