世界が俺を求めてる 作:ゴーゴー
昼休み。
四限目の授業の終わりを告げるチャイムが響きわたる。
「ミコト! 迎えn――」
それと同時にクラスのドアが勢いよく開かれ、勢いのまま跳ね返って再び閉じた。
「……」
「ミコト! 迎えに来てやったわよ! あとついでに一夏!」
クラスに微妙な空気が流れたが、全てをなかったことにした鈴ちゃんは元気よく俺の席まで走ってきてダイブした。勿論俺にむかって。死んじゃう。
「酢豚つくってきてやったわよ!」
ぎゅーっと、ふにーっと抱きつく鈴ちゃん。小ぶりながら天晴れ。しかし毎度毎度抱きつくのはよろしくないと思うんだ。
ほら、箒ちゃんとセシリアちゃんが不機嫌オーラ飛ばしてきて精神的なダメージが凄いから。
「生憎と――」
「――ミコトさんの昼食は用意してましてよ!」
俺と鈴ちゃんを引き剥がす織斑に腕組みをして俺と鈴ちゃんの間に立ち塞がる二人。
「へー、そう、アンタたちもそうなのね」
そんな二人を品定めするように視線を行き来させ、そう呟くと右手を差し出して自己紹介を行った。それにならい二人も名乗り上げて笑顔で握手を交わす。早速仲良くなったようで安心である。何やらお近づきのとか修学旅行とか幼稚園とか写真とか寝顔とか聞こえてた気がするが気のせいだろう。気のせいである。
そんなこんなで鈴ちゃんを加えて屋上へ。織斑がレジャーシートを広げ、セシリアちゃんがパラソルを設置し、箒ちゃんが弁当箱を広げた。
毎度お馴染みの光景になってはいるが、端から見れば、というか俺から見てもおかしな光景である。
しかし慣れとは怖いもので今ではすっかり違和感が仕事をしていない。
常々思うのだが、日々常識が砕かれていっている気がする。頑張れ俺、負けるな俺。
気合いを取り直して昼食。
「ミコト、あーんっ」
鈴ちゃんの“あーん”で修羅場ったり、互いが互いの料理を食べ合って作り方云々と、意外にも仲良く話していた。酢豚おいしです。
「付き合いが一番長いのは私だけどね」
そしてセシリアちゃんの作ったサンドウィッチに手をかけたところ、鈴ちゃんのその一言で場がピリついた。
余談ではあるがセシリアちゃんの料理の腕は涙が出るほどに悪かった。レシピの写真の見た目通りにつくるというある意味難易度の高いことをしていた結果である。
それを聞いた織斑による料理合宿が行われたことで、セシリアちゃんの料理の腕はプロ級に変貌した。たった二泊三日でプロ級になるセシリアちゃんもセシリアちゃんだが、そうなるように指導した織斑は一体何者なのだろうか。
「む、だが最初に出会ったのは私だ。言うなれば私が
「た、タイミングや時間は関係ありませんわ! 今をどう過ごすかが大切なのですわ!」
そしてその発言に対抗するように箒ちゃんとセシリアちゃんがそう言った。三者譲らず。
やめて、俺のために争わないで! なんて気楽な性格になることができれば少しは胃の痛みをやわらげることはできるのだろうか。
そもそも何故こんなにモテるのか疑問である。彼女達に対してやったことと言えば、織斑に同意し、殴ってくれと言わんばかりの男子の頬に軽く触れ、全自動のISで勝っただけ。
おう……なんだこれ……。我ながら理解が及ばない。
性格だってクラスの隅の方にいる陰キャそのままな上に見た目は転生のおかげが悪くはないレベルであるものの、ファッションセンスが皆無なので残念なことになっている。
もう何かの隠謀なのかと思わざるを得ない。そう思うと急に恐ろしくなってきた。なにこれ怖い。
「――まぁ、最初に会ったのも付き合いが長いのも俺が一番だけどな」
織斑がなにか言ってるけど気のせいだろう。気のせいだと、良いなぁ……。
――我輩は猫である
名前はまだない、という安直でありながら本人お気に入りのネーミングのラボにて。
名付け親たる彼女は鼻唄混じりにキーボードを叩いていた。
「いっくんにも活躍の場をあげなきゃねっ」
空中に投影された幾つものディスプレイの一つにはフルフェイス型ISの設計図が表示されている。そのISの名は――golem。
「ふふん、細工は流々、後は仕上げを御覧じろってねー」
そしてその隣のディスプレイには“亡国機業”の文字が表示されていた。
「そしてミーくんの見せ場も用意する! 流石束さんだね!」
――黒幕、始動。
一体、何ノ之束なんだ……。
鈴ちゃん可愛いけど、話つくるの難しい。
次回バトルを経てフランスとドイツへ。