世界が俺を求めてる   作:ゴーゴー

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ホモじゃないよ! ホントだよ!


旧12 転入生が俺の心を惑わそうとしてくる

 謎のIS乗りの襲撃を乗り越え、目的を果たした俺がアリーナに戻ると試合は既に終わっていた。いや、終わっていたというよりは中止されていたというのが正しい。

 なんでも、人の乗っていないIS――無人機が乱入したせいで試合どころではなくなったのだとか。

 

「褒めて、褒めてー!」

 

 会場に張られたバリアかなにかがハッキングされて無人機と一緒に閉じ込められた織斑と鈴ちゃん。

 なんとか逃げ回りバリアの解除と教師陣の突入まで持ち堪えろという教師陣の言葉に、倒してしまっても構わないのだろう? と返し、十分かからず撃破に成功。これにより今回の事件は幕を下ろした。

 以上の説明を千冬さんが終えたのと同時に、その後ろでウズウズしていた鈴ちゃんが飛び出し鳩尾タックルからの褒めて攻撃、それによりその場にいた全員から飛ばしてくる鋭い視線が突き刺さり、肉体的にも精神的にもミコトさんのライフはゼロです。

 

「俺も頑張ったんだぜ」

 

 わかったから肩を組まないでくれないかな。そんな趣味はないんだよ織斑。

 

 結局そこに箒ちゃん含め皆が寄ってきてもみくちゃにされる。これがハーレムの宿命なのかと戦慄しつつ、一度この状況に対して真剣に考えなければならないと改めて思った。

 好意自体は嬉しいが、理由が不確かな好意と言うのは言いようもない恐ろしさがある。

 よくよく考えてみればおかしいことはこれだけではない。鈴ちゃんのときの茶番もそうだし、理解に苦しむ場面が幾つもあった。

 そもそもISとはなにか。当たり前のように存在しているが前世にこんなものはなかった。如何せんそれ以外が前世と同じだからこの疑問も薄れていたがやはりおかしい。俺が今経験しているのは単純な転生ではなく、別世界への転生なのだ。

 いや、それどころか転生なのかも怪しい。神様とか名乗っていたアイツが本当に神様という保証はないし、可能性だけならこの世界はつくられた仮想世界とかでそのモルモットにと誘拐されただけというのも在り得ない話ではない。

 震えた。俺は今どこにいる? 目の前にいるコイツらはなんだ? グルグルと巡る思考と恐怖。逃げ出したくなる。

 

「ちょっと、箒! アンタ二回目でしょ!」

 

「早い者勝ちだ」

 

 ギュッと抱きしめられた。箒ちゃんから始まり、セシリアちゃん、鈴ちゃん、順に皆に抱きしめられていく。嬉しそうな彼女たちを見ていると、先ほどまでの思考が馬鹿馬鹿しく思えてきた。

 確かに、コレが偽物だという可能性はある。だからといって頭ごなしに否定するのは違う。彼女たちが偽物だという可能性があるのなら本物だという可能性もある。

 別に今すぐどうにかされるということはないだろうし、疑問は晴れないが急ぐ必要はない。ゆっくりとこの世界を理解していけば良いのだ。

 

「ほら、ミコト、俺の番」

 

 撤回。今すぐ元の世界に帰してください。

 

 

 

 そんなホームシックにかかりながら、むかえた休日。織斑に誘われ学園外に来ていた。

 本来ならば織斑と二人きりででかけるのは気が進まなかったが、友人である五反田弾に会いに行くということなので付いてきた次第である。

 

「良いよな、お前らは。女だらけのハーレムじゃねーか」

 

「弾、良く聞け。そんな良いものじゃないんだ。猥談もできず、趣味も合わない。しかもISの授業が難しいから予習復習で時間が奪われる。ハニートラップのせいで女関係には気を張らないといけない。

 気を張らないで良い身内とか代表候補生とかも、基本的に飯か特訓の二択。そのせいでプライベートは勉強と特訓で頭と肉体をやられる。

 なぁ、弾。俺はもう駄目かもしれない」

 

「……頑張った、お前は良く頑張ったよミコト。今日は思う存分ゲームして猥談しような」

 

「弾……俺はお前が友達で良かった」

 

「よせよ、気持ち悪い」

 

 二人して笑い合う。笑ったのは久々かもしれない。やはり友人との時間は尊いものだ。特に弾は、ボディータッチのやたら多いグレー織斑とエロ魔人数馬とは違い至極普通の高校生なので安心感がある。それこそここに来る前の友人と過ごしているかのような感覚。

 もうこのままここで暮らしたい。そして普通の高校に通って青春するんだ。

 

「ミコト、弾、飯できたぞ」

 

 そんな願望は幻想といわんばかりに、下の厨房で弾の祖父である厳さんと昼飯をつくっていた織斑が、滅多にない俺の癒しタイムをブレイクしてきた。おのれ織斑。いや誰も悪くはないんだけど。もう少し弾と二人で談笑していたかった。

 

「――っ」

 

 そこで気が付く。弾への好感度が高すぎることに。

 

 久しぶりの男子との交流で改めて男と話す方が楽しいと感じてそれで好感度が高くなっているのか? いや、それにしても”もう少し弾と二人で談笑していたかった”は、いくらなんでも……。

 顔が青ざめていく。ガタガタと体の震えが止まらない。いや、あり得ないだろ。だってそんな、まるで織斑じゃないか。大丈夫、息を吸え。素数だ。

 よし、大丈夫。俺は女が好きだ。おっぱいが好きだ。大丈夫。ほら、だって弾を見ても別に鼓動が早くなったりしない。あれだ、友人との会話を惜しんだだけなのだ。

 危ない、危うく流されて自分がそうなのかと勘違いをするところだった。

 

 俺はノーマルだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なんと今日は転入生を紹介します! それも二人ですよ!」

 

 俺はまともだということを再確認した休日を終えて、日常が始まる。

 どこのISスーツを買うとか、御山くんたちのスーツってどこのやつなの? とか、御揃いなんだぜとか、やっぱり二人は……とか、早速逃げ出したいような朝の喧騒に耐えて朝のSHRが始まった。

 そして開口一番に山田先生が言い放ったのがその言葉。

 こんな時期に、しかも二人も転入生が我がクラス――男のIS乗りがいるクラスにやってくるとなると色々と大人の事情が垣間見える。

 

「じゃぁ、入ってきてください」

 

 さて、どんなやつか来るのかと待ち構えていると金髪と銀髪の二人が入ってきた。

 対照的な二人。柔らかな雰囲気の金髪と鋭い雰囲気の銀髪。唯一同じなのは二人ともズボンを履いていること。

 

「じゃあ、自己紹介お願いしますね」

 

「はい」

 

 金髪が一歩前へ出て自己紹介を始めた。

 

「シャルル・デュノアです。フランスから来ました。こちらに僕と同じ境遇の、男の搭乗者がいると聞いて転入してき――」

 

 彼がそこまで言ったところで、クラスの皆から黄色い声が上がった。

 三人目の男性IS搭乗者。しかも美形となれば騒がざるを得ないだろう。

 それに対し千冬さんは呆れた様子で、織斑は耳を塞ぎ、山田先生はあたふたとして、銀髪の少女はムッとして、そんな中で彼は困ったような顔でこちらに視線を向けた。

 

 視線が合う。

 

 そして彼は優しく微笑んだ。これからよろしくね、そういった類いの意思を込めての微笑み。

 

 

「……嘘だろ」

 

 

 そんな中、俺はというと混乱していた。

 

「鼓動が早い……? ドキドキしている……?」

 

 男相手にである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――拝啓、御父様御母様

 

 

 あなたの息子はホモかもしれません。

 

 

 




【悲報】ミコトさん、男装金髪に騙されホモかもしれないと困惑


パッと書いたのでミスが多いかもしれません。
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