八咫の聖人〜最強のはぐれ悪魔祓い〜   作:赤嶺

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第十四話

はぐれ14

 

さてと、旧魔王派の作戦は今のところうまくいってるみたいだし作戦の再確認でもしようかな)

 

《うむ、それがよかろう。主様は忘れっぽいからの》

 

(別に忘れっぽいわけじゃないよ。興味がないことは覚えないだけ。それじゃあまず、前提事項の確認から。この作戦の要でもある時間停止について)

 

《リアス・グレモリーが眷属、混血吸血鬼(ダンピール)ギャスパー・ヴラディ。その吸血鬼がもつ『神器(セイクリッド・ギア)、『停止世界の邪眼(フォービトゥン・バロール・ビュー)を確保。それを暴走させ結界内の時間を停止する、じゃな》

 

(情報提供は『神の子を見張る者(グリゴリ)』所属、白龍皇ヴァーリ・ルシファー(・・・・・)、だったかな。いまはちょうど時間停止が発動したところだし次は今回の首謀者カテレア・レヴィアタンによるトップの殺害)

 

《その間に魔術師、旧魔王に与する悪魔による駒王学園に集う人外の排除、だったかの》

 

(うん、そうだったような気がする。僕は手出ししないよう言われてるから傍観だけどね)

 

《レヴィアタンの小娘も主様が『禍の団(カオス・ブリケード)』に所属しとるとは知らんじゃろうしな。それに》

 

(たとえ知ってても協力するつもりはない。それにもしカテレアが負けそうになってたら、僕は嬉々して殺すよ。負けそうなら僕が殺っても、誰が殺っても同じだしね)

 

《その通りじゃが、勝ちそうだったらどうするのじゃ?小娘も主様の復讐対象の1人じゃろう》

 

(そのときはまたの機会に殺すよ。どのみちこれから『禍の団(カオス・ブリケード)』は戦い続きだから機会はたっぷりある)

 

《確かにの。特に旧魔王派は積極的にしかけていくじゃろうからな。英雄派と違っておつむが弱いのもあるしの》

 

(アハハ、言えてるね。うん、奴らはおつむが弱い。僕たち、ちがうな。曹操たち英雄派に利用されてることも知らないし)

 

《主様も所属しとるからちがうということはないがの。あれが先代魔王の末裔とは。先代魔王たちも無念じゃろうな。……ん?主様、どうやらそろそろのようじゃぞ》

 

(そうか。なら準備しないとね)

 

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

 

 

「──アザゼル。先ほどの話の続きだ」

 

ルシウスがアヤメとの対話を終え周りを見るとサーゼクスがアザゼルに訊いていた。

 

「あー、何だ?」

 

「神器(セイクリッド・ギア)を集めて、何をしようとした?『神滅具(ロンギヌス)』の所持者も何名か集めたそうだな?神もいないのに神殺しでもするつもりだったのかな?」

 

「ミカエルもね」

 

サーゼクスとセラフォルーの問いにアザゼルは首を振った。

 

「備えていたのさ」

 

「私たちも同じですね」

 

「備えていた?戦争を否定したばかりで不安を煽る物言いだね」

 

「言ったろ?おまえらに戦争はしない。こちらからも戦争をしかけない。──ただ、自衛の手段は必要だ。って、おまえらの攻撃に備えてるわけじゃねぇぞ?」

 

「では?」

 

「──『禍の団(カオス・ブリケード)』」

 

「カオス、ブリケード?」

 

サーゼクスやセラフォルーは聞いたことがないのか眉根を寄せる。

 

「組織名と背景が判明したのはつい最近ですが、それ以前から我々『熾天使(セラフ)』は3大勢力の危険分子を集めている集団に目をつけていたのです。そして中には禁手(バランス・ブレイカー)に至った神器(セイクリッド・ギア)持ちの人間も含まれています。また『神滅具(ロンギヌス)』持ちも数人確認されています」

 

「俺たちも似たようなもんしか掴んでねぇがそれよりも問題なのが、組織の頭は『赤い龍(ウェルシュ・ドラゴン)』と『白い龍(バニシング・ドラゴン)』の他に強大で凶悪なドラゴンだよ」

 

『──ッ!』

 

アザゼルの告白に何のことかよくわかっていないイッセーの全員が絶句する。

 

ルシウスと黒歌は周りに怪しまれないために目を見開くことで驚きを示した。

 

「……そうか、彼が動いたのか。『無限の龍神(ウロボロス・ドラゴン)』オーフィス──。神が恐れたドラゴン……。この世界ができあがったときから最強の座に君臨し続けている者」

 

『そう、オーフィスが「禍の団(カオス・ブリケード)」のトップです』

 

サーゼクスの言葉に並べるように声が飛び込み、会議室の床に魔方陣が浮かび上がった。

 

──キタ

 

ルシウスはその声に人知れず邪悪な笑みを浮かべる。

 

「そうか。そう来るわけか!今回の黒幕は──」

 

舌打ちをするサーゼクスはグレイフィアに叫ぶ。

 

「グレイフィア、リアスとイッセーくんを早く飛ばせ!」

 

「はっ!」

 

グレイフィアはイッセーとリアスを会議室の隅にいくよう急かせると、小さな魔方陣を床に展開した。

 

2人がその魔方陣の上に立つと転送の光が2人を包み込み消えていった。

 

ルシウスはその間も目の前に展開された魔方陣を見続けていた。

 

魔方陣に画かれた紋章にアザゼルは笑い、サーゼクスは苦虫を噛み潰したような表情をする。

 

「──レヴィアタンの魔方陣」

 

サーゼクスの呻くようなその声にその場に残ったグレモリー眷属の木場とゼノヴィア、ミカエルの護衛イリナは驚愕をあらわにする。

 

「ヴァチカンの書物で見たことがあるぞ。──あれは旧魔王レヴィアタンの魔方陣だ」

 

ゼノヴィアの言葉に木場は納得がいったような表情を見せた。

 

レヴィアタンの魔方陣からでて来たのはイッセーが興奮してガン見するような胸元が大きく開いた深いスリットの入ったドレスに身を包んだ一人の女性。

 

その姿を捉えさらに笑みを深めるルシウス。

 

「ごきげんよう、現魔王のサーゼクス殿」

 

「先代レヴィアタンの血を引く者。カテレア・レヴィアタン。これはどういうことだ?」

 

旧四大魔王が滅び、サーゼクスたち現魔王派の者たちによって冥界の隅まで追いやられた旧魔王の一族。

 

レヴィアタン一族はその内の一つ。

 

旧レヴィアタンの血を引くカテレア・レヴィアタンは挑戦的な笑みを浮かべて言う。

 

「旧魔王派の者たちのほとんどが『禍の団(カオス・ブリケード)』に協力することに決めました」

 

それはサーゼクスたちにとって最悪の言葉。

 

「新旧魔王サイドの確執が本格的になったわけか」

 

アザゼルは他人事のように笑う。

 

「カテレア、それは言葉通りに受け取っていいのだな?」

 

「サーゼクス、その通りです。今回のこの攻撃も我々が受け持っています」

 

「──クーデターか」

 

「私たちは彼──オーフィスを力の象徴として、彼の力を借り、一度世界を滅ぼし、もう一度再構築します。──新世界を私たちが取り仕切るのです」

 

世界を維持するために結ぶ3大勢力の和平。

 

それとは真逆の破壊を望む旧魔王派。

 

旧魔王派に賛同する者は3大勢力の中にも存在し和平を望まぬ堕天使や天使、悪魔は次々と旧魔王派に流れている。

 

……そんなに和平が嫌なのか?

 

サーゼクスは皮肉げに笑った。

 

「カテレアちゃん!どうしてこんな!」

 

「セラフォルー、私から『レヴィアタン』の座を奪っておいて、よくもぬけぬけと!私は正統なるレヴィアタンの血を引いていたのです!私こそが魔王に相応しかった!」

 

「カテレアちゃん……。わ、私は!」

 

「セラフォルー、安心なさい。今日、この場であなたを殺して、私が魔王レヴィアタンを名乗ります。そして、オーフィスには新世界の神となってもらいます。彼は象徴であればいいだけ。あとは『システム』と法、理念は私たちが構築する。ミカエル、アザゼル、そしてルシファー──サーゼクス、あなたたちの時代は終えてもらいます」

 

その言葉にサーゼクスやセラフォルー、ミカエルは表情を陰らせる。

 

だが、その場に愉快そうに笑う者たちがいた。

 

「くっ……。くっくっくっくっ」

 

「アハハ、アハハハハハハハ!!」

 

「にゃはは、にゃははははは!!」

 

「プクク、アハハハハハハハ!!」

 

心底おかしそうに。

 

嗤う。

 

「何がおかしいのです?」

 

カテレアの表情と言動には明らかに怒りが含まれている。

 

「ハハハ。おまえ──いや、おまえら、こぞって世界の変革かよ」

 

「そうです。それが一番正しいのですよ。この世界は──」

 

「腐敗している?人間が愚か?地球が滅ぶ?おいおいおい、今時流行らないぜ?」

 

「まったくその通りだね。おとなしく聞いていれば世界を手に入れたいなんて……聞いてて笑いをこらえるのに必死だった」

 

「にゃはは!アザゼルの言う通りにゃん。今時そんなこと流行らないし、恥ずかしいにゃん♪」

 

「プクク。ああ、ごめんなさい。でも笑いが、止まらないのよ。プクク……あぁ、やっと止まった。オーフィスを象徴としてあなたたちが世界を管理するなんて言ってたけれど、無理ね。ただの古臭い旧魔王の血筋のオバサンがわたくしやルシウスに勝てるとでも?無理よ!だってあなた程度の実力ならこの場にいるトップは愚かわたくしたち『神の使徒(ヘヴン・アポストロ)』のメンバー1人にすら勝てないもの!そんなあなたが世界を支配する?阿呆らしすぎてもう、笑いが止まらないわ!アハハハハハハ!」

 

4人の言葉、特に最後の言葉を言ったいた女にカテレアは顔を赤くして怒りの色を濃くする。

 

「私があなたのような下等な人間に勝てないと?」

 

「えぇ、事実だもの」

 

「っ⁉︎ふざけるのもいい加減になさい!いいでしょう、そこまで言うのならわたくしがあなたに自分は間違っていたと思い知らせてあげましょう」

 

「それは光栄ね。薄汚いコウモリさんがどれだけ井の中の蛙なのかを知ってどんな顔をするのか、楽しみだわ!」

 

そう言うと彼女は全身に聖の力を纏いカテレアごと壁を破壊し外に飛び出した。

 

 

 

「……意外と好戦的なようだね、彼女は」

 

「すみません。ですが実力は折り紙付きですよ」

 

「はぁ、俺がカテレアの相手しようと思ってたんだが仕方ねぇ。俺は外の魔術師どもを片付けてくる」

 

サーゼクスが呆れたようにいいミカエルが苦笑いで返す。

 

アザゼルも苦笑いを浮かべ飛び出して行った。

 

「木場祐斗くん。私とミカエルはここでこの学園を覆う結界を強化し続ける。キミも外の魔術師たちを始末してくれないか?」

 

「はい」

 

「ありがとう。よろしく頼むよ」

 

「はっ!ゼノヴィア、一緒に来てくれ!」

 

「ああ、任せてくれ。ルシウスたちはどうする?」

 

「僕は今回観戦するよ。彼が出るんなら、僕の出番はないしね」

 

ルシウスがそう言ってゼノヴィアから視線を別の場所に向ける。

 

ゼノヴィアもそちらにズラすと、ミカエルとミカエルの護衛として来ていた女性が話していた。

 

「彼?彼女の間違いでは?」

 

木場は思ったことを口にする。

 

「ハハハ、違う違う。彼は男だ。この世で最も永き生を受けた人間だね」

 

 

 

「ミカエルさま。私はどうしましょう?敵の殲滅にあたりましょうか?」

 

「そうですね。では任せましょう」

 

「了解しました」

 

彼は膝をつき祈りを捧げる。

 

「では、対価を」

 

そして、対価を要求した。

 

それにはその場にいる者のほとんどが驚く。

 

まさかいち信徒が信仰の対象であるミカエルに対価を要求するとは思わなかったからだ。

 

「そうですね……。では、私の寿命の10年を差し出しましょう。これで足りますか?」

 

「十分です。ミカエルさまの10年の寿命とあらば、ここにいる有象無象の輩など一瞬で屠れましょう」

 

そう言って彼は手を胸にかざすと胸の中心が光りだし、光りが収まるとその手に黒と白の二色に彩られた天秤が握られる。

 

「では、対価の証として血を一滴」

 

彼に言われるままミカエルは自分の指の腹を裂き、血を垂らす。

 

すると血の垂れた黒い皿は傾き、白い皿が上がる。

 

「確かに対価を頂きました。では、そうですね。この一帯を破壊するわけにはいきませんからね、それ相応の武具の顕現と致しましょう。『天魔の天秤(コンペンセーション・リブラ)』よ。対価は熾天使ミカエルの生を10年。願いは外にいる魔術師に悪魔を殲滅できる武具を」

 

すると白い皿が傾き、黒い皿と白い皿が平行になる。

 

──アクセプト。これより対価に見合う武具を顕現します。

 

『天魔の天秤(コンペンセーション・リブラ)』に対価を差し出し、願いを告げたことによりそれから機械音声が聞こえ、輝き出す。

 

光りが収まるとそこには一本の枝が現れた。

 

ボロボロの50センチにも満たない黒い枝。

 

──禍滅剣レーヴァンテイン。対価の不足を確認。顕現時間は4分です。

 

顕現されし武具を見た者は皆言葉を失う。

 

北欧に伝わる禍の剣が顕現するとは誰も予想していなかった。

 

特に黒歌の驚きは大きい。

 

男の神器(セイクリッド・ギア)によって召喚された枝には見覚えがありすぎたから。

 

(ど、どどどどういうことにゃ⁉︎え?あれってルシウスの屋敷から私がとってきた枝とそっくりにゃ。そういえばアヤメも神話を滅ぼす力を持ってるって……)

 

黒歌はルシウスの方へ視線を向けるとルシウスは右手を異空間に入れ何かを探していた。

 

それもすぐに終わり、男のもつ枝を見て冷笑を浮かべる。

 

それを見て黒歌は確信する。

 

あれは間違いなく、自分がルシウスに渡した枝だと。

 

「……これはすごいものが出て来ましたね。確かにこれならばすぐに殲滅出来ますが、4分とは短い。もう少し長くてもいいでしょうに。ミカエルさまの10年の寿命を使ったのにこれとは、やはりアースガルズの破滅の剣とは恐ろしいものですね。

──ではミカエルさま、外の有象無象の輩を殲滅してまいります」

 

「えぇ、頼みましたよ」

 

彼はミカエルに笑顔で告げ、外へ飛んでいく。

 

ミカエルもその彼に柔らかい笑顔で見送った。

 

 

 

 

「か、彼は一体何者なんだい?」

 

木場は先ほど飛び立っていった男が何者なのか問う。

 

「あぁ、彼はね。『神の使徒(ヘヴン・アポストロ)』の1人さ」

 

「……本当にルシウスたち『特務機関イスカリオテ』のメンバーは狂ったような強さだな。本当に人間なのか疑ってしまうよ」

 

ゼノヴィアが呆れながら言った。

 

ルシウスはそれを見て、ボソリつぶやく。

 

「僕よりも化け物じみてるし。何より彼は特別だよ」

 

なにせ、

 

「400(・・・)年の時を生き、いまなお神を信じる狂信者。

 

『特務機関イスカリオテ』序列第十位『救世主(メシア)』天草四郎。

 

そして──」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『特務機関イスカリオテ』序列元第一位『現人神(アラヒトガミ)』

 

 

 

 

天草四郎

 

 

 

 

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