三人称視点
強化組の施設
此処では暗殺者達を非合法的な麻薬を使った薬物摂取や洗脳を行い『帝国を裏切る事は悪』だという思考を植え付けている。此処に居る関係者達は彼等の命の事を全く考えておらず、主に駒としか見ていない。
何故なら彼等はオネスト派だからだ。オネストの命により、革命軍やオネストの邪魔をする良識派等を暗殺する為に彼等を育成し、死ぬまで道具・駒扱いをしている。
しかし、本来この施設は秘密保持の為、帝都の地下で育成を行っているが、『ある部隊』により帝都の地下施設は破壊され多くの暗殺者と関係者を失い、皇帝に地下施設の事を知られてしまい、帝都の外で施設を作り暗殺者を育成する他は無かった。
だか、この施設も無くなる時が来た。
「所長!大変です!」
「何だ騒がしい」
この施設に居る研究員が慌てて所長に話し掛けて来た。
「何者かがこの施設に接近していると言う報告が!」
「何だと!?この施設の情報は漏れていないはずだ!」
「ですが、接近している事は事実です!」
研究員の言葉に所長はギリッ!と歯軋りをして、研究員に言った。
「今すぐに被験体共を出せ!調整未満も出しておけ!」
「しかし、完全に調整しなければ今後の支障が…!」
「構わん!どうせ奴等は駒に過ぎん!何人死のうと、代わりは「所長!」今度は何だ!」
所長が言っている最中に別の研究員が所長に話し掛けて来た。
「接近して来る者が分かりました」
「なんだ!革命軍か危険種か?それとも……ナイトレイドか!」
「いえ!MSです!」
「なん……だと……!?」
接近して来る者がMSだと知り、所長は驚きのあまり言葉が詰まった。
施設の外
所変わって、施設の外では既に鎮圧されていた。
警備員は倒され、モビルワーカーも破壊されたのだ。9機のMSによって。
『周囲に敵の反応無し。あれが最後みたいです』
センサーで索敵をした結果、外の敵は殲滅したとスローターダガー(エールストライカーパック)を装着した『ナタラ』が報告をした。
『よし、これより施設内に突入する。ウーミン』
『了解です』
スウェンはこれから施設内に突入すると言い、『ウーミン』に指示を出した。
スローターダガー(ランチャーストライカーパック)を装着したウーミンは『320mm超高インパルス砲『アグニ』』を構え、施設の門に向けた。
トリガーを引き、アグニからビームが放たれ、ビームは門を破壊して施設の奥まで行き、見えなくなると奥の方で爆発音が鳴った。
破壊した門からスウェン達が入って来た。
『ッ!施設内から多数の反応を感知!』
『識別は…此処の施設の同僚か!』
『チッ!もう投入したのかよ!』
しばらく、施設内を歩いているとウーミンが感知し、皆に伝える。
識別を確認するとかつて強化組に入っていた自分達と同じメンバーである事を知り、スロータータガー(ソードストライカーパック)を装着した『ギン』が持っていた『15.78m対艦刀『シュベルトゲベール』』を背中に収納し、両腰に装備している『ES01 ビームサーベル』二本を両手に持った。
早く投入した事に舌打ちをし、スローターダガー(I.W.S.P.パック)を装着した『カイリ』がI.W.S.P.に装備している『9.1メートル対艦刀』二本を両手に持った。
『投入された以上仕方ない。クロメ、お前はこの施設の所長を探せ、どうするかはお前に任せる。レムスはクロメの援護、ミューディーはナタラとギンを連れて、別動隊に合流しろ。俺とシャムス、ウーミン、カイリは此処で彼等を足止めする』
スウェンの指示を聞いたクロメ達はすぐさま行動をした。
クロメは八房をしまい、9.1メートル対艦刀を両手に持ち、I.W.S.P.のスラスターを吹かせながら、所長を探す為目の前に居る暗殺部隊を斬り裂いていく。
その後ろから、スローターダガー(ガンバレルストライカーパック)を装着したレムスがクロメを援護する為、『有線式ガンバレル』を射出して、暗殺部隊を撃ち抜いていく。
ミューディー、ナタラ、ギンは施設に侵入した別動隊の合流に向かう。
ミューディーはブルデュエルの左肩にある『Mk315 スティレット投擲噴進対装甲貫入弾』を取り出して投擲、ギンもビームサーベルを振るい、ナタラも持っている『M703 57mmビームライフル』を撃ち抜いていき、暗殺部隊を倒していく。
スウェンはストライクノワールの『EQS1358 アンカーランチャー』を壁や天井に射出して『M8F-SB1 ビームライフルショーティー』でトリッキーな攻撃で暗殺部隊を撃ち抜いていく。それに続いてカイリも9.1メートル対艦刀で暗殺部隊を斬り裂いていく。
シャムスもヴェルデバスターの『M9009B 複合バヨネット装備型ビームライフル』で暗殺部隊を撃ち抜き、接近して来た暗殺部隊はビームライフルの先端にバヨネットを展開し、斬りつけていく。ウーミンはランチャーストライカーパックの『コンボウェポンポッド』の『120mm対艦バルカン砲』、『350mmガンランチャー』を撃ち、暗殺部隊を倒していく。
しかし、クロメやナタラ達、元強化組のメンバーは心の中で同じ同僚を倒す事に心を痛めていた。
例え違う所で同じ被害にあっている同僚達を助けたいと思っているが、既に調整が終わり戦闘に投入された者達は自分達を殺す気でいる。だが、死ぬ訳にはいかない。
迷えば自分達が死ぬ、自分達が死ねば大切な人達が悲しむ。だから、自分達はこの道を覚悟を持って、この部隊に入った。今は、戸惑う訳にはいかない、自分が、自分達が信じる道を行く為に。
施設内の研究室
「た、大変です!出撃した被験体が次々、倒されていきます!」
研究員が慌てて、暗殺部隊が次々倒されていると報告をして来た。それを聞いた所長はありえないと言いたそうな表情になった。
暗殺部隊には足りない能力は薬物で補っており、その結果人間の反応速度を超える程の暗殺部隊はこの施設に何人も居た。しかし、その暗殺部隊はたった9機のMSにより数分で殲滅させられているのだ。
「こうなれば、全ての被験体を出すしか…!」
所長が言い掛けたその時、施設内に爆発音と振動が響いた。
「な、何だ!?」
「た、大変です!別の所からMS2機、現れました!」
突然の爆発音と振動に慌てる所長、それに対して別の研究員が所長に別の所から新たなMSが2機現れた事を報告し、それを聞いた所長達は開いた口が塞がらなかった。
施設内の強化組の調整室
此処では暗殺部隊を調整をする場所であるが、その入り口の手前に居る1機のMS、『ロッソイージス』によって、殆んどの警備員や研究員が屍になった。
「う、うわあああああ!?!?」
一人、生き残った研究員はその場から逃げようとするが、後ろに振り向き走り出そうとした瞬間、研究員の頭に何かが刺さり、頭の部分は胴体から離れ壁に刺さって胴体はそのまま倒れた。研究員の頭を刺したのは槍の様な物だった。
突如、何も居なかった所からMS、『ネロブリッツ』が現れた。
研究員の頭を刺したのはネロブリッツだった。ネロブリッツの特殊装備『ミラージュコロイドシステム』によって、透明になっていたのだ。
丁度、スラスターを吹かせながら、ミューディー達が来た。
『あら、もう終わったのね。『エミリオ』、『ダナ』』
『ああ、周辺の警備員と研究員は片付けた』
ミューディーの問いに対し、答えるエミリオ。
彼等は『エミリオ・ブロデリック』、『ダナ・スニップ』。彼等はスウェン達と同じメンバーであり、スウェン達が来る前にこの施設に侵入し、情報提供や機密情報の回収、内部工作を行っていた。作戦が開始された時は、二人は暗殺部隊の調整室に向かい保護に行っており、調整室付近に警備員や研究員が居た為、二人はMSを装着し殲滅させた。
『出撃していない暗殺部隊は何人居たの?』
『ざっと、150人だな。前回よりも多い……ところで他の奴等は?』
『スウェン隊長とカイリ、シャムス隊長、ウーミンは暗殺部隊の足止め。クロメとレムスは所長を探しに行きました』
『何!?くっそぉ、クロメとレムスの奴、おいしい所を持っていきやがって!』
『お前はそのおいしい所を殆ど持ってているだろうが』
『あはは……』
ミューディーは調整中の暗殺部隊の数を訊いて、ダナが居る数を答える。
他のメンバーどうしたのかとダナが訊いてきて、スウェンとカイリ、シャムス、ウーミンは暗殺部隊の足止め、クロメとレムスは所長を探索しに行ったと答えるギン。それを聞いたダナはクロメとレムスにターゲットを殺すか捕獲をするかのおいしい所を先越された事に右手を震わせながら、悔しそうに言った。
それを見てエミリオが、殆どの任務でおいしい所はダナが持ってているだろうツッコミを入れる。そのやり取りを見たナタラは思わず、苦笑いをした。
施設内の通路
所長と生き残っている研究員達は外に逃げようと裏口に向かっていた。
この事を早くオネスト大臣に伝えなければと所長がそう考えていると、通路の先から見えた緑色の光が研究員達を貫いた。緑色の光によって貫かれた研究員はバタバタと倒れ、絶命した。
その光景を見た所長はすぐさま通路の先を見ると、2機のスローターダガーがビームライフルを構えていた。所長を探していたクロメとレムスだった。
「な、何故此処が分かった!?」
『殆どの首謀者は皆、裏口に向かうのはもう分かり切ってるから』
『悪党のお約束だね』
と、二人がそんな事を言ってると、後ろから警備員が8人やって来た。
「お、お前等。さっさとコイツ等を殺せ!」
所長が警備員に指示を出すが、警備員はうんともすんともしなかった。
『あぁ、この人達に何を言っても無駄だよ。だって……もう死んでいるから』
と、クロメはそう言った。その言葉に所長はある事に気付く、スローターダガーの左腰に装備されている刀の事を知っているからだ。
『帝具 死者行軍(ししゃこうぐん)八房(やつふさ)』
その帝具は切り捨てた者を呪いで骸人形にし操ることが出来る。つまり、彼処に居る警備員は八房によって骸人形になったのだ。
「ひ、ひぃ!」
所長は兎に角逃げようとするが、レムスがビームライフルで所長の両足を撃ち抜いた。両足を撃ち抜かれた所長はそのまま転倒し、逃げられなくなってしまった。
「お、お願いだ。こ、殺さないでくれ…!」
『殺さないで?同僚達を駒扱いした貴方がそれを言うの?』
クロメはそう言い、骸人形に指示を出し、持っていた剣を持ちながら所長に近付いて来る。所長は足を引きずっても逃げようとするが、追いつかれ、骸人形は剣を所長に突き刺した。
骸人形は所長が死ぬまで突き刺す事を止めはしない、所長は止めてくれと言うが骸人形は止めない。
その光景を見たクロメとレムスは施設を後にした。
三人称視点 終了
クロメ 視点
施設の外
任務を終えた私達は殺した同僚の遺体を回収し、棺桶に入れ供養した。棺桶は調整中だった同僚達と一緒に回収部隊が『コロニー』まで運んでくれる。
また、施設は証拠が無いように爆破するつもりだ。後の事は回収部隊がしてくれる。
やる事が終わった私はポケットから『火星ヤシ』を出して、食べた。…………今回は当たりだ。
すると、私達の目の前に画面が現れた。
『やぁ、皆さんお疲れ様です』
「『アズラエル』盟主」
画面に映っていたのは、アナハイム・エレクトロニクス社の『ブルーコスモス』の盟主、『ムルタ・アズラエル』だった。
「また任務は勘弁ですよ?」
『いえいえ、今回こちらに通信を掛けたのは貴方方にユウ社長からお知らせがあります』
「ユウ社長からですか?」
『『現時刻を持ってクロメ、ナタラ、ギン、ウーミン、レムス、カイリを少尉に昇進、六名にガンダムタイプを送る。後、一週間の休暇も出す』とユウ社長が言っていました。皆さん、昇進おめでとう、久し振りの休暇ですからゆっくり休んで下さいね?では』
と、アズラエル盟主はそう言い、通信を切った。
「やったよ!私達、昇進だけじゃなくてガンダムが送られるんだよ!」
「ガンダムか…一体どんなタイプが来るんだ」
と、昇進とガンダムが送られる事に喜ぶレムスとカイリ。
「ったく、子供かお前等」
「でも、新しい機体が送られる事は嬉しい限りです。今の機体の性能じゃ、反応が遅れてきてますからね」
二人の態度を見たギンが子供かと言い、ウーミンは新しい機体が来る事に嬉しがって、今乗っている機体の性能だと反応が遅れると言った。
確かに今乗っているスローターダガーは私の反応についてこられなくなっている。新しく送られて来る機体、ガンダムタイプに乗り換える方が良い。
「そういえば、クロメは休暇はどうするんだ?」
私がそう考えているとナタラが休暇をどうするか訊いてきた。
「私は…」
私はキャリーバッグを引きながら、『オーブ』に戻って来た。家族には久々に帰って来るって連絡をしており、もう既に夜になっていた。
『オーブ連合首長国』
この国は他国の交流関係はあるが、中立を貫く国でもある。
そのお陰で他国の難民や腐敗した帝国に住めなくなった人達を受け入れて、此処で暮らさせて貰っている。私の家族も此処に暮らしている。
しばらくすると私は家に着き、チャイムを鳴らした。
「あっ!クロメ『お義姉ちゃん』!」
「ただいま、『マユ』」
扉を開けてくれたのは、私の義妹の『マユ・アスカ』だった。マユは私を見た瞬間、抱き付いて来た。
「お帰り。クロメ」
「ただいま。お義兄ちゃん」
マユの次に来たのはお姉ちゃんと同じ黒髪で赤い瞳の私の義兄の『シン・アスカ』。お義兄ちゃんは私と同じ軍人でオーブじゃなくて『プラント』の『ザフト』に所属している。
「『ソレスタルビーイング』に入って二年経つけど、上手くやってるか?」
「うん、ナタラ達と一緒に居るから大丈夫だよ」
お義兄ちゃんが私が所属している部隊の事を訊いてきて、ナタラ達も居るから大丈夫と答えた。
『ソレスタルビーイング』
主に知られている『ロンド・ベル』とは違い、『ソレスタルビーイング』は名の知らない特殊部隊。暗殺部隊の施設やオネスト大臣派の偵察などを行っており、大臣派の悪事が見つかり次第ロンド・ベルに報告し、逮捕して貰っている。逮捕が難しい場合は私達が暗殺している。
私が所属している『ソレスタルビーイング』には幾つかの部隊があって、私やナタラ達はその一つの『ファントムペイン』に入っている。
本当だったら、機密事項だけどお義兄ちゃんも軍人で私がソレスタルビーイングに所属してる事は、家族は知っているからこの様な話す許可は貰っている。
「さぁ、父さんも母さんもクロメが来るのを待ってるからな。今日はクロメが好きなのを作ってるからな」
「うん!」
お義兄ちゃんがそう言い、私は家に上がり自分の部屋に向かった。普段着に着替えてリビングに向かった。
「マユ、士官学校の方は上手くやってる?」
「うん、お兄ちゃんと同じ赤服になる為に頑張っているよ」
「はは、そうか」
久し振りの家族との夕食を食べてる時、お義母さんとお義父さんとマユが士官学校の話しをしていた。
マユもお義兄ちゃんと同じザフトに志願しようとしていて今は士官学校に通っている。
「ところでクロメお義姉ちゃん。『ウェイブ』さんとは何処までいったの?」
「ブッ!?」
急にマユがウェイブの事について話してきて、私は吹いてしまった。
「な、何でそんな事を訊くの?」
「え?……………なんとなく」
「今の間は何?……べ、別にウェイブとは友人関係だよ?」
「ふ〜ん」
私はウェイブとは友人関係だと答えるとマユは素っ気なく返事した。何か『まだ私にも…』と小声でブツブツ言ってたけど……。
『ウェイブ』ってのは帝都海軍所属の軍人。3年前にある作戦で同行する事があったけど、恋人とかそんなんなじゃないから、友人だから。
「……お義兄ちゃん。何で眉間に皺を寄せてるの?」
「え?いや、別に…」
と言いつつ、お義兄ちゃんは食事を続けた。
偶にお姉ちゃんと同じ感じになるんだよね、お義兄ちゃんは。
夕食が終わって、私の部屋にはマユが居た。久し振りに一緒に寝たいと言って来て、私は良いよとマユに言い、一緒に寝る事になった。
寝る時間になって私は電気を消した。
「ねぇ、クロメお義姉ちゃん」
「ん?」
「『アカメ』さんには会えたの?』
マユはお姉ちゃんの事について訊いてきた。
「2年経つけど、会えてない」
「…そう…なんだ…」
会えてないと答えるとマユは少し悲しい表情をしていた。
……お姉ちゃんもアスカ家の養子になる予定だったけど、その一日前にお姉ちゃんは他の『選抜組』と一緒に帝国を離反、私やナタラ達も一緒に離反しようとお姉ちゃん達は言ってたけど、私達は反対した。
お義兄ちゃんも一緒にお姉ちゃん達を説得したけど、失敗してお姉ちゃん達は『ナイトレイド』って組織の暗殺者なったけど……、
「それでも、お姉ちゃんとはもう一回会って止めてみせる。大事な家族だから」
「…うん」
私は必ずお姉ちゃんと会ってみせるとマユに言った。例え暗殺者だとしても私達の家族だって事は変わらないんだ。
そして、私とマユは布団に入り眠った。
お姉ちゃん……元気にしてるかな……?
次回はセリューがロンド・ベルに転属する話です。