奴良リクオになりて、妖生を謳歌する。   作:村椿征

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だんだん更新が遅れて行っていると確実に思っている私こと、征でございます!
いやしかし、最近寒くなってまいりました。
みなさま、風邪を引かぬよう、暖まれてお読みください。
それでも寒い人は、お飲物をば飲んでください!
では、どうぞ!!


不穏な風が迫る時

〜化け猫横丁、店前〜

 

三郎猫が店前で掃除をしていると、怪しい影がゆらりと近く。

体格はとても男とよくわかる体つきで、中肉中背のボロボロのカッパのような衣服に、シルクハットのような黒い帽子を身につけている。

三郎猫は気づいて、その男に声をかける。

 

「あ、スイマセーン!もうすぐ夜明けなんで……閉店ですー!」

 

男が口を開いたと同時に風が三郎猫の周りを駆けてズタズタにしていく。

 

「!?うがっ!!」

 

血反吐を吐き、体を引き裂かれて三郎猫はばたりと倒れる。

数人の化け猫達が寄って来て、三郎猫に声をかける。

 

「どうした!突風が吹いたと同じぐらいに三郎猫が!」

 

「しっかりしろ!三郎猫!!」

 

 

 

 

〜通学路〜

 

僕、奴良リクオは昨日盛大にやらかした。何が【もう関わっちゃいけないぜ?】だっ!

カナちゃんが妖怪嫌いなのは、僕が他の人より知っているはずだ!

なんて嫌がらせをしたんだと、そう思ってしまうのは気のせいではないはずだ。

しかし、やってしまったからにはもう後の祭り。夜の僕は何か詩人を気取っているように流れ者を体現している。

オブラートに包まない言い方をすると冷ややかである。

 

「おはよう」

 

驚いて後ろを振り返るとカナちゃんがそこにいた。

どうやら、僕は自分の世界に入り込んで長考し過ぎていたせいか、後ろから近くカナちゃんの存在に気づけなかったみたいだ。

だから、少しどもってしまったのだろう。

 

「かか、カナちゃん!?き、昨日はっととと!!なんでもないなんでもない!」

 

言葉の上で空回りをしているみたいで、すごいもどかしいことになってしまったが、言葉にしてしまったのでもう遅い。

訝しげな目でこちらを見てくるのは当然といえよう。

だが、カナちゃんが差し出して来たのは、そう差し出して来たのはメガネである。

捩眼山で落としていたのだろう。どうりで見つからないと思った。

というか、僕はメガネを落とすという、典型的失敗をしてしまったことによる羞恥とで顔が真っ赤だ。火山ができて爆発できる自信があるねっ!

 

「リクオくん、……あなたに聞きたいことがあるの」

 

不穏な空気が流れ出る。何を問いただされるか皆目見当もつかないが、果てしないオーラを纏っていた。

 

「へ……?」

 

「今までの行動を思い返して見て……、私思ったんだけど。リクオくんがいるところに毎回彼がいるの……。昨日の鏡の時だって。もしかして、リクオくんさ……」

 

はい、ヤベー。

これやべー。

絶対気づかれただろ、これ。

これは成すすべもなく終わってしまうのか。バットエンドなんて嫌だよ?まだ人生を、いや妖生を謳歌していない。

さぁ大ピンチかと思い覚悟を決める。

その次に口を開いた時に出て来た言葉は……

 

「リクオくんってさ、彼のお友達なんでしょ!?」

 

ぇぇええええ!!!

絶対に気づかれると思っていた、しかし気づかれなかった。

これほど嬉しいことは今ないが、カナちゃん、流石に気付こうよそこは。

僕なら二、三秒かからず溶ける自信があるね。

まぁ、バレなくてひと安心と小さな吐息を漏らし、空を見上げてみる。

これは夜の僕に惚れたな、うん。

自画自賛と、自己満足が混じり合い、他の人間が僕の考えを読めるとしたなら、僕はとんだ自信家で、自意識過剰の阿保に見られるだろう。

聞いてくれ、僕の夜の顔は誰よりも顔がいいと思う。いや、自慢とか自己満足とかではなく、事実を述べているだけなのだ。

まぁ、この時点で自意識過剰ではあるが。

この後、滅茶苦茶カナちゃんに追い回された……、悲しい。

 

 

 

 

 

 

♦︎

〜狒々の屋敷〜

 

「ワシを誰だと思うとる、大妖怪、狒々様じゃぞ?貴様程度になぞ負けるものか」

 

大妖怪、狒々。奴良組でも中々の古参の一人。とても強く、たくましい。

彼の腕っ節の強さにおいて、右に出る者もいなかった。

しかし、それは今は昔の話。

謎の男の襲撃により、体はもうボロボロ。

満身創痍で、立っているのがやっとの状況であるが、プライドと奴良組の誇りで立っている。

 

「貴様はもう終わりじゃ、中々強かったと褒めてやろう」

 

その男が腕を下に下ろした瞬間、ありえないぐらいの風が狒々の顔面めがけてとんでいき、つけていた仮面が壊れて吹っ飛んでしまい、絶命してしまったのは、火を見るより明らかだろう。

果たして、謎の男の正体やいかに。

奴良組には、何かの影が刻一刻と迫って来ていたのであった。

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