世界が俺を求めてる 作:ゴーゴー
今回は何書いてるんだろう私。というお話。
そして予告詐欺。ニューヒロインなんていなかった。次回には出せると良いな。
箒ちゃんとの再会やら決闘云々やら、お腹一杯な初日を終えて放課後。初日から寮生活になるとのことなので、部屋割りやら鍵やらを貰うために織斑と話しながら教室で待っていた。
他愛ない会話に花を咲かせていた。授業面倒だったとか、食堂の飯が美味かったとか、これぞ高校生な一場面。こうして青春をもう一度経験できたことについては、あの訳のわからない神様に感謝しても良いかもしれない。
俺達を囲む女子がいなければの話ではあるが……。しかしまぁ、こうしてルールを無視した転生をした代償だと思えばいくらかは気持ちが楽だろうか。
……いや、そもそも転生は俺の望んだところではないのだからやはりおかしい。危なかった。危うくこの状態を受け入れるところであった。
「御山くん、織斑くん、お待たせしましたっ」
しばらく。
山田先生と千冬さんが現れた。
織斑がそんなの聞いてないぞ千冬姉! 織斑先生だ馬鹿者、という今日だけで数度見たやり取りを披露したり、更に女風呂云々と織斑がホモ疑惑をかけられたり、それに俺が巻き込まれたり、薄い本が厚くなったりと考えるだけで頭が痛くなるような出来事があったが些細なことである。……そう思わないと保ちそうもない。誰が助けてくれないだろうか。
女尊男卑でなくてもやれ痴漢だやれセクハラだと男子の立場が弱かった時代を、両手で吊革を持ったりアピールしながら頑張ってきた俺にとっては胃がマッハで赤ゲージへ突入しかねないこの学校は本当に死活問題である。もう一度だけ、誰か助けてくれないだろうか。
「……っと、ここか」
俺に与えられたのは一人部屋。この学園は相部屋とのことなので織斑と同じ部屋かと思っていたがそうではないらしい。千冬さんが言うには貴重な男性IS搭乗者にストレスを与えないための配慮なのだとか。あとハニートラップを危惧して。
庶民である俺にとってこの待遇こそがストレスの原因になりかねないがしかし女子と同じ部屋になるよりはマシなので我慢しよう。こんな時に手放しに喜べるような精神が欲しい。
もっとも、日が経てば慣れて一人部屋最高となるのだろうが。この地位に溺れて男尊女卑思考にならないように気を付けよう。
「……広すぎないか、これ」
明らかに広い。まるで二つの部屋をぶち抜いて一つにしたかのような広さである。というかおそらくその通り。なにしろ出入口用のドアが二つある。
「ん、帰ったかミコト。上着を預かろう。そうだ、風呂か夕食か、どちらにする?」
「え……あぁ、飯で」
「うむ、わかった。温めてくるから少し待っていてくれ」
普通そこまでするのだろうか。この工事もタダではなかろうに。
ベッドなんて二、三人は余裕で寝れるくらいの大きさだしテレビは見たことのない大きさであるし、ついでとばかりにブルーレイやらスピーカーやら高そうなオプションが目白押しである。電化製品に関しては全てが最新のお高いものばかり。
IS学園のパンフレットによれば部屋にないはずのトイレまである。
こんな暮らしを三年間も……。そう考えると卒業後に普通の暮らしに戻れるか不安である。
「よし、できたぞミコト。温かいうちに食べてくれ」
「あぁ、ありがとう箒ちゃ――箒ちゃん!?」
気が動転してスルーしまっていたが何故か箒ちゃんが部屋にいた。なんというか居て当たり前かのような雰囲気でこの部屋に馴染んでいた。エプロンをつけて食卓に料理を運ぶ姿なんてまるで新妻である。
「ど、どうしてここに」
「何を言っている。夕食をご馳走すると約束したではないか」
「……そうだっけ?」
「む、私も怒るときは怒るのだぞ。約束を忘れるのは良くない」
「す、すまん、こんど埋め合わせよう」
「ほ、本当か!」
「……そんなに近寄らなくても嘘は言わない」
ずいっ、と顔を近付けてくる箒ちゃん。興奮した様子で嬉しそうに言った。本当だと言うと、によによと笑顔を浮かべた。
それからいただきます、と一緒に食事をとることにした。因みにメニューは箒ちゃんお得意の和食。とても美味しかったことをここに記しておく。ごちそうさまでした。
「では私は自分の部屋に戻るとしよう。暖かくして寝るのだぞ、ミコト」
「わかってる。おやすみ、箒ちゃん」
「うむ、おやすみ、ミコト」
その後、洗濯物と洗い物と、俺の明日着る服やベッドメイキング、教科書の準備などを済ませた箒ちゃんは自分の部屋に戻っていった。
悪いと思いながらも押しきられ任せてしまったが、心が痛む。本当、何故ここまでしてくれるのだろうか。
……いや、まて。もしかしなくてまだ俺にホの字なのだろうか彼女。
六年ほど会っていなかったので半分忘れていた上にこれほどの時間が空いたので熱は冷めていたかと思っていたが、ここまでしてくれるということは……つまりそういうことである。
……うぉ、マジか……。
罪悪感が凄まじい。端から見れば惚れられていることを利用して周りの世話をさせているクソ野郎である。悪逆非道もいいところである。
しかもこれが相手の好意に気付いていないのならまだしも、気付いていてこの仕打ち。気付いているなら何かしらの返事というか……いやしかし告白もされていないのに返事というのは些か難易度が高い。これで勘違いなら死も同然だ。
そもそも、どういう返事をすれば良いのか。好きか嫌いかと聞かれれば好きではあるが、それが恋愛的なものかと聞かれれば首を捻らざるを得ない。
しかし、告白されたと仮定してみれば満更でもない気もする。我ながらクズっぷりが半端ではないがこれも年齢イコール以下御察しの俺なので仕方ない。拗らせるとこうなる。
というか箒ちゃんがホの字になったのは小学生時代。その年頃に良くある大人に憧れる的な勘違いであるなら俺とくっつくのはよろしくないかもしれない。もっと良い出会いがある可能性である。
だからと言ってその気持ちを“勘違い”だと決めつけるのも良くない。周りがなんと言おうと本人がそう思うのなら、それは紛れもない本物なのだから俺がとやかく言う資格はない。
それどころか、俺の事が好きというのが幻想である可能性もゼロではない。年齢以下御察し特有の妄想も有り得る。
一体どうすれば良いんだ……!
結局答えは出ず。眠れぬ夜を過ごした。思春期って怖い。中身的にはおっさんだけれども。
しかし、この件とは関係ないがどうやって箒ちゃんはこの部屋に入ったのだろうか。鍵がかかっていたはずなのだが……。
「ミコト、朝だぞ」
「……箒ちゃん?」
なんて考えていると箒ちゃんがいた。どうも起こしに来てくれたようだ。
「……どうやって入ってきたんだ?」
「普通に開けて入ってきたぞ」
「普通に……?」
何を言っているんだと首を傾げる箒ちゃん。おそらく鍵を閉め忘れたのだろう。
「うむ、普通に、な」
「まぁ良いや。それより箒ちゃん、ご飯食べに行こう」
「そう言うと思って作ってきた。食べてくれ」
箒ちゃんはそういうと手に持っていた風呂敷を食卓に置いた。風呂敷を解くとお重が現れ、蓋を開けると美味しそうな朝御飯が顔を出した。
「あれ、箒ちゃんヘアピンなんて使ってたっけ」
お茶をいれようと席を立った箒ちゃんのポケットからヘアピンが落ちてきた。
「ああ、持っていると色々便利なのでな」
「へぇーそうなんだ」
そう言って箒ちゃんはヘアピンをポケットにしまい、今度こそお茶をいれに台所へ向かった。
「……色々、とな」
箒ちゃんが何かを言った気がするが良く聞こえなかった。多分、気のせいだろう。
そう思いながらテレビの電源を入れるのであった。
そんな朝の一幕。
どうしてこうなったし。
因みに黄色までは大丈夫。それ以降は多分心が折れて終わる。
や、優しくしてねっ キャルルン♡
はい。