世界が俺を求めてる   作:ゴーゴー

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自ら勘違いして進んで惚れにいくスタイル! 流石セシリアさんやで!

そしてニューヒロイン、隠れたISヒロインといえばこれ! 



 ……いや、そんなことよりお気に入りとかがバグってるんですけど……うぉ、なんだこれ……

こえぇ


06 束さんが俺Tueeeさせようとしてくる

 本日、晴天。

 

 ハイキング日和、昼寝日和、人によってそれぞれではあろうがそれほどに気持ちの良い日である。陽射しも風も程好い。絶好の一言に尽きる。

 

「そんな……!」

 

 どこまでも続く蒼穹の中、降り注ぐ弾丸(レーザー)の雨。十や二十では済まないそれを紙一重に掻い潜り、避ける。

 

 

 ――片や、セシリア・オルコット操る“蒼い雫(ブルー・ティアーズ )

 

 

 ――片や、御山ミコト操る“戦神(ヴァルキュリア)

 

 

 大勢が見守る中、IS学園にあるアリーナにて二機のISが舞っていた。

 搭乗者は代表候補生と素人、ドがつくド素人。誰が見ても結果は明らかである。

 実力や経験、何をとってもブルー・ティアーズ、セシリア・オルコットの優勢であり、勝利は確実であった。

 

 ――あったのだが

 

「くっ、当たりなさい!」

 

 試合開始から二十数分。

 

 それこそ止まっている的を射貫くのと大差ないはずの簡単な試合。いや、試合と言うのも馬鹿馬鹿しい練習にもならない作業。

 

 しかし当たらず。

 

 セシリアの目の前でユラユラと嘲笑うかのように揺れ避けるフルフェイスのIS。

 最小限の動きでセシリアの攻撃を回避し、時に手にした剣で切り裂く。

 

 それがセシリアの怒りを掻き立てた。

 頭にある無駄な装飾――頭部から流れるように伸びた長髪のような金のケーブル――と動きに合わせて揺れるドレスのような腰アーマー。実用性よりデザインを優先したかのようなISに翻弄されるのが苛立った。

 ド素人が代表候補生である自分を嘲笑っているのが腹立った。

 

「お行きなさい!」

 

 スターライトmkIII(レーザーライフル)だけでは弾幕が足りないと判断したセシリアはブルー・ティアーズの名の由来ともなったブルー・ティアーズ(BT兵器)を展開させ上下左右、あらゆる角度から戦神を狙った。

 

 

『――この程度……か』

 

 

 フルフェイスのためか少しこもった声。しかし嫌に通る声。まるで期待外れと言わんばかりの一言だった。

 

 しかし、それに対してセシリア・オルコットが怒ることはなかった。怒りが一周したのか、許容量を越えたのか、その言葉はやけにセシリアの心に突き刺さった。

 

 この程度。

 

 この程度、ですって?

 

 セシリアの脳裏に過ったのはこれまでの記憶。

 両親の死。それ(遺産)に群がろうとする奴らから守るため勉強を頑張ってきたこと。IS適性、BTシステム適性ともにAという優秀さからブルー・ティアーズのテストパイロットに抜擢されたこと。それから練習を重ね、代表候補生となったこと。

 どれもセシリアにとっては誇れることであり、これがオルコット家だと貴族としても誇れることだった。

 

 その全てを目の前の男は“この程度か”の一言で切り伏せた。全てを否定されたかのような感覚に陥った。

 

 許せるだろうか。

 

「ブルー・ティアーズは六機ありましてよ!」

 

 自分の努力を否定され、家まで蔑ろにする目の前の男を許せるだろうか。

 

 答えは当然――否。

 

 ブルー・ティアーズを避け本体へ迫る戦神。対してセシリアは展開していなかったミサイル搭載のブルー・ティアーズを仕掛けた。

 しかしそれらは呆気なく破壊された。もはや回避不可。苦し紛れに乱射するが当たらず。

 

 その絶望の中、セシリアはこの男に負けるかという思いと自分の積み上げてきたものは本物だという確信をもって――成長を遂げた。

 

 

「――曲がれ」

 

 

 遥か後方へ消え去るはずのレーザーはまるで意思を持ったかのように曲がり、再び神を穿たんと迫る。

 ビームの偏向射撃。未習得であったその技術をもってして、神を討つ。

 “BT兵器展開時は自分が動けない”という致命傷をも克服。

 一種のトランス状態。今この時、セシリア・オルコットは国家代表レベルに足を踏み入れようとしていた。

 

 加速するブルー・ティアーズ。圧倒的弾幕。縦横無尽に駆け巡るレーザー達。さながら檻のように乙女を包囲し、ついにはその装甲に傷をつけた。

 それでも差は縮まらず。言ってしまえば装甲に傷をつける程度の攻撃しか通らないでいた。撃てども撃てども、致命傷たり得ない。全力を越えた力でさえも届かない。

 

 けれどセシリアの表情に絶望はない。清々しいまでの笑顔。口角を上げてこの戦いを楽しんでいた。

 

 彼の動きにはまだまだ余裕がある。その余裕から相当な実力を持っていることが推し量れる。それこそセシリアを負かすことなどものの数分で完了してしまうほどに。

 伸びきった鼻をへし折り、セシリアを陥れることもできた。上には上がいると叩きつけることもできた。

 

 であるのにそれをしなかったのは偏にセシリアの実力を引き出すため。女尊男卑に曇った目を目覚めさせ、余計なものを排除し、本来の力を呼び起こすため。彼女の成長を促すため。セシリアのためを思い優しく諭したのだ。

 

「インターセプター!」

 

 既にBT兵器もレーザーライフルも打ち砕かれている。残ったのは不得意なインターセプター(ショートブレード)のみ。勝てる見込みはない。

 

 それでも彼女は戦神のもとへ加速する。

 

 

 

 ――決着は間も無く

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――少し戻って

 

 

「……」

 

 一週間が経った。つまりはセシリア・オルコットとの決闘の日である。

 窓の外には燦々と輝く太陽。これまでに重ねた特訓の成果を盛大に披露するには絶好の日和。

 

 それとは対照的に俺の心は淀んでいた。曇りも曇り、曇天であった。

 

 それもそのはずと言うべきか。前世では考えられないことの連続で疲労困憊。グロッキーここに極めりといったところだ。

 女子という女子の様々な視線を集め、ISという専門的勉学。

 あとコスプレのようなこの制服。この腰に巻いている細いベルトのようなものははたして意味があるのだろうか……。織斑のようなイケメンが着ると様になるのだが、俺だとなんというか、浮いている。

 

 いやしかし、そもそも披露すべき実力も伴っていないのだから憂鬱にもなる。

 この一週間、決闘のためにやったことと言えば剣道のみ。しかも初心者だから服の着方や竹刀の握り方や作法や歩き方など、もはや剣道の“け”の字に突入したかも怪しいレベルで期限がきてしまった。

 体力を使い疲れるだけの日々。文句の一つも言いたいところではあるが「これで勝ったも同然だな」と誇らしげに胸を張る箒ちゃんを見ると何も言えなくなった。言えるはずもあるまい。

 

 良く考えれば何百時間とISに乗っていたオルコットさんにたかが一週間特訓したところで勝てるわけはない。ならば箒ちゃんを責める権利はなく、むしろ懇切丁寧に教えてくれたことに感謝するのが道理だ。

 道着姿の箒ちゃん、眼福でした。ありがとうございます。

 

「……」

 

 ……さて、現実逃避はやめよう。真正面から向き合う他ないのである。背けたいこと山の如しではあるが世の中、そう上手くは回っていない。嫌でもしなければならない場面などいくらでも転がっている。

 それが女尊男卑という男性の立場が低く、しかも男性IS搭乗者ということで、それを良く思わない女性から隙を付け狙われている身である以上、逃げ場は無いに等しい。

 ……おそらく束さんがいるから大丈夫ではある思うが、なるべく迷惑をかける行為は回避すべきである。

 しかしまぁ、気を付ける必要はないだろう。女尊男卑に染まった女性やらが出てくる前に千冬さんが俺を咎めるのは目に見えている。まず気を付けるべきは彼女である。理不尽な暴力は振るわないが、彼女の鋭い視線はある種、暴力より恐ろしい。

 

 もっとも、今回の場合にいたっては小学生レベルのとるに足らない我が儘なのではあるが……。

 

 現実を見ようと宣いながら、またも逸らしてしまっていたがそろそろ相対しなければならない。時間はすぐそこまで迫っているのだ。

 

「くっ、なんでこんなに……ピチピチなんだ……!」

 

 手にしたISスーツを力一杯に睨み付けた。

 

 俺が背けたい現実とはこれ(ISスーツ)のことである。スクール水着のようなピッチリと体に吸い付くのが安易に予想できるそれのことである。

 良く良く考えてもらいたい。これがプールや海ならば、まだ許せる。それでもやはり抵抗はあるが納得はできる。水に入ってしまえば気にならないということも納得できる要因だ。

 

 しかし、だ。

 

 これは名の通り、ISを操縦するときに着るものである。言うまでもないが水に入ることはない。

 想像してくれ、学校の校庭でプールがあるわけでもないのにピチピチの水着もどきを着ている男が立っている姿を。

 

 ……やばくないですかね。

 

 よしんば、それが許せたとしてもまだ問題はある。それはこの上下で分かれている構造にある。

 いや、分かれているのは良い。だがてめぇ、丈の短い上の部分は許さん。

 腹を出すメリットはなんだ。お腹出してると冷えてお腹が痛くなるだろ、ふざけるな、どういう考えでこうなった。そう、開発者には問い質したい。男の露出なんて誰が喜ぶんだ。

 

 ISスーツを着るのを躊躇う理由は他にもある。少し下世話な話にはなるが、ぶっちゃければエロい。

 通常のISスーツの見た目は俗に言うスク水にニーハイである。

 

 マニアックか! 誰だこんなの考えたの! ふざけるな! グッジョブッ!

 

 今回は決闘だけなのでまだ良いとして、今後は実習の時間はそんなエロエロな女子に囲まれて過ごすことになる。

 本当に下世話な話ではあるが俺のアレがアレするのは必至だ。頑張っても一時間もつ自信がない。

 しかもその時の自分の姿は例に漏れずISスーツ。そんなピチピチのスーツでアレがアレすれば丸見えのバレバレだ。そうなってみろ、俺の人生は終わりだ。回復の余地はない。お先真っ暗の悲しい人生の始まりである。終わったり始まったり忙しいことになる。

 

 聞くところによると別にISスーツを着なくてもISは起動するし駆動もする。事実、俺と織斑は普通の制服でそれをした。

 あくまでISスーツは補助なのだ。故に俺はこのISスーツを着ない。

 

 と、問屋は卸さない。

 

「着ろ」

 

 千冬さんの一言で撃沈。俺には勝てなかったよ……。

 

「着るしか、ないのか……」

 

 俺と同じく決闘をする織斑はなんの葛藤もなく着替えて出ていった。そろそろ俺も行かなくてはならない。時間とは有限なのである。

 

「……ふぅ」

 

 深く息を吐き、意を決する。俺も男だ。覚悟はできている。

 

 

 ――着るぞ……!

 

 

 

 

 

 

「遅い」

 

 そんな覚悟は通じず。すいませんと頭を下げたところ、頭上を出席簿アタックが通りすぎた。千冬さんは「避けるか、流石だな。……しかし遅れるのは良くない気を付けろ」と言っていたが偶然である。偶然万歳。

 

「これが御山くんのIS――戦神です」

 

「はぁ、これが……」

 

 専用機が与えられるとは聞いていたが、受け取った今でも実感はない。

 初戦は俺とオルコットさんとのことで戦神に乗り込むことに。

 

 最適化やらなんやら専門用語が並べられたが正直に言えば記憶にないので何一つ理解できなかった。とりあえず、行ってこいとのこと。逝ってこいの間違いだと思いました。

 ともかく、ISを起動しなければ始まらない。 馴れないISスーツ姿に羞恥を覚えながら戦神に手を置いた。

 

 

 

 ――ISに触れたらそこは神殿であった

 

 

 

 訳がわからないとは思うが俺にもわからなかった。

 戦神に触れて起動したらこの神殿っぽいところにいたのだ。説明を求む。

 

「良く来た、我が旦那様よ」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……」

 

「……夢か」

 

「……まぁ、気持ちはわからんでもないが落ち着け我が旦那様よ。これは夢でも幻でもない、紛れもない現実じゃ」

 

 一言で言うなら透き通るような白髪のスタイル抜群の女性がドヤ顔でそこにいた。訳がわからないが、わからないわからないと喚くばかりでは話は進むまい。ならば怪しさ満点ではあるがこの女性の話に耳を傾けるのも悪くはない。

 

「今何か思わなかったか?」

 

「い、いいえ」

 

「……何か腑に落ちんがまぁ良いじゃろ。端的に言おう。儂はこの戦神のISコアじゃ」

 

「……はぁ」

 

「その様子じゃと理解していないようじゃの……。まったく我が旦那様は世話が焼けるのう」

 

 と困った風に言いつつ、嬉しそうに顔を緩めるこの美人さん。ええ……なんなのこの人……。

 そして然り気無く旦那様と俺を呼んでいる辺りに戦慄しつつ、織斑と同じ部類のヤバイ人だと俺の中で認定された。美人なのに勿体無い……。

 

「ISコアは流石に知っておるじゃろ」

 

「それはまぁ」

 

「実はISコアには一つ一つ人格があるのじゃ。これは我が創造主様ですら確定的には知り得ていないことじゃ。存在は知っておるが理解はしていないということじゃろうな」

 

「……それでその人格さんが俺に何か用でも?」

 

「用がなくては会いに来てはならんのか……?」

 

 その悲しそうな顔は卑怯だと思うの。

 

 涙目の彼女の頭を撫でて――撫でさせられて――慰めた。

 それから御満悦の彼女によると、通常のISコアの人格は人前に現れることはないらしい。

 本当の意味で絆を結び、信じ合えたその時に対話することが可能になるとのこと。

 俺、乗ったばかりなんですけどそれは……。

 

「旦那様は特別な存在じゃからな。儂にとってもISにとってものう」

 

 なぁに、その理屈抜きの適当な感じ……。

 

「この戦神に搭載されている単一仕様能力(ワンオフ・アビリティー)の説明を、と思っての」

 

 聞いてみれば俺に会いに来たきちんとした理由があった。

 

「【戦死者を選定する女達(ヴァルキュリュル)】は言ってしまえばコアネットワークを利用したトレースシステム。確かドイツ辺りが開発中のVT(ヴァルキリー・トレース)システムがあったが、それの上位互換の完成形じゃな」

 

 VTシステムがそもそも何かわからないが、要約すれば自動操縦ということらしい。

 詳しく言えば、過去現在を含めた戦闘データを束さんから与えられた上位の権限により抜き取り、その場その場で最適な動きをトレースし戦う、というものらしいが全くわからない。とりあえず束さんすげぇと思っておくことにした。束さんすげぇ。

 

 凄いと言えば、この判断云々やらなんやらはこの美人さん――ユリアがしているとのこと。

 因みにヴァルキ『ュリア』である。名前が欲しいとせがまれてつけたものだ。センスについては何も言ってはいけない。いや、本当に。

 

「あれ、ってことは今も戦っている感じ? 話してて大丈夫?」

 

「ああ、戦っている。もっとも相手が弱すぎて話にならんけどの。この程度の娘、造作もないわい」

 

「『この程度』って流石に『か』わいそうと言うか、なんというか」

 

 一生懸命頑張って育てたゲームキャラをチートで強化したキャラで叩きのめすかのような罪悪感が押し寄せてくる。完全に悪役である。すまないオルコットさん。

 この試合が終わったら不正紛いのチートだったことを告げて謝ろう。そう、心に誓った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「御山さん、いいえミコトさん! 感謝いたしますわ。おかげでわたくし目が覚めましたの。

 そ、それで、あの、よろしければわたくしの特訓に付き合っていただけないでしょうか……? も、勿論二人きりで……」

 

 頬を染め上目使いでこちらを見つめるオルコットさん。

 翌日、あれは束さん印のチートだから云々を言おうとしたところ、その前にこれである。

 ……俺の目が腐っていなくて自惚れでなければオルコットさんはチョロコットさんだった。

 

 

 

 

 

 俺、何かしましたか。

 

 

 

 




ということでIS二次創作お馴染みの“ISコア”さんでした。

オリジナルキャラはあまり出したくないので最初は別の作品のキャラとかをISコアにしようかと思ったけど知らない人がいたらこの元ネタ知らねーよ、となる気がしたので却下。

その結果、のじゃ美人に決定しました。ボンキュッボンです。

今回は強制力というより勘違い系と言う名の強制力でした。




いやいや、そんなことよりですね。

お気に入り登録とか評価人数とかが見たことない数値になって戦慄しました。

前話投稿した日に四十数人のお気に入りが増えて喜んでいたら次の日まさかの三百越えの増加。
みるみる増えるそれに恐れて戦きました。なんだ、誰かの陰謀か、上げて落とすやつか、とテンパる私。

一時期真っ赤に戻ったり、恐怖に震えてました。

いやしかし嬉しいものは嬉しいもので。ニヤニヤが止まらなかった、本当。

だからこそこの話が受け入れられるのかとビクビク。

ともかく、皆さんありがとう!

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