「これは…ヨーヨー?」
─そうだ、俺は失念していた。この世界では武器と言っても武器ではない者もいるのだ。例えばランタンであったり壺であったり。
しかも俺はヨーヨーにしては明らかにおかしな形をしている。指を引っ掛ける紐の輪が無いのだ。
わかりやすく言えば、紐の両端にヨーヨーが付いている感じだ。しかも自分が変身しているからわかる。刃がつく余地が無い。これは鈍器だ、ヨーヨーのような鈍器だ。
取り敢えず人間に戻ろう。なんというか…肩が凝る。そして人間に戻るが早いかこう叫ぶ。
「ああっ!妄想が膨らむ!ありがとう神様!俺をこんな浪漫溢れる武器にしてくれてありがとう!」
ヨーヨーなんて結構カッコ良い武器では無いか!ハン○ーハン○ーという漫画でも主人公クラスの人物が使っていた筈だ。
「お前は職人じゃないだろ?大丈夫だ問題無い!」
そう、この世界では体の一部分だけを武器化させる事も出来るのだ。
多分、武器の核の様な物が二つ以上それぞれの武器にはあって、その核が一つでもあれば体の大部分を残しておけるのだと俺は思っている。
俺の場合は、両端のヨーヨーそれぞれが核だろう。要するに、ヨーヨー片方だけであれば殆ど体を削らずに使えるという事だ。
取り敢えず自分が武器であるという事が分かったところで、もうすぐ正午だ。死武専に向かおう。
道行く人に頭のおかしい人を見る様な目で見られていた事を主人公が知る由は無い。
■■■■
ああ…これが─
「これが死武専前の階段か…」
─そうだ、俺はもう一つ忘れていた事がある。それは死武専の前の階段だ。死武専生の足腰を鍛える為にあるというこの階段。ゴールが視認できない…正直俺だと登りきれるかすら怪しい。いや、これはアレだ。スーパー○リオ64のボスステージへの階段みたいなやつなんだっ!
という現実逃避はおいといて、ある程度登ったところにどこかで見たような女の子が。
あれは…春鳥つぐみか?
春鳥つぐみ、とはソウルイーターのスピンオフ作品、ソウルイーターNOTのハルバードの女の子であり、主人公だ。
そして、あれが春鳥つぐみであるのなら現在の時期がわかる。原作知識持ちの俺にとってこれは物凄く有用な情報だ。
NOTは、全体がソウルイーター本編開始の1〜2年前だった筈。要するに本編のドタバタに巻き込まれたい俺的には多少猶予があってとっても助かる。
それはそうとそろそろ登り始めなければ…
いや、それ以前に、
「登りきれるかな…」