八咫の聖人〜最強のはぐれ悪魔祓い〜   作:赤嶺

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第二話

はぐれ2

 

 

アーシアがルシウス・ランスロットとかいう名前を聞いて固まってしまった。

 

まさか、アーシアが好きだっていう男の名前か⁉︎

 

アーシアが好きになるくらいだから相当なイケメンだよな?

 

くっそー!やはり男は顔なのか⁉︎

 

俺は部長たちを見るとみんな目を見開き呆然としていた。

 

え?どうしたの?俺がイケメンに嫉妬している間に何かあったの?

 

「……『ルシウス・ランスロット』ってあの『ルシウス・ランスロット』かしら?」

 

「あのが何かは知らないが『聖騎士(パラディン)』ルシウス・ランスロットのことを言っているのならそのとおりだ」

 

『聖騎士(パラディン)』?

 

有名な悪魔祓いなんだろうか?

 

「あの部長。そのルシウスって奴はそんなにすごいやつなんですか?」

 

「凄いなんてもんじゃないわ。天敵よ。私たち悪魔にとって」

 

天敵?

 

悪魔祓いはみんな天敵だと思うけど。

 

「『聖騎士(パラディン)』ルシウス・ランスロット。教会最強悪魔祓い(エクソシスト)機関『特務機関イスカリオテ』のメンバーで、現代の英雄ですわ。悪魔側には『災禍の騎士(ディザスター)』と言ったほうがわかるかもしれませんが」

 

ディザスター?

 

聞いたことないけど?

 

それに『特務機関イスカリオテ』って?

 

『特務機関イスカリオテ』のことも朱乃さんが説明してくれた。

 

その説明によると、

 

『特務機関イスカリオテ』

 

別名『神の使徒(ヘヴン・アポストロ)』

 

それは各教会から選出された12人の悪魔祓いによって構成される集団。

 

上級悪魔または上級堕天使の単独撃破することによって入団資格を得ることができ、現役の団員を降すことによって団員になることができる。

 

教皇によって独自の行動権を与えられ、その権力は教会内でも教皇に次ぐ程である。

 

という恐ろしい機関だということがわかった。

 

つーか、上級悪魔を滅するのが最低条件ってどんだけだよ!

 

「ルシウスは悪魔と堕天使の殺しの第一人者でね。彼が殺した悪魔と堕天使は1000体は超えている」

 

1000体⁉︎

 

おいおい、一体どんなバケモンだよそいつ!

 

そりゃ恐れるわけだ。

 

「ルシウスは悪魔祓いの中でも特に優秀でね。確か12歳だったかな。史上最年少でメンバー入りを果たした傑物よ」

 

12歳⁉︎

 

そ、それって俺がおっぱいを求めてエロ本を必死に探してた時期じゃねーか!

 

それに12歳で悪魔祓いの最強候補とか……勝てる気しねぇ……

 

「それでルシウス・ランスロットがどうしてアーシアを追いかけて教会から抜けたのかしら?」

 

「ん?聞いてないのか。アーシア・アルジェントはルシウスと仲が良かったんだよ。教会で噂になるほどに」

 

「ルシウスくんは任務以外では人と関わることがあまりなかったから。人嫌いなんだよね」

 

人嫌い?

 

じゃあどうしてアーシアと仲良くしたんだ?

 

そりゃあアーシアはすっごくかわいいし、守ってあげたくなるけど、人嫌いなのにな。

 

やっぱりルシウスって奴も男だからか?

 

「そんな人嫌いのルシウスにも例外となる人物がいたのさ」

 

「それがアーシアね」

 

部長が答える。

 

まあこの流れではアーシアしかいないよな。

 

「そうよ。もうすごかったわね。いつもしかめっ面のルシウスくんがアーシアさんの噂を聞くだけで顔をほころばせて。休暇が取れる度にアーシアさんに会いにいくくらいなんだから」

 

「まあルシウスは教会内の女性に人気だったからアーシア・アルジェントには嫉妬が激しかっただろうが」

 

休暇が取れるたびにってどんだけ仲良かったんだよ。

 

もしかしてルシウスもアーシアのことが好きだったのか?

 

……ありえるよな。

 

休暇が取れるたびに会いに行くくらいだし。

 

というか、ルシウスって奴が羨ましい!!

 

なんだ教会内の女性に人気って!

 

教会っていったらシスターだろ⁉︎

 

シスターハーレム作ってやがったんだろ⁉︎

 

くっそー!メッチャ羨ましい!!

 

やっぱりイケメンはどこでもモテるのか⁉︎

 

「それだけアーシアにべったりだったのだ。アーシアが追放されたと聞いてその翌日には姿をくらませたんだ」

 

「アーシアを追放したことで教会は強大な戦力の1人を失ったわけね」

 

「そうなんだよね。だから教会もちょっとピリピリしてて。だからルシウスの部下だった私たちにこんな任務が……覚えてなさいよルシウスくん」

 

イリナが急に明後日のほうを睨みつけた。

 

相当抜けたことで恨み買ってんだな、ルシウスって奴は。

 

イケメンだから同情はしないけどな。

 

いや!むしろもっと恨まれてそのままモテなくなってしまえ!!

 

「まあルシウスのことはいい。アーシア・アルジェント。君はまだ我らが神を信じているか?」

 

「ゼノヴィア。悪魔になった彼女が主を信仰しているはずがないでしょう?」

 

呆れた様子でイリナが言う。

 

「いや、その子から信仰の匂い──香りがする。私はそういうのに敏感でね。背徳行為をする輩でも罪の意識を感じながら、信仰心を忘れない者がいる。それと同じものがその子から伝わってくるんだよ」

 

イリナはそれを聞きアーシアをまじまじと見る。

 

「アーシアさんは悪魔になったその身でも主を信じているのかしら?」

 

「……捨てきれないだけです。ずっと、信じてきたのですから……。……主のおかげで私はルシウスと出会うこともできたんですから……」

 

アーシアはうつむいて答えた。

 

最後のほうが聞き取れなかったけど、きっとアーシアにとって大事なことなんだろう。

 

「そうか。それならば、いますぐ私たちに斬られるといい。ルシウスには悪いが悪魔に身を落としたのだ。いまなら神の名の下に断罪しよう。罪深くとも、我らが神ならば救いの手を差し伸べてくださるはずだ」

 

ゼノヴィアがアーシアに向けて布に包まれたエクスカリバーを突きだす。

 

それを見て、俺は腹んなかでたとえようのないものがこみ上げてきた。

 

俺はアーシアの前に庇うように立ちゼノヴィアを睨みつける。

 

「アーシアに近づくな。俺はアーシアを『魔女』と呼んだあんたを許さない」

 

「アーシア・アルジェントは『魔女』と呼ばれても仕方が無いと思うな。特にいまはそう呼ばれるだけの存在ではあると思うが?」

 

こ、こいつ……っ!

 

一体これまでアーシアがどんな思いでここまできたと思ってんだ!

 

「ふざけるなっ!救えるものを救って何が悪い⁉︎アーシアの優しさが理解できない連中なんか、みんなただの馬鹿野郎だ!友だちもできないなんて、間違ってんだよ!」

 

「『聖女』に友人は必要ない。大切なのは分け隔てない慈悲と慈愛だ。他者に友情と愛情を求めたアーシア・アルジェントは最初から『聖女』の資格はなかったのだろう」

 

なにいってんだ、こいつは。

 

最初から資格がなかっただと!

 

「自分たちで勝手に『聖女』として祭り上げて、少しでも求めていた者と違ったから、見限るのか?……ふざけんな!!」

 

ずっと、ずっと神さまに関わる奴らにいってやりたいことがあったんだ。

 

「アーシアの悲しみを誰もわからなかったくせによ!何が神だ!何が愛だ!その神さまはアーシアが死んじまったときにも何もしてくれなかったじゃないか!」

 

「神は愛したくれていた。何も起こらなかったとすれば、彼女の信仰心が足りなかったか、もしくは偽りだっただけだよ」

 

アーシアの信仰心が偽りだと⁉︎

 

あの時、一緒に遊んだときに語った想いが偽りだったと⁉︎

 

なんなんだよこいつらは⁉︎

 

「君はアーシアのなんだ?」

 

ゼノヴィアの問いに俺はハッキリと告げてやった。

 

「家族だ。友だちだ!仲間だ!!だから、アーシアを助ける。アーシアを守る。ルシウスって奴が守らなかったアーシアを俺が守ってやる。お前たちがアーシアに手を出すなら、俺はおまえら全員敵に回してでも戦うぜ」

 

「それは私たち──我ら教会すべてへの挑戦か?一介の悪魔にすぎない者が、大きな口を叩くね。グレモリー、教育不足では?」

 

「イッセー、やめな──」

 

俺を止めようとした部長だったが、そんな俺の前に木場が介入する。

 

「ちょうどいい。僕が相手になろう」

 

さっきから放っていたプレッシャーとは違い、体から特大の殺気を発して、剣を携えていた。

 

「誰だ、キミは?」

 

ゼノヴィアの問いかけに不敵に木場が笑った。

 

「キミたちの先輩だよ。──失敗だったそうだけどね」

 

 

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

 

オカルト研究部のある旧校舎の屋上に一つの影があった。

 

その影は先ほど始まった、グレモリー眷属の『騎士(ナイト)』と『兵士(ポーン)』、エクスカリバー使いの2人との戦いを眺めていた。

 

「懐かしい匂いがしたから来て見たらおもしろいことになってるにゃん♪」

 

グレモリー眷属とエクスカリバー使いの戦いはエクスカリバー使いの優勢で進んでいた。

 

兵士の少年は戦いが始まってから両手を突き出し、手のひらをいやらしく動かしながら突撃しかしない。

 

エクスカリバー使いの攻撃に無様に逃げ惑ってばかりいた。

 

『赤龍帝の籠手(ブーステッド・ギア)』には影の人物も驚いたようだが、使い手が虫けらのような雑魚さならば興味もでない。

 

いや、少年の目に宿る性欲の炎には若干の恐れを抱いたがそれくらいだ。

 

「あんなエロガキのそばにいてお姉ちゃん(・・・・・)は心配だにゃん」

 

騎士の少年の方に目を向けても、着いて行くのがやっとのようで防戦一方になっていた。

 

兵士の少年と比べるとマシなゲームで『魔剣創造(ソード・バース)』もある程度使いこなしているが、感情が表にですぎていて最良の判断が全くできていない。

 

こちらにも興味が出ることはなかった。

 

「弱すぎてつまらないにゃー。こんな奴らに大事な『妹(・)』を預けていても大丈夫かにゃ?」

 

戦いはエクスカリバー使いの勝利で幕を下ろした。

 

ただ『赤龍帝』の少年が最後に行なった行為には怒りが舞い上がった。

 

「あんのエロガキィ!!私の『白音(・・)』になんてことしてくれるにゃ⁉︎ふ、服を破壊するなんて……絶対に許さないにゃ!いまはできないけどいつか殺してやるにゃん『赤龍帝』のエロガキィ!……あっ。アーシアも巻き込まれてたからこの事をルシウスに伝えたらいますぐ殺れるかもっ!」

 

影の人物はこの事をパートナーであり、主であり恋人でもある最愛の人の元へ自分の妹の様子のことアーシアを見つけたこと、ゼノヴィアたちがこの地に来ていること、アーシアが暴漢に襲われたことを伝えるために旧校舎から離れていく。

 

その影の人物は黒い着物をだらしなく見に纏い、その胸元から溢れんばかりの乳房が覗き、頭には猫耳、お尻には尻尾が姿を見せている。

 

妖艶な表情で見たものを魅了するスタイルのいい女性。

 

『猫魈(ねこしょう)』黒歌。

 

ルシウス・ランスロットの使い魔にして義理の姉。自称恋人のSS級はぐれ悪魔が『赤龍帝』兵藤一誠の心の臓に狙いを定めた。

 

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