世界が俺を求めてる   作:ゴーゴー

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※2018 11/19
 詳しくは活動報告の方へ。
 クラス対抗戦の話です。この話が丸々書き直した新規の話となります。


10 皆がサスミコしてくる

 クラス対抗戦当日。いつもは閑散としているアリーナは隙間なく埋まっている。ついでに左隣の箒ちゃんと右隣のセシリアちゃんとの隙間もピッタリとくっついて埋まっていた。まるでハーレム野郎である。……ハーレム野郎だった。もしここが共学であったなら男からの視線に怯えている場面である。しかしここは特殊な状況ではあるが女子校だ。そんな視線にビクつく必要なんてない。教師たちがいる辺りから凄い視線を感じるがそれは気のせいだろう。……うん。

 あまり隣に意識を向けないようにして開会式を行っているアリーナの中心に視線を向ける。そこには織斑、鈴ちゃんと始まり、一年の代表が並んでいた。男の織斑は勿論、鈴ちゃんも目立っている。皆がスク水よろしくな紺色のISスーツを着てる中、鈴ちゃんだけピンク色のチャイナドレス風のISスーツに身を包んでいるのだからそれはもう目立っていた。

 そんな風に鈴ちゃんを見ていると、結構な距離があるにも関わらず俺の姿を見つけたらしく、両手を大きく振って俺の名前を叫びだした。やだ恥ずかしい。参観日にきた親に名前を呼びながら応援されたときのような恥ずかしさである。両手で顔を覆い隠したかったが、ホールドされているため動かない。これがハーレムの弊害か……! と戦慄していると鈴ちゃんが教師に怒られていた。開会式の途中ですることではなかったので仕方のない処置である。

 

「以上です!」

 

 ズッコケ。なんてどこかで見たような開会宣言を織斑が行い、その時同様大半の生徒がズッコケたのでアリーナが揺れたが些細なことである。地震かと思いました。

 さて、そんな開会式が終わり、早速一組対二組、つまり織斑対鈴ちゃんの試合である。アナウンスがあり、二人がそれぞれ白式と甲龍を装着してアリーナに入場した。両選手の軽い紹介があり、カウントダウンが始まり、そして零を刻んだ。

 

「どう見るセシリア」

 

「そうですわね。鈴さんの圧勝、と言いたいところですが、一夏さんの成長は目を見張るものがあります。単純な近接戦闘のみでしたら勝てる可能性は十分ありますわ」

 

「そうなるとやはりあの浮いている武器が厄介か」

 

「ですわね。あれは私のBT兵器(ブルー・ティアーズ)と同じ第三世代兵器ですわ。正体がわからない上に彼女はそれを使いこなせる代表候補生。やはり勝つのは難しいでしょう」

 

「しかし、一夏には"零落白夜"と"瞬時加速"がある」

 

「ええ、一夏さんがそれを鈴さんにぶつけることができれば勝つことはできますわ。それでもそれを問題にしないのが代表候補生ですわ」

 

 織斑と鈴ちゃんがぶつかり、戦闘が始まる。それと同時に俺を挟んで箒ちゃんとセシリアちゃんによる戦闘解説が始まった。普段は変人な一面もあるが、二人とも真面目な部分もある。代表候補生であるセシリアちゃんは勿論のこと、箒ちゃんも実力でIS学園に入学しているのだ。俺のような学力低め系男子がいたり、異常なまでのノリの良さのせいでアホっぽく見えたりするIS学園だが、その実態は超のつくエリート校である。IS部門を抜いたとしても全国、どころか世界を含めても高校の中では上位に位置しているのだ。こういう真面目な時は真面目に学び吸収しているのだろう。偉い。俺なんてもうアクション映画を見に来るようなテンションでいた。Lサイズのコーラなんて飲んでいる場合ではない。反省しなければ。良く考えたら世界に二人しかいない男のIS乗りと代表候補生の戦いを見る機会なんてあまりないだろう。皆が一生懸命学んでいるのに、それを娯楽気分で見るのは良くない。俺も気を引き締め真面目に見るとしよう。……はたして全自動操作の俺が学ぶことがあるのだろうか。やっぱりズルいよ全自動。

 

「その代表候補である貴様は一夏に負けていたがな」

 

「あ、あれは不意討ちの初見殺しという奴ですわ! 今やれば私が勝ちますわ!」

 

「ふん、それでも負けは負けだ。そう思うだろミコト」

 

「それは、えっと……うー! ミコトさん! 箒さんがいじめてきますわ!」

 

「いじめてなどいない。私は事実を言っているだけだ。なぁ、ミコト」

 

「ミコトさん!」

 

 そんな感じで真剣に見ようと思っていたら両隣の会話が脱線していた。良く見ると周りの人達もキャッキャわいわいと楽しそうに試合を見ている。どうやらアクション映画感覚で正解だったようだ。なんか損した気分である。……いや、そもそも両腕に美少女を絡ませている時点でアウトだ。美少女侍らせて試合を見るとかどこの金持ちだと突込みがきそうである。しかし望んでこうなっている訳ではないのだ。この状況が嫌かと問われると即答できないが、不可抗力なのである。

 

「む。あれは……透明の弾……空気か?」

 

「空間に圧力を加えて発射しているのですわ」

 

「厄介だな」

 

「……厄介なんてものではありませんわ。見えない上に射出ユニットには砲身がありませんからどこから来るかも予測できません。更に見る限り稼働範囲に制限がないようですから、常に警戒しなければならないので……これは強敵ですわね」

 

「なんだ、なら問題ないな」

 

「箒さん、今の聞いてまして?」

 

「ああ。ただ見えなくて何時何処から飛んでくるかわからないだけだろう? ならば気配を感じとれば良いのだ」

 

「気配を感じとる……? そんなことができるんですの?」

 

「まぁ、IS込みになると他の要因も関わってくるから簡単にとはいかないだろうが、一夏ならやれるさ。ほら、見てみろ。被弾数が少なくなってきているだろう?」

 

「本当ですわ。流石一夏さんですわ」

 

 試合が進むとまた真面目モードに入ったのか、二人とも解説をし始めた。いきなり一夏がダメージを受けたので驚いたが、なるほど空気を圧縮して打ち出していたのか。……それってどうなんだ? 強い空気砲みたいなものだろうし、それでISを倒せるイメージがわかない。そもそも空間の圧縮ってどういうもので、どうやっているのだろう。とある学園都市の第一位みたいなことか? そう考えると強そうだ。

 

「箒ちゃん、セシリアちゃん、ちょっとトイレいきたいから放してもらっていい?」

 

 その謎空気砲に織斑が対応してきているのに驚きつつ、コーラの飲み過ぎか、尿意が来たのでトイレへ向かう。済ませた後、トイレから観客席まで少し遠いので駆け足で戻った。

 

「あれ、閉まってる」

 

 先程まで開いていたはずのドアが閉じられていた。何故このタイミングで閉めたのかと首を傾げながら、些細なことなので何も気にもせず扉を開く。するとどうだろう。向こう側、観客席にいた生徒達が流れ込んできた。

 

「開いたわよ!」

 

「早く避難するのよ!」

 

「見て、御山くんがいるわ」

 

「まさか、これを見越して!?」

 

「流石ミコトくんです!」

 

「サスミコ!」

 

 わーわー、と騒ぐ彼女達の波に飲み込まれ、気が付くとアリーナ内部にいて一人ポツンと立ち尽くしていた。何が起きたとアリーナ中心を見ると、白式でも甲龍でもなく、第三の謎のISが二人と戦っている。

 

「ミコト! ミコトも来てくれたのか!」

 

「箒ちゃん、これは一体何が――」

 

「行くぞ!」

 

「あの、箒ちゃん、せつめ――」

 

「今の私はなにもできない。それでも一夏を応援することはできる!」

 

「話を聞いてください」

 

 何事かもわからないまま、偶然出会った箒ちゃんに手を握られて走る。どこに行くのか、何をするのかわからないが、箒ちゃんの手を振りほどくことはできない。物理的に。握力が凄い。でもまぁ、事情を知ってそうな箒ちゃんについていくのがどのみち正解のような気がするので良しとしよう。

 

「着いた! 一夏待っていろ! 今応援にいくからな!」

 

 目的地につくと箒ちゃんは俺の手を放して走っていっく。ここが何処なのかと見渡すとアリーナへと続くピットであった。

 

「一夏! 男ならこの程度容易く乗り越えて見せろ!」

 

 何でここに、と箒ちゃんに聞く前に箒ちゃんが行動に出ていた。なるほど、そういうことかと、俺も応援しようと箒ちゃんの横に立つとアリーナから謎のISがビームを出しそうな雰囲気でこちらを見ている。あれ、これピンチじゃ――

 

「――儂だよ!」

 

 次の瞬間、ユリアが仁王立ちをしていた。満面の笑顔である。例の如く神殿の中であった。どうやら危険を察知したユリアが"戦神"を起動してくれたらしい。

 

「正体不明のISに攻撃されたようじゃ。間一髪展開したので傷一つないぞ。あ、侍ガールは無事じゃから安心するのじゃ旦那様。きちんと御姫様抱っこしておいたぞ!」

 

 簡潔に説明を求めるとそう返ってきた。一先ず、感謝を述べ、頭を撫でる(強制)とユリアは満足そうに微笑んだ。

 

「で、そのISと今は戦っているのか?」

 

 織斑と鈴ちゃんが二人がかりでも押さえるのがやっとの相手である。全自動とはいえ、気を引き締めなければならないだろう。最悪、俺の身体のことを無視して限界を超えた戦闘を頼まなければならないかもしれない。

 

「いや、もう倒したぞ」

 

 あっ、うん。そっか。……そっかぁ。

 

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