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『作戦室に集合。本部から全隊に話があるそうだ』
という二宮さんからのメールの文面を見て、久々に特別トーナメントをやるのかな、という直感は当たった。
大規模侵攻の時は本部からの指令で動けなかったし、ボーナスがもらえなかったからトーナメントの上位報酬はぜひとも欲しい。
「二宮さんは誰かと出るんですか?」
「いや、出ない。得る物がないからな」
「辻ちゃんはどうするの?」
「俺も出ないと思います。誘われたりもしないと思うので」
「あらら…。そうなの」
いや、辻ちゃん前に誘われてたけど…。
誘ってきた相手が女の子ですぐ逃げたからノーカウントなのかな?
「俺はどうするかなー。とりあえず双葉ちゃん誘ってみようかなー」
ピクッ、と二宮さんが何かに反応した。なんか気に障っちゃったかな
「…少し出てくる。誰か訪ねてきたら俺はもう帰ったと伝えておけ」
「「「了解です」」」
二宮さんがすこし早足に隊室を出て行く。
なんかマズい事言ったか…?
「二宮さん、どうしたんでしょうか」
「ひゃみさんもわかりませんか。犬飼先輩も?」
「いや、知らない。なんだろう。ちょっと加古隊を避けてる節があるけど、あの人女性苦手ってわけじゃないよな?」
「辻くんじゃあるまいしね」
「…やめてくださいよ、ひゃみさん」
「あはは、辻ちゃ…。おっと、ごめん、ちょっと電話でてくる。そのまま戻らないかも」
誰からだろうか。
このタイミングだからチームの誘いかもしれない。
そのまま行く事も考えて、二人にはあらかじめ出ると言っておく。
「「いってらっしゃい」」
携帯の画面を見ると、掛けてきた相手は荒船哲次だった。
同じ学校だがクラスは違うし、アイツがスナイパーに転向してからはランク戦もまったくやってない。
最近関わりが薄いと行ってもいいレベルだろう
「おう、どうしたテツー。もしかしてチームの誘い?」
『いい加減その呼び方やめろよ。チームの誘いだ、一応な』
「ん?一応ってどういうこと?」
『いいからいったん集まろうぜ。こっちはまだ電話する相手がいるんだ』
「まぁいいよ。そしたらどこに集まる?」
『影浦隊の作戦室で』
「なんだ、すぐ近くじゃん。先入ってるよん」
電話を切り、あまり遠くもない影浦隊の作戦室に足を運ぶ。
ついこの間ランク戦でカゲにやられたばかりだ。
なにか仕返しをしてやろう、と少しだけ思う。
アイツポイント没収されまくりで低いし、勝ってもあんまもらえないのに負けるとがっつり持ってかれるの本当におかしくない?
没収されたポイントは元をたどると俺とか村上とかのポイントだから返してほしいなぁ
「失礼しまーす」
「犬飼くんが一番のりかー。いらっしゃい」
「ケッ…てめーもいんのかよ」
「なに、二人だけ?ヒカリちゃんとユズルくんは?」
「二人ともそこそこ早めに出てったよー。気を利かせてくれたみたい」
「テメーも出てけ」
「おいおい、幼馴染みに冷たいなぁ。ゾエ、どう思う?酷くない?」
「この前のランク戦が消化不良だったからかなー。雪だったもんね」
「あー、見た見た(笑)めずらしく最後おとなしかったなぁ(笑)」
「あぁ?!見んなよ!!」
カゲがおとなしくしてるなんて相当珍しい。
小さい頃からヤンチャですぐ手を出す子だった。
見た目のせいもあって、かなり怖がられていた事を覚えている。
自分はコイツが根はいいヤツだという事を知っていて、周りの扱いには腑が落ちなかったし、昔は多少周りとの仲を取り持とうとしていたっけか。
(コミュ力があってみんなの中心の犬飼くんがカゲに構う度、仲良くさせようとするたびに、カゲへの風当たりは強くなるからなぁ…。おかげでカゲは表面上だけ犬飼くんの事が嫌いだし、犬飼くんはそれをまったく気にしてないし…。……いや、もしかして本気で嫌いなのかな?周りに関わるのやめろって言われてるのに自分に話しかけてくるのがうっとおしいとか?でもどっちにしても、お互い大変だなぁ。ゾエさん悲しいよ。しくしく)
「まぁまぁ二人とも、落ち着いて。犬飼くんログで見たよー。小さい女の子追っかけ回して最後はブロックされてたの(笑)」
「見んなよ」
「俺も見たぜ。ダサかったなー、犬飼」
「…みんなして見んなよ」
見んなよ発祥のテツと、二代目見んなよの鋼が来たみたいだ
恥ずかしい物を見られてしまった。
一応言っておくとあの時のトリオンモンスターの子は守備範囲外だ。流石に小さすぎて恋愛対象じゃないよ
「お、荒船くんと村上くんいらっしゃい。村上くん早くない?支部にいたんじゃないの?」
「来馬先輩が本部に用事があったみたいで、一緒に車で来たんだ」
「来馬さんがチャリじゃなくて車?珍しいね」
「人に呼ばれてたみたいだからな。待たせないようにって」
「いきなり呼ばれたのに相手を待たせないように…?すごいね…。ゾエさんも見習わなくっちゃ…」
「ゾエはいまでも相当菩薩ナイズ進んでるだろ…」
「オイ、話を早く終わらせろよ。荒船、穂苅のヤローは?」
「アイツは風邪で寝込んでる。検査行ってないらしいけど、下手したらインフルかもな」
「あぁ、だからこの前休んでたのか」
「そういや村上くんとカゲは同じクラスだもんね」
「当真は?さっき連絡したけど、まだ来てないのか?」
「どーせ寝てんだろ」
「いやいや、カゲは人の事言えないでしょ」
当真とカゲは授業中よく寝てる、って聞いてる。成績もボロボロらしいし、わりと留年しそうなのが心配だ。村上みたいな学習力と、それを上回る荒船の異常さを見習ってほしい。
…冷静に考えて、学習するSE持ってる人間相手に学力で上回れるっておかしくない?どう考えても無理でしょ。絶対おかしい
流石は全国模試でもトップクラスなだけはあるなぁ…
「…先に話を進めようか。今回のチームどうする?またじゃんけん?」
「穂苅くんが休みだとして、六人でしょ?なら二チームに分ければいいんじゃないかな」
「ならカゲとゾエは分けるか。俺と荒船、当真と犬飼はどうする?」
「バランス考えるなら、カゲと鋼は分けるべきだな。俺と当真も長射程もちで分けたいし、そうなるとカゲ・犬飼とゾエ・鋼のペアは確定で、俺と当真がどっちに割り振られるかじゃないか?」
「前衛薄いほうに荒船くんが入ったほうがいいんじゃないかな?ゾエさんと村上くんの方」
「確かに。当真、この前『当たらねー敵相手にやってられるかよ』って言ってカゲの事うざがってたしね(笑)同じチームにしとけばやる気なくさないんじゃない?」
当真がカゲの事をうざがってたっていうのはほんとだけど、カゲも当真はうざいらしい。
なんでも、アタッカーとの交戦中に避けられないタイミングで狙撃された事があるらしいのだ。
正直変態としか思えないけど、なんでも当真以外にも鳩原さんとユズルくんの三人だけには狙撃を喰らった事があるのだとか。
まぁ納得だよね。
鳩原さん狙撃死ぬほど上手いし、ユズルくんは鳩原さんの弟子で当真の弟子でもあるらしいし。
…あ、なんでカゲとゾエの隊にユズルくんが加わったのかわかった。
その狙撃された事がきっかけになったのかな
中学生なのにカゲを抜くとか、そりゃ中学生トップになるわけだ。
この前俺もうまく撃たれたばっかりだしね。
「もしくは、六人でチーム組んで一戦ごとに二人休むとかもあるな」
「ゾエさんはいいけど、みんな全部戦いたいでしょ?どうかなー」
「エントリー期間はまだ少しあるし、もうちょっと様子見るか?」
「ならランク戦行こうぜ。久々にテツと鋼とも戦いてーし」
「ガンナーのくせしていい度胸じゃねーか。ぶった切ってやる」
「……ゾエさんまたポイント毟り取られるの嫌なんだけど」
珍しくゾエが嫌そうな顔をしている。
そりゃそうだろうなー。
アタッカー用トリガーでマスターランクまで行ってるテツと鋼、しかも鋼はアタッカーランク五指に入るって言われてるし、同じ隊のカゲはそのさらに上を行ってる
テツはスナイパーとアタッカーでマスターランク両立。
俺はガンナーでマスターランクだし、遠距離用にチューンしてるゾエとは違って中距離も近距離も行ける。スコーピオンもあるしね
平たく言えば、遠距離でチームの支援をするタイプのゾエが一番キツいって事だ。
全員で集まることはないにしろ、定期的に誰かと誰かは個人戦をしてる。
その中でも、ゾエがランク戦を自分からやろうとする事は見た事がない。やる時は大抵前もって誘った時だけだし、そういうときはレイガストをフリーの枠にセットしてたりする
「まぁまぁ。いいじゃん。もともと少ないんだからあんまり減らないし」
「さらっと酷い事いうね。でもカゲとやるとガッツリ減るけど…?」
「ほんとだよ。お前そろそろポイント没収喰らうのやめろ。こっちまで困る」
「知るか。悔しかったらイーグレットで弾当ててみろってんだ、荒船」
今日、何のために集まったんだっけ。
チーム決めるためだった気がするのに、結局後回しって…。
まぁいいか。今日は気合い入れてポイント取りに行こう。そろそろ増やしておかないと辻ちゃんに抜かされちゃうし
結局チームは決まりませんでした。18歳組の仲のよさは世代別なら作中トップなんじゃないかと勝手に思ってます
……あと、そろそろプロットから乖離しそうでキツいです。新情報ェ…