移動式じゃが丸くん専門店   作:A:suna

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ミスって消してしまったので再投稿します。

すいません。


ぷろろーぐてきななにか

皆は『都市伝説』と言うものを聞いたことがあるだろうか。

 

ありえないほどの巨体を持った生物然り説明不可能な現象然り。

その幅も広く、時には人を笑わせるユーモアのあるもの、時には人を震え上がらせる怪奇的なもの等など。

 

だが実際はどうだろう?

 

『都市伝説』なんて言えば聞こえはいいがその話のほとんどは確証がないものばかり。

要するに“作り話”が大半を占めているのではないだろうか。

だとしても話す側にとってそれが本当かどうかなんてものはどうでもいい。

相手に興味を持ってもらえたらそれでいい。

会話とはそういうものだ。

言葉を話すことが出来る人間にのみ与えられた一種の“娯楽”なのだから。

 

だからこそだろう。

 

いつの世界、どの時代でも『都市伝説』なるものができるのは。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────それはここオラリオもあてはまるわけで

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曰く、Lv8の冒険者がいる。

 

 

 

曰く、それは綺麗な女の人だとか。

 

 

 

曰く、どこにでも現れるとか。

 

 

 

そして何よりも耳を引くであろうことは────

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

颯爽と現れては()を売りつけてくるのだとか。

 

 

 

 

 

◆ ◆ ◆

 

 

オラリオの中心にいる【ロキ・ファミリア】。

三人の冒険者を筆頭に多数の第一級冒険者がいるオラリオ最強のファミリアとも言われるファミリアだ。

 

そんな【ロキ・ファミリア】には最近ある噂が流れていた。

 

もう一人家族がいた(・・・・・・・・・)と。

 

最近入ってきたばかりの新参者だけならまだしも、もう何年もファミリアにいる者達も知らないという仲間(かぞく)

その噂は瞬く間に広まっていき主神であるロキの耳にまで届いた。

 

「いやー、彼の娘(・・・)の知名度の無さもここまでくると凄いもんやな」

 

「まあ無理はないのかもしれんな」

 

主神()であるロキの部屋でそう話すのは部屋の主であるロキとリヴェリア・リヨス・アールヴ、ロキ・ファミリアの副団長だ。

 

「今どこにおるん?」

 

「最近は街でよく見かけるな。何でも競争相手(・・・・)が出来たらしい」

 

彼の娘(・・・)競争相手(・・・・)とか全然想像できんなー。うちに欲しいなその競争相手の子」

 

「それよりも今の状態はあまり良くない。一度顔合わせの場を設けようかと思っているんだがいいか?」

 

「いいもなにも彼の娘(・・・)捕まえな話にならんで」

 

「だからこそ話した」

 

「はぁ、まったく手のかかる子やな。探してくるわ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわああああああああ!誰か助けてええええええええ!」

 

ダンジョン内に響く叫び声。

 

まだ冒険者になったばかりの少年は運悪く、と言うか普段はありえないのだがダンジョン上層の上層でミノタウロスと鉢合わせしてしまった。

その少年の手に負える相手ではなくエンカウントした瞬間に全力で走り出し、叫んでいるのである。

 

「何でミノタウロスがいるのおおおおおおお!」

 

少年は自分が持てる最大の走力を上回る速さでダンジョンを駆けていたが相手もそれに勝るとも劣らずの速さで追いかけてきている。

そもそもの敵わない相手であるためしばらく続いていた追いかけっこは終わり、少年は行き止まりの先にある壁に追いやられた。

どうしようもなく絶望的な状況で自らの死を悟り目を瞑った。

明け暮れていた自分を拾ってくれた神様に心の中で謝りつつも怯えながらその時を待った────

 

のだが相手からの攻撃は身を襲う事はなく、代わりのように言葉がかけられた。

 

「じゃが丸くん、一つどうです?」

 

あまりにもあまりな突然の掛声に少年は答えることが出来なかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

思わぬ事態に陥り、遠征を中止して引き上げていた【ロキ・ファミリア】の面々。

 

その途中でモンスターが冒険者から逃げ出すというこれまた思わぬ事態にあい、最強の女剣士と名高い【剣姫】アイズ・ヴァレンシュタインは上層へと逃げていったミノタウロスを追いかけていた。

 

だが見つけたのはミノタウロスが討伐されたあとと街でよく見かける人物。

 

「じゃが丸くんのお姉さん」

 

「あら、アイズちゃん。じゃが丸くん一つどう?」

 

なんでお姉さんが、とは思ったが目の前にちらかせられるじゃが丸くん小豆クリーム味。

 

疑問は一瞬で吹き飛んだ。

 

「ありが…あれ?お姉さん?」

 

じゃが丸くんを受け取ってから手元に代金が無いことに気が付き、何か代わりになるようなものはと見つけた魔石を渡そうと顔を上げたのだが当人は既に居なくなっていた。

 

後ろから仲間の呼ぶ声が聞こえ、また後でお礼も兼ねて露店にお邪魔しようと考えながら足を皆の元へと向けた。

 

 

 

「アイズー!はやくー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

先程の少年──ベル・クラネルはギルド受付の隅っこでハーフエルフの少女──エイナ・チュールに泣きついていた。

 

絶体絶命のピンチかと思いきや見知らぬ美人に助けてもらい、ダンジョンに出会いを求めて潜っていることもあり心踊っていたのだが口を開いた一言目がどこか、と言うか167度ぐらいはズレていたので思わず逃げ出してしまった。

そのままダンジョンを出て一息付き落ち着いたところで先のことを考え、失礼なことをしてしまったと思いギルドにいるアドバイザーのエイナに泣きついている、というのが現状である。

 

「黒髪の女の人?」

 

「そうです!」

 

ダンジョンで起きたことを粗方説明し、自分を助けてくれた恩人に対して失礼を働いてしまったため謝りたいと思いまずは彼女の名前を聞いた少年。尤も、自ら彼女の前に行く勇気は少年には無いのだが。

 

「うーん、それってあの人じゃないの?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

────都市伝説になってる噂のあの人

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「やっと見つけたで、シキ」

 

「あら?ロキじゃないの。じゃが丸くん一つどう?」

 

 

 

 

 

 

〝シキ・ミカド〟

年齢 24

身長 172

体重 ??????

所属 ロキ・ファミリア

種族 ヒューマン

職業 じゃが丸くん販売(冒険者)

【ステイタス】

Lv8

力 A857

耐久 C662

器用 A864

敏捷 S999

魔力 S951

【魔法】

??????

【スキル】

??????

 

人々に呼ばれる名は“移動式じゃが丸くん専門店”

 

そして神々に付けられた二つ名は【不明(unknown)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

これは少年が歩み、女神が記す──【眷属の物語(ファミリア・ミィス)】──の傍らで自らが愛した食べ物に己の命さえも賭けた一人の女の話。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

余談ではあるが、ファミリアに所属していながらファミリアのホームに帰ることは滅多にないため其の姿を知っている物は少ない。

姿、と言うのは【冒険者】としての姿の事なのだが。

故に前代未聞のLv8到達者が居ることは一部を除き未だに知られておらずただの噂話になっていた。

 

 

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