の前に、
お気に入り百四十人突破!!
UAは一万八千突破!!
皆々様の御心のお陰で御座います!本当にありがとうございます!
☆
カナちゃんーーーー
カナちゃんーー
またーーーー
会おうねーー
バッ!布団がめくれ落ちる音と共に、寝目覚めの悪い夢を見た少女、家長カナは起床する。
最近、めっきり見ることは無くなっていたと言う夢は、十三歳の誕生日の日に唐突にやってきた。
「また、あの夢を見ちゃった……。六歳の時から、繰り返し……見る夢……」
★
〜奴良組本家〜
妖銘酒「桜」を手に取り、僕は明鏡止水の訓練を始める。
杯に並々「桜」を満たし、準備は完了。
前、犬夜叉に言われたことがある。
人間に妖力は使えないと。
わかっているのだが、僕は世間一般の人とは違う。
あの妖怪の総大将、ぬらりひょんの血が四分の一も流れている。
「おお」
「お?若?」
黒田坊と首無の声が聞こえる中、僕は技を発動させる。
成功させれば、まずは第一歩前進したことになる。
ーーーー奥義・明鏡止水!!桜!!ーーーー
杯に並々入った「桜」は渦巻き、火を散らして燃えあがる。
……犬夜叉、僕は出来たぞ。人間の身で妖力を使う事を。
「やりましたな!明鏡止水の完成です!!」
「見事な明鏡止水です!拙僧は、早速赤飯の用意を……」
「大袈裟だよ、二人とも。まだこんなのは序の口なんだから」
二人の世辞がどうにもむず痒いが、本当にまだ完成はしていない。
未完成のまま、出入りの時には使えない。
もっと強くならなきゃ。
心中は穏やかとはかけ離れた、荒々しい思考の渦の中、おじいちゃん(年齢詐欺)と父さん(年齢欺騙)の声がかかる。
「おう、リクオ。成功したんだな、明鏡止水!ありゃー、儂がまだ若い頃に考えた奥義でなぁ。それをああも容易くできるとは、さすがは我が孫じゃわい!」
「そうだなーぁ、俺も若い頃に出来たから、センスがいいんだな!俺もリクオも!」
「二人とも、飲んでる?少し酒の匂いがするけど……」
ギクリと音が聞こえそうなぐらいに瞬間的に固まる二人は、なんだか見ていて面白い。
「総大将?」
「二代目?」
黒田坊と首無に問い詰められた、二人はバツが悪そうに、鏡花水月のもどかしさが如く消える。
如何やら逃げたようだ。
「総大将ーー!!」
「二代目ーー!!」
黒田坊達は、二人を探しに走って行ってしまった。
なんとも間抜けな我が祖父に父。
そんな二人に少し、少しだけ安心しながら学校へ行く時間なので、行くとする。
♦︎!家長カナ!
学校の機械的な鐘が耳を通り抜けながら、私の心臓は動悸していた。
男子生徒の子の気持ちは嬉しいけど、今は、あの人が気になっていて……。
「あの……、ごめんなさい」
「あ…………そう、です……か。ハハ……。す、好きな人が………………いるからですか?」
「き、気になっている人なら…………」
彼の質問に首肯すると同時に、声を上げてどこかへ行ってしまった。
☆
〜浮世絵中学、屋上〜
関西方面の独特の訛り混じりの言葉が、高く響く。
標準語もそれと等しく、高い声で響く。
「ハイ!そこ!!ちゃう!!式神の構えは『こう』や!!恥ずかしがったらあかん!!」
「そうよ!これは逃げのためのものではないわ!妖怪に気持ち負けしない『凄み』よ!!」
愛の鞭、将又熱烈指導?とにかく真剣に教えてくれる、陰陽師の花開院ゆらと、巫女の博麗霊夢。
その指導を受ける鳥居夏美と巻沙織は、とても珍妙な踊りで本当に大丈夫かと頭を抱える。
二人が指導を受けている中、家長カナは一人、奴良リクオの事を望遠鏡で見ていた。
望遠鏡から見えるのは、日暮桂花と及川氷麗(雪女"氷麗")と共にクラスの雑用をしていた。
(あ、あの子達はリクオくんの事が好きなのかな?だ、だとしたらどーしよう……って、私は何考えてるだ!?ただ、リクオくんにスペアの眼鏡を返そうとしただけで……)
長く思考していたが、終ぞ答えは出ずに、 先に彼女の頭がオーバーヒートしたようだ。
リクオの事を考えすぎたせいで、カナは赤面する。
然し、如何にも悩んでいられず、あの夢のせいで、今日はどこにも寄らず早く帰りたい気持ちで一杯だったので、そそくさと帰ろうとするが、清継に捕まる。
如何やら、誕生日プレゼントをくれるらしい。
一つの箱が手渡され、其処にあったものは、呪いの人形的なナニカがあった。
「それは家長さんをモチーフにした妖怪だよ!」
清継が嬉々として語っている。
カナは、思考を停止させた後、コンマ一秒程の速さで階段へ向かう。
声をかけられた気がしたのだろうか?少しだけ振り返ったが、歯牙にもかけなかったようだ。
教室に移動して、メインバッグを机の引っ掛けから取ると、如何にも悪い夢を見たせいか、突然睡魔が襲ってくる。
酷い眠気で、直ぐに意識が遠のく。
起きたら、夕焼け小焼けの夕飯時だった。
夢を見ていた。また、あの夢を。
カナは怖がりになった原因をこの夢のせいだと想起したが、今は意味のないことだと断じて思考を取り下げる。
ーー瞬間、ゾワッと全身の毛が逆立つ感覚を覚える。
怯懦な性格で、怖いのが苦手な彼女は、早く帰ろうと足を進める。
その頃、清継達はある話をしていた。
「『紫の鏡』の話を知っているかい?諸説あるが……その言葉を二十歳まで覚えていると殺されてしまうっていうね!」
清継が影の差した顔でそう言うと、反論が飛ぶ。
「うげげげげげぇ〜〜!覚えちゃうじゃない〜〜!!」
「そーだよ!やめよーよ!」
沙織と夏美は、あまり怖がりではないが、精神的嫌悪感が強く働いたらしい。
「まぁ、聞きたまえ。……実は、この町で七年前に起きているんだ。『十三歳の誕生日』に死んでしまった子が何人も出たという事件が」
ゆら、霊夢、沙織、夏美、二郎は息を飲む。
「ボクは……それが妖怪の仕業じゃないかと思うんだよね」
♦︎!家長カナ!
駅ってこんなに遠いものなのかと思考していた。何時もなら二、三分くらいで着くはずの駅が、もう五分もたっているのに一向に見えてこない。
見えてくるのはさっきから無機質なコンクリートとフェンスだけだ。
すると、私は感じ取ってしまう。如何にも、見てはいけないような類のものを。
反対からくる、自転車?
その上に乗っているのは何?
「みぃつけた」
自転車に乗っている正体は、あの夢に出てくる鏡だった。
「ひ……う…………あ……」
声が出ない。
恐怖心が強すぎて、口が回らない。
……堪らなく、怖い。
嫌だ、嫌だ、嫌だ!!
「十三歳のお誕生日……おめでとう……カナちゃん」
に……逃げ………逃げなきゃ…………足を……足を出せ。
必死に、震える体を押さえつけ、一歩踏み出し、大きな声を出して逃げる。
私には、もうこれしかない!
「う、うわぁぁぁぁぁぁあああ!」
私の中で渦巻いていく疑問と恐怖。
それが絡み合って心と体を締め付けていく。
「にげ……られないよ……」
あの鏡がそういった瞬間に、視界が反転して、なぜか後にしたはずの校舎の中に居た。
直ぐに機転を利かし、理科室に逃げ込む。
私は確かに学校を出たはずなのに、今、何故か学校にいる。
あり得ない現象が重なってか、肉体的疲労よりも精神的疲労の方が強くなりつつある。
自分でもわかるぐらいにひどく息を切らしているし、動悸が酷い。
バックがもぞもぞ揺れている。
何事かと覗いたら、手鏡にあの鏡がいる。
「ここ……狭いよぉ……」
まただ。視界が反転して何処かの男子トイレにいる。
……!
「きゃぁぁぁあああ!な、何!この人形!」
一際目立つ不気味さと、不細工さを兼ね備えた気休めにもならない道具。
それがバイブ音を鳴らし振動している。
『やぁやぁ、家長さん!実はこの人形、清十字怪奇探偵団の通信機になってるんだよーん!』
そんな事実、聞いていなかった。
というか、言ってすらいなかったよね。
前言撤回、気休め程度にはなる。
「た、助けて!清継くん!!いま、妖怪に襲われてて、この学校の男子トイレにいるの!」
『な、なんだって!それは、直ぐに助けないと!!待っていて!』
スピーカーの後ろから、霊夢ちゃんとゆらちゃんの声が聞こえてきた。
少しだけではあるが、精神は落ち着いた。
……!あっちにゆらちゃん達が!
「ここだよ!ここ!!ねぇ!…………嘘、見えてない……?ここは鏡の世界?」
絶望しかないというのは、この状況に使われるべき言葉だろう。
希望も何もない中で、声が聞こえる。
「カナちゃん!?真逆、妖怪!?」
鏡が壊される。
あ…………あ、い…………や。も、う。
ダメ!そう思った時、如何やら神様は見逃してはいなかった。
「オレのシマで女に手ェ出してんじゃぁねぇぞ」
あの人が助けに来てくれた。
リクオくんとは別に気になっている、あの人。
あの人は、とても怒っていた。
鏡に対して、凄く。なんでだろうかと悩んだが、全く出てこない。
瞬く間に鏡を壊し私を救ってくれたあの人は、放心状態の私に声をかけてくる。
「気ぃつけな。ここは怖いから」
「あ、ありがとう……」
こうして、私はあの人に助けられたのである。