八咫の聖人〜最強のはぐれ悪魔祓い〜   作:赤嶺

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プロローグ

はぐれ エクスカリバー プロローグ

 

僕がこの世界が絶望でできていると悟ったのはいつだっただろうか。

 

僕は3ヶ月ほど前まで『悪魔祓い(エクソシスト)』だった。

 

名前もそこそこ知られていたと思うし、自分で言うのもなんだけど教会の中でも1位2位争うほどの実力はあったと思う。

 

だけど僕ははぐれ悪魔祓い(エクソシスト)になった。

 

嫌になったから。

 

なにがって?

 

神を信じることが。

 

僕の父と母は僕と同じで悪魔祓いだった。

 

実力もそこそこあったし、父と母は『神器(セイクリッド・ギア)』と呼ばれる『聖書に記されし神』が作ったといわれる超常の力を得ることのできる物を持っていた。

 

父は『魔剣創造(ソード・バース)』と呼ばれる魔剣を作り出すことができる『神器(セイクリッド・ギア)』を。

 

母は『聖剣創造(ブレード・ブラックスミス)』と呼ばれる聖剣を作り出すことができる『神器(セイクリッド・ギア)』を。

 

でも死んだ。

 

それはもうあっさりと。

 

父と母は僕と兄、妹を守るために戦い死んだ。

 

堕天使といわれる天から堕ちし天使によって。

 

堕天使は上級堕天使と呼ばれる個体数の少ない強者の1人であったから人間である父と母が殺されるのは必然だったかもしれない。

 

でも僕は違った。

 

その必然には当てはまらなかった。

 

僕はその時目覚めた。

 

自らの力と『神器(セイクリッド・ギア)』に。

 

僕は血が熱くなるのを感じ、心が高ぶるのがわかった。

 

だから飛びかかった。

 

それはもう本能の赴くままに。

 

僕は父と母が勝てなかった堕天使を殺した。

 

それからだ、僕が悪魔祓い(エクソシスト)になったのは。

 

上級堕天使を殺した僕は教会に迎え入れられ悪魔祓い(エクソシスト)見習いとして堕天使と悪魔を殺しまわった。

 

父と母は根っからの信者であったから僕たちも小さい頃から神の信者であった。

 

だから教会の命じるままに殺しまわった。

 

僕とは違い孤児院に入れられた兄と妹も『神器(セイクリッド・ギア)』を宿していた。

 

聖剣系の『神器(セイクリッド・ギア)』で名のある聖剣ほどではないが聖なるオーラを放つ聖剣が宿っていた。

 

だから。

 

だから殺された。

 

教会は人工的にエクスカリバーの使い手を作ろうとしていた。

 

だから聖剣系の『神器(セイクリッド・ギア)』をもつ2人も被験体に選ばれた。

 

被験体として毎日毎日実験を繰り返し、2人に会いにいった時は綺麗な銀色の髪はボロボロの白い髪に成り果てていて。

 

苦しい実験だろうに僕を心配させまいと笑顔を見せて。

 

ある日2人に会いにいった時そこには2人と同じで被験体であった子供達の死体が転がっていた。

 

その中には当然兄と妹の姿もあって。

 

人工エクスカリバー使い手を作ることには成功した。

 

だから殺された。

 

邪魔になったから。

 

僕は1人になった。

 

思えばこの時には僕から信仰心は無くなっていたんだろう。

 

それからはただただなにも考えず神の敵たる堕天使と悪魔を殺す日々を過ごした。

 

そのうち悪魔祓い(エクソシスト)見習いから正式に悪魔祓い(エクソシスト)になった。

 

悪魔祓い(エクソシスト)になってからは任務の数を増やした。

 

心が壊れてしまわないように。

 

殺し合いの日々の中で少しだけ心が癒される時間があった。

 

僕は任務を終えると必ずある少女の元に向かった。

 

その少女は『聖女』と呼ばれる美しい少女で僕の初めてできた友達。

 

小さい頃から堕天使と悪魔を殺しまわっていた僕は友達なんでいなかったからそれはもう嬉しかった。

 

僕が教会に属してから5年。

 

僕は12歳で教会の誇る最強の悪魔祓い(エクソシスト)『特務機関イスカリオテ』のメンバーになった。

 

『特務機関イスカリオテ』のメンバーになっても行うことは変わらず殺し合いに明け暮れていた。

 

違うところなんて任務の難易度くらいで僕は対した苦戦もせず任務をこなしていた。

 

でも3ヶ月ほど前、僕の唯一の心の安らげる場所『聖女』と呼ばれる少女が『魔女』として追放された。

 

悪魔の怪我を治したから。

 

心の優しい怨敵である悪魔にさえ慈悲の心をもった少女が。

 

 

 

そうだ、この時だ。

 

この時に気づいたんだ。

 

僕から兄と妹を奪った教会は僕の味方であるはずが無い、と。

 

この世界に神はいない。

 

神に最も愛されるべき少女が魔女などと呼ばれ追放する世界に神はいない、と。

 

この世界が絶望でできていると。

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

駒王町

 

その町に白いローブを着た怪しげな2人が降り立った。

 

「この町だな?」

 

「うん。教会からここに逃れて隠れてるって」

 

「そうか」

 

怪しい2人の声から2人とも女性だと言うことがわかる。

 

それもまだ成人になってないくらいの若い女性。

 

「これからどうする?」

 

「んんー?えっとねー、ここに私の幼なじみがいるの。だから久々にあいさつにでもいこうかなぁって」

 

「ああそうか。君は日本生まれだったね」

 

「うん。元気にしてるかなー、イッセー(・・・・)くん。エッチな子だったから心配なんだよね」

 

「羽目を外すなよ。私たちは任務で来ているんだから」

 

白いローブの隙間から覗く胸には十字架を下げられていて、2人のうち1人は布にくるまった何かを背負っている。

 

それはわかる者にはわかるもの。

 

悪魔の弱点とされ、教会の誇る兵器。

 

聖剣。

 

数多の悪魔を屠ってきたエクスカリバーの一本。

 

そんな聖剣を携え、

 

悪魔の治める地。

 

駒王町。

 

そこに2人の聖剣使いが降り立ち、

 

「ここだね。兄さん(・・・)とルシア(・・・)を殺した大司祭がいるというのは」

 

最強のはぐれ悪魔祓い(エクソシスト)が降り立った。

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