ーーーーーボーダー本部・特別会議室ーーーーー
「会議を始めよう。忍田本部長、報告を」
「本日の議題は明後日からの二週間の近界からの侵攻予想についてだ。レプリカ特別顧問の軌道配置図によると、今我々に最も接近している惑星国家が離れるのが二日後。それから二週間後に他の惑星国家が接近するまで、地球にトリオン兵を出現させられる距離には惑星国家が無い空白の期間となる。これは鬼怒田開発室長、私が確認済みだ」
「正確には未確認の乱星国家以外は、だな。そんな物の動きはどうやったってわからん」
「そのためにこの実力派エリートに街を練り歩かせたんでしょう?忍田さん」
「そうだ。トリオン兵が来る未来は確認できたか?」
「一応かなりいろんな所見て回ったけど、誰も攫われる様子がなかったし、行方不明者が出てるニュースを見てる人もいなかったよ。どれだけ確率の低い未来にもネイバーが関わってくる未来はなかった」
「ふむ…。なら、その二週間の間はやはり空白の期間になるだろうな。どうする?城戸司令」
「……。唐沢営業部長。資金の方はどうなってる?」
「まあ、余裕がある、とは言えませんね。第二次大規模侵攻で破壊された建物、市街地、市民への保証と隊員への特別報酬。多少は工面しましたけど、予想外の支出としては痛手です。スポンサーに名乗りを上げてる企業こそ多々いますが、実際にはまだお金を出すのを渋ってますね。『近界遠征』っていうネタの真偽を見極めるために慎重になってるのかと」
「やはりそうか…。では、トリオン兵が出ないであろう期間に隊員を無意味に防衛任務につかせる必要もない。明後日からの十四日間はーー……」
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特別会議終了後、ランク戦のロビーへ向かう二人の隊員がいた。
「いやー、城戸司令も面白い事考えるね。なぁ?風間さん」
「面白いかどうかは置いておくが、解決策としては最善だろう。これ以上ないくらいにな。トリオン兵が出る確率が限りなく低いからといって、絶対に敵が来ない確証はないから全隊員を休みにするわけにはいかない。トリオン兵が来ない事をわかっていて隊員を待機させておく資金もない。しかし、ランク戦休止期間だから防衛任務がなければ本部に隊員はほとんどいない。普通に考えてどうしようもないからな」
「普通にシフト組んでずっとただ働きさせるなんてブラック企業の真似事もよくないしねー。まぁ、あれならみんなモチベーション保てるどころか上がるだろうし」
「一部の試合はスポンサーへのアピールとしても使えるようだしな。『資金の節約』『一定数の隊員を本部に待機させる』『近界遠征に食いついたスポンサーに絶大なアピール』これらをすべて解決した上でボーダー隊員の実力の底上げもきちんと計られている。最近はゴタゴタしててあまりこういうのがなかったから、やる気のある奴は飢えてるだろう」
(なにより、面白そうな人材も増えた…)
A級三位部隊、風間隊隊長の風間の頭の中には、24敗しつつ自分から引き分けを取った隊員が浮かんでいた
前線で戦いつつも、組織の運営に尽力し、後進の育成にも気を回すほどの器が、彼が彼たる所以だった
「いやいや、風間さんちょっと人事すぎじゃない?風間さんも出なきゃ。久々にあのチームで組んだらどう?城戸司令が運営は本部でやるって言ってたんだから、参加する余裕あるでしょ?」
「……考えておく。俺より、そういうお前はどうなんだ、迅」
「いやぁー、俺は実力派エリートだからなー。引っ張りだこになっちゃうよ」
自分を実力派エリートと言いつつ、それに見合う結果を残してきた彼には、考え事がいくつかあった
自分が引っぱりだこというのは嘘ではないだろうが、未来が見えるサイドエフェクトがある分、つまり自分の選択によって与える影響の大きさを目に見える形で“視えている”分、行動が選択しにくい、というのがあるだろう
「まぁ、風間さんが出るなら俺も出るよ。というより、俺が出たら風間さんも出る、かな?」
「……お前には何が視えてるんだ?」
風間は、三雲の指示で動く迅も面白そうだ、と言った事を思い出す。個人戦で迅と戦うのはあまり面白くないが、人に使われる迅と戦うのはなかなかに面白そうだ、と
(コイツが三雲とチームを組むなら、俺も出てみてもいいかもしれない)
風間が携帯を取り出し、アドレス帳を開いた所に迅が口を挟んだ
「メガネくんに声を掛けてみるよ。人に使われる実力派エリートと戦うのは、なかなか面白そうだろ?」
「……とことんくえない奴だ」
こんな流れで一時的にボーダー内で自由にチームを作ってチーム戦をする事になった、という体の作品です。