Side こころ
今日はお姉ちゃんが夕飯も作りに来てくれた。だけど、いつものスーパーの廃棄品。でも、お姉ちゃんの調理はおいしい食事に替えてくれた。
でも、あの頃のお姉ちゃんと比べたら、何か笑っているけど、作り笑顔なのは分かる。わたしは、さっさと済まして部屋に閉じこもった。
扉の向こうでは、妹達が目を輝かせ、お姉ちゃんのアイドル話し(嘘話)にときめいている。逆に知らないほうが幸せかも知れない。そう、妹達には特に・・・・
あれから、絵里先生達は話しあっている様でわからない・・・・・分かるのは、絵里先生に通帳を渡して、希さんと調べている事だけだから・・・・
わたしはお姉ちゃんが帰るのを確認すると、アイドルグッズ・・・・・言いたくないけど、穂乃果さんの抱きまくらのチャックを外し、日記を取り出した。椅子に座り、読みはじめた。
Side Out
20XX年 5月10日 曇り
二人が辞め、大分経ったが三人で練習に励んでいた。頑張る理由は来週にオープンキャンパスがあるからだ。一応、オープンキャンパスでライブをする予定。部活を紹介するより、ライブで紹介した方が手っ取り早いからだ。生徒会も忙しいらしく、絵里や希とは最近話していないし、わたしも練習に急がしからだ。
部活は、ダンス、歌は大分形になって来た。
20XX年 5月11日 雨
今日は部活が休みだから、アキバに行った。どうやら、最近出来たUTX学院にスクールアイドルが出来たらしく、ライブを見に行った。ユニット名はアライズだった。メンバーは、まだ中等部らしい。
20XX年 5月12日 雨
雨のおかげで練習出来ない。雨が憎い。音楽室が借りられたから、二人に声を掛けようとしたらすでに、帰っていた。生徒会室に行ったら、絵里と希が会計の処理をしていた。話し掛けるのはやめよう。
20XX年 5月13日 晴れ
今日は、講堂でリハーサルをやった。リハーサルは無事に終わり、ほっとした。明日は、オープンキャンパスだから、ライブでみんなを笑顔にしたい。練習は早めに切り上げた。帰りは、久しぶりに絵里や希と帰れた。
20XX年 5月14日 曇り
今日は、オープンキャンパス当日。気合いもはいる。もちろん、部活動紹介はライブ。控室で着替え、最後の練習をしながら時間を待った。そして、時間になった。
「さぁ、最高のステージにしよう!」と声を掛け、ステージに立った。ステージからの景色は忘れない。ボルテージも最高になりライブは大成功だった。客席には、理事長の娘の南ことりや園田道場の娘の園田海未、幼なじみの高坂穂乃果もいた。客席のみんなを笑顔に出来た。
ステージを下り、私達のライブは終わった。
控室に戻り、着替えたわたし達は部室に向かった。戻る途中、あの、高坂穂乃果に声を掛けられた。
「最高のライブでした!」と・・・・
わたしは嬉しかった。この子には運命を感じた事は言わないでおこう。
20XX年 5月15日 晴れ
オープンキャンパスも無事に終わり、安心していた。だけど、部室には、あの二人が来なかった。どうしたのだろう。
20XX年 5月16日 雨
今日も二人は来なかった。電話しても出なかった。そして、掛け間違えたボタンの様にわたしと二人には取り返しの着かない、溝が出来ていたことを放課後に知った。いや、気付いて居たけど、放置し、自分の事で精一杯だったわたしを・・・・だけど、この事は一生忘れない。言われた事も・・・・・・
「「ごめんなさい!今日で辞めさせて貰います!」」
「えっ!部活を辞めるですって!どうして!」
そう、二人に言われたのは、退部する事だった。
「あなた、重いのよ!何もかもが!アイドル目指すですって!馬鹿言わないでよ!」
雨降りしきる中、言われた一言。雨に打たれながら、わたしは言い返せなかった。わたし程の情熱も無かった二人を引き込んだわたしの責任。
「何も、言わないわけなの?もしかして、私達と友達と思ってたわけなの?」
「本当、受けるよね。矢澤さんは本当にアイドルになるって、夢を見てさ・・・・」
止めて・・・・アイドル目指していけないの?
「はっきり、言ってあげる。矢澤さん情熱だけでアイドルなんて無理よ!」
嫌、言わないで・・・にこがにこでなくなるから。
そして、ずぶ濡れの中、二人から退部届けが渡された。
わたしは、独りになった。
帰りに、希がわたしの部室にやって来た。話しは、部の存続についてだった。
わたしは、部の存続する代わりに部の予算を無しの条件で存続を認めてくれた。絵里には既に、二人が退部したことが、知られていたからだろう。それよりも、希が来たのはわたしを占ったら、良い結果が出たかららしい。タロットの結果は『戦車』正位置、意味は救援、成功。だから、希の占いを信じた。部活の仲間を失ったけど、希や絵里がいるから。
20XX年 5月17日 雨
翌日から、わたしは部活では独りだった。仲間の居ない部活。部費は存続の代わりに全てカットだったから、今年の分の部費も全額返却した。衣装は、ダンボールに詰め鍵付きのロッカーに閉まった。部活が終わると、わたしは自宅に帰った。
自宅には、妹達がいた。ママは仕事で夜遅くまで、働くため居ない。だから、妹達が寝るまで相手をしていた。今日は、ここあから部活の話を聞かれた。そう、妹達にはスクールアイドルを始めた事を話していたから。昨日、スクールアイドルを出来なくなった事を話していなかった。いや、話せ無かった。だから、妹達をがっかりさせたくないから、わたしは嘘という仮面を被った。仮初の魔法・・・・いつか消えてしまう魔法。再び、スクールアイドルが出来る日を信じて。
Side こころ
わたしは、日記を閉じた。ベッドで寝転びながら考えて見た。
スクールアイドルをやっているから分かるお姉ちゃんの気持ち。どうして?
お姉ちゃんは、また、嘘を?
わからないよ・・・・
でも、分かるのは常に、兄弟の為、家族の為の嘘・・・
わたしは、お姉ちゃんの事がわからない事だらけだった。