亜神と龍   作:自衛隊隊員A

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炎龍とフユノリュウ

 異世界より(ゲート)から現れた自衛隊。

 アルヌスの丘に拠点を構え、この世界の文明と平和的な交渉をするためにやってきた異世界の民。

 彼らはまずこの世界の人種、宗教、政治などを調査する事にした。

 その道中、炎龍が集落を焼き払っているところを見つけ、集落唯一の生き残りであるエルフの女性を保護しエルフの集落について教えてくれたコダ村に炎龍の件を伝え、結果逃避行。

 自衛官も鬼ではない。むしろ、この隊は善人ぞろいと言えよう。道中彼らを護衛することにした。そんな道中で奇妙な者を見つけた。

 それはゴスロリを纏った少女自身であり、少女の頭に乗った小型のドラゴンのことである。

 そのドラゴンはとてつもなく奇妙なドラゴンだった。

 まあ空を飛ぶ爬虫類の時点で彼らには馴染みのない存在なのだが、そのドラゴンは生物と非生命の中間にあるような見た目だった。一言で言うなら生き物っぽくない。

 皮膚には鱗がなくのっぺりとした陶器のようだ。遠目で確認しただけなので、近づけば細かい鱗が見えるのかもしれないが。

 そんなドラゴンと少女の下へ、いや正確には少女の下へ村人達が駆け寄り祈りを捧げている。ドラゴンには困惑の表情を向けているが、ドラゴンは村人達など気にせず自衛隊を眺めている。

 

「………なあ倉田、あのチビドラゴンこっち見てないか?」

「……見てますね」

 

 この部隊の隊長である伊丹は運転席の倉田に尋ねると倉田も肯定する。ドラゴンは間違いなく自衛隊を観察している。それが単なる見たことのない存在に対する好奇心なのか、それともドラゴンに警戒されているのか………。

 

「もしドラゴンが俺たちみたいな格好に敵意持つ習性があったらどうするよ?」

「制服を変えます?」

 

 と、雑談している間にも少女と少女の頭に乗ったドラゴンは彼らに近づいてきた。少女は彼らの乗る未知の乗り物に興味を引かれたようだ。

 

《これ、どうやって動いてるのかしらぁ?フユノ、わかるぅ?》

『ン?アアコレハナ、石油……アア~……揮発性ノタカイ特殊ナ油ヲツカイ……』

「「「っ!?」」」

 

 少女が頭の上のドラゴンに話しかけるとドラゴンは何やら鳴き声を発する。とたんに近くの現地の人間達の顔が驚愕に染まる。

 

「な、なんだ?」

「隊長、今このドラゴン、片言ですけどこの世界の言葉発しましたよ……」

「………はぁ!?」

『ア?ナニミテヤガル』

 

 倉田の言葉に伊丹がドラゴンを凝視すると、それに気づいたドラゴンは、今度は日本語を発した。異世界の怪生物が馴染みのある言葉を発したことにますます混乱する中少女はドラゴンの発した言葉を理解できなかったのか呑気に首を傾げ、ドラゴンは頭からずり落ち肩に着地する。

 

《フユノは物知りねぇ。これの乗り心地はどうなのかしら?》

『マアコノ世界ニ存在スルドノ馬車ヨリマシダロウナ』

《へぇ……わたしも感じてみたいわぁ。この乗り心地》

 

 現地語でドラゴンと会話していた少女は伊丹を見る。伊丹が愛想笑いを浮かべると少女は助手席に座ろうとし、慌てる伊丹。

 ドラゴンは少女の耳を甘噛みして他の車を見るように促す。少女は一番前の車両がよかったのか不服そうにしながらもドラゴンには逆らわず黒川達の乗る車両に歩いていき、助手席を代わってもらった。

 

 

 

「かわいい~!何これチビドラゴン?」

 

 短い茶髪の女性自衛官。栗林は少女の連れてきたドラゴンに興味を示し弄りまくる。

 基本硬い甲殻に覆われているが腹など色の黒い部分は柔らかい。

 ドラゴンはジタバタ暴れ栗林の手から逃れると黒髪の美人、黒川の膝の上に避難する。黒川は戸惑いながらもドラゴンを観察する。

 このドラゴンが子供だから警戒心が無いのか、この種だけが無いのか、それともこの種の子供だけか。あるいはこのサイズで成体なのか。

 もし人類に友好的な巨大なドラゴンならば火龍に対する切り札になる。

 

 

 ………何てこと考えてる目だな。やっぱり頭のいい奴は俺みたいに得体の知れない奴に警戒し不用意に触れようとはしないな。 

 得体の知れない……言ってて悲しくなってきた。まああの茶髪女みたいに無遠慮に触られるより観察された方がましか。

 ………ん?

 

「え~っと……この子、名前……」

「フユノよぉ」

 

 さっきの茶髪女がロゥリィから俺の名前を聞いている。俺は別に名前なんて持ってないけどな。って、そんなことは今はどうでもいい。この気配は……

 

『戦闘用意!』

 

 通信機から聞こえてきた声の意味を運転手が理解すると同時に車の向きが急激に変わる。遠心力で黒髪女の膝から落ちた俺はそのまま窓の外に飛ぶ。

 視界に映った光景は俺が人間だった頃なら地獄絵図と表現していたであろう光景。 

 赤い鱗を持つ古代龍。炎龍が人々を襲っていた。炎龍が吐いたであろう炎にまかれる人々、恐怖にかられ逃げ出そうとして転んだ馬や馬車の荷台に潰される人々。

 

「か、神様………」

 

 俺の耳に幼子の祈りが聞こえる。だがな少年。神は救わない。特にハーディのクソガキなんか神は調和を守るため俗世の願いは叶えないだのほざいてるしな。気に入った魂を自分のコレクションにして魂のレベルを下げてるくせに。

 ああ、思い出したら腹たってきた。それにどう考えてもあの炎龍、ハーディの気配を纏ってるんだが?よし、やるか

 

 

 

 

 

 キャリバーも全く効いた様子がない炎龍。炎龍は自衛隊を鬱陶しく思ったのか炎のブレスを吐いてくる。

 炎がなめた地面を見て顔を青くする伊丹。

 

「ono ! yuniru!」

 

 と、突然叫び声が聞こえ振り向くと保護したエルフの女が目を覚まし何かを叫びながら自分の目を指さす。

 

「!目だ!目を狙え!」

 

 いくら強靭な鱗を持つとはいえ目を鍛えられる訳ではない。炎龍の動きが止まり、その隙にさらなる追撃を行おうとした瞬間──

 

『グォォォォォォォッ!』

「んな!?も、もう一匹!?」

 

 突如どこからともなく炎龍より一回りほど小さい巨大龍が現れる。巨大龍は炎龍を抑えつけ威嚇するように咆哮する。縄張り争いだろうか?

 いや、あの龍、ゴスロリ少女が連れていた龍と似ている。まさか親?子供とその飼い主であるゴスロリ少女を助けにきたのか?

 炎龍はドラゴンに向かって炎を放つと、お返しとばかりにドラゴンもブレスを、否、レーザーを吐き出した。

 

「レーザーだ!レーザー出したよあのドラゴン!火吐くだけでもファンタジーなのにレーザー吐いたよ!?」

「落ち着け倉田……!」

 

 ズドォォォォォォンッ!

 

 と、遠くで山の一部が消し飛び数秒遅れて爆音が響いた。炎龍は目の前のドラゴンに勝てないと判断したのか逃げ出そうとするがドラゴンは炎龍の尾に噛みつくと首の筋力だけで振り回し地面にたたきつけた。

 

「………強いっすね、あのドラゴン」

「勝本!パンツァーファウスト!」

 

 伊丹が合図すると同時にドラゴンは炎龍を発射された弾に向かって投げつけ、炎龍の腕が吹き飛んだ。片腕を失い自身より遥かに強いドラゴンもいる。炎龍は炎を煙幕代わりに足下に放ち辺りを炎で包むと一目散に逃げ出した。

 

「もう終わりぃ?わたしは何もできなかったのにぃ……」

 

 ゴスロリ少女が愚痴るようにドラゴンの足をカンカン叩くとドラゴンはゴスロリ少女を見下ろす。

 

『ソンナニ戦イタカッタノカ?コノ戦闘狂メ』

「戦いが好きというわけではないけど、亜神になったその日から楽しめる相手にも滅多に会えず退屈なのよぉ」

『オレヨリハマシダロ。オレハ生命ガウマレルマデ退屈デ、人間ガウマレルマデ退屈デ、ソノアトモ結局退屈ダッタンダゾ』

 

 ドラゴンはそう言うと体が発光し子猫サイズになる。

 

「…………あのドラゴン、この世界で一番ファンタジーだな」

「……っすね」




 主人公の年齢は主人公も覚えてないぐらい長生きしている。
 記憶の方はそもそも脳という定義が存在しない肉体のため容量制限も劣化もなくすべて覚えているある意味最も英知を持った存在。
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