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〜狒々の屋敷〜
リクオがカナに追い回されているのと同時刻に、不気味に笑う影が二つ、三つ。
その影たちは一人の男を筆頭に動いていた。
一つの舌が出ている影が言う。
「これなら、奴良組は楽勝なんじゃねぇの?弱体化こそしてはいねぇが、一週間とかかんねーんじゃね?」
そう言い終わると、狒々の死体に紙を置く。
無残に散らかった死体に泥を塗るような行為。しかし、彼らの目的は奴良組の破壊が目的であった。そのため、その行為は彼らにとっては正当性のあるもの。
「奴良組は今は脆い。まるでコンビニで買えるプリンの様にね。……切り崩すのは簡単さ、頭がなくなればすぐに崩壊してしまうだろう」
「頭」
「そうーー奴良組の総大将。いや、妖怪の総大将ぬらりひょんは四国八十八鬼夜行がーーーー殺るよ」
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〜狒々の屋敷〜
そこに三羽烏が来たのは数時間後の出来事だった。
最初にトサカ丸が口を開く。
「なんだ……?これは…………!狒々様の組が……、全滅しとるじゃねぇか……っ!」
彼ら彼女らの目に映ったものはとてもひどい惨状だった。
死屍累々、もっと悪く言えば屍山血河。
とにかく酷い状況であるのは間違えない。
ささ美が状況整理のために確認する。
「狒々様は前回の総会にいらっしゃらなかった。狒々様は奴良組幹部の中でも長老格の大妖怪。しかも構成員三百匹の大所帯。それを一晩で片付けたとなると相当の手練れ」
ここで言い終わると、溜息を漏らす。
焦った時の焦心から解放された時の安堵感ではなく、怒りだ。圧倒的な怒り。狒々をその様に無残にした相手に対する、一切混じり気のない怒り。
その殺気を露わにしたささ美を、黒羽丸がなだめる。
「落ち着け、今は落ち着くのだ。風が狒々様を切り裂いた。うちのものでない、外部の悪意を持った攻撃だ」
「風と言えば、昨日の化け猫のところで事件があった。なんでも三郎猫が風に当てられて重症だそうだ」
「未知なる……敵勢力か?」
三羽の烏天狗たちは顔を見合わせ、どす黒い表情になる。
「すぐに親父に報告しろ!!奴良組の本部に警告を通達!犬夜叉様や、一つ目様たちの大妖怪クラスの方々にも護衛をつけろ!」
「初代と二代目をお守りするんだ!」
そうして三羽烏達は奴良組本家へ通達したのである。
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〜電車〜
僕は今、通学路にある電車で学校に向かっている。そっちの方が近いし、確実であるからだ。
護衛はいらないと前に氷麗達に行ったはずなのだが、牛鬼の一件があってから、皆の過保護っぷりが凄まじい。
ほら、あそこに首無が……、あ、やばい!首、首が!
うん?あそこにも、水かきがついている手の……、河童じゃないか!
青に黒までいる。
そうしてみていると電車が揺れて盛大に自分の体が持っていかれる。
むにゅっと気持ちいい感触に包まれて、ハッと気づく。
「ちょちょちょ、毛倡妓まで〜〜!?」
どうしたことだろう、こんなにも多いのは流石に聞いていない。
ていうか、これカラスが仕組んだことだろう?まぁ、わかってはいたさ。うん。
「リクオ様!そのまま学校までお供してまいりますからね」
「え?ええ?」
当然女性に免疫のない僕はしどろもどろになり、口数が減る。
僕は昔からそういう子供だった。
しかし、ここで氷麗からストップがかかる。
「ちょっと……、そろそろ若からはねれましょう毛倡妓!!あつくるしいでしょ!」
「無理よ……この状況じゃしょうがないでしょー」
「リクオ様もいつまで挟まっておられるのでしょーかぁ!?挟まれたいのなら、いつでも私に言ってくださいまし!」
「いや、違うんだよ氷麗。そして、女性がそんなはしたないこと言っちゃダメだよ?」
そんなこんなで、僕たちの慌ただしい電車の時間が流れていく。