世界が俺を求めてる   作:ゴーゴー

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※2018 11/19
 詳しくは活動報告の方へ。08は旧08と09を連結し、少しだけいじった、ほぼ変わらない話です。


08 皆が俺の記憶を曖昧にして織斑が張り合ってくる

 ISを起動する度に現れるユリアと謎の神殿で喋ったり、気が付けば千冬さんやクラスメイト達に称賛されていたり、セシリアちゃんのつくった料理を食べることになっていたり、箒ちゃんとセシリアちゃんが良い笑顔で握手していたり、織斑がクレーターをつくったり、そんな授業を終えて放課後。

 

「織斑くん、おめでとー!」

 

 クラス代表就任のパーティーが開かれていた。忘れていたが先の決闘云々はクラス代表を決めるものであった。

 それで、誰がなったかと言えば、進行形で女子に囲まれている織斑家の一夏くんである。

 

「お前が相手では並みのIS乗りでは太刀打ちできん。それこそ国家代表レベルでもな。故に却下だ」

 

 最初は勝利してしまった俺がそのままクラス代表にという流れになっていたが千冬さんの一言でセシリアちゃんか織斑のどちらかがすることに。

 それじゃぁ、決闘した意味ないじゃないですか、やだなぁ、もう。

 しかしグッジョブ千冬さん。やりたくなかったので万々歳である。

 

「……その代わりと言ってはなんだが私の部屋を片付ける係に任命しよう」

 

 そして耳元で囁く千冬さん。あの、顔が近いというかなんというか……あ、良い匂い。

 ……いや待て魔境を掃除しろと。……それなんて罰ゲームですか。勝ったのに罰ゲームとはこれいかに。全然代わりになってないんですけどそれは……。むしろクラス代表した方が楽な気がしてならない。それほどに千冬さんの部屋は……いや、これ以上はやめておこう。俺も命は惜しい。

 

 で、何故クラス代表が織斑になったかというと単純に織斑がセシリアちゃんに勝ったからである。

 聞けばこの一週間は千冬さんに教えてもらっていたのだとか。

 開幕直後に瞬間加速で接近し、織斑のISである白式に搭載された雪片弐型から繰り出される零落白夜で一閃。僅か数秒のできごと。

 どう凄いのかはわからないが、とりあえず凄かった。千冬さんは言うまでもなく、織斑自身も凄い奴だった。織斑の血筋すげぇな。

 

 しかし、クラス代表、つまりはクラス委員長のようなものが決まった程度でパーティーはお祭り騒ぎの好きなクラスメイトである。インタビューとか言って先輩がいたりもした。前世では考えられない。

 そもそも前世ではパーティーなんて参加したことがない。いや、参加したことがないというよりパーティーが存在しなかった。誕生日やクリスマスなどパーティー日和の日でさえケーキを食べるだけでパーティーと呼べるものはしたことがない。

 強いて言うならば小学校の時の、いわゆるお別れ会とかお楽しみ会とかがそれにあたるのかもしれないが、やはりパーティーとは程遠い気もする。

 それにしても元気だなこの娘達……。俺もう眠いよ。帰って良いかな。

 

 ……それにしても腕に絡みながらニコニコ微笑み合う箒ちゃんとセシリアちゃんは何がしたかったのだろうか。怖いからやめてほしいな。あと、その、二人とも大きいんだから気を付けてね、本当、お兄さんとの約束。静まれ息子。

 

 

 

 

 

 

「……ん?」

 

 翌朝。

 

 美味しそうな匂いに誘われ起床。また箒ちゃんが朝食を作ってくれているのかと視線をそちらへ向けるとエプロン姿の織斑がいた。

 

 織斑がいた。

 

「……んん?」

 

 見間違いかと目を擦り、もう一度見てみるとやっぱり織斑がいた。

 

「む、起きたかミコト。一夏、後どのくらいで完成する?」

 

「もうできるぞ」

 

「だ、そうだ。顔を洗ってくると良い」

 

「はい、ミコトさん。タオルですわ」

 

「お、おう……」

 

 謎過ぎる空間に軽く混乱していると、ベランダで洗濯物を干している箒ちゃんから声がかかり、どこからか持ってきたであろう大きめの卓袱台を拭いていたセシリアちゃんが棚からタオルを取り出して手渡してきた。

 あまりにも自然すぎるからそのまま洗面所に来てしまったが、これはどういうことなのだろうか。

 狐に化かされたというか、DIO様に階段一段分降ろされたというか、不思議でならない。

 

「鍵かけてたよね」

 

「何を言っているのだミコト。毎朝つくりにくると言ったら、不便だからと合鍵くれたんじゃないか」

 

 とは箒ちゃん。言われてみればそんなことを言ったような言わなかったような。

 

「あれ、でも俺合鍵とか持っ――」

 

「よし、できたぞミコト。冷める前に食べようぜ」

 

「そうだな、冷めてしまっては勿体ないからな」

 

「そうですわミコトさん。ささ、こちらに」

 

「何を言うか、ミコトは私の隣だ」

 

「卓袱台なんだから二人の間に座れば良いだろ? 俺はミコトの正面に座る」

 

 寝起きで頭も働かず、腹も減ったのでとりあえずこの事は保留することにした。時には現実逃避も必要だと思うの。うん。焼き魚おいしかったです。ごちそうさまでした。

 

 

 

 

 

 

「――その情報古いよ」

 

 そんな朝を経て、箒ちゃん、セシリアちゃん、織斑、俺の四人で登校。

 我が一組では転入生とクラス対抗戦と呼ばれる読んで字のごとくクラス代表同士が戦うイベントの話題で溢れていた。

 そんな会話の中、専用機持ちは織斑と四組のクラス代表だから優勝間違いなしだね! という台詞とともに教室のドアがスパーンと開かれ腕組みをした見慣れたドヤ顔ツインテール。

 

「ミーコートー!」

 

 そして俺を見つけるとツインテール――鈴ちゃんは俺の鳩尾へ見事なタックルを披露してみせた。

 

「ミコト、ミコト、ミーコートー! えへへ」

 

 そして、顔をグリグリと押し付けて俺の匂いをかぐ鈴ちゃん。恥ずかしいからやめてほしいな。あと、食ったものが出ちゃうから、ほんと。

 

「……離れんか馬鹿者。SHRの時間ださっさと戻れ」

 

 グリグリと俺の腹へダメージを与え続けていた鈴ちゃんは猫のように首根っこを掴まれて千冬さんに引き剥がされてた。

 

「また後でねミコト!」

 

 そう言い残して去る鈴ちゃん。呆気に取られていると千冬さんが何故か抱き締めてきた。

 

「……よし、ではSHRを始める。座れ」

 

 そしてなにごともなかったかのようにSHRを始める千冬さん。何が良しなのかわからない。訳がわからないよ。

 

「くっ、やはり千冬さんもだったか」

 

「世界最強が相手ですか……不足はありませんわね」

 

 そして、何故か悔しそうにする箒ちゃんと冷や汗をかきながらも口角を上げるセシリアちゃん。

 こっちもこっちで訳がわからない。……俺が何をしたって言うんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……良いなぁ、千冬姉」

 

 

 

 あれ、何か寒気が……。 

 

 

 

 

 

 

 昼休み。

 

 四限目の授業の終わりを告げるチャイムが響きわたる。

 

「ミコト! 迎えn――」

 

 それと同時にクラスのドアが勢いよく開かれ、勢いのまま跳ね返って再び閉じた。

 

「……」

 

「ミコト! 迎えに来てやったわよ! あとついでに一夏!」

 

 クラスに微妙な空気が流れたが、全てをなかったことにした鈴ちゃんは元気よく俺の席まで走ってきてダイブした。勿論俺にむかって。死んじゃう。

 

「酢豚つくってきてやったわよ!」

 

 ぎゅーっと、ふにーっと抱きつく鈴ちゃん。小ぶりながら天晴れ。しかし毎度毎度抱きつくのはよろしくないと思うんだ。

 ほら、箒ちゃんとセシリアちゃんが不機嫌オーラ飛ばしてきて精神的なダメージが凄いから。

 

「生憎と――」

 

「――ミコトさんの昼食は用意してましてよ!」

 

 俺と鈴ちゃんを引き剥がす織斑に腕組みをして俺と鈴ちゃんの間に立ち塞がる二人。

 

「へー、そう、アンタたちもそうなのね」

 

 そんな二人を品定めするように視線を行き来させ、そう呟くと右手を差し出して自己紹介を行った。それにならい二人も名乗り上げて笑顔で握手を交わす。早速仲良くなったようで安心である。何やらお近づきのとか修学旅行とか幼稚園とか写真とか寝顔とか聞こえてた気がするが気のせいだろう。気のせいである。

 

 そんなこんなで鈴ちゃんを加えて屋上へ。織斑がレジャーシートを広げ、セシリアちゃんがパラソルを設置し、箒ちゃんが弁当箱を広げた。

 毎度お馴染みの光景になってはいるが、端から見れば、というか俺から見てもおかしな光景である。

 しかし慣れとは怖いもので今ではすっかり違和感が仕事をしていない。

 常々思うのだが、日々常識が砕かれていっている気がする。頑張れ俺、負けるな俺。

 

 気合いを取り直して昼食。

 

「ミコト、あーんっ」

 

 鈴ちゃんの“あーん”で修羅場ったり、互いが互いの料理を食べ合って作り方云々と、意外にも仲良く話していた。酢豚おいしです。

 

「付き合いが一番長いのは私だけどね」

 

 そしてセシリアちゃんの作ったサンドウィッチに手をかけたところ、鈴ちゃんのその一言で場がピリついた。

 余談ではあるがセシリアちゃんの料理の腕は涙が出るほどに悪かった。レシピの写真の見た目通りにつくるというある意味難易度の高いことをしていた結果である。

 それを聞いた織斑による料理合宿が行われたことで、セシリアちゃんの料理の腕はプロ級に変貌した。たった二泊三日でプロ級になるセシリアちゃんもセシリアちゃんだが、そうなるように指導した織斑は一体何者なのだろうか。

 

「む、だが最初に出会ったのは私だ。言うなれば私が()()()()()幼馴染みで、鈴は()()()()幼馴染みだな。私がファーストで、鈴がセカンドだ」

 

「た、タイミングや時間は関係ありませんわ! 今をどう過ごすかが大切なのですわ!」

 

 そしてその発言に対抗するように箒ちゃんとセシリアちゃんがそう言った。三者譲らず。

 やめて、俺のために争わないで! なんて気楽な性格になることができれば少しは胃の痛みをやわらげることはできるのだろうか。

 そもそも何故こんなにモテるのか疑問である。彼女達に対してやったことと言えば、織斑に同意し、殴ってくれと言わんばかりの男子の頬に軽く触れ、全自動のISで勝っただけ。

 おう……なんだこれ……。我ながら理解が及ばない。

 性格だってクラスの隅の方にいる陰キャそのままな上に見た目は転生のおかげが悪くはないレベルであるものの、ファッションセンスが皆無なので残念なことになっている。

 もう何かの隠謀なのかと思わざるを得ない。そう思うと急に恐ろしくなってきた。なにこれ怖い。

 

「――まぁ、最初に会ったのも付き合いが長いのも俺が一番だけどな」

 

 織斑がなにか言ってるけど気のせいだろう。気のせいだと、良いなぁ……。

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